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滅びの世界の調停者~迫害された魔女ノエル、最強になり世界を一つにする~  作者: 鴻上ヒロ
第3章:神戸の魔女と精霊と魔薬騒動【ギルド設立編】
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43.魔薬流通の証拠をおさえろ!

 グリム歴2000年11月4日。


 いつも通りのゴミ拾いと朝食の後、魔女の家の面々は二手に分かれることになった。先日決めた通りノエルとルミはラインハートの元へ、カイは神戸に残りラウダにアランに協力する動機があるかを調査する。

 だが、まだ時間が早い。

 ひとまずノエルは、一人で街に出た。これから面倒な頼み事をしに行くのに、手ぶらというわけにもいかない。贔屓にしている露天商達の店を見て回る。

 相変わらず、用途のわからない珍しい漂流物やアクセサリー類などが、大量に並べられていた。ラインハートは異世界人だから、珍しい漂流物は喜ぶかもしれないと思い、漂流物をメインにチェックしていく。


 ふと、気になるものがあった。

 のっぺりとした青い板に、黒い板がはめ込まれている。たしか、この板はモニターというのだったか、と記憶の隅を探った。青い板は半透明で、中に機械の基盤が見えた。

 瑪那回路に置き換えられているから、ラウダが加工した後のものなのだろう。ボタンが並んでいるのを見るに、ゲーム機のようだった。


「おじさん、これゲーム?」

「ああそうだよ、カセット式? カートリッジ式? だかで、この背にささってるのがないと遊べないらしい」

「ああ、私の幼馴染が持ってるのもカセット式だったなあ」


 白と赤のツートーンカラーが可愛いゲーム機だった。テレビという別の漂流物がないと遊べないのが不便だったが、これは見るにテレビが要らないらしい。テレビもモニターも、異世界ではありふれているらしいが、この世界では貴重品だ。


「異世界人への贈り物探してるんだけど、これ喜ぶかな? 男の人なんだけど」

「喜ぶと思うよ、ただちょっと値は張るね。一点ものだから」

「いくら?」

「金貨三枚」

「おお……高い、けど買える」


 人にお願いをするときの手土産としては高すぎるが、ラインハートには世話になった。ルミの命を救ってくれた恩もある。いくらかけたとしても、高すぎるということはないだろう。

 幸い、キングオークの牙を一本売ったおかげで金はあるのだ。

 ノエルは巾着袋から金貨三枚を取り出し、露天商に渡した。


「まいど、いつもありがとね」

「ううん、神戸の露天は面白いからねえ、財布の紐が緩んじゃうんだよ」

「嬉しいねえ、そうだ、これサービス」


 言って可愛らしいラッピングに包まれたゲーム機と一緒に手渡されたのは、カラフルな棒だった。伸縮するようで、今は短い。赤色、青色、黄色の棒が1本ずつ、合計3本セットになっている。


「これは?」

「芸に使うものらしいけど、おじさんじゃいい売り文句思いつかなくてね」

「芸に!? やったー! いいの!?」

「ああ、ノエルちゃんのほうが活用できるだろ?」


 ワイヤーと花火だけでは、物足りなくなってきていたところだった。縮ませておけばかさばらないし、試しに瑪那を込めてみると瑪那の通りもいい。見ると、瑪那回路が刻まれている。

 これも改造済みということだ。


「昨日、黒いローブを着た金髪の姉ちゃんが突然買い取ってほしいって持ってきたんだ」

「黒いローブで、金髪の……?」

「そう、自作らしいよ」

「へえ……そか、うん、ありがとう、大切にするよ」


 ノエルは満面の笑みで礼を言って、露天を離れた。これはきっと、アイコが店に持ち込んだものだろう。はじめて芸を披露したとき、認識阻害のローブを着た人が見ていたことにノエルは気がついていた。

