第五話 両親たちを修善寺の別荘に招待
次の日、母と、お昼を食べて、虎ノ門に帰った。そして伊豆へ行く支度をして、タクシーで、伊豆へ向かった。戸田の漁師の家に行った。電話をしておいたので待っていた。辺りは、薄暗くなっていた。
「真田会長。いらっしゃいませ。どうぞ、お入りください。」奥さんと二人、魚料理を、一杯作って待っていた。真田は、何時もの、虎屋の羊羹、十箱、出して。
「はい。お土産。」と、自分が飲む、ワインを出した。
「何時も、何時も。ご馳走様です。いただきます。」奥さんは、にこにこしている。
「何か。有る。んです。て。」
「あー。お客さんが、十二人来るから、地元の人達とで、二十人ぐらいかな。・・・私のお祝い。なんです。少し、踏ん張ろうか。と。俺が、先に着た。んです。よ。・・・大きい鯛を、買うのに。親父と一緒に、市場へ行きたい。・・・良いですかね。」と、言って、今晩、泊まって、明日の朝、市場へ行く事になった。
「あー。良いとも、良いとも。・・・じゃ。一番大きいのを。まかしとけ。俺に。」夫婦は、喜んでいる。・・・会長が、家に泊まる。なんて、思っても見なかった。
次の日。
朝六時に起きて、朝食を食べて、二人は市場に向かった。市場に着いて、あっちこっち歩いている。次々と、船が港に入っている。順番に競りを、行っていた。さまざまな魚が、上がっている。鯛取り専門の、船が入ってきたので、其処へ行った。鯛を入れた箱が、いっぱい並んでいる。
「会長。この辺りが、大きいですね。」八十センチの、鯛をぶら下げた。
「これは良い。・・・これにしよう。」真田は、喜んで、決めた。こんなでかいのは、初めてだ。しかも、生きている。他に色々の魚を買って、別荘に帰った。コック長を呼んで、直ぐ、冷蔵庫に入れた。
「明日になれば、丁度食べごろだ。」漁師は、真田と一緒で、喜んでいた。
「疲れた。ね。コーヒーでも、飲むか。」二人はコーヒーを飲んでいた。真田が。
「明日は。ね。俺の結婚の相手と、結納式、なんだよ。」
「えー。か。・・・会長。の。・・・」
「そう。だから、二人で来て。・・・奥さんにも、言って。」
「は。・・・はい。」漁師は、喜んで帰った。真田は、コック長と、管理人を集めて、明日の打ち合わせをしていた。
「十二時から、一時ごろ、まで着くと、思うから。運転手は、自分で、近くのホテルに泊まるから、良いよ。・・・直ぐ風呂に入れるように、そして、部屋で、休んでもらう、案内は、六時に始まるように、魚、捌きは、漁師を使って良いよ。後はコック長に任せる。私の挨拶が終わったら、乾杯をするから、貴方達も、座ってくれ。人数は、二十人で良いでしょう。だから、五時までは、テーブルに、並べ終わるように、飲み物は、別のテーブルを作って、其処に全部並べて、お客さんが好きなのを、飲んでもらう。氷も一緒で。自由に。
・・・肩苦しく考えないで。良いです。よ。気付いた事が。あれば、後で言ってくれ。」
「はい。分りました。・・・あ。会長。風呂。沸いています。」
「あー。有難う。じゃ。風呂。入ろう。」真田は、朝早くて、疲れていた。此処の風呂の、眺望は、駿河湾を見下ろす、絶景が素晴らしい。真田は、離れの自分の部屋で、休んでいた。
「会長。食事の用意が出来ました。」コック長から、インターホーンが鳴った。
「はい。今、行きます。」今日は、コック長と二人だけ、コック長は、住み込みで居る。
「コック長。貴方が、良く遣ってくれるから、助かるよ。調理場も、きちっと、綺麗にしている。し。最近、植木の手入れも、覚えた。て。」
「あ。はい。管理人さんに教えてもらって。なんとなく。」
「隅々まで、掃除も行き届いているから、お客さんの評判が、凄く良い、ですよ。」
「あ。そうですか。私も、動いていたほうが、楽。なんです。よ。」
「これからも頼む。よ。明日のお客さんは、末永く付き合う。人達だから。覚えてもらいたい。良い人達ばかりですから。宜しく。な。」
