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第六話 彫り物

「彫り物は、非常に、難しい。掘り師によって違う。からである。これから話すのも、俺が感じたことで。人によって、感じ方が違う。し。彫り方も違う。し。工程も違う。し。絵柄も違う。し。だから俺が話したことは、百パーセント正しい。とは。言えない。

入れ墨。とは違う。・・・又、入れ墨をしている。とは、絶対に、言わない事。彫っている人に失礼になる。彫り物。と。言って下さい。何故か。江戸時代、犯罪者に、腕に、輪を彫った。・・・それが、入れ墨。と言う。犯罪者のレッテルだ。・・・その事で。犯罪者の、悪いイメージが。強い。からである。

手彫り、機会彫り、が有る。現在は、手彫りの彫り師は、殆ど居ない、と言って、良いぐらいだ、時間もかかる。し、彫られる人も、辛い。

彫り師を、先生と呼ぶ。昔からそう呼ぶ。そうだ。だから親分集も、先生と。呼んでいる。て言うか、一目置いている、

何を彫るか相談する。見本は何百も有る。必ず自分で決める。俺は、江戸時代の武将。真田幸村が好きで、古本に、幸村が、敵の大将の首を取る場面が描かれていたのを見つけ、それを依頼した。そして、どの形で彫るかを決める。

肩、両肩、半袖、長袖、抜き彫り、額彫り、胸割り、丸首。

抜き彫り

背中に、絵柄のみを彫る。・・虎一匹とか、鯉一匹とか。

額彫り、

抜き彫りに、構図と言って。雲、岩、波、川、花などを、描く。背中のみ。

胸割り

額彫りに、構図を肩から胸を通ってわき腹を下がり、太ももをかすって、お尻まで回る。前は、首から下、心臓を下がり、へそまで、十センチぐらい開ける。

なぜなら、心臓、胃、へそは、非常に辛いから。

丸首

俺みたいに彫る。首から手首足首まで彫る。

丸首を、どんぶりとも、言う。そして、彫ることを、突く、と言う。痛いときは、辛い。と言う。なぜなら、痛いと言う、言葉は禁句。で。ある。痛い。と。言場を吐いたら、彫れなくなる。心理的に怖がる。からだ。」

「えー。そんなに、種類。有る。んですか。」

「何所が一番、痛い。ですか。」

「うん。誰もがそう。聞く。・・・何所一番は無い。全部痛い。何と言うか、場所、場所で、痛さが違う。基本的には。首、心臓、胃、間接、脇の下、が。辛い。痺れる。と言う。其処で、根性。と言う、言葉が、出てくる。んです。よ。」

「えー。・・・何時間。彫る。の。」

「うん。二時間から、三時間。ぐらい、かな。人によって。違う。・・・首を突かれる時は、顎と耳の裏、うなじが、びりびり痛い。起き上がった事が。有る。何処、突いている。て。そしたら、首下だった。んですよ。・・・脇腹は、格別だ。横になって、腕を頭に上げて其の儘、三時間。堪らない、涙が、自然に、こぼれ落ちる。

そして、心臓、胃、へその痛さは、吐き気がする。ほど、辛い。熱が、胃から食道を通って、のどまで熱くなるから、咳が出る。吐き気をする時が、ある。

そして、関節部。腕の関節の時は、小指と薬指が突っ張って、動かなくなる。膝関節は、又違う。膝小僧はゴツゴツ痛い。膝裏は、引き裂かれるように、ぴりぴり痛い。腕と同じく、足の指先が突っ張って、ふくらはぎが、引き攣る。」

「血が出る。でしょう。」

「ああ。血は、いっぱい出る。バケツにいっぱい。水を汲んで傍において、有る。その水で針を何度も、何度も洗う。んだ。色を入れるときは、頻繁に、水を交換するから、弟子が忙しい。」

「え。弟子が居る。んですか。」

「あ。居ます。彫り師は、集中している。から、じっと、動かない。弟子が、脇でお世話をする。・・・厳しいから、直ぐに居なくなる。逃げていく。一ヶ月、持たない。のが、多い。」

「え。そんなに怖い。の。」

「ああ。怖い。と言うか。・・・厳しい。と言うか。お客がお客だから、・・・一般の人より、やくざな人達。ばかりだから、礼儀作法が、厳しい。掃除、洗濯、お茶入れ、言葉遣い、動作等、等。組織の事務所と一緒。ですよ。」

「そんな厳しい。・・・絵を描いて彫る。ん。でしょう。」

「うん。それも、彫り師によって、違う。押し絵と言って、紙に描いてある絵を、写して彫る、彫り師と。身体に合わせて、自分で描いて、彫る、俺の場合は、彫り師が自分で描いて彫る。描くと言っても、ただ要点だけ記して、模様は描くのと彫るのと、一緒だ。」

「え。花びらとか、描かないの。・・・間違って交差したら、どうする。・・・直せないでしょう。」

「そりゃ。直せない。よ。消せないから。」

「でもね。パパの。何時も、寝ているとき、丁寧に見ている。けれど、間違っていない。の。交差していない。凄い、上手よ。」

「うん。俺の、彫り師は、間違わない。ね。何処か、間違いは無いか。と、探したが、一つも無い。これは見事です。」

「構図も、描かないで、其の儘、彫るの。」

「あ。勿論、描かないよ。」絵を、描いているエリは、どんどん聞いてくる。

「へー。凄い自身持っている。のね。・・・絵柄が、染まっている。ところ。て。どうする。んですか。」

「あ。これは、ぼかし。て。言って。いっぱい束ねた針で。彫る。針はね。二本針、三本針、十本針と有る。場所によって、使い分ける。ぼかしを突く時は、痛いです。よ。十本針で突くから。細かい仕事で無いので、気を使わない。から。一気に突いて行く。普通の三倍、痛い。熱が四十度以上に、上がる。頭が熱くなる位に。終わって直ぐには、立てない。よ。少し休んで立つ。そして、彫った場所を、アルコールを浸けて、手のひらで、こすりながら、墨、色を落とす。これが堪らない。冷たい。痛い。・・・でも、これを放っておいたら、大変なことになる。

