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プロローグ

廊下には幽玄な空虚感が響き渡り、床に散らばった紙のかすかな音だけが聞こえた。取り壊し予定の建物としては予想通り、不気味な静けさが空気に重く漂っており、あらゆる角に影を投げかけていた。


俺は重い心で階段を上がり、そのたびに、かつてこの壁の内側で活気に満ちた生活があったことを厳かに思い起こされた。


風が壊れた窓からそよそよとささやき、俺の顔に触れると、背筋に寒気が走った。それは、忘れ去られた過去の響きを運んできた。


最上階に到着すると、俺は立ち止まり、都市の空に広がる景色に目を奪われた。高層ビルと遠くの光の迷路だ。


「......」


放置された屋上の空虚さは、俺の胸の中にある虚しい痛みを映し出し、俺が消えてしまった寂しさの証明だった。


徐々に端に向かって歩いていくと、風が俺の服をはためかせ、俺を引きずり下ろそうとするかのように引っ張った。


一歩一歩進むたびに、深淵はますます広がり、俺は無の縁に立っているかのように感じた。


「もう何も残っていない...俺が持っていたすべてが奪われてしまった。なぜ、俺がこんなになるには何が足りなかったのだろうか?」


言葉は俺の唇からささやかれた嘆きの中で逃げ出し、放置された屋上の広大な空虚の中で、それらは無に消えた。


もちろん、誰もそれを聞いていなかった。でも、心の奥底では、誰か、どなたかに俺の苦しみの深さを認めてほしいと願っていた。


俺が端に立っていると、都市の景色が暗い深淵のように広がっており、その突出した部分が地平線に切り込んでいた。


風が吹き荒れ、忘れられた魂のささやきを運んできた。俺を誘う深淵に降伏するようにと。


重い心と疲れた魂を持って、俺は深淵に身を任せ、その冷たい抱擁に包まれた。一瞬、すべてが静まり返り、すべてが静寂となり、俺は深淵に落ちていった。


しかし、その暗闇の中で、俺は奇妙な平和を見出した。まるで俺が長い間引きずっていた重荷を放り投げ、それを待ち受ける無の中にそれを解放したかのように。


その降伏の瞬間に、俺は心からの安堵感を感じ、俺を消し去っていた痛みと苦悩を洗い流していくのを感じた。


それは、俺が求めていた平和が遠ざかってしまったものだった。騒々しい心の混乱の中

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