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成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
砂漠の王国編

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魔象退治

「象……人間」

 薄暗い部屋に立つ一頭の巨大な象人間。

 二本足で立ち、服を着ている象か。豚ならオーク、犬ならコボルトだって思うけれど、象人間か。

 体長十メートルはある象――そんな巨大な存在だが、俺たちが扉を開けたことにも気付いていないのか、象は目を閉じたまま立っている。

 なんていう名前の魔物なんだろうか? 

「あれだね、インドの神様、ガネーシャ様みたいだよね」

「ガネーシャ様?」

「ヒンドゥー教の神様だよ」

 魔物じゃなくて神様か。

 鈴木が言うには、財運向上の神様だそうなので、願うと利益がありそうだ。

 なるほど、善神っぽいな。

 だから俺たちが入っても襲ってこなかったのか。

 もしかしたら、この神様に関する記録があるかもしれない、そう思って部屋を見たら、部屋の壁に文字が彫られていた。

 ひとつは俺たちがよく見る共通言語、もうひとつは俺の知らない文字で書かれていた。

 なになに――


【結界の施された部屋に封印されし狂暴な魔象、決して眠りを妨げてはいけない。さすればその巨大な足に踏み潰される事はないだろう。この魔象を倒せる冒険者が現れることを願い、情報を残す。この魔象の弱点は――冒険者コロッキ・バレン】

【翻訳:シジロス】

【※一部解読不可】


 あぁ、肝心なところが翻訳できなかったってわけか。

「あぁ、この遺跡はそもそもこの魔象を封印するために造られた遺跡だったんだ。なるほど、道理で僕も知らないわけだ。魔象が近くに封印されているなんて知られたら国民も不安に思うから、国が隠していたんだろうね。それを犯罪者に利用されたってわけか」

