沼に集まる霊の影
俺達は森の中に入った。ステラに案内されて、魔物がよく出る場所に案内してもらった。
どんな魔物が出るのかと尋ねたら、ゴースト系の魔物が多く出るということで、魔法系の職業へと変更した。
ステータスを確認してみる。
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名前:イチノジョウ
種族:ヒューム
職業:無職Lv88 土魔術師Lv1 火魔術師Lv1 錬金術師Lv29 魔術師Lv64
HP:332/332(10+19+19+105+124)(×1.2)
MP:895/895(8+58+58+201+421)(×1.2)
物攻:326(9+11+11+123+91)(×1.2)
物防:294(7+13+13+122+113)(×1.1)
魔攻:916(4+39+39+294+541)(×1.1)
魔防:973(3+29+29+252+498)(×1.2)
速度:222(4+9+9+82+98)(×1.1)
幸運:55(10+10+10+10+10)(×1.1)
装備:綿の服 皮の靴 鉄の軽鎧 アクラピオスの杖
スキル:【剣装備Ⅱ】【スラッシュⅡ】【回転切りⅡ】【剣術強化(中)】【二刀流】
取得済み称号:レアハンター スキルマニア 職業マニア 迷宮踏破者Ⅳ 剣の道 見習い魔術師の極み 狩人の極み 見習い法術師の極み 拳闘士の極み 槌使いの極み 見習い鍛冶師の極み
無職Lv85 平民Lv75 農家Lv8 狩人Lv60★ 木こりLv14 見習い剣士Lv40★ 見習い魔術師Lv40★ 行商人Lv6 見習い槍士Lv8 剣士Lv60★ 弓士Lv1 見習い錬金術師Lv37 魔術師Lv64 斧使いLv1 槌使いLv40★ 拳闘士Lv60★ 遊び人Lv13 魔記者Lv7 見習い法術師Lv40★ 解体士Lv16 見習い鍛冶師Lv40★ 錬金術師Lv29 法術師Lv48 音楽家Lv1 歌手Lv1 ダンサーLv1 芸術家Lv10 魔法剣士Lv12 火魔術師Lv1 水魔術師Lv1 風魔術師Lv1 土魔術師Lv1 侍Lv1 剣聖Lv1 剣闘士Lv1 槌士Lv1
天恵:取得経験値20倍 必要経験値1/20
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魔力特化にしているが、それでも物攻や物防でそこらの冒険者に負ける気はしない。
とりあえず武器は杖にした。
鬱蒼と茂る森の中なので、幽霊が出そうな雰囲気はあるな。
「出そうだな、イチノ! 出そうだな!」
マリーナが興奮してはしゃいでいる。こいつは確実に、肝試しで大はしゃぎして企画を台無しにするタイプだな。
「マリーナ、ちなみに、マリナはやっぱり幽霊は苦手なんだよな?」
「いや、死者の魂は別に苦手ではないぞ。向こうから話しかけてくるわけではないからな」
意外だな、マリナも幽霊は平気なのか。それに、キャロも落ち着いている。
「キャロも幽霊は怖くないのか?」
「夜は自分の力のほうが怖かったですから」
……悲しいことを言わないでくれ。そうだよな、幽霊といえば夜だけど、キャロにとって夜の恐怖は、幽霊よりも自分の能力による魔物の襲来だもんな。密室にいたとはいえ、どこからか空気が漏れていれば魔物をおびき寄せることになる。その恐怖は幽霊などの比ではないだろう。
となれば、幽霊を怖がるような女の子は誰もいないか。
「ゴースト相手なら、キャロとハルの出番はなさそうだ……な?」
俺は一番後ろを歩くハルを見て――あれ? と思った。
ハルの足が震えている気がした。
「ハル?」
「……なんでしょうか? ご主人様」
「いや、なんでもない」