だから、落ちるまで何回も擦る。綺麗に落ちたら、フルコート。と言う。火傷用の塗り薬を浸ける。・・・この後の、手入れが大変。三時間過ぎたら、ぬるま湯で、手のひらに石鹸を浸けて、軽く、落とす。ように、何回も挿すって、落とす。なぜなら。傷になっている。ので、血が出るのを、止めようと、血消盤が出て。いる、ので、それが固まらないうちに、ぬるま湯で落とす。完全に落として、乾いたら。フルコートを塗る。それを、三日間続ける。これを怠ると、かさぶた。になって。ケロイドに、なって、せっかくの彫り物を、駄目にする。だから、この工程は、絶対やらなければ、ならない。」

「パパのは、綺麗に仕上がって、いるよ。・・・何時も感心して見ている。・・・何事も、きちっとしている、人は、違います。よ。・・・パパ。・・・ね。」

「でもさ。・・・何日、かかった。の。仕上がるまで。」

「うーん。半年かな。約。毎日、こっちが痛い。こっちが痒い。・・・直るときは、痒くなる。んですよ。これが、辛い。痒いたら、血が出る。し、絵が崩れる。し。だから軽く叩いた。り、氷をあてた、り、扇風機で、煽った。り、お尻のときは座れない。背中のときは、うつ伏せ。胸腹の時は仰向け。になって。寝る。これが大変、知らず知らずに、寝返り打つ。でしょう。びっくりして起きる。鏡を見る。火傷後と同じ、だから、まだ、ぶよぶよしている、んで。触ると痛い。」

「それまでにして。」

「うん。その手入れの、仕方は、知らなかった。んです。よ。痛いのも辛いが。手入れが、もっと辛くて、大変だった。ね。でも、止めるわけには、いかない。し。其処から、根性と言う、言葉が出てくる。日時も、かかるが、金も、かかる。」

「いくら掛かったの。」

「うーん。一千万円。近いね。一DKマンション買える、位。何処にも出て歩けない。仕事にもならない。酒も飲めない。」

「え。お酒も、飲めない。・・・ワインも。」

「勿論。アルコールは、一切駄目。なぜなら、アルコールを飲んだ次の日は、針を刺すと、血が、噴出すように、じわじわ出て来て。止まらない。ふき取れないから、彫る場所が見えなくなる。拭いても、拭いても、仕事にならない。彫り師が怒る。気まずくなる。・・・二心一体。と。言う、言葉が有る。彫り物は、二心一体。なんですよ。」

「えー。本当に、大変ね。・・・感動しちゃう。・・・可愛そう。て。言うか。凄い。と言うか。そんな辛い思いして。彫る。なんて。」

「うん。俺の場合は、全身だから、だよ。・・・背中だけなら、そうでも、ないよ。日時も掛からない。し。」

皆、真剣に聞いている。

「それからね。・・・若い女が、下毛を剃って、別れた男の名前を彫って、くれ、て。又、脇の下の毛を剃って、分かれた男の名前を彫ってくれ。て。女は、大胆な人が居る。性器の入り口に向かって行くサソリを彫る人が、多い。て、」

「え。どうやって彫る。の。」

「あ。周りの毛を全部剃って、彫り師が、中腰になって、女がうつ伏せになって、しりを高く上げて、両足を広げて、お尻を彫り師に預ける。大胆なポーズでしょう。女は、平気らしいですよ。彫り師は、堪らん。て。快感で、わめいて、白い液が、垂れて、堪えて仕事にならない。て。でも、必ず仕上げる。らしい。」

「え。あそこに、サソリ。それも。赤い。」

「うん。写真見たけど、凄い。の。一言。・・・俺も、びっくり。くっきり撮って有る。でも、彫り物は、遡れば、江戸時代初期の頃から、有るみたいで、はっきりしたことは、分らないが、日本の文化。なんだよ。今は、変な目で見る人が多い。けれど、・・・温泉浴場も出入り禁止の張り紙を、して、俺には、理解できない。心の狭い人が、多くなって。」

「そうね。どっちかって言うと、彫り物をしている、人は。やくざな人。て。言うイメージが強い。んじゃない。私達は、パパしか見ていない。から、分らないけど、芸術です。よ。パパ。絵の好きな人には、変な風に見えない。ですよ。」

エリが。

「色の材料は。」

「あー。材料は、黒いのは、墨、墨と言っても、又違う。子供達が使う習字の墨は、細長いの。あれは、膠で固めてあるので、それを使ったら、皮膚に膠を入れる。様なもの。で、呼吸できなくなる。膠と言うのは、接着剤だから。墨汁は、防腐剤が入っている。から、後から皮膚炎症が起こる。俺が入れたのは、松煙墨と。言って。不純物が入っていない墨で、習字の先生達が、個展に出すとき。だけに。使う、高価な墨で、一本。二百万円。した、んだよ。扱いが難しい。乱暴に扱うと折れてしまう。これを機械で刷った。んだが、ゆっくり、一晩かけて刷る。そうする事により、粒子が細かくなるので、綺麗に仕上がる。

