表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クコ皇国の新米茶師と、いにしえの禁術~心葉帖〜  作者: 笠岡もこ
― 第三章(最終章) クコ皇国の災厄 行き着くところ ―
102/149

第91話 竜胆1―華憐堂の後見人と歪んだ願い―

「紅?」


 上着を強く握られて、紅は蒼にだけわかるように笑みを浮かべた。安心させるような笑みだ。そして、すぐに口元を引き締める。

 蒼もそれに安堵と緊張感を覚え、きりっと眉をあげる。

 紅は妹の成長ぶりに複雑な感情を抱きつつも、念を押すことも忘れない。


「蒼、動揺を見せるな。この先で明らかになることは、できれば蒼に知って欲しくなかったけれど……オレも麒淵もいる。だから、蒼は自分が成すべき事だけを考えろ」


 蒼にだけ聞こえる音量で、しかし揺るぎのない意志が込められている声で囁いた紅。視線はまっすぐ竜胆に向けられているが、腕はしっかりと蒼を守るように伸ばされている。

 蒼はそんな兄の背中を見つめ口元を引き締めた。


(大丈夫。一番子ども扱いされたくなかった紺君が、全力で向き合ってくれた。すごく不器用だったけども、だから、今はちゃんと紅が言いたいことも飲み込める)


 この土壇場にきても知って欲しくなかったと言われたことに拗ねていたと、蒼自身思うのだ。でも、今なら守ってもらっていたことを理解して、自分ができることをしようと前向きに捉えることができるようになった。

 蒼は応える代わりに、紅の服から手を離し横に並んだ。


「ほぅ。随分と人が多いな」


 片眉をあげて、にやりと笑ったのは竜胆りんどう皇太子だ。

 二十代後半である竜胆は武人さながらの精悍せいかんな美丈夫だ。着崩した服から見える肌はほどよく焼けて健康的。そんな皇族らしからぬ所が国民にも人気だった。

 だが、今の竜胆はどうだろう。

 首から上は異常なほどに病的。肌はぼろぼろで目は落ちくぼんで、墨を塗りたくったようなくまがはりついている。


「竜胆皇太子」


 紅は竜胆が蒼に向けた目つきの意味を即座に読み、声をかけた。

 幸い、特に竜胆は蒼に対して執着は抱かなかったようで、紅を認めて病的に笑った。


「お前は確か、弐の溜まり心葉堂の紅暁こうきょうといったか。なぜお前がここにいる」


 紅は弐の溜まりの跡継ぎ。本来であれば家業の茶師を継ぐ蒼がその地位にあってしかるべきだ。けれど、蒼は幼く経験も浅い。それゆえに、魔道府勤めの経験もある紅が店主代理を務めているのだ。

 よって、継承の儀の際に当然皇太子とも顔をあわせているし、何度か話し相手にもされたこともある。皇太子は蒼を指名することが多かったが、その度、白龍や橙が理由をつけて避けていたのを紅は知っている。


「私のような若輩者の名を覚えていただいたこと、恐悦至極に存じます」


 紅は一応礼をとっているものの、紅の言葉に全く畏怖がないのが蒼にはわかった。紅にしては珍しい、というかあり得ない態度だ。

 ということは、つまり。


(皇太子様は敵ってことだね!)


 即座に判断した蒼は、震える萌黄を庇うように体を彼女の正面にずらした。

 事情はさっぱりわからないが、兄が警戒すべき相手と判断した。蒼にとってはそれだけで十分すぎる理由だ。

 それにしてもと、蒼は生唾を飲み込んだ。三人三様というか、言動がばらばらなのが気にかかる。


「そうか。なんだ、華憐堂の主よ。心葉堂は魔道府の犬であり敵などと申しておったが、儀式を執り行う術者であったか」


 竜胆は瞳孔を開いたまま異常な笑みを浮かべた。

 だが、蒼や紅が気にかかったのは竜胆の異様さではなかった。彼が『華憐堂の主』と呼びかけた先にいる人物に目を疑う。そうして、考えた。


 ・・・こそ()()ではないのかと。


 そんな二人をよそに、竜胆と目をあわせている人物はしれっとした様子で「へぇ」と頭を撫でている。


「はよぅ申せ。見せしめに、うっかり心葉堂の茶師の娘を街中で犯し、晒し者にする計画の指示をするところであったよ。蒼月が心葉堂の要であろうとお前から聞いていたからな。まぁ、そのようなこと私も既知であったが」


 皇太子の視線は確かに湯庵ゆあんを捉えている。

 湯庵の方は面倒臭さを隠しもせず、背後の皇太子を横目に入れただけだった。蒼でさえ、どこまでも不遜ふそんな態度に思える様子だったが、皇太子は気にした様子はない。まるで皇太子には湯庵の反応が見えていないようにさえも見える。


