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成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
砂漠の王国編

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砂漠ダンジョン踏破

 スライムの作業場を出てから五分。ほかの魔物に出くわすこともなくボス部屋に辿り着いた。

「スラッシュ!」

 鉄でできたサソリは俺のスラッシュ一撃で沈んだ。

 大きな魔石と、槍を落とし、レベルも上がった。

【イチノジョウのレベルが上がった】

【見習い忍者スキル:埋没スキルを入手した】

 埋没スキルは、隠形スキルと似ているな。

 周囲に溶け込み、発見されにくくなるスキルらしい。

「ボス戦なのに身も蓋もねぇな。あ、マスター、その槍はレアアイテムだぜ?」

「そうなのか?」

「スコーピオンスピアだ。それで攻撃すると一定の確率で相手に麻痺毒を与える武器だな」

「んー、麻痺毒か。痺れて動けなくなるのはいいが、俺にはピコピコハンマーって気絶させるスキルがあるからな」

 金属鑑定で調べてみると、サソリ鉄という魔金属でできているらしい。

 魔金属を見るのはゴブリンソードに使われているゴブリン鉄以来だな。

 そう思っていると奥の部屋の扉が開いた。

 俺たちはようやく女神像の部屋に辿り着いた。

 そこにはセトランス様の凛々しい女神像が立っていた。

「ようやくゴールか。そうだ、ピオニアも呼んでやるか。あいつもスキルが手に入るんだろ?」

「ピオニア姉さんは引きこもりだから出てこないと思うぞ?」

 それもそうか。この話を持ち出して、前みたいに怒られるのは困る。それに、ピオニアもこっちに来るつもりなら、俺たちが迷宮に行くと言ったときにもっと会話に加わっていたはずだ。

 会話に加わらないことが、彼女の意思表示だったのだろう。 

 俺は目を閉じて祈りを捧げた。


 直後、いつもの感覚が俺を襲った。

 女神の空間に意識が飛んだのだ。いつも通り真っ白な空間で、女神像とまったく変わらない姿のセトランス様と対面する。

「お久しぶりです、セトランス様」

 俺は頭を下げながら、不思議に思った。

 なんだろう? 最近、女神様と会うのが普通になっているよな。

 たしか、女神様とこうして会うことができるのは天恵を授けてくれた女神様だけだったはず。

 俺の場合はコショマーレ様とトレールール様、ミリは前世でミネルヴァ様から天恵を授かっていたが、セトランス様から天恵を授かったのは俺ではなく鈴木だった。だから鈴木のついでに俺やハルも会うことが許されたのだとばかり思っていたが。

「会いたくなったんだ。いちおう、君は私の加護をもらっているんだから話くらい良いだろう、イチノスケ」

「え?」

 心を読まれたことは今更驚かない。それより驚いたのは、俺のことをイチノスケと呼んだことだ。

「イチノスケが本名なのだろう? まぁ、忘れないようにせめて私だけでも本名で呼んであげようと思ったんだ」

「ああ、そうですか。その名前、久しぶりに呼ばれたせいで――でも嬉しいです。子供の頃は爺くさくてあまり好きじゃなかったんですけどね」

 それに、セトランス様との会話ならこちらも歓迎だ。

 トレールール様やミネルヴァ様には随分と困っているが、セトランス様とコショマーレ様、ライブラ様は良識人だからな。

「ふふふ、どうやらトレールールとミネルヴァに随分手を焼かされたようだな」

「あ、すみません。えっと、このことは内緒でお願いします」

「もちろんだ。女神は告げ口などしないよ。もっとも、ふたりはそんなこと言われても気にしないと思うがね」

「トレールール様はそうかもしれませんが、ミネルヴァ様は自殺しそうで」

「ははは、まぁ、あれでも女神だ。女神には女神としての役割がある。その役目を放っておいて自殺はしまい。いちおうフォローすると、ミネルヴァだけでなく、トレールールもあれはあれでしっかり働いているのだぞ」

「そうなのですか?」

 意外だ。

 俺はトレールール様には感謝している。そもそも、俺の話をまったく聞かずに、【必要経験値1/20】という天恵をくださったのがトレールール様だ。それがなかったら、俺は成長速度400倍というこの世界を楽に生きることができる能力が手に入らなかっただろう。そうした場合、俺はフロアランスで山賊に殺されていたかもしれない。

 そして、ピオニアやニーテといった、マイワールドで働いてくれるホムンクルスを提供してくれたのもまたトレールール様だ。ピオニアがいなかったら俺は無人島から脱出するための船を用意するのにもっと苦労しただろうし、マイワールドもいまのように活用できなかった。

 つまり、トレールール様は俺にとって最大の恩人――いや、恩神であるのだが、贔屓目にみても働いているように見えない。

 ベラスラのダンジョンの最奥にある女神像の間、そこでトレールール様はダンジョン踏破ボーナスを与えるという役目をすべて俺に丸投げしたという前科があるからだ。

 いま思えば、あのときから俺の生活魔法レベルアップ地獄(天国?)の日々が続いているんだよな。

 ほかにも、マイワールドに来てはサボりを告白して、自分のことを怠慢の女神だと言って開き直っている人だしなぁ。

「いろいろと信じられないようだが、本当だよ。女神という存在は、女神として最低限の仕事をしないとその存在そのものが消えてなくなってしまう。トレールールはサボるためにその仕事をほかの女神よりも早く終わらせているんだ」

「夏休みの宿題で苦しむのが嫌だから、夏休み初日に宿題を全部終わらせてあとはだらける……みたいなことですか?」

「ああ、わかりやすいたとえだ。言うなれば女神の仕事は、この世界より与えられた宿題みたいなものだからな」

 セトランス様は親し気に笑った。

 本当にこの女神様は気さくな方だな。そういえば、鈴木のこともコータと親し気に呼んでいたし。

 もしかしたら、ミリのこともなにか教えてくれるんじゃないか?