色は、エリも分かる。でしょう。絵を描くとき使う、自然で取れた、岩料。です。よ。わざわざ、ニューヨークから取り寄せた、高価な物。らしい。

ですから、膠を入れたり、防腐剤を入れたり、化学薬品の色を入れたりすると。皮膚が呼吸できなくなり、体調が悪くなる。昔は、良い材料が無かったから、身体半分。墨を入れたら、死ぬ。と。言われていた。だから、彫り物も、馬鹿にしては。いけないです。よ。材料と手入れと管理が大変ですよ。俺も、又、十年おきに、色上げ。と言って、色の部分を彫り直す。んですよ」

「又、彫る。んですか。・・・墨にも色々ある。のね。」

「墨のことは、習字の先生に聞けば分かる。し、色は、エリは、良く知っている。でしょう。」

「うん。分る。いろいろあるから、探すのが難しいの。・・その彫り師の先生って、ニューヨークの画材使う。なんて、調べた。ん、でしょう。ね。」

「やっぱり、一般の人には、難しいですよ。・・・パパ。話聞いただけで、出来ないですよ。彫り物は。お金も掛かる。し。・・・芸術です。よ。・・・絶対。」

「そうですよ。・・・彫り師。て。現在、何人位。居る。んですか。」

「あー。何人かな。・・・俺にも分らない。」

「調べるのは、難しいでしょう。ね。・・・何処に居る。か。」

「うん。・・・そうでも無い。かな。・・・全国の親分衆に、聞けば、簡単でしょう。」

「あ。・・・そうか。・・・そう言われて見れば。その道、その道。で。」

「でもね。街仲に、出てくれば、どうかな。」

「私は違う。と。思う、影の芸術。て。感じで良い。じゃ、ない。誰にも出来ない、特殊な技。それに、四ヶ月も六ヶ月も、仕事できないし、お金もかかる。し、かと、言って、少し彫った。んじゃ。いたずらに、見える。し。・・・やっぱりパパが。言っていた、胸、・・・何とか・・・・胸・・・割り。・・そうそう胸割り。全身じゃなくても、首から胸の前、へそまで、十センチ開ける、胸割り。それでないと、彫り物には、見えない。です。よ。だから、一般の人には、無理です。よ。彫れない。」

「この話をする。と、切が無い。・・・でも。俺は、広めたい。です。ね。背中に、彫り物をしている人達。千人位集めて、ふんどしを。かけて、大パーティーを、する。女性も、三百人ぐらい、居た方が、良い。劇団四季の、キャッツ。みたいに。世界に発信、させたいね。」

「えー。パパ。・・・それ。・・・良いわ。よ。」

「ハハハ。無理。だな。集まらない。ね。・・・理想の夢です。よ。ま。そんなとこ、かな。彫り物は。俺も専門的には、まだまだ分らないこと。が。有る。今まで話していた。ことは、自分自身が、感じた。ことだ。・・・このぐらいです。よ。」

四人は、真剣に聞いていた。

でも、彫りたいとは、思わない。そして、人は、自分に出来ないことに、憧れる。自分に、無いものを、ほしがる。芸術感覚は無限で。ある。誰も出来ない。事に、挑戦する。

その昔、有る画家が、人の肌色を出す。ために、卵の白い殻を、すりつぶして、絵の具を作った。その光沢が、今でも、綺麗に残る。と言う。他人と違う発想を、生み出す。・・・真田も、その場、その場。で、他人と違う、発想で、やり遂げて、来た。

「彫り物は、この辺で、終わりに。しよう。」

「はい。パパ。・・・今日は、リエが泊まるから。宜しくね。」と言って。後の三人は、女将さんとこへ行くことになった。

「そうか。じゃ。銀座の寿司屋へ行こう。」時間は、六時を回っていた。

真田は、寿司屋へ電話を入れて、皆で寿司屋へ行った。席が用意してあった。ワインと肴が出てきた。皆で乾杯して、わいわい食べ始めた。

「皆。他の寿司屋へ行って、いる。」真田が聞いた。

「んー。・・・行っていない。」

「でもさ。他の寿司も、食べないと、どの店が、美味しいかね分からない、でしょう。人間。て奴は、マンネリ化すると。分からなく、なる。食べ物は特に、そうだ。」

「でも。他、のは、食べたく、ない。」

「あ。パパ。忘れていた。」エリが突然。

「何よ。びっくり。する。」

「うん。お父さんが、絵を観に行きたい。て。パパが、描いた。絵。観たい。て。」

「おー。そうか。良いです。よ。何時でも。」

「日時は、パパに合わせる。て。」

「うんー。・・・じゃ。来週の日曜で、どうかね。皆で行く事になる。だろう、から。」

「え。五日市の別荘へ行く、の。嬉しい。」

「うん。連絡して良いよ。虎ノ門に朝、十時に」

「はい。電話しておく。」

「あ。そうなると、俺も、山田商店に電話して、蕎麦粉と野菜を仕入れて貰おう。十五人分で良いね。」

「パパ。手打ち蕎麦。・・・美味しかった。・・・楽しみだわ。」

皆で、わいわい話して食べていた。十時ごろ寿司屋を出た。リエが、ずーと、虎ノ門に泊まる。事になっている。でも、リエは、パパを、独り占め、には、出来ない。と言う。皆で虎ノ門に泊まって居た。そして、次の日曜日が来た。真田は、何時ものように、六時に起きて、朝風呂入り、一時間ほど、瞑想していた。皆が起きて来て、コーヒーを飲みながら、待っていた。九時半頃、チャイムが鳴った。玄関を開けた。