 あれもきっと、アイコだったのだ。好意的解釈をしすぎかもしれないとも思ったが、そう考えておくことにした。

 ラインハートのところには、昼に行くことになっている。まだ時間はある。これを使った芸の開発に費やそう。


 そう思い魔女の家に戻り、ルミ達に「これラインハートへの手土産ね」と言って、ラッピングされたゲーム機をテーブルに置く。それから家の外に出て、棒を伸ばした。

 勢いよく振ると伸びるらしい。

 伸び切ったら固定され、縮ませるには手で両端から押す必要がある。


 試しに瑪那を込めずに回転をつけて投げて、キャッチしてみる。なるほど、これはこういうふうに使うものなのかもしれない、と納得した。両手で持って次々と放り投げ、キャッチし、また投げる。

 それだけでも、やってみると結構難しい。本来はこの技を磨き、披露するパフォーマンスなのだろう。

 ここに魔法を使えば、もっと派手に面白くできるかもしれない。


 技の練習をしながら、色々な魔法を試してみる。炎魔法は派手だが、キャッチするときに手が燃えるのが難点だった。いくらすぐに治ると言っても、火傷する姿を見せては楽しめないだろう。

 氷魔法は、それだけだと地味だった。ただ凍るだけだから、当たり前だが。雷鼠の舞のように雷魔法を混ぜてみると綺羅びやかだが、ネタとしては被っている。

 そもそも、氷魔法と雷魔法を同時に使うのは結構難しい。氷魔法は冷静の感情、雷魔法は驚きの感情に対応している。

 本来は反発し合う属性なのだ。

 その難しさが芸としての凄みになるとはいえ、魔法に詳しくなければ伝わらない。


 アイコが以前見せた氷炎拳は、冷静と怒りという反発する属性としては比較的両立しやすいものだったが、驚きと冷静は両立しにくい。

 むしろ、より両立しにくい属性を複合させてはどうだろうか。


「光と闇……希望と絶望とかいいかも」


 試しに闇の瑪那と光の瑪那を調整しながら、ひとつのバトンに流してみる。バチバチ、と漆黒の光が舞い、バトンが吹き飛んでしまった。失敗だ。

 だが、この漆黒の光は面白い。黒いのに眩しく見えるのだ。


「にしても頑丈だなあ……素材何なんだろう」


 最悪壊れることも覚悟したが、傷一つ付いていない。恐ろしくなるほどに頑丈だ。本来武器か防具に使う素材なのではないだろうか。

 そんなものを芸の道具に仕立てるなんて、なんともアイコらしかった。


「よし、この技を墨光演舞と名付けよう」


 それから昼前まで、墨光演舞を練習し続けたが、結局一度も成功しなかった。もういっそのこと、ほかの技を見せた後にバトンを吹き飛ばすオチとして使おうかとも考えたが、それはプライドが許さなかった。


「なんとしても成功させてやる!」

「新しい魔法を開発してるのかと思ったら、芸の新技か?」


 家から出てきたルミが、バトンを見つめながら気合いを入れているノエルを微笑ましそうに見ている。


「うん、ほらこの前快気祝いの宴会で芸やったでしょ? でも同じ技ばかりでマンネリな感じがしたから、新しい宴会芸がほしくてさあ」

「あはは、ノエちゃんは本当に宴会芸が好きだね~」

「だって楽しいもん」


 言いながら片付けをし、贈り物を持って家を出る。神戸の街に行くというカイに行ってらっしゃいと告げて、ノエルとルミもラインハートの元へと向かうことにした。



 ◇◇◇◇◇◇


 気配を探ると、ラインハートはどうやら名古屋にいるらしかった。もっとも、予想はしていたことである。魔界に帰るのなら、名古屋は必ず通らなければならない。

 名古屋の東には巨大な壁がある。その壁は、大陸を縦断しており、魔界とそうでない土地とを分断しているのだ。通路は、名古屋の関所にしかない。


 影扉を名古屋の街の外れに繋げ、出る。


 自然にあふれていた神戸の付近とは異なり、ここには森や林がない。荒廃した砂の大地に、巨大な壁を背に街が形成されている。そんな名古屋の街には、愛称がつけられていた。

 砂漠都市である。

 神戸は交易都市、京都は武の古都、博多は宗教都市。倭大陸のすべての行政区には、こうした別の呼び名があった。


 名古屋の街に入ると、神戸とはまるで違う光景に思わず感嘆の声が漏れる。


「すごいね」

「ああ、面白い街だな」


 テント型の露店がいくつか並んでいる。露店とは違い、カーテンで仕切りがついたテントもあった。街を歩いてわかったのは、この街の商店は全てテントで営まれているということだ。

