10.
「ほら見ろ高、食べながらでもこれだけ細くなれたぞっ」
「前回も見せてくれましたけど……どこら辺りが変わったんですか?」
「ここだ! ここが余計にぷにっとなっていただろう!」
駄目だ、何度見ても全く分からない。
というか、前回のときから細すぎてもうやめろよと言いたかったぐらいだった。
なにが駄目に見えるんだろうか? その細さで悪く見えるなら眼科に行った方がいいと勧めたくなるが。
「細すぎですよ」
「はぁ、お前は女心が分からないやつだな。すごいですねとか頑張りましたねとか、そういう風に言っておけばいいんだ」
「すごいのは普段のあなたですから」
「……私を変態娘みたいな言い方をするな」
だってサチに嫉妬できるぐらいなんだ、すごいとしか言いようがない。
サチだって好き勝手に言わないでくれと思っていることだろう。
なんならこっちの足に座っているサチをどかしてまでしてくるぐらいだし……。
「それよりこれ以上はやめてください」
「ああ、とりあえずは目標を達成できたわけだからな」
「まったく、俺よりしっかりしているはずなのに不安になりますよ」
それこそ俺に言われたくないならやめるべきだ。
やめると言ってくれたからこれ以上は言わないが、また始めるようならまた言わせてもらうだけだ。
「自分の方がしっかりしている、なんて言うつもりはない」
「そこは調子に乗ってくださいよ、『お前よりは上だがな』とか言えばいいんです」
「彼氏を下げてどうする、マウントの取り合いなんて疲れるだけだぞ」
……彼氏って言われて嬉しく感じちまったじゃねえかよ。
こういうところがずるい、そして俺がしたいことだった。
だけどどんなに頑張ろうとこの人をドキドキさせられることはないんだ。
「……悔しいですよ俺、みおにはなんにも影響を与えられないんですから」
「はあ? なんにも影響が与えられないならこの関係にもなっていないだろう」
「……同情とかじゃないんですか?」
「同情なんかするかっ、こっちを向け」
向いたら両頬を両手で挟まれて強制的に目を見ることになった。
こんなに至近距離で見るということはしないからさっと逸らしたくなったものの、そうすることはできずに終わる。
「いいか? 私は同情なんかで付き合ったりしない、分かったな」
「わ、分かりましたよ」
「目を閉じろ」
駄目だ、今日も終始彼女のペースだった。
……一番駄目なのはこれが俺達の形だとかなんとか考えてしまっていることだ。
「あ、たまには高の方が頑張ってくれてもいいんだぞ?」
「……このままじゃ嫌なんで頑張りますよ、俺もみおに同じ気持ちを味わってほしいですから」
「ああ、じゃあ期待して待っているぞ」
それでもいますぐどうこうできることではないからゆっくりしていた。
やはりこっちにいるサチは元気いっぱいでマルと会わせたらどういう反応をするのか気になっていた。