てっきり幽霊が怖いのかと思ったけど、相変わらずハルは無表情のままだ。気のせいかと思って、尻尾を見たら、逆立っていた。びくびくしていた。
「ハル、もしかして幽霊が怖いのか?」
「いえ、私が怖いのは幽霊ではなく、この二本の剣で斬れないものです」
ハルはそう言って、二本の剣を抜いた。
「なので、必ずゴーストを斬ってみせます」
「あぁ……うん。頑張ってみようか」
そもそも、幽霊を斬ることができないっていうのは俺の世界の常識であって、この世界では通用しないかもしれないからな。
普通の剣なら斬ることができないかもしれないが、ハルの愛剣、火竜の牙剣は火の属性剣だ。もしかしたらゴーストを倒せるかもしれない。
「ステラ、ゴーストって、物理攻撃で倒せるのか?」
「闇以外の属性攻撃にゃら倒せるニャ。光属性以外の属性剣だと何度も斬る必要があるニャ」
なるほど。無属性物理攻撃なら、無敵耐性、他の属性物理攻撃なら強耐性、そして弱点属性は光ってことか。
「そっか。なら、ハルでも倒せるな。マリーナの弓も活躍するだろうが、一番頑張るのはやっぱり俺の光魔法か」
むしろそうでないと困る。
例えば、ハルが魔物を倒して、その魔物が200の経験値を持っていた場合、経験値は、ハルが125、俺が25、キャロが25、マリーナが25と分配される。
だが、俺が魔物を倒した場合、20倍の経験値になるので、俺は2500、ハルが500、キャロが500、マリーナが500、経験値が入ることになる。
その差は歴然だ。
「ゴーストが出るのはどのあたりなんだ?」
「この先の沼のあたりニャ……気を付けるニャ」
ステラの声が重くなる。
沼の幽霊か。ちょっと怖いな。
でもまぁ、仲間全員が怖くないって言ってるなら、俺が怖がるのは男の矜持に関わる。
「やっぱり、沼で溺れた人の霊とかなのか?」
悲劇的伝説とかあるのだろうか?
「イチノ様、ゴーストは人だけではなく殺された魔物の瘴気が特殊な環境下で集まって具象化します。沼の中なら魚の魔物などの瘴気の可能性が高いですね」
「あぁ、そうか、魚ということもあるのか」
魚の霊か。そう思うと怖くないな。うん。
「魚ならハルの剣でも焼き魚に――ハル?」
「どうしました?」
「い、いや、なんでもないんだけど」
ハルは冷静な顔でこちらを見るが、その尻尾が逆立っているだけでなく、一秒間に三十回くらい振動している。なんで、あれだけ震えて「どうしました? ご主人様?」といった感じでこちらを見ることができるのだろうか? それが不思議でしかたない。
まぁ、魚の霊を一体でも倒したら、ハルも怖がらないだろう。
そう思って俺達はその沼へと向かった。
そこで俺達が見たのは、空を飛ぶ――ネズミの霊だった。
「今日も大盛況ニャ。いつもここでネズミを追い詰めて狩り続けたからネズミの霊だらけニャ!」
ドブネズミと思える巨大なネズミが大量に空を駆けまわっている。その数、軽く千は超えるんじゃないだろうか?
にしても、どれだけ追い詰めたらこれだけのネズミゴーストが集まるんだよ。
あっけにとられていると、風の矢一本が、ネズミの霊を貫いた。
「脆弱な……冥界の使者になりかわり、我があの世への引導を渡してくれよう」
マリーナは生き生きと魔弓を放っていく。
よし、俺達も負けてはいられない。
そう思った、その時――
後ろから何かが倒れるような音が。
「イチノ様! ハルさんが気絶しました!」
「……うん、そのまま寝かせておこうか。ここで起こしたらハルがかわいそうだ」
やっぱり無理してたんだね、ハル。
今度から気を付けるよ。
ステータスに関してですが、結構適当にしていたのですが、書籍化に際し、一度
ステータス管理ソフトを導入して、きっちり管理してみようと思います。
後日修正が入るかもしれません。ご了承ください。