「はい。・・・任してください。頑張ります。」真田は、明日の事。やら、今後の事。など、話しながら、十時過ぎた。
「明日、忙しいから、休もうか。」
「はい。お休みなさい。」コック長は、後片付けをして休んだ。
此処の別荘は。知人たちの会員制で、一日一組。七八人位で。自由にゴルフを遣りながら、食事付きで。泊れる。
次の日、快晴。真田は、朝風呂で、駿河湾に上る、太陽に手を合わせ、今日の祝賀を祈った。六時に起きて、朝食を取っていた。管理人が来た。
管理人とは、このゴルフ場の、元々の地主で、隣に、二百坪の、豪邸に住んでいる。詐欺に遭って借金を負わされていたのを、真田が、助けてあげた、そして、今は、此処のゴルフ場の管理を全部任せている。家族みんなで、勤めているので、一年の給金は、一千万円払ってある。だから、真田も、安心できる。
「お。お早う。早いね。」
「お早う御座います。」
「今日は、頼むよ。」真田は、食事を済ませ、皆で、コーヒーを飲んで、話している。
「今日は、清清しく、気持ち良い日。だね。」
「そうですね。会長。此処のオープンの時も、このような日でしたよ。」管理人が、言った。
「そうそう。良い日だった。あの時も。」三人、なんとなく、そわそわしている。管理人の家族も、皆来た。奥さん、息子、嫁さん。
「お早う御座います。・・・会長。おめでとう御座います。」と、ご祝儀袋を出した。
「あー。良いよ。て。言った。のに。・・・有難う。」真田は、気持ちよく受け取った。
リリリリリリ。電話が鳴った。
「パパ。ミナです。今。海老名インターだから。・・・このバス、快適よ、豪華リムジンバス。皆、喜んでいる。・・・又後で電話する。」
「うん。蛯名だって。・・・着くの、早いかも。」コック長は、軽い食事の用意をしていた。
「お早う御座います。・・・おめでとう。御座います。」漁師夫婦が来た。ご祝儀袋を出した。
「あ。そんな事。しなくて良かった。のに。有難う。」真田は、気持ちよく、受け取った。そして、皆で、掃除、準備に取り掛かった。八時だ。着々と、進んでいた。十一時頃、テーブルに、軽い昼食の用意も終わった。コーヒーを飲んで、休んでいた。リリリリリリっ。電話が鳴った。真田が出た。
「ミナよ。・・・三十分位で着く。て。運転手が、言っている。じゃ。」
「うん。三十分位で着く。て。」皆、慌てて、着替えた。そして、管理人の親父が、玄関で、立って待っていた。車が、玄関横付けに、止まった。
「お疲れさまー。お待ちしていました。どうぞ、こちらへ。」と、案内した。真田は、ロビーの、真ん中に、立っていた。
「いらっしゃいませ。ご苦労様です。真田です。ようこそ修善寺へ。どうぞこちらへ。」ソファーに、案内した。管理人の嫁さんが、コーヒーを入れてきた。
「お疲れ様です。」コーヒーを出した。十二人、全員座った。真田は、奥の正面に、立った。お父さん達は、真田よりの、右手に並んで、座った。少し過ぎて、ミナが。
「皆さん。本日は、私達のために、ご苦労様です。今、着いたばかりで、そわそわして、います。・・・これから、お父さん達の、自己紹介をします。・・・お願いします。」ミナは、立っていた。そして、真田よりのほうから。
「初めまして、リエの父です。この度は、娘達が、何かと、ご迷惑をおかけしている。のではと、心配しています。本日は、お世話になります。」
「初めまして、私は、ミナの父です。唐突のお話で、戸惑っています。でも、良い方向に、導いてくれる。ものと、期待しています。」
「初めまして、エリの父です。真田さんとは、店に見えた時、お会いしている。と思います。この度の、娘の事は、あまりにも突然なので、びっくりしています。娘達から、経緯を聞きました。しかし、私は、戸惑っています。でも、娘達の希望が、叶えればと思い、此処に来ました。」
