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俺たちは殺し屋。また、俺はそのなりたてにすぎない。
そして、俺の母親、宮之原華月。その記憶は、奥底の…記憶喪失に描かれている。だが、身体は正直だ。記憶が無くても、身体は動く。
奥底の俺、名前も姿も同じ、宮之原龍牙は、まだ眠っている──とは、言いがたい。記憶の奥底で、目覚まし、記憶のない俺の目で、外を見渡している。
……なんて、ただの戯言に過ぎず、記憶のない俺は普通に、ただただ時に従って、進んでいた。記憶を持っている俺は、それをただただ見ているだけだった。
長話を……聞かせてしまうのはよそう。
そろそろ本題へ進もうか。記憶の奥底で目を覚まし、大地を目にし、空を目にしている、俺のことは、また今度にしよう。だが、俺は見ているだけじゃ、物足りない。だから、俺が出るのは、記憶のない俺が今見ている……殺し屋という名の、ゲームだけにしようと思う……。
「ん?」
「え?」
俺…なんか考えてたっけ?てか、奈々が反応する必要ねぇんだけど……
「いや、なんでもねぇよ。あ、ここ右の方がいいな」
それが近道だし、監視カメラの最も少ない……というか、ない場所だな。俺が行こうとすると、奈々が、止めてきた。
「なに言ってるの?ここはまっすぐでいいわよ」
なんて言ってきた。ちゃんと、地図は見てきたんだ。合ってる!絶対‼︎
「こっちが近道なんだよ」
と言って、右に足を向ける。が、それを、奈々に止められた。何のつもりだよ。
「なんで、止めるんだよ」
意味わかんないぞ?
「だから、そっちじゃないの!」
こっちだって言ってるのに……
「こっちが一番いいんだよ!」
「はぁぁああ⁉︎何言ってるのよ!まっすぐでいいのよ!」
コイツ……。
「俺はこっちを行かせてもらう」
「フン!私はまっすぐ行かせてもらうわ!」
「あ、あの……」
「あ、悪い、鈴。お前はどっち行く?」
「もちろん、まっすぐよね?道順はそっちなんだから」
うわぁ、奈々って負けず嫌いだな、極度の。
「俺は無理にとは言わないさ、どっちでも、決めるのは自分だしな」
俺は、人を巻き込むのは好き好んでいないからな。
「えええ、えと、そそそ、その……リ、リータさんが、龍牙さんに、つつつ、着いていけって……いいい、言ってまして……」
「なっ……⁉︎」
奈々が驚いた顔をしている。どういう事だ?
「…………………」
ん?奈々が無言?
「……ちっ………しょうがないから、右に行ってあげるわ」
いや、まて!今ちっ…って!ちっ…て舌打ちしたぞ⁉︎それに、しょうがないからってどういう意味だよ、この野郎‼︎
「じ、じゃあ、行きましょうか…」
鈴がそう言って、右に曲がった。
最初のは、記憶の奥底ですね〜
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