 飲食店は民家と同じ建築様式だが、これも一風変わっている。倭大陸ではここでしか見られない、泥のレンガ造りだ。

 さらに、街の至る所に井戸がある。湖や川などが近くにないためか、琵琶湖という淡水棲魔物の生息地から、水を引いているのだとルミが説明していた。


「あっ、いた!」


 突然、目当ての人物が視界に飛び込んできた。路地から出てきて、井戸水を幾つもの水筒に汲んでいる。ノエルは気配を殺して背後から忍び寄った。

 そして、背中から抱きつく。


「わっ!」

「おわっ!? なんだ!?」


 抱きつくと同時に大きな声を出して驚かせ、背中から離れる。ラインハートはノエルとルミを見て、大きなため息をついた。


「お前らなあ……もう会いに来たのかよ? 俺ぁ10年は会わねえつもりで別れたんだぜ?」

「いいじゃん、再会は早いほうがさ」

「たくよ……で、どうしたんだ?」

「ああ、実はな……」


 ルミが事情を説明すると、ラインハートはまたも大きなため息をついた。とても面倒くさそうに顔を顰めているものの、注射器を見た途端に顔色を変えた。

 中身をじっくりと観察し、「なるほどな」と言って注射器をノエルに返す。


「間違いなく魔族因子結晶だな、液状にして他の成分も色々足して薄めてはいるがよ」

「これを継続して打ち続ければどうなる?」

「魔族になるか、耐えきれなければ物言わぬ肉塊になるか死ぬかだ」

「情報どおりだねえ」


 ラインハートは水くみを終え、水筒を全てカバンの中に仕舞っていく。


「これの流通にラウダ会長が関わっているらしいんだよ」


 ピタ、と一瞬ラインハートの手が止まった。


「まじかよ?」

「多分ね、だからその証拠をおさえたくてさ」

「なるほどな、協力して欲しいってわけか」


 水筒を全てカバンに仕舞い終え、重そうにカバンを担いだ。ノエルは自身のカバンからラッピングされたゲーム機を取り出し、ラインハートに差し出す。

 それから上目遣いで、彼の目をじっと見つめた。


「これ手土産なんだけど……だめ? かな?」

「うっ……お前、見ねえうちにやるようになりやがったな」


 ラインハートは髪をぐしゃぐしゃと掻き乱した。


「あーもう! わーったよ、協力してやるよ!」

「やったー! ラインハートありがとう!」

「お前、魔性の女になれるぜ」

「ノエルは最近自分が可愛いことを自覚しはじめた気がするな」


 笑いを堪えながらのルミの言葉に、首を傾げた。自分ではそんなつもりは全くなかったのだ。ただ、昔、人にお願い事をするときは下から見上げながら相手の目を見て、ちょこんと首を傾げれば通じやすいとアイコに教わっただけである。

 もっとも、父親に「外に出たいな」と言って実践したところ、彼には通じなかったが。


 なにはともあれ、ラインハートの協力を得た。ひとまず、彼の名古屋の別宅で作戦会議をしながら、薬の成分分析をすることになったのだ。


 ラインハートの別宅は、普通の民家のようだったが、明らかに周囲から浮いていた。見るからにコンクリート製で、異世界の建物である。

 二階建ての一軒家だが、この世界の木造のものよりも豪華に見える。とはいえ、教会として使われている建物などに比べると、質素なのもわかる。不思議な建物だった。


「ここはよ、元の世界での俺の実家だ」

「え!? そんなことある!?」

「俺も調査に来てビビったぜ、遅れて自分の家が転移してくるなんてよ」

「家だけ……両親は路頭に迷ったのではないか?」

「かもな」


 中に入り、玄関で靴を脱ぐ。核世界にそういった風習はなかったが、ラインハートに言われて実践した。元の世界での作法だそうだ。フローリングというらしい床材は、ひんやりとして、硬いようで少し柔らかく不思議な感触だった。