 そう思ったら、女神様の表情が曇った。

「すまない、イチノスケ。女神は万能ではないし、制限も多いんだ。伝えられることと伝えられないことがある」

「あ……いえ、そうですね。ありがとうございます」

 気を遣わせてしまったようだ。

「マレイグルリを目指すという君の考えは悪くない。あそこにある迷宮を目指すんだ。そこで最後の女神に会うことができる。彼女ならば、もしかしたら……」

 セトランス様がそう言ったところで、彼女の表情が変わった。

「話はここまでのようだ。最後に、迷宮踏破ボーナスを与えよう。どうする? なにか欲しいものはあるか?」

「選べるんですか?」

「完全には無理だが、スキルかアイテムかくらいは選ばせてあげよう」

 迷宮踏破ボーナスは、ルーレット、くじ引き、ダーツの三種類のどれかを使って選ぶんだったよな。確かにダーツなら、セトランス様レベルの達人なら狙うのは余裕だろう。

「では……スキルをお願いします」

「生活魔法以外でかい?」

「いえ、そういうわけでは。あ、一緒に来たニーテって少女も同じようにスキルでお願いします」

「わかった、君に必要なスキルを授けられるように努力しよう」

 彼女がそう言ったところで、俺の意識は再び現世に戻った。

【称号:迷宮踏破ボーナスⅤが迷宮踏破ボーナスⅥにスキルアップした】

【クリア報酬スキル:軍師魔法を取得した】

 ん? 軍師魔法?

 聞いたことのない魔法だな、いったいどんな効果があるんだ?

 とりあえず調べてみることにした。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 軍師魔法:魔法系スキル【迷宮踏破ボーナス】

 特定のスキル・魔法の効果を戦場内の配下全員に及ぼす軍師魔法を使用することができる。

 配下の数が30を超えるときにのみ効果を発動することができる。

 使うことができるスキル・魔法の種類は、【戦術リスト】で表示される。

 「戦術リストオープン」と唱えれば【戦術リスト】を閲覧できる。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「必要ねぇぇぇっ! 配下30人以上持つつもりなんてないよ。セトランス様、狙ってこのスキルを与えたのなら、俺のこと過大評価しすぎじゃないですか?」

 とセトランス様の女神像に言ってみたけれど、当然返事はこない。

 はぁ……まぁ、たわしよりはいいか。

「戦術リストオープン」

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 大エール:MP50

 大エールⅡ:MP75

 大プチヒール:MP100

 大ヒール:MP150

 大キュアヒール:MP150

 大メガヒール:MP300

 大アンチパラライ:MP150

 大プチシールド:MP150

 大シールド:MP300

 大ビッグシールド:MP450

 大明鏡止水:MP300

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 いまのところ十一種類か。

 MPが最低でも50、最高450とかなりMPを消費してしまう。

 三十人以上の配下を指揮することなんてまずないから役に立たないと思ったけれど、集団治療をするときとか便利じゃないか?

 たとえば食中毒の集団感染で百人くらい患者がいたら、全員に説明をして俺の配下になってもらう。そうすれば、キュアヒールを使うことで一度に全員の毒が治療できるはずだ。

「マスター、興奮冷めやらぬようだが、あたしもスキルを覚えたぜ」 

「お、本当か? どんな魔法だ?」

「空間魔法だ! 一気に迷宮の出口付近に戻れる魔法だな!」

「ミリが持っていた魔法か。そっちのほうがかなり役立つ魔法じゃないか。交換して――いや、フェイクマジックでコピーできるか」

「フェイクマジックでの転移魔法の場合、個人にしか作用しないから注意しろよ?」

「え? そうなのか?」

「まぁ、いちおうあたしはトレールール様から女神の知識の一部を授かってるからな。スキルの効果くらいはわかるぞ。さすがにマスターの無職スキルについては知らないけれどな」

「そうだったのか――なら、とりあえず使ってくれ」

「ああ、《脱出(エスケープ)》」

 ニーテが魔法を唱えると、景色が一瞬にして変わり、迷宮の出口付近に移動していた。

 凄い便利だな、帰り道は一瞬か。

 フェイクマジックに登録しておこう。

「じゃあ、マスター。あたしはマイワールドに帰ってるな。迷宮に入るときはマスターひとりだったんだろ? あたしが一緒に出たらマズイよな。それに、ピオニア姉さんに仕事を任せたままだし」

「そうだな――俺は今日はこっちに泊まっていくつもりだから、そっちのことは任せたぞ」

「おう、任された!」

 マイワールドへの扉を開き、ニーテを見送ったあと、俺はひとりで迷宮を出た。

 ニーテのお陰で賑やかな迷宮探索だったな。

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