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今は1時17分。もうすぐ、20分だ。
(そうだな……じゃあ、できる奴だけ、やれ!無理なら正面突破!正面突破は人数が減っている方が、油断するだろう。登れる奴は?)
リータがそう言うと、すぐに、返答が返ってきた。
(私が行きます)
そう言ったのは、奈々だった。
(ん?奈々が?いけるのか?)
リータがそう言うと、奈々がはっきりと、こう言う。
(あの龍牙にできて、私にできないことはありません!)
……かっこいいな…うん、かっこいい。でも……ムカつく……
(なんか、俺に失礼じゃねぇか?)
俺は、上から見下ろす状態で言う。
奈々が嫌味のようにこう言う。
(あら?あなたに失礼なんてもの必要ないんじゃないかしら?)
と。………一発殴っていいかな?
うん。殴ろう。絶対、終わったら殴る。これ決定…‼︎
(さぁ、始めようか)
俺は無視して、そう言う。
(そうだな)
リータがそう言って、鈴が
(わわわ、私もその、ののの、登ります……)
と言った。これで、登り組は3人か……正面突破は2人。まぁ、油断させるには、ちょうどいいかな?
(よし、じゃあ、始めよう。準備はいいな?)
リータがそう言うと、みんな、それぞれ返事をする。
(はい、OKです)
(ははは、はい!頑張り……ますっ!……)
(OKだ!思いっきり突破してやる!)
(こっちもいけるぜ、待つのは面倒いから、奈々は早くしろよ)
(なんですってぇええ⁉︎やってやろうじゃない!)
(はははっ、じゃあ……ゲームを始めようか)
リータはそう言う。
時間は午前1時19分
そして…今は午前1時20分00秒ちょうど。リータが、ニッ、笑ながらテレパリーでこう言った。
(ゲーム……スタート‼︎)
「これ……キツイ…!」
奈々が窓まで、あと半分のところで、そんなことを言った。
そんなにキツイか?と俺は最初に思う。
「ががが、頑張ってください……!あと半分です……おおお、応援してますから……!」
ん〜…鈴、多分それ、嫌味に聞こえるぞ……。
「……こんなところ、突破してやるわ!見てなさい、私は龍牙の先輩として、全部上を行って、からかってやるんだから!あと鈴、バカにしてるの?」
おーおー、見せてもらおうじゃねぇか。ま、無理だろうけどな。
鈴は……ドンマイ…
「えぇ⁉︎そそそ、そんなつもりは…ななな、ないです!絶対‼︎」
と驚くように、否定する。これは、鈴が悪いような?
「……ま、いいけどね…鈴は龍牙と違って、そんな悪意、ぜんっぜん!見せないんだから」
お前も悪意が半端なくあるじゃねぇか…と思ってるうちに、奈々は登り終えていた。
「フゥ〜、さぁ、行きましょうか」
奈々はそう言いながら、身なりをきっちり、整えていた。




