パッチワークが紡いだ出会い
赤手のバロンを吸収して、パッチワーク団の活動はさらに広がっていった。バロンが保有していた物資の輸送経路やネットワークを使えるようになり、パッチワーク団のキルトや布製品は、他の勢力や暴徒たちの間でも人気となり、つぎはぎのカバンや衣服を求めてやってくる者が増えていった。
「布があるってだけで、人々の心が少し温かくなるんだな」
ジョナサンがしみじみと呟く。
タエは静かに微笑んで答えた。
パッチワーク団の活動が活発になるにつれ、新たな仲間が加わるようになった。
その中でも特に印象的だったのは、リリーという若い女性だった。
「私もパッチワークをやりたいの」
彼女は寡黙だったが、その手つきは器用で、すぐにタエの技を覚えた。
「リリー、あんたなかなか筋がいいじゃない」
タエが褒めると、リリーは照れくさそうに笑った。
「私は…元々、赤手のバロンの一味だったの」
タエは驚いたが、静かに話を聞いた。
「でも、あのやり方に耐えられなくなって逃げてきたの。それで…ここに来た」
タエは優しく言った。
「それなら、ここで新しい未来を縫い合わせていけばいいのよ。それに、ここじゃバロンちゃんも私の生徒よ」
リリーは涙を流した。