「初めまして、エミの父です。私も、突然ことで、びっくりしました。赤坂の店には、何度か、お邪魔しています。女将さん、コンパニオン達、チーママ。皆さん、気品が漂う人達ばかりで、自分の娘も、このように出来たら、良いだろうな、なんて、男心を感じたのを、覚えています。ですから、エミが、まさか、あの店の女将。とは。心配です。」と、四人のお父さんの挨拶が、終わりました。真田は、一人、一人に、お辞儀をして挨拶しました。そして、真田は。
「真田幸介と申します。本日は、皆さん、お忙しい中、ご足労頂き、本当に、有難う御座います。・・・」
皆、気が、張り詰めているようだ。真田は、気を使い。
「昼食、まだでしたら、ご用意して有りますが、いかがでしょうか。」すると、ミナが。
「はい。車の中で、済ませてきましたので、大丈夫です。」真田は、気を、緩めようと。
「じゃ。コーヒーお代わり、お願いします。」と、言った。隅に立っていた、管理人の嫁さんが、直ぐに、お代わりを注いであげた。
今日の真田は、緊張しているようだ。お父さん達の顔を見ると、この野郎、と、言っているように見える。それもその筈、真田と同年代である。真田は、娘達だけ、目的でない事を、告げたい一心で、頭の中が落ち着かないのである。こんな事、今まで初めて、である。・・・何とか心を落ち着かせた、真田は。
「私事で恐縮ですが、十年前、警視庁から、組織の解散に追い詰められ、解散を決意したのです。その時、国税局も入って。多額の税金を、支払い。現。財産が残りました。しかし、今後の人生を考えると、私には、必要としない物だと、思うようになり、誰かがこの財産を、受け継いでくれる人は、居ないもの、かと、方々を探しました。そして、何人か紹介されましたが、転売されては、元も功もない。もっと、しっかりした人を、四、五人位で受け継いでくれる人達を、探していたのです。が。私を警戒して。中々、見つかりませんでした。
十年が過ぎ、・・・諦めていました。その時、出会ったのが、この子達、四人でした。
山で迷い。私の別荘に、三泊しました。その時、四人の行動を観察し、話を聞きました。幼稚園の頃から、ずっと一緒で、親達も親戚みたいに、付き合って、いて、そして、ミナを、お姉さんのように慕って、お互い、善し悪しをはっきり言って、それを素直に聞き入れている。又、一番気に入ったのは、ブランド物を身に付けていない事です。親のすねをかじって、買いあさって居る。のが、普通なのに、エリのデザインした服を、皆で着ている。素晴らしい事です。そして、四人の選択した道に、将来性を感じたのです。なぜならば、文学、文芸、音楽、政治経済。これだけ揃っていれば、この財産を持ち堪えることが出来る。と、私は判断しました。そして、その旨を話しました。何日が過ぎて、詳しく聞きたいと言ってきましたので。私は、詳しく説明しました。その後、四人で引き継いでも良い。と言うので、私は、両親の承諾を頂きたい。と、言って、今日に至ったのです。此処までが、なぜこの子達が、と言う、経緯です。
先程も、申しましたが、人生で、政治経済は大事だが、それを支えるのが、文化、芸能、芸術ではないかと考えます。更にチームワーク、団結力が、発展の原動力である。此処におられる皆さんは、それを備えて、いる。と、私は確信したのです。なにとぞ、遊びではないことを、ご理解頂き、今後の事を、宜しくお願い申し上げます。長くなりましたが、挨拶に、代えさせて頂きます。」
真田は、お辞儀をした。お父さん達は、納得したような、しないような。・・・頷いていた。
「真田さん。財産を全部、この子達に上げたら、自分は大丈夫。なんですか。」
エミの父が、聞いた。
「はい。私は、スペインの、ある町に、投資してあります。ので。その街に移住すれば。殆どお金は、要りません、家も有ります。それなりに、利息も入ってきます。ですから、私の老後は、心配ありません。」
「でも、前妻の子供さんも居る。んでしょう。」と、ミナの父。