 和室に通されると、ラインハートがニッと笑った。


「ここ数百年くらい酒に凝っててよ、ここの地下を研究部屋にしてんだ」

「へえ……地下? どこから行くの?」

「酒造もしてるのか」


 じゅるり、とルミが涎を拭いた。彼女はどんなときでも、酒と聞けば気分が高揚するらしい。ノエルも最近お酒の良さがわかってきたところだが、ルミの酒好きは異様と言える領域に達しているのではないか、と思った。

 ラインハートは床の間に立つように言った。全員で床の間に立つと、掛け軸を引っ張り、にやりと笑う。

 すると、音を立てて床の間が回転しはじめた。


「え、すごい! なにこれすごい!」

「おお……趣味が良いな!」


 ノエルだけでなく、うつろまで珍しくはしゃいでいる。ルミはぽかんと口を開けていた。床の間の回転が止まると、目の前に階段が現れた。階段がそこにあったのではない。ガシャンガシャンと音を立て、平坦な床から階段が現れたのだ。

 これもまた、うつろの気分を高揚させていた。契約を通じて、大興奮しているのが伝わってくる。

 うつろは、こういった仕掛けが好きらしい。


「お前、実家を魔改造したのか」

「ガキの頃から憧れてたんだよなあ、忍者屋敷みてえなカラクリ」

「わかる、わかるよ、私にはわかる」

「私にもわかるぞ、ルミにはわからぬようだがな」

「え、私がおかしいのか?」


 きっとアイコもいたら、大興奮していたに違いない。

 階段を降りていくと、部屋があった。酒樽がいくつかあり、何かよくわからない機材もたくさん置かれている。ラインハートは機材の前に立ち、注射器の中身を数滴、透明な板に垂らしていた。透明な板にさらに透明な小さな板を被せ、機材にセットしている。


「こいつは小型の成分分析装置だ」

「おお……」

「と言っても元の世界にあったような自動での解析はできねえ、こっちの世界の成分に対応してねえからな。自分の目で見る必要があんだ」

「目で?」

「ここ覗いてみ」


 ラインハートに促されるがまま、目をすっぽりと覆えそうなカバーがかかっているところに目をピタリとくっつけた。すると、視界にうねうねとしたよくわからないものが映る。

 トゲトゲとした青色の球体が、ふよふよと動いている。その周囲には透明な虫のような見た目の何かが浮遊しているようだ。


 目を離すと、ラインハートが代わった。


「今見えたのは、この薬を拡大したもんだ」

「え? まじ? 薬あんななの?」

「きめぇだろ? だがこんなもんだぜ、俺等の血液や細胞だって似たようなもんだ」

「ひえぇ……知りたくなかった」


 ノエルは後退りして、ルミの隣に立つ。ルミの興味は機材にはなく、酒樽に向けられていた。じーっと、酒樽を恨めしそうに見つめている。

 ラインハートが笑いながら「二本くれえ瓶に詰めて持ち帰っていいぜ」と言うと、ルミは目を輝かせて大はしゃぎしていた。本当に酒が好きなんだなあと微笑ましく思っていると、ラインハートがため息をつき、近寄ってきた。


「魔族因子以外の成分がわかったぜ」

「なんだったの?」

「アルラウネの蜜だ」

「アルラウネの? あっそっか!」


 アルラウネの蜜には、幻覚を見せ幻聴を聴かせる効果があると図鑑に載っていたのを思い出した。アルラウネが外敵から身を守るために分泌する体液で、脅かしたり傷つけたりすると大量に出るのだ。