「お早う御座います。」八人で出来た。

「真田さん。押しかけて御免なさい。」お母さんと、お父さん達が、ぞろぞろ、入って来た。

「どうぞ、どうぞ。お上がりください。」真田は、お湯を沸かして、コーヒーの用意を済ましていた。女の子達がコーヒーを入れた。応接室に集まった。広いので、全員、入っても、ゆったりしている。

「広いです。ね。」お父さん達は、初めてだ。

「ようこそ。いらっしゃい。」真田は、丁重に挨拶した。お父さん達は、緊張の様子だ。虎屋の袋を出して、真田に手渡した。お母さん達は、娘達と応接間に居る。一服して。お父さんたちは、奥の部屋へ入った

「お。・・・こんなに沢山。」百枚は有ろうか。エリの父が、びっくり。又、三人もびっくり。

「どうぞ。動かしながら、観て下さい。」皆さん。恐る恐る、動かしながら観ている。

「これは。・・・親父が、若いときから、集めたもの。です。私が小さいときから、有ったものです。私も忙しくて、改まっては観ていない。です。・・・十枚ぐらいかな。」

エリの父が。動かしながら観ている。

「お。・・・これは。・・・真田さん。掘り出し物。・・・今話題の。画家。

百号が有った。んですね。・・・それも、十枚有る。なんて。」震えるように、びっくりしている。

「うん。親父が、昔、アメリカへ行った事がある。て。言っていた。から。そのとき買ってきたと思います。時々、玄関に飾ったのを、観た事があります。」

「へえー。・・・保存も良い。し。・・・最近出てきて、今、話題ですよ。」

「そう。なんですか。・・・お父さんに、任せます。よ。」

「え。本当ですか。・・・それは、それは。」父は、頭が上がらなかった。

「お父さんも、そうとう、目利きだった。んです。ね。」

「そうでも無いです。よ。・・・しょっちゅう。騙された。て。言っていました。よ。いろんな、ブローカーが、出入りして、いました。から。でも、良い。おじさんも居ましたよ、俺にお金。くれた。り。」

「そうですかー。・・・でも、これは、素晴らしい。」他の三人も、びっくりした様子だ。

「相当な物。なんです。か。」真田は聞いた。

「はい。・・・まだ。天井が、決まらない。です。上昇中です。」

「お父さんに任せますから、神田のビルに、美術館でも、開けば良い。じゃないです。か。」

「そうですね。」考えている。すると、ミナが来た。

「パパ。時間ですよ。」

「あ。そうか。行きましょう。」真田は、二階に行って、着替えてきた。新宿で、青梅行きに乗って、五日市駅に着いたのは、一時頃だ、バスに乗って、山田商店に着いた。真田が、挨拶に行った。親父が居て、送ってくれる。と。言うので、女達が乗った。男達は、歩いた。門を入って、玄関に向かって、歩いていた。

「お。でかい。」平屋建てで、軒が高いのに驚いた様子だ。玄関に着いた。お母さん達は、先に着いて、わいわい騒いで、いた。真田が、玄関を開けてくれて、入った。

「あら。皆さん。いらっしゃい。」お母さん達が出てきて、迎えた。お父さん達も、家の中へ入った。

「おー。」天井を見た。大きな、囲炉裏があった。リビングと言うか、大広間にびっくり。お母さん達が。つれて歩いて、案内して、いる。裏の風呂場の方へ、行った。

「ほら。川が有る。でしょう。せせらぎの音が、涼しい、のよ。沢から流れる水。だから冷たいのよ。この水を、飲んでいる。んだって。」

「えー。この水。飲めるの。」

「そうよ。あそこにポンプが、あって、汲んでいる。の。アルカリ性。なんだって。保健所の検査も、受けて有るから、安全だ。て。」

「えー。良いわ、ね。自然で。」娘達が、案内している。

「此処は、風呂みたいね。」

「そう。岩風呂。自然の岩で造った。んだって。」

「こんな広い風呂で、一人で、贅沢だね。」

「うん。でも、癒されるから、凄く落ち着く。って。」そして、お父さん達は。奥の部屋へ行った。真田が案内した。此処も広い部屋だ。

「どうぞ。観ていてください。私は、蕎麦を打ちますので」真田は、部屋から、出てきた。お父さん達は、絵を観ている。

「パパ。・・・」四人が来た。

「お父さん達は、絵を観ている。から、俺は、蕎麦を打つ。から、後で手伝って。」

「うん。外へ行ってくる。」女の子達と、お母さん達は、外へ出た。真田は、黙々と蕎麦を打っている。今、二時だから、夕方まで寝かせれば、美味しくなる。

奥の部屋では。

「風景画ですね。殆ど。それにしても、良く描きました。ね。」

「二百枚は、有る。て。言っていました。ね。」

「ん。これは海が、描いて有る。・・・伊豆の風景だ。此処で、仕上げた。んですね。」

「あ。本当に、良く描けて、います。ね。真田さん。て。素質有る。んですよ。」

「そうですね。・・・絵を描く、人は、広い心をね持っている。し、集中力、想像力、物を見る角度が、普通の人と、違う。んです。ただ。真田さん、には、言えないが。画材を変えると、違った感じが、出ます。ね。」

「でも、自己流だから、これはこれで。又、味がある。・・・悪くは無いけれど。」

エリのお父さんは、中々厳しい。やはり描いた人の、心が分かる。ようだ。

「虎ノ門と、此処の絵と、私が集めた。絵を、合わせれば、入場料が、取れる。かもね。」

独り言を言っていた。真田は、蕎麦を寝かして、一段落した。お父さん達も部屋から出てきた。お母さん達は、まだ外に、居る。真田は、囲炉裏に、コーヒーを出して、お父さん達と、囲炉裏を囲んだ。

