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31:5か国同盟


まずは、恥をさらすようで心苦しいのですが、我がドラグーンについて、お聞きください。そう言って語り出した話は、なんだかどこかで聞いたことのあるような話だった――・・。


7年ほど前から、港町で武器の密輸、製造。この事件は3年ほど前に、摘発、とりあえずの終息を見せたが、大半の武器は見つからず、今だ黒幕は捕まっていない。その後、当時17歳だったヴァディン殿が王からの密命を受け、遊学という形で、各国を回り、実に、3年かけて情報収集から3か月前自国に帰ってきたとの事――。



「そこで収集できた情報をつなぎ合わせると、これは我が国だけの問題ではない事が、浮き彫りになりました。そこで、情報を開示し、ぜひとも同盟を結びたく、まずは国王陛下からの信頼の高いガスタルバーグ領主様の元に足を運んだと言う訳です。」



父上の紹介状を手にし、陛下に謁見を申し込もうとしていると言う事は、理解できる。だが、俺達が呼ばれたのは、なぜだ?疑問が顔に出ていたのだろう、ヘス殿がすぐさま俺たちの方に向かって説明しだした。


「スカーレット様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」

「いや、スカーで構わない。ヘス殿」

「では、スカー様。信じがたい話ですが、敵は内部にいます。それも・・・、学生、あるいは若者です」



ヘス殿はそれから、これまで2年間、エルドラを中心に周りの周辺諸国を遊学でめぐっていた時の話をしてくれた。これは、エルラドの真上、リザニア帝国のある街での話――。



その地域は、考え方の違いにより、対立が絶えなかった。あわや内戦一歩手前だったある年、皇帝の判断により、街を二分することにした。街の中央に壁と道を通し、争いを収めたのだ。あれから100年――。


当時のことを何も知らない世代に、代替わりし、なぜ壁が存在するのか、深く考えなかった若者が壁を壊した。それも、貴族の子達であった。幻獣や魔術を使って、壁は一夜にして壊され、今、内乱の足音が近づいているらしい・・・。



「逮捕された主犯の令息に話を聞いた、帝国騎士からの証言なのですが、彼は興奮したように喜んで話してくれたそうです。自分たちは、もともと一つなのだから、別れていることが、おかしい。俺達は間違ったことは、何一つしていない。と主張していたそうです。このような事件が、それから様々な場所で、大小起こっていれば、さすがにおかしいと思い、問題を起こした、令嬢、令息のそれまでの行動を、調べることにしました。」



協力者は、国内の違和感にいち早く気付いた者を、少しづつ声をかけ、協力関係を結んでいったのだという。その中の一人、平民の裏社会に少しツテを持っている者がおり、そこから来た話が、少し興味を引いた。



「事件を起こした令息、令嬢には共通点がありました。まず、次男、次女だと言う事、虚栄心、競争心などが強い事、不満があり、自分が輝くチャンスがあると思い込んでいる事。そして、ある酒場に足しげく通っている事でした。その酒場には、奥に個室があり、マスターに特定の合言葉を言うと通してもらえたそうです。その合言葉は、〝カースス〟古代語で滅びの意味の言葉です。」



早速、ヘス殿と、ヴァディン殿は逮捕が公開されていない令息の名前を使って、潜入。そこで行われていたのは、ある一人の人物から助言をもらうことだった。



「その人物は、どこにでもいる10代男性、ありふれた茶色の髪に、細身、右目に眼帯をしていたので、特徴といえばそのくらいでしょうか?ですが、ものすごい支持を集めていて・・・、」



とても聞いたことのある特徴だった。モリアが、確認した3人組の1人と一致する。


「彼の言う通りに動くと、物事が必ず(自分の)いい方向に向かうと、言われていました。彼の名前は、()()()()、家名はありませんでした。しかし、所作が美しかったので、平民ではないと思います。そして・・・、大変申し上げにくいのですが、ピリア人の特徴が色濃かった気がするのです。」



〝ユリウス〟その名前を口にされ、心臓が耳元で鳴っている様な気がした。友人だった。いや、友人だと思っていたのは俺だけだった。あの頃の記憶がよみがえってきて、不安に支配される。



「やっぱり、生きてやがったんだな、あの野郎――!!」



静かに、だが内側に怒りの炎を燃やしながら、俺よりも怒っている存在がいることで、正気に戻った。

説明は終わったとばかりに、ヘス殿は下がり、ヴァディン殿が引き継ぐ



「3年で4か国回り、そのどこの国でもトラブルが起きていたのは、エルドラから離れた地域だった。そこで地図に印をつけていくと・・・、」


用意されていた地図に、書き込まれた印を見ていくと、外枠を縁取るようになっていた。廻った国は、リザニア帝国、ピリア王国、四ッ国連合の中の国(ゆかり、つなぐ)、そして、ドラグーン・デニア。


「四ッ国連合、つむぎとえにしは、入国許可が下りなかった。エルドラに加担していると、ふんでもいいだろう。そして、製造されていた武器の、大半が見つかっていない。もし、外側と、エルドラ本国からそれぞれ攻め込まれたら、挟み撃ちになって、どの国もおしまいだ。」



「!大戦が始まるというのですか?」

まさかと思い、大きな声になってしまった。



「――・・・、この50年、大人しいと思っていたが・・、条約が破られると思うかね?」

黙って聞いていた父上が、ヴァディン殿に静かに問いかけた。



「いつの時代も、はじまりは些細なきっかけです。それに、今ここに生きている者たちは、戦争の残酷さ無常さを知らない世代ばかり――。私も含めてですが、早いうちに手を打たないと、転がった石は止められません。私たちには、愛する者がいるはずです。守りたい命があるはずです。どうか、国王陛下への謁見に力を貸してください。」



ヴァディン殿とヘス殿は深く頭を下げた――。


「協力しよう。一度私も、王都の屋敷に行く。セバス、あとの事は任せた。」

「かしこまりました。」



父上は、初めから引き受けるつもりだったのだろう。すぐ出発できるように用意は済ませていたようだ。俺とダンも、すぐ帰れそうだと思ったその時、肩から首筋にかけての突然の痛み。あまりの痛みにその場にしゃがみ込んだ。そして、頭によぎる【死にたくない】


つづく――

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