「はい。前妻とは、子供の将来の事で離婚しました。今は、国の、外交関係の仕事をしています。嫁さんも同じ仕事をしています。財産も、前妻が納得するだけの財産は、上げてありますので、現財産は、放棄しています。から、心配はありません。」
皆は、なんとなく、ほっとした様子だ。相続問題に、巻き込まれたら、大変だと、案じていたらしい。雰囲気も、柔らかくなったようだ。真田は、
「皆さん。夕方、六時から、私の志を用意して有りますので、まだ時間が有りますから、庭へ出て、くつろいで、頂きたいと思います。」真田は、離れの部屋へ行った。皆は、外へ出た。
「お。良いですね。・・・あそこが、駿河湾。あ。富士山も、くっきり見える。・・・下が、ゴルフ場。高低差が、あって、楽しそうだね。」
「うん。確か。九ホール。て。聞いた。わ。でもね。各ホール。長いらしいよ。ロングホールが、八百メートルとか。ショートが、三百とか、言っていました。よ。」
「そんな距離じゃ、私は無理だ。わよ。」
「こういう人達。て。普通じゃ、つまらないから、色んなこと考えて、楽しく、くつろいでいるのよ。」
「でも良いところ。ね。都会の喧騒から離れて、毎月、二泊三日位。良いわ。ね。」
「そうね。・・・そうしよう。」お母さん達は、自分達の物のように、その気になって、いる。皆は、外や、ロビーで、寛いでいた。離れに居た真田に、インターホーンが、鳴った。コック長だ。
「会長。用意が出来ました。」横になって、休んでいた。
「お。もう、こんな時間か。・・・分った、今。行く。」真田は、支度して、でた。
「お。良いね。真ん中に、鯛のお造り、ヒラメのお造り、伊勢えびのお造り、・・・あとは席順。対面に、しようか。向かいが、父母達八人、漁師夫婦二人、・・・・こちらが、子供達四人、管理人達四人。俺と、コック長で、二十人。
コック長、進行役。管理人の親父に、乾杯の音頭。頼む。あとは、金のお猪口に乾杯の酒を注いでおいたほうが、良いねっ。うん。これでよし。・・・コック長。いろいろ気を配って、上げて。ね。」
「はい。・・・あ。会長。飲み物は、このテーブルで。」
「あー。そこで良い。ラベルを見えるように。・・・これでよし、皆を呼んできてくれ。」コック長が、呼びに行った。
皆さんが入って来た。真田は、一人一人に席を指示して、座って頂いた。そして。四人のお父さんに、それぞれ祝儀袋を手渡して。
「私の志です」
袋の中は、二百万円の、小切手が入っている。(結納金)と、書いて、小切手で申し訳ありません。と、記してある。札束だと、気使いすると思い、小切手にした。そして、全員座って、落ち着いた。コック長が司会する。
「本日は、東京から、お出でくださいまして、有難う御座います。本日の、案内役をおおせ使った、コックをしている者で御座います。只今より、本日お見えになったお客様と、真田幸介の、祝賀パーティーを執り行います。・・・真田様の挨拶、お願いします。」真田が立って。
「えー。本日は、私事の為に、お忙しい中、ご足労頂き、本当に有難う御座います。スピーチは、乾杯を終えてから、話したいと思います。」
コック長が。
「それでは、管理人さん。乾杯の音頭をお願いします。テーブルに、金の、お猪口が有ります。お酒が注いで、ありますので、ご用意を、お願いします。」
管理人が立って。
「此処のゴルフ場の管理を、任されているものです。今後とも、宜しくお願いします。真田幸介と、四人のお姉さんと、ご家族の、益々のご発展を祈念いたしまして、乾杯。」パチパチパチパチ。拍手をして、宴会が始まった。コック長が、テーブルに被せて置いた紙を、はがして集めて、いた。
皆さんが、テーブルを眺めて、びっくりして、いた。大きな鯛と、ヒラメ、伊勢えびの、お造りが、中央に、どんと構えていた。飲み物は、テーブルから、セルフだ、娘達が、ホステス役をしている。
「真田さん。・・・この魚。なんて言うの。」お母さん達が、箸で、取ろうとしている。
「あ。それは、鯛です。」真田は、嬉しそうに答えた。