「いただきます。・・・あー。美味しい。」

「今、絵を、拝見させて、頂きました。どなたに、師事なされました。か。」

「いいえ。誰にも。・・・自己流です。」

「えー。そうですか。良く描けています。ね。ファンが、出てくる。と、思いますよ。個性が、強く出て、います。」真田は。

「とんでも、ございません。私は、心の癒しとして、描いた。だけです。から。他人に見せるような絵じゃ。ないです。よ。」真田は、笑いながら言った。

「いいえ。そんな事。ありません。日展にでも、出して、皆さんに、仰いで頂いたら、どうでしょうか。」エリのお父さんは、本気だ。

「そうですか。・・・お父さんに、任せますよ。」真田も、機嫌良く、している。ようだ。

「良い。んですか。そりじゃ。秋に一点。出展。しましょう。」父も本気だ。

「それじゃ。帰りに、持って行って。ください。・・・ご婦人方は。」真田は、外を見た。

「あ。私らが、探してきますよ。」お父さん達は、外へ出た。真田は時計を見た。五時だ。風呂を見た。山田の親父が、綺麗に洗って、水も入っていた。湯沸しのスイッチを、入れた。二時間掛かるので、丁度良い。真田は、蕎麦が気になった。まだ。早いが、出して、伸ばして居た。

「ただいまー。」お母さんたちが、ぞろぞろ、入って来た。

「あら。蕎麦打ちしている。」皆、真田のところへ寄って来た。

「えー。上手ね。」

「ほら。お父さん達。見て。・・・蕎麦打ち。ほら。太さが揃っている。でしょう。」

「本当だ。真田さん。て。凄い。」父母達は、そば切りを、見ている。ミナ達は、裏の小屋から、野菜を運んできた。

「はい。パパ。天麩羅にする。野菜。」

「お。気が利くね。今、頼もうかと、思っていた。・・・じゃ。天麩羅を、揚げてくれ。」すると、お母さん達が、台所へ入って、天麩羅を揚げていた。お父さん達は、囲炉裏を囲んで、天井を見ながら、何か話していた。真田とミナ達は、皆で、夕食の準備を手伝った。真田は、大きな鍋で、蕎麦を茹で水洗いして、板盛りに、して出した。ビール、お酒、ワイン、ブランディーを出して、グラス、器も出した。準備が出来たようだ。六時だ。真田が。

「皆さん。遠いところご苦労様でした。私の、手打ち蕎麦を、食べて下さい。又、お母さん達が作った。てんぷらも、いっぱい、ありますので、どうぞ、ゆっくりして、食べて。下さい。」皆で食事が始まった。とりあえず、ビールで乾杯した。お母さん達は、蕎麦を食べ始めた。

「あ。本当。・・・本物です。何処で修行した。んですか。」

「これも、自己流です。」

「え。本当。・・・美味しい。」

「お母さん達。さっき。何処かへ、行っていた。んですか。」

「そう。なんです。奥のほうへ。・・・眺望が、よろしいですね。丘があって、其処から見た、秩父連山が。素晴らしい。」

「前の道路も舗装になって、この辺りも別荘地で売り出す。みたいで、騒がしくなりますね。此の儘だと、静かで良い。ん。だが。」真田は残念そうに話した。

「仕方ない。です。わ。真田さん。何処も、かしこも、開発ね。・・・この家も、真田さんの、設計ですか。・・・田舎風な昔造りで、庭も広くて、夏でも、花がいっぱい。咲いて、しだれ桜が。綺麗でしょう。ね。」

「そう。なんです。よ。私が設計して、地元の大工さんに、頼んで、地元の材木を。使って、夏を涼しく過ごす様に、造った。んです。土地は一万坪有ります。・・・あそこの小高い丘の小屋で、花見会を、している。んです。この家を造った人達、三十人ぐらい。集まって、材料は大工さんたちが、全部用意、してくれて。賑やかです。よ。」

「へー。私達も、来年の花見は。此処。ね。」

「良いわ。ね。そう。しましょう。」お母さん達は、決めたようだ。

「真田さん。この家の材料、材木。気になって。いた。けれど、太い材木ばかり。使って、大変だった。でしょう。」

「そうです。ね。大変でした。大工さんと一年。かかりました。其処の庭に、テントを張って。作業した。んです。上棟も十人で、一週間掛かりました。造り方は、大工さんに全部任せて、棟梁も、腕の見せ所だ。て。気合入って。いました。」

「えー。家に入ったとき、天井と言うか、屋根裏と言うか。高くて、凄い。と思った。」

「でも。真田さん。て。この前から、不思議に思う。都会に、住んでいて、庭木の事。とか、この様な家を建てる。とか、自然の事、田舎の事、何でもご存知で。」

お母さん達が、不思議に、思って、いた。

「あ。そうですね。私は、子供のころ、ボランティア団体の、野外活動に、参加していた。んです。父は殆ど家に居ない。母も忙しい。し、だから私を、野外活動を、している、団体に、預けた。んです。幼稚園の年長の頃、私も背が高かったから、二、三年。年上の子達と、活動して、関東近辺は、殆ど行きました。

富士山も、五回。登って、います。田舎の民家に、泊って。田植え、稲刈り、草取り、芋掘り、栗拾い、虫取り、写生、海では、魚釣り、地引網、漁船に乗って魚釣り、スキー、スケート、海で泳いで、サーフィンなど。殆ど体験しています。

土曜、日曜は東京には。居ませんでした。中学生まで。・・・高校に入ってからは、受験勉強に専念していました。その頃から、自然には、触れていません。しいて、言えば、ゴルフだけです。ゴルフは、自然では無いです。遊びです。ですから、今は、子供のころを思い出しながら、充実して居ます。よ。」

