WHITE
カルキオ山脈が見えてきた頃、だんだん雪が降り始めてきて、気付くと雪は大粒になり地面は真っ白になっていた。
今は夜なのだが、白い雪が月明かりを反射しているためか視界に大きな問題は無かった。
問題は、荷物や十台の幌馬車にあっという間に雪が積もってしまうため、それをいちいち払い落とすのが面倒であったことだろう。
特に幌馬車に積もった雪を放っておくと幌が重さに耐えきれず破れてしまう可能性があったので、皆が交代でしっかりと見張っていた。
しかしこのままでは皆に苦労をかけてしまうと思い、途中からは幌の上部に風を纏わせ雪が積もりにくくなるようにしておいた。
当然シュトゥルムは「無駄ナ労力ハ使ウナ」と諫めてきたが、無視して全ての幌馬車に風の屋根を纏わせ続けた。
それから小一時間進んだ辺りで、ぽつぽつと、遠くに灯りが見えた。
「人がいるみたいね」
「そうだな。よし、全員聞け!村が見つかった!これから左に進行方向を変えて森に入るから焦らずついて来い!馬車が通れない道は木を伐って進め!」
後ろから応答の声が聞こえた。もちろん伐った木は後で回収して薪に使う。
道を切り開けば簡単に侵入されてしまうのではないか、という心配は無用だ。逆に言えばそこしか通り道が無いため敵襲に備えやすい。
それに、どうせその道以外はシーの罠の数々で埋め尽くされるだろう。
「オルデム、いつもの陣形だ」
「任せとけ!」
オルデムは最古参の一人。ENC:RAVEに抹消された小さな王国の生き残りで、騎士団長を務めていた。
彼は重厚な鎧を纏っての戦闘を得意としている、一迅の風の盾と呼べる存在だ。
先頭に俺と重騎士のオルデム、殿にベーティアとシーメリアという配置で、拠点を作るべく森に突入した。
どうも、肉付き骨です。
前回更新から間が空いてしまいました…
会話文が多くなってしまうのをどうにかしなければ、と思ったのですが、難しいものですね。
次回、情報収集へ。