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26:検証結果と過去

「おはよう。クケルト、授業が終わってから体調を崩したらしいね。もう大丈夫?」



たぶん同じクラスであろう生徒に、声をかけられた。そうか、学校ではそういう事になっていたのかと、1週間ぶりに登校して気づいた僕です。この休んでいた期間にわかったことは、2日に1度、食事として魔力提供が必要だと言う事だった。極限まで魔力を枯渇させると、最初のダン先輩の様に、強制で魔力提供をさせることになる。



そして次に魔力の質。濃度の高い魔力の持ち主だと、10分程度で済んだ。しかし、濃度が低かったり、魔力量が少ないと、相手が混沌するまで(うば)う。なので、どうするべきか悩んでいる。ガスタルバーグ先輩は責任を感じて、自分が2日に1度、供給しに行くと申し出たのだが、先輩は目立つのだ。



噂になり、事が公になってしまうと、面倒なので、極力避けたい。そこで、クラスの中で信頼のおける誰かに頼んでみようかと、思っているのだが、僕には残念なことに友人がいない。自分で言ってて悲しい



あッ、ちなみに瞳は片方だけカラーのコンタクトを入れている。瞳に異物を入れるのも恐ろしかったが、ずっと眼帯という訳にもいかないので、そこは妥協した。




「おはよう、ベリル。授業がどこまで進んだか教えてもらってもいい?」

「おはよう。やっと来たのか。あれから大丈夫だったのか?」

「あッ、おはようモリア君、心配したんだよ」



あの時、一緒の班だった残りの2人には、足を滑らせて落ちた事だけ話したと先輩が言っていたので、幻精が融合してしまったことは知らない。



「ごめん、とりあえず大事を取っただけで、もう大丈夫だから。それより2人に聞きたいことがあるんだけど、」


「なに?もうすぐ授業が始まっちゃうから、お昼、3人で外で食べよう。その時でいいかな?」



そうだな、少し込み合った話になるかもしれないと思い、僕はその案を了承した。






ついこの間まで夏の暑さに、辟易(へきえき)していたのに、もう外は秋の頃合いだ。


「風が涼しいね~」

「でも、しばらくすると、すぐ寒くて外では食べられなくなりそうだな。」


「それで?聞きたい事って何だったの?」


ベリルが本当はせかしたいのを、ジルベルト君がいるから抑え気味に聞いてきた。


「あぁ、実は、調べたいことがあるんだけど、僕今まで自分の領地から出たことがなかったせいで、情勢に疎くて・・・、過去5年からの新聞や雑誌なんかが保管してある場所を知ってるかな?それか、そういうのに詳しい人物でもいい。」



「・・・そういった事に関してなら、王都の図書館にあったと思う。情報に詳しい人物――、モリア君の隣の席、リズ・ベルトニー君が詳しいかも、でも、眉唾も混じっているから、鵜呑みにしないでね?」



「僕たち初等部からここに居るから、大抵の事は知っているつもりだよ?何を知りたいの?」



う~ん、聞いてもいいのだろうか?嗅ぎまわるようなことをしている事を、先輩に知られるのも、バツが悪い。今までなら、相手のことなどお構いなしに、知りたいという欲を満たすことを、優先していたはずなのに・・・。


僕が悩んでいるのが分かったのだろう。


「モリアに聞かれたことに関して、絶対に口外しない。」

「俺も誓うよ」



「――・・、カンティー男爵、について、知りたいんだ」

2人は一瞬、息をのむと、


「今日、放課後時間ある?」

「放課後・・?大丈夫だけど・・・。」


「2階、個人学習室、予約入れてくるから、放課後詳しく話す。ここでは長くなるし・・・」

「わかった」



そして放課後~



「はぁ~、これからする話は、僕ら世代なら割と有名な話。でも、話題にしてはいけないと、親からきつく言われている話。それを踏まえて聞いてね」



そうして2人が、僕に話してくれたのは、こんな話。



ガスタルバーグ領ほど近くにある、さえない領地カンティー領。この領地を当時、納めていたのが、ウラトロス・カンティー。彼には妻と子どもが一人。そして平民の愛人との間に子が一人おりました。正妻は、初め愛人の存在を無視していたのだが、女が子を残して亡くなり、当主が子どもを引き取ると言い出してから、夫人は激怒した。



そして、さらに夫人をいらだたせたのは、愛人の子どもの方が優秀だったと言う事だ。7歳の頃引き取られた愛人の忘れ形見に、男爵は夫人の息子と変わらない教育環境を用意し、彼は初等部入学前の2年の間で習得してしまったのだ。


こうして正妻の子と、愛人の子は同じ年、王都の学園の門をくぐったのだった。そして、この年、もう1人、注目を集めていた生徒が入学した。スカーレット・ガスタルバーグ。いろいろな良家の子どもたちが、学友になるために、すり寄ったらしいが、一切相手にしなかったと言われている。



その中で唯一、スカーレット・ガスタルバーグと対等な友人になれた人物が、ユリウス・カンティー。愛人の子だ。ユリウスは長期休暇にガスタルバーグ領に呼ばれるほど、間柄は良好だったらしい。



それが崩れたのは、初等部最後の夏季休暇――。


夏季休暇中、ガスタルバーグ領の機密情報がどこからか漏れた。この機密情報を手に、中央進出を目論んだカンティー男爵。しかし、この機密情報は、最近敵国に、自国の情報がやたらと流れている事を不審に思ったガスタルバーグ領主が張った罠だった。



これにより、カンティー男爵がエルラドと共謀していることが明るみに出て、男爵は絞首刑。夫人と長男は関係が認められなかったため釈放。関与が疑われていた次男ユリウス・カンティーは行方不明。



夫人はその後、カンティーと離婚し領地を国に返還。子どもと田舎に帰っている。ユリウスが逃げたと思われるルートはひどい土砂崩れにあっており、馬車が一台見つかっている。



初等部最後の休暇が明け、登校してきたスカーレット・ガスタルバーグは、幻獣スコティウェリルを連れており、それ以降、親しい友人を彼が作る事はなかった。



「これが、初等部の頃にあった出来事だよ。もちろん僕たちは当事者じゃないから、詳しい事はわからないけど・・・、知りたいことは知れた?」



友人いないって言ったのを撤回しないと、僕には気づかない間にこんな素敵な友人が2人も出来ていた。



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