「いやぁ、すまんすまん。そこが華憐堂の娘も、そのつもりで保護者である紅暁をさらってきたのだとばかり思うておったぞ」


 ははっという皇太子の爽快な笑いが空間に響く。表情と声だけ聞けば、豪胆な皇太子だと好感を抱く様子だろう。

 顎で指された萌黄は真っ青になった。小刻みに震えていた華奢な体が哀れなほど見て明らかに痙攣しだした。


「そんなっ! わたくし――わたくし、蒼さんをそんな目にあわせるつもりなんて、知らなくって! ただ、あの時のわたくしの中の子は、紅さんと一緒にいたかっただけで。あぁ、でもごめんなさい、ごめんなさい。わたくしが制御できなかったから!」


 萌黄はひゅっと喉を鳴らしたかと思うと過呼吸を起こしだした。手足が痺れ、めまいがするのか。体が前のめりになり震える手で頭を支えている。

 蒼は慌てて周囲を見渡し、紙袋代わりになるものを探した。が、すぐに軽く頭を振った。


(私の魔道の治癒術は外傷を治せる。でも、外傷だけ。丹茶は心の負荷を減らせることができる。その丹茶が作れなくなって、私は心の負荷を減らす術を習ったじゃない。落ち着け。萌黄さんの存在は未知だけど、目の前で起きている症状は私たち人間と一緒だ)


 そう思うと不思議と落ち着いた。発作を起こしている萌黄は、何をさておき人と同じなのだ。ならば、蒼がとる行動はひとつ。浅い呼吸を早く繰り返している萌黄を安心させることだ。


「萌黄さん、大丈夫。私たちはわかっているから。紅に一生懸命だった萌黄さんも、今いろんなことを伝えてくれる萌黄さんも、だれかを傷つけたい訳じゃないの、わかるから」


 意識して、自分もたっぷり二秒ほどかけて息を吸うように心がける。その呼吸に合わせて萌黄の背に掌を滑らせた。どうか震えているのが伝わりませんようにと思いながら。

 蒼の処置が功を奏したのだろう。萌黄は激しく上下させていた肩を動かすのを止めて、深く息を吐き出した。


「蒼さん……」

「うん。大丈夫。私たちは貴女がひどいことをしたいんじゃないの、貴女に教えてもらったから」


 蒼がぎこちなくでも笑えば、萌黄はまたぼろりと涙を零した。

 紅と麒淵は警戒しながらも顔をあわせて小さく頷く。まだ少し呼吸が浅い萌黄だが、自分でも落ち着こうとしている。


「なんぞ、つまらぬ。ようわからぬが、蒼月はこの手で開くことができるということでよいか?」


 皇太子はつまらなそうに、だれにでもなく尋ねた。

 蒼には自分の名前が出されたことは理解したが、いまいち皇太子の言葉の意味が不明だった。


「開く?」

「つまり……蒼さんの純潔を奪うということですわ」


 固まっている男性陣に代わり、申し訳なさそうに呟いたのは萌黄だった。

 蒼の背を冷たいものが駆け抜けた。それは実際に竜胆の視線がねっとりとして、蒼をなめ回すようなものであったから、すぐに一致したのだ。


「痛がる処女などつまらぬから、ある程度慣れさせた後の方が愉しめるかと思ったが……あれほど胸も大きく見目良く成長しておるならば、私自身で服従させるのもおつだろう」


 竜胆の追い打ちをかけるように舌なめずりをした。


「だから――」


 粗雑な計画だったのか、魔道府の見張りが未然に防止してくれたかは不明だ。でも、確かに蒼は紅を探しに駆け回っている間に、何度も危険な目にあっていた。

 紺樹や長官のことを考えれば、前者だとはわかるがどんな些細なことがきっかけで路地裏に連れ込まれて良いようにされたかもわからない。


(私は、ただ紅が心配で家を飛び出していたけれど……本当に危なかったんだ)


 下手をすれば、助けてくれた常連客の雄黄ゆうおうと恋人も巻き込んでいたかもしれない。

 蒼は自分のうかつな行動を激しく反省した。そして、両手を握って恩人の無事を感謝した。

 その様子を見ていた紅は、皇太子の言葉が単なる脅しではないと知った。実際に蒼が危険な目にあったのが事実だと。紺樹や魔道府長官の目があるとはいえ、絶対的な守護ではない。