 その蜜を使えば、幸せな過去の幻を見せるという効果の薬も作れるだろう。もっとも、本来は自衛のためのものであり、毒性もある。それが中毒症状として表れる、ということだろう。


「絶滅危惧種の蜜を使って薬を大量生産するたぁ、大胆なことしやがるぜ」

「アルラウネを傷つけて、人も傷つけて、ラインハートの血もこんなことに使って……許せないね」

「うちにはアルもいるからな、他人事に思えないな」


 最近大変なことが多くほとんど構ってあげられておらず、ずっと近隣の森で遊んでいるらしく、気に病んでいた。それでも健気に笑ってくれるアルのことを思うと、彼女の同族の蜜を悪巧みに使っているということに、怒りが湧いてくる。


 ひとまずルミが酒を樽から汲み取った後、和室に戻った。全員で座椅子に座り、顔を突き合わせる。


「で、証拠をおさえるって話だけど、具体的にどうする?」

「途中まではユーリアが追えてんだろ? だったら流通ルートを追うのが確実だろうぜ」

「だが、どうやるんだ?」


 ラインハートは腕組みをして天井を仰ぎ、何も言わなくなった。案はないのだろう。

 ノエルはひとつ、思うところがあった。


「あのさ、商会の本部に記録とかないのかな」

「ん? ああラウダは変に几帳面だからな、奴の私室か執務室かにはあるんじゃねえか?」


 ノエルはニヤリ、と笑った。ルミは察したらしく、額をおさえて肩を竦めている。


「じゃあ本部に乗り込んで記録を盗み出そう! あとは怪しい荷物を運び出してる現場をおさえて突きつけたらいいんだよ!」


 流通ルートを辿るなど、そんな回りくどいことはノエルにはできそうになかった。ラインハートも難しいようだし、そもそも行政が組織と権限を使って追えなかったものをノエル達が追えるわけもないのだ。

 考えてみれば、他に手段はなかった。じゃあなぜラインハートのところに来たのかと自分で疑問に思ったが、戦力は大事だと自分を納得させることにした。


「お前……意外と脳筋だったんだな」

「嫌い?」

「いや、俺もそっちのほうが手っ取り早くていいや!」

「だよねだよね!」


 ルミを見ると、彼女はふっと笑って頷いた。少し呆れているようにも見えたが、気の所為だということにしておいた。

 それからラインハートはノエルからのプレゼントの包みを開けて、「おいおいゲームボーイじゃねえか!」と大はしゃぎしていた。どうやら贈り物として大正解だったらしい。

 彼は別宅の私室にそれを大事そうに仕舞い込んでいる。


「じゃ、俺は準備してっからよ、忍び込むときに呼んでくれ」

「わかった!」

「よろしくな、ラインハート」

「おうよ!」


 こうして、作戦会議というにはあまりにもおざなりな会議は終了した。ノエルとルミはひとまず家に戻り、アルと一緒に遊ぶことにした。

 魔薬にアルラウネが利用されていると知り、そうしたくなったのだ。アルはいつものように満面の笑みを浮かべながら、ノエルとキャッチボールなどをしていた。


 魔薬の流通を辞めさせるだけではダメだ。製造も辞めさせなければ、問題の解決にはならない。楽しそうに遊ぶアルの顔を見て、認識を改めた。


 ひとしきり遊んだ後、カイが本を抱えて帰ってきた。どうやら大図書館で調べ物をしたらしい。本は手がかりだと言っていた。

 タイトルは、『魔女エラの物語』だ。


「わたし少し読んだけど、昔読んだのと内容が違ってるんだよね~」

「そうなの?」

「うん、ラウダ会長の名前が隠さずに載ってあったんだ」


 そう言って、カイはページを捲る。

 全員で、『魔女エラの物語』を読むことにした。

もし面白ければ、ブックマークや評価をしていただけると大変ありがたいです。

よろしくお願いいたします。

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