パッチワーク団誕生!
タエは興味を持つ男達に怯むこともせず暖かく接した。
「布をこうやってつなぎ合わせるのよ」
彼女が見せると、ジョナサンは驚くほど素直に学び始めた。鋭い目つきをした男だったが、針を持つとその手つきは繊細だった。
「おい、ジョナサン、そんなもんやってどうすんだよ!」
そう文句を言うのはアーチボルド。ジョナサンの弟だ。
「黙ってやれ、アーチボルド。やり始めると面白いぞ」
しぶしぶ針を持ったアーチボルドだったが、不器用ながらも真剣に学び始めた。
「なぁタエばあさん、これで何が作れる?」
「そうねぇ、ベッドカバーとか、バッグとか、いろんなものが作れるわよ」
タエはふたりに教えていた合間を縫って、見事なパッチワークで作った可愛らしい猫柄のバックを披露してみせた。
「おい、ジョナサン!こんな世紀末の世界でバッグなんて作ってどうするんだ!」
「バカ、ただのバッグじゃねぇ!これは…俺たちの証になる!」
ジョナサンの目が輝いた。
タエが教えた技法を使い、ジョナサンとアーチボルドは仲間たちにもパッチワークを広め始めた。気がつけば、彼らのグループのバイクにはカラフルな布が装飾され、ジャケットにはキルトのデザインが施されるようになった。
かつて無骨な暴徒だった彼らが、今では「パッチワーク団」と呼ばれるようになり、彼らの作品は交易品として他の集団にも人気を博した。
タエは静かに微笑んだ。
「まぁ、こんな形でパッチワークが広がるなんてねぇ」
ジョナサンは満足そうに頷いた。
「タエばあさん、俺たちはもう暴れるだけのバカじゃねぇ。俺たちは…世界を縫い直すんだ」
そう言って、ジョナサンは誇らしげに、自ら作ったキルトを掲げたのだった。