「ぶざけるな。オレの妹を力尽くでどうにかしようと思っていたのか」


 ぷちりと紅の血管が切れる音がした。瞳孔が開いた目が眼前の敵を射貫く。

 紅の瞳が自分の意思と関係なく薄氷河色アイスブルーに変化していく。同時に彼の元にアゥマが一斉に寄ってくる。いつどんな魔道かたちになってもいいよと。


「お前、いくら弐の溜まりの者とは言え、民草の一人であるにしかすぎない存在で、次期皇帝の私に逆らう気であ――」


 不遜な口調に一瞬皇太子が眉をひそめる。そんな彼に紅の近くにいたアゥマが一斉に飛びかかる。そして、すぐさま全ての幻想が溶けたように青ざめた。

 下手に奥ゆかしい『紅暁』を知っているせいか、竜胆は目の前の存在に全身を凍り付かせた。竜胆の目の前にいるのは彼が知る紅暁とはあまりに違う雰囲気だ。

 麒淵は見て明らかに動揺した竜胆を前に、これが壱の溜まりを守る皇族の皇太子かと落胆を隠せない。


(愚かな。紅暁自身の優しさゆえに本人も自覚しておらぬし、知りたいとも思わぬだろうが。紅暁の能力の本当の恐ろしさはアゥマ可視化だけではないのだよ。アゥマに愛された一族の血を引き、忌みの一族の血と出生への嫌悪がある。無自覚に発動された能力を持ってすれば、相手のアゥマを根こそぎ自分の手の元に引き抜くことさえ可能じゃ)


 それはつまり、人としての死を意味する。竜胆も皇族のはしくれだ。血の濃さから、それを本能で感じ取ったのだろう。


「あっ安心せい」


 クコ皇国が白龍をフーシオにとどめたがるのは、なにも彼の能力だけではない。

 今の心葉堂には、『視る』力と『共鳴』力が揃っているからでもある。敵にまわした際の脅威など容易に想像がつく。

 そして、二人の祖父である白龍は、その二つの力をどうとでもできる立ち位置にいる。むしろ白龍自身が、補助に余る能力を持っている。


「あっ安心せい。その案は捨て置いた。蒼月は私が可愛がってやることにした」


 皇太子は怯みながらも高らかに朗らかに笑った。かつて、癖がありつつも聡明だと称賛されていた面影は皆無だ。

 蒼は向けられた視線に怯えながらも、大きく口を開く。


「御免被ります!」


 蒼は萌黄を抱きながら、できる限り鋭い目つきで竜胆を睨んだ。

 が、竜胆は舌なめずりをして蒼を視線で舐めまわす。まるで蛇のような舌が皇太子の口から出ている。


「私の目にとまったことを感謝せい。本来であれば私の寵愛を受けるのはたった一人だった。この子はほんに相性がよかった。どんな処女より私を悦ばせた。そんなこの子を私はだれよりも愛してやったのになぁ」


 蒼は竜胆の言葉を脳内で反芻して徐々に青ざめていく。彼の言動に思考が追いつかない。

 そんな蒼をあざ笑うかのように、竜胆は腕に抱いた皇女の死体にすり寄り、頬をぺろりと舐めあげた。彼女を抱き上げている左手が胸を揉みくだしている。


「妹君と」


 さすがの蒼にも、皇太子の態度や声色が通常妹に向けられる類いのものではないのがわかった。竜胆の言葉は態度以上に明確に関係性を伝えてくるから、理解せざるを得ない。

 紅や麒淵に動揺した様子はない。事前に把握していた情報だからだ。


(ということは、それも今回の一件に関係している情報ってこと?)


 蒼がそれより先を考える前に、竜胆が一歩踏み出してきた。

 ソレにあわせて紅が右手を前に突き出す。竜胆の靴の先が凍りつき、彼は「おっと」と声をあげて踏みとどまった。ただ、表情は変わらず、狂気じみた笑顔を浮かべたままだ。


「であるにも関わらず――私に愛されながら、私が周遊に出ている間に勝手に死んでしまった。この子の代わりが見つからず、私は困り果てていたのだよ。皇族の女は美醜が激しい。いくら体の具合・・・がよくとも、私は下手物げてもの喰いではない」


 竜胆は心底辛いという様子で肩を落とした。その拍子に腕から皇女の死体が落ちてしまう。岩肌に落ちた皇女の体は人形のようにぴくりとも動かない。死体なのだから当たり前と言えるが、ソレにしては随分と綺麗な肌をしているのだ。

 紅は皇女の体の中に流れるアゥマを可視する。


「皇女様の内蔵を含め、体中に強力な冷凍系の術が施されている。人体冷凍保存か」

「っていうことは、皇女様は仮死状態なの?」


 紅のささやきに驚き、蒼は視線を皇女の体に向ける。

 華憐堂の面子や竜胆には聞こえていないようで、彼らも彼らで何か言葉を交わしているのが雰囲気でわかった。


「いえ。わたくしたちが――華憐堂が皇太子様に近づいた時には、すでに皇女様はお亡くなりになっていらっしゃいました。あくまでも、この溜まりの力で肉体の腐敗を防いでいるに過ぎません」

