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25:お泊り、誘惑

体ひとつで大丈夫だと、結局、部屋に一度も帰る事なく、迎えに来た質素な(様に見える)馬車に乗せられ、やってきました。先輩の王都に所有するらしいお屋敷に―――・・・



「若旦那様、おかえりなさいませ」


迎えてくれたのは、王都の屋敷を任されていると言うバロル。


「ただいま、無理を言ったなバロル。学園のカタルフィー先生、医者のアヴィ先生、そして後輩のクケルトだ。ダンはわかるな」


「ようこそいらっしゃいました。できうる限りの御もてなしを、させていただきます。ご用命がございましたら何なりとお申し付けください。」



美しいお辞儀で出迎えてくれたバロル。誰かに似てる・・・


「バロルはセバスの弟だ」

「あぁ、だから似ていると思いました。あっ、お世話になります。モリア・クケルトです」


「バロルでございます、クケルト様。兄にも負けない御もてなしをいたします。何なりとどうぞ。それでは、お部屋にご案内いたします。」



そうして僕たちはそれぞれの部屋へと案内され、やっとひと息つくことが出来た。汚れを落とす前だったが、僕はベッドに寝そべり、はぁ~~~と息を吐いた。後半から怒涛の様に物事が起こり過ぎて、整理する時間が欲しかったのだ。



「さぁ、これからどうする?幻精かぁー、書籍にもたいした情報が載っていなかったから、僕には関係ないと思ってたんだけどな。魔力ないから幻想圏には行けないと思っていたし・・・。そういえば、瞳の色変わっているって言ってたな」



急いで鏡のあるバスルームに行き鏡を覗き込んだ。平凡ないつも通りの僕の顔、だが、左目だけ虹色?角度により色彩が変わるようだ。思い切り鏡に近づいて瞳の中に幻精がいるのか見たが、よくわからなかった。完全に溶けてしまったのか、魔力の無い僕にはわからないのか?鏡の前で唸っていると、コンコン



「熱中している所すまない。何度かノックしたのだが、返事がなかったので、心配で入らせてもらった」


あぁ~~~、また変な所を見られてしまった。


「さっきまで状況に付いて行くのに精一杯で・・、そうだ先輩、さっきより色はどうですか?」


見られてしまったのは仕方がないので、開き直る事にし、先輩に先ほどと色を比べてもらうことにした。


「・・・どんどん色が鮮明になってきている気がする。角度により色が変わるのか――、奇麗だな」


さまざまな角度から観察した後、ささやくように先輩から漏れ出た言葉に、瞳のことを言われているはずなのに、僕は、また顔に熱が集中するのを感じた。


なぜ来たのか尋ねると、先輩は食事の準備が出来たから、僕の事を呼びに来たらしい・・・。僕たちは慌てて食堂へと急いだ







()()は突然起こった。先輩の屋敷にお邪魔させてもらって初日は何も起きなかった。これによりちょっと油断していたのだろう。僕とダン先輩が珍しく2人でいた時の事、お昼は先ほどもらったはずなのに、僕はなぜか空腹を覚えた。でも実際、デザートまで食べたので、お腹はいっぱいだ。



なにかがおかしいと、ダン先輩に伝えるつもりで視線を向けると、いつの間にか僕の隣にダン先輩が立っていた。こちらを見ているようだが、見ていない瞳。どうしましたか?と尋ねる前にダン先輩が、僕の隣に座り、


「側にいないと、ダメだ」



そう言って、僕をヒョイッと自分の膝の上に乗せ、体を密着させてきた。僕は、訳が分からず、膝から下りようとしたのだが、がっちりホールドされて叶わなかった。


「・・・ダン先輩、下ろしてください」

「ダメ、だッ――・・」


受け答えは、ハッキリしている。しばらく見ていると、ダン先輩と僕の体に薄い膜がはりだした。正確にはダン先輩がまとっていた(もや)が僕の方に流れてきている。ふっと、先ほどまであった空腹感が少し満たされたような気がした。


「魔力を吸ってる?・・食べてるのか?」


融合している幻精が呼んだのかどうかは分からないが、これは今、食事中らしい。この恰好も困るが、人も呼びたくないし、ダン先輩の意思がどのくらいあるのかは、あとで検証しよう。


「ダン先輩、これ、いつ終わりますかね?」

「満た、された、ら、終わる・・・。」


「その間、ヒマなので質問、いいですか?」

「・・・なんだ?」


()()()()って、知ってます?」

「――・・ユリウス、知ってる、裏切った、スカー、悲しんだ、友・・・だった」


「彼は平民だったのですか?」

「ユリウス・カンティー、・・男爵、なった」


「いつから、友達だったんですか?」

「初等部」


「居なくなったのは?」

「初等部・・・、最後の夏季休暇、あと――・・」


「何があったんですか?」

「・・・それは、」


ちょうど核心に迫ったその時―――・・・、



「何をしている?」



噂をすれば影、もう少しの所で、ガスタルバーグ先輩が来てしまった。まだ供給は終わらないのか、僕は変わらず離してもらえないので、先輩にお願いして、先生たちを呼びに行ってもらった。



先輩が席を外した今のうちに、考えをまとめる。学校は、初等部3年、中等部3年、高等部3年の計9年間通う。入学が9歳なので、初等部、最終学年の頃の年齢は、12歳。5年前に裏切られ、友は消え、恐らくとても重大な、何かがあった――――・・・まだピースが足りない。もう少しダン先輩から話を聞きたかったと、ちょっと先輩を恨めしく思った。





「うん、どんどん融合して行ってるね。今お腹が空いている感覚があるかい?」

「いえ、満足した感じです。」


ダン先輩にホールドされていた時間は約30分。その頃に、ダン先輩自身も、なぜ僕を膝の上に乗せているのか驚いている様子だった。



「どういった感覚だったか、覚えているかい?」

「う~ん・・・、二度寝している様な感覚?ですかね。なんかしゃべってた気もするんですけど・・・?モリア、オレ何か言ってたか?」



そうか、あの状態の時の事は記憶に残らないのか。助かった。

「これと言ってとくには、下ろしてくれと頼んだら、断られたぐらいですかね。」


僕はいい笑顔で答えておいた。男を膝に乗せて、下ろすことを拒否している自分の行動に、ダン先輩が頭を抱えていた。


「食事の捕食のためにしている事なので、そんなに落ち込まなくていいと思いますよ。それより、今日のこの時間から、どれぐらいの時間で空腹を感じるのか、魔力を保有していれば何でも(誰でも)いいのか?の検証をしましょう。」



カタルフィー先生の提案により、僕はもうしばらく学校を休むことになった。


がんばるぞー

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