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成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
砂漠の王国編

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ホムンクルスのステータス

 迷宮の中に入った俺は、ここならば誰にも見られる心配はないだろうとマイワールドに移動することにした。なにしろ、本当なら毎晩マイワールドに戻るはずだったのに、シュメイと一緒にいたために一日も戻ってこられなかったからな。

「ただいま――ってうわっ!」

 マイワールドに戻って俺は驚いた。

 なぜなら、いつもは草原のど真ん中に出るはずなのに、いま、俺の目の前にあったのは海岸だったから。

 別の世界に出たのではないかと思ったが、視界の端にピオニアの造船所があったので、マイワールドなのは間違いないようだ。

 そうか、海を創ったんだった、すっかり忘れていた。

 さて、ピオニアはどこにいったんだ?

 そう思ったら、海の中からそいつが上がってきた。

 海女の恰好をしたシーナ三号が。

「なにしてるんだ?」

「海草を植えていたデス!」

「海草を?」

「そうデス。ピオニア様に命令されたデス」

 ピオニア()なのか。

 俺が留守にしている間に、すっかり上下関係ができあがってしまっているようだ。

「それで、ピオニアとニーテはどこにいったんだ?」

「あっちで亀の養殖場を作ってるデス」

「そうか、行ってみるから作業を頼んだぞ」

「頼まれたデス」

 そう言って、シーナ三号は敬礼をした。

 きっとあの海女の恰好も真里菜が用意したのを使っているのだろう。いったい、何種類の衣装を用意したんだ? あのコスプレマニアは。

「ああ、シーナ。俺がいない間、ピオニアとニーテは俺のことについて心配とかしていなかったか?」

「また厄介事に巻き込まれているんだろうって話していたデス」

 よくおわかりのようで。

 シーナ三号は再度海の中に潜って行ったので、俺は教えてもらった場所に行った。

 それにしても広い海岸だな。向かった先には白い砂浜があった。

 月がないから潮の満ち引きもない。

 それに風もない。そのため、波は穏やかで泳ぎやすそうだ。

 もっとも、砂場に押し寄せる波がないと海としては物足りない気がする。

 創ることができないかな、月って。

 すると、砂浜の中でメイド服のピオニアとニーテのふたりを見つけた。

「おーい、ピオニア、ニーテ!」

 俺が手を振ってふたりのほうに向かうと、ピオニアは恭しく頭を下げ、ニーテは元気に手を振り返した。

「ご無事でなによりです、マスター」

「どうせ女でも囲ってたんだろ?」

 ピオニアとニーテが俺に言った。ニーテの台詞が的を射ているから怖い。

 とりあえず、俺はニーテをマイワールドに帰してからのことを話した。

「王女様と知り合いになったのか。玉の輿のチャンスじゃねぇか。マスターが王様になったらあたしのことは妾にしてくれよな?」

「庶子らしいから結婚しても王様にはなれねぇよ。ところで、亀の様子はどうなんだ?」

「ああ、いま生まれたぜ」

 生まれたっ!?

 本当だ、卵の殻から小さな亀が這いだして、海に向かって這っていこうとしているが、しかし網が張られている。必死に網を上っていこうとしているが、小さい亀の力では網を登れないようだ。

 小さくても甲羅は宝石でできているみたいで、小さいからこのままでも指輪やブローチみたいだな。

「魔物の孵化は早いんだ」

「そうなのか――可愛いな」

 縁日の亀掬いで売られているミドリガメを思い出す。

 俺は持ち上げようと手を出そうとしたが、

「指を食いちぎられるぞ?」

 とニーテに注意されて思わず手を引っこめた。

 小さくても魔物は魔物だからか。

 このまま海に行かせるのか? と尋ねたが、確実に大きくするためにまずは水槽の中である程度大きくなるまで育てるそうだ。

 この状態で倒しても経験値はあまり手に入らないだろう。

「じゃあ、とりあえず俺は迷宮に戻るわ」

 ここに来たのは、ふたりに俺の無事を知らせるためだけだったからな。

「あ、ならあたしも行っていいか?」

「いいけど、お前ってレベルとか上がらないだろ?」

 ピオニアとニーテ、どちらも職業鑑定で職業を見ることができない。

「無職ってわけじゃないんだろ?」

「そういやそうだな。えっと、待って、見てみるから。ステータスオープン」

 とニーテが言った。

 え? お前らってステータスとかあるの?

