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40:僕の仮説

注:しばらく、戦争に関してなどの不愉快な表現が含まれます。ご了承ください。


「現在この国には、二つの勢力が入ってきていると、推測します。」



僕はここしばらく、カラスたち(暗部)に頼んで、昼は食堂、夜は酒場などで噂話を集めてもらいに行った。すると、ここ最近、四ッ国連合の商人の質が悪くなっていると、いたる所で耳に入ったと言う。その後は、うわさ話好きの主婦に紛れてもらっい、5年以内に立て直した、王都内の商会を調べてもらった。



すると、数件ヒット。その中で、この学園に荷物を頻繁に下ろしている商会を探すと、1件でた。荷物は様々取り扱っているが、とりわけ多いのは書物、頻繁に学園の本の入れ替えをしている。



ボウクエニス商会。4年前不況にあおられ、倒産寸前まで行ったところを、名前ごと買い取り、商会長はそのままに、支配人と言う形で誰かが支援したらしい。ただ、その誰かは、表には一切あらわれていない。



さらに遡って調べたところ、この商会は先代の頃、カンティー家に下級メイドを左遷していたみたいだ。記録は抹消されていたが、ここに長く住んでいた老人が覚えていた。その中に、ユリウスの母親と思われる名前も・・・。



「エルラドは戦争を仕掛けるために、長い時間をかけて下準備をしてきた。そこに加わる形になったのが、ユリウスでしょう。4,5年前からエルラドの作戦に手を貸し出したのなら、説明がつく点が多いです。ですが、ここにきて最近、時間をかけることを嫌う勢力が、参戦してきたのでしょう。それが、四ッ国連合えにし。この間の茶会襲撃は、〝えにし〟ではないかと考えます。」



「・・・、モリア、図書館とユリウスと聞いて、思い出したことがある――・・。」


「なんですか?」


「初等部2年の時、ユリウスは初めの頃から図書館に足しげく通っていたのだが、ある時、隠し部屋と通路を見つけたと、教えてもらった事があった。2人の秘密だと・・・、なんで忘れていたのだろう?」



今まで思い出の深い場所には、なるだけ足を向けないようにしていたからだったのか、突如スカーの記憶の一部が映像として流れ込んできた。第一図書館、半地下突き当りの本棚。正確な順番で本を押し込むと、棚が奥に押せるようになる。



手を引かれ、同じ目線だからか、相手の顔がはっきり見える。茶色のさらさら髪、嬉しそうに細める瞳。上がる口角。今から二人だけの冒険が始まるようなわくわくしている様が、伝わってくる――。蜃気楼のような映像が消えた。



「スカー、申し訳ない。あなたの思い出を勝手にのぞいてしまいました。」

「――・・、いや、思い出せてよかった。彼との楽しい思い出も、確かにあったんだな。」



楽しい思い出ですめばいいのだが、明日、早速確認してみようと言う事になり、今日の話し合いはここまでになった。






次の日の放課後、それぞれ図書館に入り例の場所で落ち合った。スカーは目立ちすぎるので・・・。



「スカー、お待たせしました。」

「遅かったな?」


「・・・担任に捕まってました。」

「サボり過ぎだ。」


「成績は、十分だと思うんですけど?」

「学園と言うのは、成績だけで考慮している訳じゃない。退学もあり得るから、なるだけ出席しろ」



はぁ、とため息をつかれてしまったが、気を取り直して、スカーが魔術でしばらくの間、人が来ないように目くらましをかけてくれた。その間僕は、昨日見た順番通りに、本を押していく。最後の本を押し込むと、カチャッと音がした。スカーに視線を向け、頷いたのを確認してから、ゆっくり押した。



軽くも、重くもなく本棚が動いた。冷やりとした空気が足元にまとわりついた。どうやら少し先に進むと、階段で下るようだ。


「石造りだから、肌寒いですね。それに、思っているより暗い。スカー、初等部の時、どこまで行ったのか覚えてますか?」


少し考えるように、人差し指で下唇と顎を行き来させながら、


「あの時も、明かりになるようなものは持っていなかったから、その階段を数段、下りて引き返したような気がする。」



今回も、明かりになるようなものはない。それに、こんな所で火をたくとろくな事にならない気がするので、どうしたものか・・・。そう思っていると、足元にスリスリ。モアだ。好奇心が勝ったのか、僕たちより先に、奥の暗いところへ行ってしまった。すると、モアの体がかすかに発光している。


「スカー、モアが光ってますよ?」

「ヒカリ蛾の鱗粉だ。魔力に反応して、淡く発光する。」



確かにこれなら、火を使わなくて済む。モアにお願いして、魔力をここら一帯に振りまいてもらった。扉を開けている時は、外の光が明るすぎでわかりづらかったが、扉を閉め、闇に目が慣れてくると、十分な光源だった。扉を開ける時にも思ったが、目が慣れ閉めた扉を確認すると、最近人の出入りがあったと思われる足跡と、滑車の痕―――。



「行きましょう」



モアを先頭に僕、スカーの順で階段を下りて行った。思いのほか足音が響くので怖かったが、何とか階段の終わりが見えた。それからまた直進した先に、広い空間に出た。天井も高く、石造りで頑丈そうだ。


上と奥ばかりに気を取られていたので、気づかなかったが、入ってすぐ左手側に、シートに覆われた何かがあった。近寄って、めくってみると、長方形の木箱。試しにひとつ開けてみると、魔石銃、その隣の違う形状の箱には、手榴弾。魔術式が織り込まれている、戦闘服。サバイバルナイフ―――。



最悪だ。そう口に出しかけたその時、僕たちが来た方とは反対側から、足音が聞こえてきた――。とりあえず、箱のふたをそっと戻し、物陰に隠れた。



「支度は、順調か?」


僕は、聞いたことのない声に、誰が来たのか分からなかったが、スカーは覚えがあったのか、もやッとした心情と、体が強張ったのを感じた。


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