「へー。やっぱり。自然育ち。て。言うか。田舎育ち。ですね。私達とは違うと。思った。でも、お金。掛かりますよ。・・・お母さんは、偉い人。ね。」

「子供の頃に、田舎の子供より、体験しています。ね。」

「あ。家の母は。・・・自分が忙しい。から、塾に預けた。だけです。よ。それが、私が、たまたま、自然が、好きだった、から。良かった。んです。ね。」

「そうね。真田さんにも、合っていた。んですね。でも、お金。大変ですよ。」

「子供の時の、育ち方は、大事。ね。」お母さん達は、羨ましく、話している。

「うん。真田さんを見ている。と。伊豆修善寺の、別荘。此処の、別荘。虎ノ門の家。金庫。全てが、結晶よ。過去の。・・・ねー。みなさん。」

「本当です。真田さん。いろんな人を。助けて、伊豆の地主さん。だって。あんなに喜んで。真田さんが、居なかったら、とっくに、死んでいた。て。言っていました。ね。」

ミナ達も、聞いていた。

「うん。あまり褒められる。と照れちゃう。な。・・・でも、皆さんに、お会い。できて、私も、嬉しいです。後は、皆さんで、強い、絆を。持って、生きていけば、自ずと幸せは、着いてきます。此処の四人に、任せましょう。」

真田は、大分ご機嫌のようです。皆さんも、大分召し上がった。ようだ。酒一升。ワイン五本。ビィール。五本。十二時を回っていた。皆で順番に風呂を入って、ミナ達が父母の世話をしていた。父母達は、直ぐに寝た。真田とミナ達四人も、少し話して、寝た。

次の朝。真田は、六時ごろ起きた。ミナ達も起きて、朝食の用意をしていた。

味噌汁と漬物だけで簡単にした。米は、真田が炊いて。あった。

「皆さん。朝食の支度が出来た。わよ。」四人で、父母達を、起こしに行った。

疲れたようで、まだ、寝ていた。起きて洗面所に行って来た。全員囲炉裏の周りに座った。

「お早う御座います。」真田に挨拶した。真田もお辞儀をした。

「夕べは、食べて飲んで、すっかり頂いて、飲みすぎました。」皆、疲れているようだ。

「どうぞ、軽く食べてください」真田は、ご機嫌の様子だ。囲炉裏に味噌汁鍋を掛けて、自分で、お変わりして食べていた。食事を済まして、縁側で、コーヒーを飲んでいる。

「真田さん。この楠木は、元々此処に有った。んですか。」

「あー。ここにある木は、全部、埼玉から、トレーラーで、運んだ。ん、です。」

「へえー。トレーラーです。か。」びっくりしていた。

「材木も、トレーラーで、運んだ。んです。長くて、普通のトラックじゃ、積めなくて。大変でした。」そして、皆、庭へ下りて、西側の小屋へ行った。中へ入った。野菜、庭木の手入れ道具、漬物樽。米、びつ。そして、砂袋。

「真田さん。この砂袋。大分重そうだけれど。」

「え。これは。親父の片身。なんです。私が高校のとき、買ってくれた。んです。二百キロ有ります。吊るしましょう。か。」真田は小屋の真ん中に、砂袋を吊るした。エミの父が、押した。

「お。かなり重い。」皆も、押してみた。真田がやってみた。一メートルぐらい、押して、それを受け止める。だんだん二メートル押して受け止める。

「真田さん。凄い。止めた。」リエの父が遣って見た。受け止められなかった。

「これじゃ。飛ばされます。よ。」真田は、今度は、蹴りを入れた。袋が動いた。

突きを見せた。袋が、ぐらぐら動いた。そして、拳を見せた。

「え。凄い手。だね。硬い。ごつ、ごつ。」真田の手は、平らに広がらない。手の甲に凸凹が無い。平らになって、タコだらけ。ナイフで切っても、痛くない。厚さ五ミリぐらいタコだ。足のかかとより、厚い

「此処に、泊まって居る間は、毎日一時間遣って、人汗流す。んです。」

「普通の人と、違う。んだね。・・・あ。変な意味じゃなくて。ほら。体力、気迫が。違います。よ。」お母さん達は。益々真田を信頼するように。なった。そして小屋を出て、小高い丘に登った。

「昨日、此処に登ったの。ほら。枝垂れ桜が。見事に、垂れ下がっている。上から見る桜って、見たこと。無い。ね。」

「何本あるの。桜の木。」

「そうね。百本。ぐらい。かな。ここ一面に土が見えないぐらい。咲く。から、見事ですよ。何時も、三十人ぐらい来ます。そして、この屋根の下で、バーベキューを、やつて。賑やかです。今年は、子供達が、参加して。」

「へー。良いわ。ね。来年参加できます。ね。テーブルの下に、道具、入っている。の。ほら。」お母さん達は、浮き浮き、している。お父さん達も。

「此処の桜。本当。凄いね。上から、見られる。サクラ。・・・見事だろうな。」

「上から見る桜は、格別ですよ。」真田も、自慢した。お父さん達も。

「じゃ。来年の花見は、此処ですね。」庭木の手入れも、行き届いている。

「皆さんで、協力して、良い人たちですね。」

「そう。なんです。良い人たちで。ですから、一年に百万円。払っています。会の協力金と、家の手入れ、庭の手入れ。など。」

「そうですか。真田さんの人柄ですね。皆に協力して頂くなんて。」

来年は、此処で花見をすることで、丘を下りた。家に入った。十一字を回っていた。真田は。

「皆さん。これからどうしますか。」

「はい。・・・これで、失礼しますので、・・・絵は、預かっていきます。良い、でしょうか。・・・二三枚。預かっても、良いでしょうか。」

「はい。・・・良いですよ。どれでも。・・・何か、恥ずかしいです。よ。」と言って。絵を選びに部屋へ行った。そして。エリの父が、木の箱に、三枚選んで、入れて、きた。皆、帰る支度を始めた。真田は、車を、車庫から出して、いた。ミナが来て。