 ニーテが「ふんふん、なるほど」と頷いている。

「なぁ、ニーテ。なにが書いてあったんだ?」

「マスターも見ていいぜ?」

「いや、パーティメンバーじゃないから見れないだろ」

「そうか? 見れると思うぞ。それっぽい称号があるからな」

「称号?」

 よくわからないが、見れるかどうか試してみてもいいだろう。

「ステータスオープン、ニーテ」


……………………………………………………

名前:ニーテ

種族:ホムンクルス

職業:神の人形Lv0

HP:10000/10000

MP:492/∞

物攻:10

物防:5000

魔攻:0

魔防:5000

速度:200

幸運:10

装備:萌えメイド服 カチューシャ エナメル風靴

スキル:なし

固有スキル:【レベル固定】【転職不可】【自動回復】【肉体変形】【敵防御無効】【MP回復無効】【MP移動】【不老】【状態異常無効】【即死攻撃無効】

取得済み称号:トレールールの人形 イチノジョウの眷属

転職可能職業:スキルの効果により転職不可

……………………………………………………


 凄いな。特にステータスの防御系は俺以上か。ただし、攻撃力は皆無と言ってもいい、極端すぎるステータスだ。あと、最大MPは本当に無限なんだよな。

 まず気になったのは職業。

 神の人形というのはまだいい。それよりレベルが0だということだ。

 装備に関してはもうなにも言わないとして、ユニークスキルのほうが気になった。

 ユニークスキルとは、キャロの誘惑士のスキルである月の魅惑香のように職業に依存するスキルのことだ。

 レベル固定、転職不可というのは、つまりニーテはこれ以上成長しないということを意味している。

 キャロの場合、転職させることで固有スキルの発動を阻害できたが、転職ができないのなら、俺には彼女のレベルを上げたりすることはできないだろう。

「この敵防御無効ってのはなんだ?」

「これはどんなに硬い相手でも攻撃を必ず通すってスキルだぜ!」

「それだけは便利そうだな」

 もっとも、攻撃力10だと、相手の防御を無視したところで通るダメージはたかが知れている気がする。

 それでも、自動回復って、ようするに回復力が異常に高いってことだろうから、ニーテの防御力と自動回復のふたつのスキルがあれば、余程のことがない限りダメージを喰らっても死ぬことはないだろう。

 状態異常無効と即死攻撃無効か。

 ……え? この世界って即死攻撃とかある世界なの?

 俺もその無効スキル入手しないといけないな。

 それにしても――

「…………んー」

「どうしたんだ、マスター」

「いや、ピオニアやニーテの肉体が刃物に変わったり、最大MPが無限だったり、MPを吸収したりって、ホムンクルスとしての特性だと思っていたんだが、職業によるスキルだったんだなって思って。つまり、ふたりとも転職さえできれば普通の人間と本当に変わらないってことになるんじゃないか?」

「おぉ、マスター、鋭いな! あたしもそうじゃないかって思ってたんだ」

「生まれた時点で大人の体になっていることが、すでに普通の人間とは異なると思います」

 ニーテは調子のいいことを言って、ピオニアが冷静に分析する。

 それこそが、俺はふたりが人間らしいと思った理由なんだけどな。

 なにしろ、ピオニアとニーテ、同じホムンクルスなのに全然性格が違うんだもんな。ピオニアも最初のころは機械的な奴だと思ってきたけど、接すれば接するほど、機械なんかとは全然違うと思えてきた。まぁ、本当に機械であるシーナ三号も全然機械っぽくないのだけれども。

「ところで、迷宮になにしに行くんだ?」

「ほら、あたしって見ての通り成長しないだろ? でも、スキルは覚えられるんじゃないかって思ってな」

「スキル? ああ、そうか」

 迷宮踏破ボーナス。

 確かにレベルアップができなくても、迷宮踏破ボーナスならば、スキルが手に入るかもしれない。

「そんなに強くなりたいのか?」

「ま、何事も経験だからな。この世界の管理に役立つスキルが手に入るかもしれないからな」

「ひとりで迷宮探索ってのも寂しいって思ってたから、うん、一緒に来てくれ」

 そうだ、どうせなら今度こそ人探しのスキルを入手できないか、求職スキルを使ってみるか。一種類しかレベルが上がらないのは難点だが、しかし面白いスキルが手に入る。コピーキャットのスキルも面白いものが多かった。

 さて、次は何が出るかな?

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