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54:保護までの経緯と昼食会

※ちょっと心がモヤモヤする表現が入っております。ご注意ください!

さて、それでは、僕はガムロさんのお望み通り動くことが出来たのか、答え合わせの時間だ。



「これで満足いただけましたか?」

「上々だ。それから、そいつら全員、お前のだからな。」


「・・・、お断り――・・」

「ちゃんと許可はとってるぞ。そいつらは全員、お前さんのだ。好きにしろ」


人間六人を好きにしろと?許可を取っていると言う事は、母様も了承済みと言う事だ。何でさっき言ってくれなかっ・・・。僕がこうなる事が分かってて、あえて黙っていた、だろうな。昔ペット禁止を言い渡したのは母様だから、これで乗り切ろう。



それで、交渉に行ったのだが、あえなく撃沈。まぁ、口で敵う相手ではないのは、初めからわかっていた事だったのだが・・・。





「スカー、ダン先輩でもいいのですが、」

「モリア、男とは時に、諦めも肝心だぞ!」


「俺はモアで手いっぱいだ。それより、あのガムロさん、いったい何者だ?」

「う~ん・・・、僕も物心つく頃には、町にいましたし、いろんな人に聞いても、肩書が盛りだくさん過ぎて、どれが本当なのかわからないです。」



元傭兵、元盗賊、元海軍、元騎士、元暗殺者、元闇ギルドボス、元諜報員etc.・・確かに、それを疑うだけの、様々な技量を持っている所が厄介なのだ。


出身地も謎、年齢も謎。謎だらけで、解き明かす手立てもないので、僕にしては珍しく諦めたのだ。たぶんだが、母様は知っている様な気がする。本当に謎な人物に、僕を預けるはずがない。



「それで、あいつらどうするんだ?」


ダン先輩の言ったあいつらとは、アンバーたちの事である。ガムロさんが母様の所に行く前に軽く教えてくれた経緯は、こうだった。




今回、わざと隙を作り、エルラドから賊に扮した奴らが攻めてきた。その際、切込み特攻で、捨て駒にされていたのが、彼らだった。ミカゲ、ヒスイ、アンバーには服従の首輪が、ハウライト、トパーズ、ホヌには爆散魔術布で作られた上着を着用させられていた。


「実に胸糞悪いが、よく使われる手だ。」


そう言って話してくれたガムロさんの顔は、―――すごかった。


話を戻そう。瞬時に気づいたガムロさんは、まず服従の首輪をしていた三人の意識を刈り取った。気絶させれば、命令が無効になるからだ。それから、爆散魔術布の上着を繕ってある縫い目の所で切り裂いた。


言葉にすると陳腐だが、実際は、全速力で走っている馬の上から、手のひらサイズの的ど真ん中を狙うようなものだ。はっきり言って無理である。



そうして、保護した後、胸糞悪さも相まって、敵方を全滅まで追いやった一人である。何人かは敵方にわざと情報を流すために、逃がしたらしいから、完全にブチギレていたわけではない。とは本人談



「首輪、よく取れましたね。」

「あぁ、どうせ死ぬからと、粗悪品を使ってやがったのは、運がよかったのかもな。」



だが、首輪が外れてからが大変だったという。とくにアンバーがハウライト、ホヌ、トパーズを守ろうと、ガルガル状態がしばらく続き、ヒスイとミカゲがさらにそれを守ろうと、警戒態勢をしばらく解かなかった。


そこに、チョッカイをかけに行った町人が、何人か怪我をしたらしいが、警戒がゆるまないだろうが!とガムロさんに鉄拳を食らった・・・らしい。自業自得である。


「良く警戒解いてくれましたね。」

「モリーニア様が行った」


「あぁ、なるほど。」


うちの母様には特技がある。それは、動物でも、人でも、警戒心を解かせるという特技だ。どうやっているのかは、誰にもわからない。僕は、追いかけ回し過ぎて相手が根負けするか、より一層嫌われるの二択なので、うらやましい。





「しばらくは、ガムロさんが鍛えるといっていたので、預けることにします。」

「預けっぱなしにするなよ?おまえが主人なんだからな?」


「はい、朝交代で、食事の時間をとる事にしました。」


新学期が始まるギリギリまで領地にいる予定なので、その間に何とかなるだろうと考えている。スカーたちも、彼らに混ざってガムロさんの指導を受けるそうなので、良好な関係が築ければ、王都に連れて行っても、何とかなるだろう。




事件が起きたのは、次の日の朝の事だった。本館にいるはずの義兄の幼馴染、そして現在では、執事として働いている、マキシが尋ねてきた。


「おはよう、モリア。おかえり」

「マキシ、おはようございます。だいぶ久しぶりですね。今日は何かありました?」


僕がそう言うと、マキシは苦笑し、


「モリアがリームに提案したと聞いていたが、忘れたのか?」


そう言って僕に一通の招待状―――。


「ガスタルバーグ公子様と、団長子息様を昼食会にお招きいたしたく、主人より預かってまいりました。軽装で構いませんので、どうぞお越しください。」



心の中で〝あっ!〟と思ったが、表情には出さず、しかし、スカーには伝わっているだろうな~と思いながら、彼らが鍛錬しているであろう場所に急いだ。





昼食会の席に参加したのは、母様、義兄、義姉、甥、僕、スカー、ダン先輩だった。義兄がちょっと心配だったが、何とか昼食会は終了。


「それでは、私と子どもは先に失礼させていただきます。公子様、ダン様、ゆっくりおくつろぎください。」


そう言って、マーリア様とリムリスが退出して行った。まだ、リムリスも6歳。そして今日は参加していないが、下にもう1人、リディムがお留守番だったみたいだ。リディムはやんちゃな子で、もしかしたら参加できなくてへそを曲げているかもしれない。



談話室に移動した義兄と、スカーは今回の被害状況について、意見交換をしていた。後ほど、スカーはナダルグ様に手紙を書くのだろう。母様は黙って義兄の横に座っているだけだった。本来なら、母様が現当主のはずなのだが、義兄に任せていると言う事は、そういうことなのだろう。



世間話も交えながら、ある程度、話がまとまったのか、


「何分、田舎なもので思う通りの生活が出来ないとは思いますが、どうぞゆっくりしていってください。」



これでひと先ず、貴族としての体面と義務は終了だろう。スカーとダン先輩は慣れたものだった。お互い席を立ち、お礼を述べて、僕たちは帰路についた。


帰りの馬車の中、


「おまえの兄ちゃん、苦労してたんだろうな~」

「どういう意味ですか?」


ダン先輩になんとも失礼な一言をもらった。ガムロさんにお願いして、鍛錬を追加してもらおうと誓いました。


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