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24:幻精の検証


「クケルト君だって、お腹すくでしょ?幻想圏の生物は、基本、食事はしない。それは、あの空間にいることで、自然に吸収しているエネルギーがあって、食事の必要がないからだ。だが、こちらにいると、」


「取り込むエネルギーがないので、食事が必要?」


「そう、そして、最悪なのが、キミが魔力がゼロだと言う事。このくらいの幻精なら、たぶんだけど、そんなに量は必要ない。でも、どこからか供給しないと、クケルト君、きみ死んじゃうよ?」



アヴィさんがそう言った瞬間、後ろから、ガンッ!という音に僕の体はビクッとしてしまった。後ろを見ると、先輩が、扉を凹ませていた。僕はあわてて、先輩のこぶしを握って見てみる。良かった怪我とかはしていない。



先輩は、怒りの表情から手の怪我を心配した僕をみて、今度は泣きそうな顔をした。


「先輩、これは、事故です。先輩は悪くありません。」

「事故なものか!あれはどう考えても作為的だった。どうして君は、あん・なッ・・、あんなのを庇う?」



ディスペルをかばっているつもりはない。そう言おうと口を開きかけた瞬間、


「スカー、連れて来たぞ。」


ダン先輩だ。その後ろにいるのは、あの時、ガスタルバーグ先輩に絡みに行っていた2人組。そして、ディスペルだった。2人組はどちらも小柄で、顔が青ざめていた。ディスペルは、自分は悪くない。そんな顔をしていた。



「僕たち、ロナウドに言われて、スカーレット先輩の所に行ったんです。」

「そうです。今ならお近づきになれるって言われて・・、ほッ、本当です。信じてください」



聞いてもいないのに、この2人はペラペラ話し出した。自分たちは悪くない。頼まれてやった。悪気はなかった。こういった事を永遠とだ。


「こう言っていますが、ロナウド・ディスペル君。本当ですか?」


先生の質問に、ディスペルは・・・、


「先生、僕は無実です。ぼくは彼らの事を知りません。クラスも違いますし。それに、ぼくはたまたま、クケルトが滑り落ちる瞬間にそこにいただけです。もちろん、手を伸ばしましたが、間に合いませんでした。ぼくは、何か悪いことをしたのでしょうか?」



2人組は裏切られたことに開いた口がふさがらず、だが、確かに証拠などない。ここに彼を留めておいても、先輩がキレる未来しか見えない。


「先生、ディスペルもこう言ってますし、彼らを帰してください。学習も終わったばかりで疲れているでしょうし」



「・・・君がそう言うのなら、後日、もう一度詳しく状況を尋ねるかもしれません。その時は呼び出しに応じてください。では、帰ってかまいません」



出ていくとき、ディスペルは勝ち誇ったように僕に視線を向けて出て行った。扉をきっちり閉め、10秒


「クソが!!絶対あいつ何かしてるだろう!おい、モリア、あいつ締め上げて来ていいか?」

「剣術の授業が合同であって、ダン先輩に当たったら、ボコボコにしていいですよ」


「いや、お前も怒れよ!」

「こどもなんですよ。ほっときましょう。時間の無駄です。それより、これからをどうするかの方がずっと大事です。」



僕たちがギャーギャー行っている間、先輩がずいぶん静かなのが少し気になったが、それよりも先に、アヴィさんから提案があった。



「明日からしばらく休みなんだよね?」

「はい、3連休です。」

「それなら、その間に枯渇した魔力によりどんな事が起こるのか、検証したい。まずは、今日から明日の昼ぐらいまで、俺は、カーデルの所にいるから。」



今の所、最初にあった異物感もなくなり、特に支障はない。明日の昼にまた来るとの事なので、本日はこれで解散することになった。




ダン先輩は、片付けを放り出してきたらしく戻るとの事、なので、寮までの道を先輩と二人歩いている。あれ以来、口を閉ざしたままだが、大丈夫だろうか?もう一度、先輩のせいではないと言うべきか?その時、足元にすり寄る気配。モアだ!そう思い、見た瞬間、驚いて先輩にぶつかってしまった。


「おっと、どうした?・・モア、またか、クケルト?」

「・・・先輩、モアが、二重に見えます。それも、こっちの姿と、あっちの姿で――・・・」


そう言ったあと、左右ずつ手の平で隠しながらモアを見ると、右側ではいつもの姿で、左側ではあちらの姿で見えた。両目でみると、違う形が重なって見えるので、酔いそうだ。そして、なぜかモアと先輩をつなぐように糸のような物が見える。なんだろうと触ってみるが、手ごたえもなく、触れもしない。これは何だろうと、頭をひねっていると、


「クケルト、どうした?」

「先輩、モアと先輩の間に糸?のような物が繋がっているんですけど、なんですかね?」

「糸――・・・。俺には見えないが、触れるのか?」

「いえ、触れてる感覚もないし触れません。でも、しっかり繋がっているのは見えます。」

「害がないようなら、明日それも含めて医者に伝えておけ。」



わかりました。と言おうとした時、急に先輩が俺の顔を両手で固定して、じっと見つめてきた。


「しぇッ・・、先輩!!」


かんじゃった。顔が赤くなるのを自覚しながら、何事かと先輩を見つめ返す。あッ、ブルーだけかと思ったが、よく見ると瞳の中に花が咲いているようになっている。


「クケルト、俺の気のせいかと思い、先ほどは言わなかったが、左側、瞳の色が変わってきている。」



その後、先輩はやはり戻ろうと、カタルフィー先生の部屋へと引き返し、先ほどあった事、瞳の変化のことを話し、心配なので僕の事を今日、王都にある屋敷に連れ帰ると言い出した。



「なんだったら、アヴィ先生、カタルフィー先生もお越しください。俺はそちらの方が安心です。何が起こるかわからない状態で学園にいる方が危険だと思います。」



そして、あっという間にお泊り決定。学園にはカタルフィー先生が許可を取りに行き、その間に先輩は屋敷に連絡を入れに行った。どこで聞きつけたのか、ダン先輩も行くことになり、僕はいつになったら一息付けるのだろう。




楽しんでもらえますように。

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