「なるほど、確かにこの部屋にさえ入らなければ安全だもんな。って、神様じゃないじゃないかっ! 魔物だろ、これ! 倒せる人間を待つって書いてあるぞ!」

「僕はガネーシャ様に似てるって言っただけで、この象がガネーシャ様だって一言も言っていないよっ!」

 と大きな声で言ったところで、その気配が動いた。

 象人間――魔象が俺たちを見下ろしていたのだ。


 起きた――起きてしまった。

「楠君が大きな声で騒ぐからだよっ!」

「いや、いまのはお前だろっ! ってもういい。倒していいなら倒すぞっ! スラッシュっ!」

 俺が鋼鉄の剣を振ってスラッシュを使った。

 と同時に、鈴木もグランドクロスを放つ。

 手加減をしていない本気の攻撃――しかし、放たれた攻撃は魔象の服を破るも、その極厚の皮膚に阻まれ、致命傷を与えることはできなかった。

「なんて硬さだっ!」

「物防2000とかあるんじゃないかっ!? メ〇ルキングかよ、こいつは」

「メ〇ルキングなら会心の一撃出るまで殴り続ければいいから楽なんだけどね。さすがにHPが二桁ってことはないだろうからね」

「ならば――」

 俺はアイテムバッグからアクラピオスの杖を取り出し、魔法を唱えた。

「ファイヤ!」

 俺が生み出した炎が巨大な玉となって、魔象の頭に直撃した。

 しかし――

「全然効いてない?」

 爆炎が晴れても魔象は表情一つ変えず、大きな足を上げた。

 その足が鈴木を踏みつぶそうとしていることはすぐにわかった。

 って、鈴木、何、ぼーっとしてるんだ。

「鈴木、逃げろっ!」

 そう言いながら、俺は駆けた。しかし、このままでは間に合わない。

「ちっ、ブーストオイルクリエイトっ!」

 俺は自分の足元にオイルを作り出した。

 魔力ブーストをかけることで、いつもの十倍の威力で床にぶちまけられる。

 それで足場の摩擦を極限にまで減らし、

「ブーストウィンドっ!」

 後方に風を生み出すことで推進力を生み出し、鈴木に体当たりをかまし、ぎりぎりのところで救い出す。

「あぁ、ありがとう、楠君」

「まったく、なにぼーっとしてるんだ」

「いや、あの象の弱点を探ろうと思って。僕のスキル、弱点観察を使ったんだよ。相手の弱点がわかるスキルで、発動させると十秒間動けなくなるんだよね」

「そんな危ないスキルを使うなよ。俺が助けなかったら死んでただろ」

「はは、君なら助けてくれるって信じていたからね」

 男にそんな台詞言われても全然嬉しくないぞ。

 俺は自分の油まみれの靴を浄化クリーンの魔法をかけて綺麗にする。

 残念ながら俺にはBLの趣味はない。

 ミルキーを喜ばせるつもりもない。

「で、弱点は?」

「魔象の脳天に強打を浴びせたら良いだけみたいだよ」

 だけって、相手は十メートルもあるんだぞ? そんな相手の頭を殴るってどうすれば――いや、俺の身体能力なら鈴木を魔象の頭上に投げることもできるな。

 と思った時、後ろから轟音が鳴り響く。

 魔象が転んだのだ。


 あぁ、そりゃ油を塗りたくった床を力強く踏んだら転びもするわな。

「えっと、転んだ魔象の頭を殴ったらいいのか?」

「ええと、頭を殴るのはそうすることで体全体にダメージを与えるみたい。ええと、転ばしたなら意味はないというか……どうすればいいんだろ?」

 起き上がるのを待つっていうのも、なんか違うし。

 それに、さっきニーテに魔力を奪われた上に、ブーストオイルクリエイトとブーストウィンドでMPをだいぶ使ったから大きな魔法を使う事ができない。

 剣で斬ろうにも、皮膚の硬さを考えると、鋼鉄の剣で直接斬れば剣の方が折れてしまう。

 せめて、もっと頑丈な剣があれば。

「そうだ!」

 俺は思い出したように創生剣を使った。

 光の剣が生み出される。魔力によって生み出す剣で、切れ味は鋼鉄の剣よりもはるかに優れているらしい。

 ミリから力を隠す時以外は使うことを勧められているこの剣、これさえあれば――

「脳天打&兜割りっ!」

 脳天打は頭に対する攻撃力が上がるスキル、兜割りは頭を殴る時に相手の防御力を下げるスキルだ。

 起き上がろうとする魔象の頭に剣を振り下ろす。

 創生剣も合わせて三つのスキルの複合攻撃――これで倒せない相手なら、もう物理での攻撃は諦めたほうがいい。

 しかし、その必要はなかった。

 俺の生み出した剣が魔象の頭蓋骨を砕いた――その感触が確かに伝わった。

 そして、それは正しかったらしい。

 レベルアップしたのだ。

 それは、つまり魔象が息絶えたということだ。


【イチノジョウのレベルが上がった】

【火事場泥棒スキル:包装を取得した】

【火事場泥棒スキル:火耐性(微)が火耐性(小)にスキルアップした】

【火事場泥棒スキル:付け火を取得した】

【火事場泥棒スキル:火耐性(小)が火耐性(中)にスキルアップした】

【火事場泥棒スキル:火事場の馬鹿力を取得した】

【火事場泥棒のレベルはこれ以上あがりません】

【称号:火事場泥棒の極みを取得した】


 ぐはっ!

 そう言えば、職業が火事場泥棒になったままだった。

 ってあれ? もしかして求職スキルを使っている間、第一職業以外のレベルって上がらないのかよ。

 包装って、つまりは盗んだものを風呂敷に包むためのスキルだよな?

 付け火って、それは火事場泥棒じゃなくて、放火犯のスキルだろ。

 火事場の馬鹿力って、火事場泥棒と関係ない気がする。むしろ正義の超人が使いそうなスキルだ。

 ただ、火耐性が増えたのはちょっと嬉しいな。

 火事場泥棒の極みか……教官スキルがあれば、火事場泥棒教室を開くことができるのかな?

 ……開かないけどな、当然。

 

「倒した……みたいだね。勝負は僕の負けかな」

「そうだな。勝負は俺の勝ち――ってあれ? そう言えば、密輸団のボスはどこにいったんだ?」

 俺は周囲を見渡すが、やはり他に人はいない。

 あとでわかったことだが、俺たちが既に倒した盗賊たちの中に密輸団のボスが混ざっていたようだ。

 あまりにも雑魚すぎて、ボスだと気付かなかったよ。

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