「パパ。どうします。」

「あ。俺は、明日帰るよ。」

「それじゃ。私達も、明日帰る。」ミナは、中に居る父母達を、呼びにきた。

「お母さんたち。・・・駅まで送るよ。」

「え。車あるの。」

「うん。有るよ。八人乗りの。・・・私達は、明日帰る。の。こっちに乗って。」ミナは、案内した。三人も一緒に出てきた。

「え。大きい車ね。・・・外車。」荷物を積んだ。

「えー。アメ車です。これも、山田商店の親父が、乗り回して、手入れもしてくれる。から、何時着ても、調子が良い。んです、よ。」父母を乗せて、真田は、駅まで送った。皆喜んで帰った。真田は、直ぐ家に戻り。若奥様達とドライブをしながら郊外レストランに行った。帰ったのは、七時ごろだ。

「パパ。疲れた、でしょう。」

「あー、一寸ね。」真田は、ソファーに横になった。若奥さん達は、食器を洗って片づけをして、少し休んだ。九時を回った。真田が起きた。四人とも囲炉裏の椅子で、寝ていた。真田は起こさずに、風呂に入った。身体を洗って、湯に浸かって、いたら。皆で、入って来た。

「パパ。起こしてくれれば、良かった、のに。」わいわいがやがや、久しぶりの広い風呂で、はしゃいで、いる。真田は風呂から上がって、パジャマに着替えてソファーで、横になって、うとうとして居た。四人が風呂から上がってきた。

「パパ。見てー。」真田は目を開けた。

四人は、ショーツ一枚で、並んでいた。すると、一人、づつ、バック転を始めた。此処は広いから、二回続けて。回った。そして、逆立ち倒立。足を広げて、頭を軸に回った。四人とも、真っ白な肌で、風呂上りだから、ピンクに、染まり、見事に絵になる。真田と会って、五ヶ月過ぎたが、以前より、色っぽくなったようだ。男を知ってか、・・・。そんな気がする。真田は、頭の中で、一人呟いていた。

「うん。まだまだ若いですね。ぴちぴち、している。よ。ほら。乳房が、ぷるぷる。・・並んで、見せた」真田は、注目して、見ていた。

「パパ。何見ている。の。」

「うん。誰の乳頭が、大きいか、比べたの。リエが一番、大きいね。後は皆同じ、ぐらいだ。」

「何か意味。あるの。」

「いや。何も無い。でも、乳房は、全員、大きい。ね。」

「そうでしょう。Dカップよ。私達。ねえ。」

「パパ。もう寝ましょう。皆で。今日は、じゃんけんして、勝った人からね。」皆で、じゃんけんが始まった。・・・リエ。ミナ。エリ。エミの、順だ。後の三人は、別の部屋で寝ることにした。

「リエ。早く済ましてね。」ミナが言った。朝まで続いた。真田もぐったりして、鼾かいて寝ていた。

次の朝。四人は、八時ごろ起きた。真田はまだ起きない。四人は起こさずに、朝食の用意を済ましていた。

「パパ。起きないね。・・・誰か見てくる。」エミが行った。

「パパ。朝ですよ。」起こした。目を擦って起きた。

「まだ、鼾かいて寝ていたわ、よ。」

「エミ。・・・最後で、頑張った。でしょう。」エミが。

「うーん。・・・」

「ほら。・・・だと思った。」真田が、起きてきた。

「あー。・・・」ソファーに座った。

「はい。パパ。お粥と味噌汁。梅干、海苔、お漬物。・・・食べて。」

「お。有難う。・・・食べよう。」起きて、食べていた。

「おー。美味しい。上手になった。ね。作り方。」

「でしょう。・・・皆で作った。の。」食事が済んで、後片付けをして、コーヒーを飲んでいた。十時ごろ、出た。山田商店に寄って、親父に代わり、駅まで送って、頂いた。この駅は、始発だから、何時も電車が、いる。

真田は、サングラスを、掛け、帽子を被って一人で座った。四人は、真田と、離れ、前の方に乗った。新宿に着いたら、会う事に、した。真田は、直ぐに寝た。二時間で新宿に着いた。四人は、真田と会って、地下鉄に乗り換えて、赤坂に着いた。皆で、料亭に寄った。女将が一人で居た。

「おーす。」四人も、挨拶した。

「あら。お早う。皆さん、お揃いで。」

「うん。五日市へ行って来た。んだ。」四人は、何時もの席に座った。

「どう。この子達。」真田は、四人の居る前で、聞いた。

「なに。・・・どう。て。・・・あ。それは、それは。みなさん。優秀ですよ。・・・もう。一通り覚えた、みたいで。後は、自分の個性を、活かして、お客の心を、掴んで、気を抜かないで、何処まで、入り込める。か。でもね。・・・この子達を目的の、新客が増えています。の。・・・良いことです。わ。・・・欲を言うと、色気が、今一。ね。」

「そうですか。・・・母さん。色気は、時間が経てば、自ずと、就いて、きますよ。」

四人は、素直な顔で、聞いている。

「良かった。ね。褒められて。・・・でも。リエが、来月から、居なくなる。から。」

「あ。そうね。・・・でも一通りは、できるから、アメリカへ行っても、大丈夫よ。・・・それから、私から、プレゼントが、有るの。着物五枚、琴、三味線、小太鼓、横笛。・・・幸介。其処に、纏めて有る。でしょう。・・・それ。あげる。のよ。・・・記念に。と言うか、片身に。」

