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縫い合わせた心

荒廃した世界の中で、パッチワーク団の評判は次第に広がっていた。


「おい、これを見てくれ!」


ある日、ジョナサンが興奮気味にタエへ駆け寄ってきた。彼の手には、鮮やかな色合いのキルトがあった。赤や青、黄色の布が複雑に組み合わされ、まるでひとつの物語を紡ぐような模様を描いている。


「これは…すごいわねぇ」


タエが感心すると、ジョナサンは誇らしげに胸を張った。


「今まで俺たちはただ力だけで生きてきた。でも、こうやって手を動かして何かを作るってのも悪くねぇって気づいたんだ」


「ジョナサン!タエばあさんも見てくれよ!」


すっかりキルトだらけになり、カラフルになってしまった彼らのアジトから、ジョナサンの弟、アーチボルドが現れる。その手には何か見せたげに、何やら小さなものが包まれている。


「まぁ、なんて素敵なぬいぐるみなの。上手になったわねぇ」


アーチボルトは得意げに笑い、タエにパッチワークで出来たくまのぬいぐるみを差し出した。

不器用ながらも丁寧に時間をかけたことが一目でわかる。


「タエばあさん、これやるよ。パッチワークを教えてくれたお礼さ!」


街の方でも、互いにキルトを持ち合ったり、作品を見せ合う楽しげな声が響く。

タエは微笑んだ。彼らは既に戦いでしか生きられぬ暴徒ではない。パッチワークが心を縫い合わせたのだ。


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