表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
B:RAVE  作者: 肉付き骨
1/9

RAVE

 なんだか他の小説が投稿できなくなったので新しい小説を始めました。

 今作はなるべく日常ぽくないファンタジーを書いてみようと思います。

 勇気ある者は言った


『今ある物を求めるな、未だ無き物と今は無き物を求めよ』


 平定する者は言った


『罪無き者も、罪ありし者も、我が下で守らん』


 抗う者は言った


『何をされても、何が起こっても、我は何度でも立ち上がらん』


 刻む者は言った


『偽りなどいらない、我は全てをありのまま刻まん』


 集う者は言った


『我らは辛きを望まず、我らは安らぎの地を望まん』


 背く者は言った


『正しかろうが、誤っていようが、我はそれに背き歩まん』


 侵略する者は言った


『全ては我らが宿願を果たすため、何を犠牲にしようと全てを奪わん』


 仕える者は言った


『全ての者は神の手の中に、どんなに求めようと、守ろうと、抗おうと、刻もうと、望もうと、背こうと、奪おうと、どうしようとしても、神の手の上からは逃れられぬ。全てを諦めた者をこそ、神は激賞するだろう』





「ねぇおばばさま、このおはなしはどういういみなの?」


「ほんとだよなー、なんどきいてもわかんないぜ」


「わたしはこのおはなし、なんかすきだな」


「いつか意味が分かる時が来るわ。きっと、いや、絶対にね」


 ろうそくの火を灯りにした薄暗い小屋の中、3人の子供に老夫婦が住んでいた村に伝わる伝承を伝えていた。


「いいか?わしはな、この勇気ある者の一人じゃったんじゃぞ?」


「じーちゃん、もうそのはなしききあきたよ」


「もう、あなたは酔っているんだから早く寝てしまいなさいな」


 自慢げに話す老人は顔がほんのり赤く、一目で酒に酔っていることが分かる。


「洞窟の奥で戦ったあの化け物は強かった」


「いい加減にしなさい」


 老婆が老人の額を人指し指で軽く押して藁の山に倒すと、老人はそのまま眠りについてしまった。


「おばあちゃんすごいね!」


「じーちゃんよりすごいんじゃないか?」


「ふふふ、酔ったおじいさんにだけ使える必殺技よ」


 老婆は人差し指を立て、息をふっとかけた。


「おばばさまかっこいい!」


「おれもやってみたいなー。あいつらにこう、とんってやっていちげきでたおしちゃうんだ!」


「こらこら、領主様にそんなことしちゃいけないよ」


「はーい」


 領主様というのは、この辺り一帯の村を治める貴族《MARG:RAVE(マーグレイブ)》の一人だ。

 対して、老夫婦は一般市民《C:RAVE(クレイブ)》で、この子供たちは奴隷《S:RAVE(スレイブ)》である。


「おばばさまはどーしてわたしたちをはたらかせないの?」


「働いてもらうほど広くはないからね」


「じゃあどうしてやとったりなんかしたんだよ」


「お話しする相手が欲しかったからよ」


「わたしたちをやとったりしなければおばあちゃんもゆーふくなくらしができるのに」


「いい暮らしなんてしなくていいのよ。ただ食べて、寝て、楽しく生きられればそれでいいの」


「おばばさまなまけものみたい!」


「ふふっ、怠け者、それもいいかもね」


 老婆は何かを懐かしむように微笑み、子供たちを撫でた。


「もう遅いからそろそろ寝なさい。早寝早起きしないとおじいさんみたいになっちゃうわよ?」


「えー」


「それは…」


「いや!」


「そうでしょう?さあ、みんなで寝ましょうか」


「「「はーい!」」」


 老婆は3人の子供を引き連れ、小屋の隣にある家に入った。


「おじじさまあのままでいいの?」


「いいのいいの、自業自得」


 老婆と3人の子供たちは楽しそうにひとしきり笑い、それぞれの寝床についた。

批評、もしくは何かお気付きになった点がありましたら是非コメントをお願いします。そこからよりよい作品を書けるように善処していきたいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