「これ全部。」四人も、びっくりして、見ていた。

「え。凄い。リエ。・・・良かったね。」

「うん。・・・有難う。女将さん。」リエは、涙ぐんで、喜んで、いた。

「良い、のよ。持って行って。」

「母さん。俺からも。お礼、言うよ。・・・じゃっ。明日、送ろう。」

「リエ。・・・女将さんと、一緒だと思って、頑張れる。ね。」

「うん。・・・有難う。」

「あら。お昼、まだでしょう。下へ電話して、幸介。私も、まだなの。」真田は、板長に電話した。少し過ぎて、お膳が来た。皆で食べた。真田は、一人で、虎ノ門に帰った。四人は、女将さんと居る。

次の日。真田が、二階に来て。

早速、運送屋に電話して、荷造りをして、手紙を入れて、アメリカへ送った。

そして、押入れから、真新しい。琴、三味線、小太鼓、横笛を出した。皆で綺麗に拭いていた。高級感溢れる代物だ。

「これは、ね。・・・有る。政治家から、頂いた物、なの、高級なので、家宝に、しようか、と、使わなかった。の。・・・でも、良いの。これを機会に、使うわ、エミさん、専用に。」

四人は、ほこりを、拭きながら、高級感を感じた。真田に電話が、入った。設計士からだ。下北沢の、基礎が出来たと言う。

真田は、一番、気掛かりだった。女将と彼女達が、どう馴染むか。だった。旨く馴染んでくれた様で、一番嬉しかった。板長の家の基礎も出来たと言うし、今の所、全て。順調に進んでいる。ホッ。とした。そして、板長に電話した。

「今月二十八日に、上棟式をするから、赤飯、折り詰め弁当、お引き物、三百ぐらい作って、置いて。知人に連絡してください。・・・俺も板長とダブらないように、連絡をする。」真田は、昔の手帳を出して、芸能界、スポーツ界、政財界、会長、社長達に、電話を入れた。 

お祝い会場を料亭内のホテルでする事にして、三百名の、宴会をセットした。都内は、十三日から二十日まで、お盆に入り、静かである。店のほうは、都内に居る。政治家、社長、芸能人など、家族連れで、来るので、営業している。静かで、ゆっくりできる。と言うので、賑やかである。

時は、二十八日になり、真田と設計士と板長は、九時ごろ、現場に行っていた。

厨房は、息子が仕切っている。十時まで、現場に届ける事にしてある。彼女達四人も、一緒に来る。

連絡した人たちが、ぱらぱらお祝いに駆けつけてくれた。板長は、一人一人と挨拶を交わし、宴会の招待状を渡した。真田も、皆と、久しぶりに会った。テントの中に、完成模型が、置いて有る。お客さんが見ている。

「一階の、広い部屋は、和室ですかっ。」真田が説明している。

「そうです。ここは、板長が引退したら、知人を呼んで、食事会出きるように、造ったんです。詰めれば、二十人ぐらい座れますから。これからも、板長をどうぞ御贔屓に、お願いします。」

「えー。それは、良い考えだ。我々も、引退したら、退屈ですから、此処に来て、板長の料理を食べられる。なんて、楽しみです。ね。真田会長が、考えた。の、でしょう。・・・分かりますよ。・・・面倒見が良いから。」

お昼になり、弁当を配り、皆で食べていた。建物は、殆ど建った、後は、細かいところだけだ。ミナ達も、忙しく手伝いをしていた。雨。じまい、をして。三時ごろ終わると言うので、真田は、ホテルに電話した。五時に開場できるように。

「板長。随分大きい、家です。ね。・・・何坪。有りますか。」

「八十坪です。・・・二階が、息子達が住む。ん、です。・・・これも、真田会長が、面倒見て、くれている。んで。・・・有り難いです。」

「そうですか。真田会長も、偉いですね。でも、板長は、親父さんからの、付き合いでしょう。」

「え。会長が、赤ちゃんの頃。からです。」

「会長も、その辺を、考えてくれた。んです。ね。筋の通った人。だから。」

「え。有り難いです。・・・就いてきた、甲斐が、有りました。・・・」

板長は、涙混じりに、お客さんと、話している。現場は、片づけが始まった。真田たちもホテルに、向かった。四時だ。ホテルに着いた。

宴会の用意が、出来ていた。席順は無く、それぞれ好きな席に座った。お客さん。工事関係者を集めて、三百人。真田が、音頭をとって、板長が、挨拶した。

「皆さん。本日は、お忙しい中、お祝いに駆けつけていただき、有難う御座います。この家は、会長から、プレゼント。と言う事で、胸いっぱいです。」

目頭を熱く、話していた。そして真田が。

「本日は、ご苦労様です。・・・板長には、親子二代に渡り、私どもが、ご協力を頂いております。これからは、静養していただき、たく。・・・私の志です。

又、お店の厨房は、二代目が板長として、精神誠意をこめて、頑張りますので、これからも、親父さん同様。御贔屓。くださいます。よう。この場をお借りいたしまして。お願いを申し上げます。」と言って、息子を紹介した。パチパチパチパチっ。

拍手が沸いた。芸能界も来ているので、歌やお喋りで賑わっていた。そして、二代目女将の、エミを、皆に紹介して、歩いていた。二時間ほどで、中締めとなり。宴会は、終了した。真田とリエは、虎ノ門に帰った。三人は、女将さんのところへ帰った。次の日から、アメリカへ行く支度などで、忙しくなった。そして


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