「そんな術が体現できるなんて……」

「蒼、だからこそだ。死体の腐敗を此処の溜まりが止めているとしたら、華憐堂が手始めに竜胆の信頼を得た方法だと推測できるんだよ」


 紅の言葉に、萌黄は小さく頷いた。

 萌黄の震えながらの反応に、麒淵が久方ぶりに口を開いた。


「しかし、通常であるならいくら溜まりとはいえ、半年以上も冷凍し続けるのは難しいじゃろ。あの皇女の術の源は、おぬしを生かしておる欠片・・・が使われておるな?」

「麒淵様のおっしゃるとおりですわ。それがわたくしの狂気化を進めた原因でもあります。あれは本来、萌黄のためだけに作られたものですもの」


 麒淵と萌黄は二人で納得しあっている。

 置いてけぼりにされているのを感じて、蒼と紅は口を開く。が、何事かを発する前に朗々とした「話を戻すか」という竜胆の声が遮った。


「そんな折りだったな。華憐堂の者たちと出会ったのは」

「わっしらは皇太子殿下のお力になれれば、これ以上の幸いはございませぬよ。あなた様の御随意のままに」


 気配を消していた湯庵がねっとりとした声を発した。ついでに人差し指をくるりと回すと、皇女の体にたかろうとしていた虫が一斉に燃え上がった。その火が皇太子の肌の一部を焼いても、当人は全く気にとめた様子はない。

 麒淵と紅は目をあわせた。


(様子を見る限り、今回の一件、華憐堂側で一枚噛んでいるのは店主ではなく――九割方は湯庵だろう)


 心葉堂の皆が、ここに来て確証が持てた。竜胆が『華憐堂の主』を呼びかけていたのも、裏の権力者も湯庵だと。となると、反魂の術の施行した旅人は湯庵だったのだろうか。


(ううん、それは違う。旅人は萌黄さんを愛していたが故に反魂を望み、彼女はソレに応えた。湯庵さんからは私利私欲しか感じない。なら、二人の関係を知って脅しているのかな)


 一方、華憐堂の店主といえば、萌黄の方ばかりを気にしている。駆け寄ろうとしては湯庵に制されている。他者には全く興味がない様子で、子どものようにわたわたと落ち着きがない。

 蒼もこの場の異常な状態に動悸を激しくするしかない。


「だがっ! 私が皇族の門外不出の古書を調べたのによると、我が皇族と弐の溜まりは血縁らしいではないか。開国の祖は弐の溜まりの腹違いの弟だったと」


 これには蒼を含め、さすがの紅も驚嘆した。

 弐の溜まりという立場から、開国当初それなりの立場の者が管理を請け負ったとは思っていたが……まさか、初代皇帝の実姉だったとは予想だにしなかった。

 人知れず麒淵の瞳は陰る。


(それだけではない。弐の溜まりの初代こそ、始まりの一族の正当な血族であった)


 麒淵は何の因果だろうと唇を噛まざるを得ない。

 竜胆が地べたに腰を下ろし、あぐらを掻いた状態で地面に落ちた妹の髪をいじる。かさついて乾いた髪が気にくわなかったのだろう。竜胆は髪に絡めていた指を勢いよく引っ張り上げた。あっさりと抜けた髪に舌打ちをし、竜胆は湯庵に向かって無言で指を伸ばした。湯庵は、表面上は献身的に竜胆の指を拭う。


「さて。そうそう。妹のこの体で意識が戻らずとも、脳みそだけとっかえて蒼月の体を使おうかと。蒼月は随分と魅力的な体つきをしているからな。それに、良い距離の身内なのだ。直感だが、妹と同じようにきっとお前のあれの具合・・・はいい」

「黙れ!!」


 紅の怒声が岩を砕く勢いで響き渡った。蒼たちの耳がきーんとして、くらくらと眩暈を覚えるくらいだった。

 竜胆は自分の妹に下劣な感情を向けられたあげく、禁断の関係にあった実妹を軽んじるような発言もした。

 実父が母に犯した行為から長年悩んできた紅にとって、それは逆鱗に触れる言葉だ。


「のう紅暁よ、お前とてそう思わぬか」

「同意いたしかねます! 貴方は皇女様が死してなお、彼女を辱め続けられるのですか?」


 今にも噛みつかんとする勢いで紅が問う。敬語を使えているあたり、まだ冷静だが……次の瞬間、竜胆は紅の最後の堪忍袋の緒を切ることになる。


「そうか?」


 本気で疑問を抱いたように竜胆が首を傾げた。まるで無邪気な子どものような音に、紅と麒淵は出遅れてしまう。


「妹を溺愛しておるお主なら理解すると思うておったが。なぜなら、おぬしと蒼月はしょせん異父兄弟であろうに」

「えっ?」


 声をあげたのは当事者の蒼ではなかった。地面に座り込んだままの萌黄から発せられた驚きだったのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