「えー。鯛。・・・こんな大きい。んですか。初めて見た。・・・こんな大きな鯛。こちらは。」ヒラメを見て。
「はい。ヒラメです。」
「えー。ヒラメ。て。こんな大きい。んですか。・・・こちらの伊勢えびも、大きい。ねー。・・・美味しいー。コリコリ。プリプリ。美味しい。ねー。」お母さん達は、喜んで、頬ばって居る。
「えー。私が、二日前に来て、あそこに居る、漁師さんと、二人で、市場を回って、探してきた。んです。」
「えー。それは、それは。ご苦労様でした。素晴らしい。美味しい。本当に美味しい。」真田は、褒められて満足している。
「お母さん。今、アワビを炙っていますから。」
「え。アワビの、炙り。・・・美味しいの。よ。・・・でも高くて、食べられなかった。のよ。たまにしか。・・・・好き、なんだけど。」
「そうですか。今日は、いっぱい有ります。から、食べて、ください。」
炙りアワビが、出てきた。
「どうぞ。」大きな箱に、山盛り。十匹は有る。コック長は、配っていた。
「美味しい。柔らかくて。プリプリ。・・・美味しいー。」
お母さん達は。大はしゃぎで、飲んで食べていた。お父さん達も、小さな声で、喋りながら、飲んで、食べている。真田が立って。
「わたくしより。皆さんを、ご紹介します。御指名された方は、立って、顔を見せてください。宜しくお願いします。
それでは、管理人さん、四人。此処オープン以来、ゴルフ場の芝生、植木の手入れ、建物の管理、お客の予約など、全て任せてあります。従って、この人達と仲良くしないと、予約は取れません、隣の豪邸に、住んで居ますので、明日でも、見に行ってください。次に、コック長。フランス料理専門です。チップを弾むと、美味しさが違います。そして、猟師さん夫婦です。戸田港で、漁業を営んでいます。奥さんは、魚屋さんを経営しています。此処で食べる魚は、全部ご夫婦の、魚です。仲良くしていると、美味しい魚が、食べられます。
それから・・・エリさんのご両親。青山で、画廊を経営しています。それから、
リエさんの、ご両親は。俳優、女優さんです。そして、エミさんのご両親。お父さんは、国会議員です。お母さんは、第一秘書です。それから、ミナさんの、ご両親。一部上場会社の、社長です。
それから、エリさん。芸大卒業、デザイナーを目指して頑張ります。
リエさん。音大卒業。ジャズ歌手を目指して頑張ります。
エミさん。政治、経済大学卒業。赤坂の料亭を、経営します。
ミナさん。文学科卒業。出版社を経営します。
又、この子達。リエさん意外は、自分の仕事をしながら、大学院に進み、益々勉強します。又、リエさんは、ジャズを勉強する為、アメリカに行きます。それぞれ、頑張り屋さんです。
以上です。お聞きのように、此処におられる皆さんは、様々な職業の方達ばかりです。又、その道、何十年も積み重ねた人達ばかりです。お互い、良いところを分け合って、力を合わせて、末永く、此処のゴルフ場を、盛り上げて行ってほしい。と、願っています。これからも宜しくお願い致します。」
パチパチパチパチパチパチ。大きな拍手がやまない。一時間が過ぎた。皆さん、それぞれ席を、動き出した。真田と、お父さん達が、お母さんと漁師、管理人が固まった。娘達は、ホステス役で、そっちこっちと、お酌をして回った。
何と言っても、一番嬉しいのは、主役の、娘達である。未来の事は、まだ、分らないが、遣り甲斐がある。全力を尽くす覚悟は決めていた。両親達も、盛り上がっている。
「それにしても、随分財産を、増やした。んだ。ね。」
「あ。これは、増やしたと言うか、何と言うか、夢中で動いていた。から。実を言うと。分らなかった。んですよ。警察のメスが入り、国税局が入り。それから、後輩の計理士を頼んで調べたら、数字が出てきて、自分もびっくりした。んです。よ。・・・銀行も何箇所も、有って。・・・中でもNTTの株は。残してありますので。」
「え。そんなに分らない程、有った。んですか。」
「はい。結局、此の儘、行ったら、政財界、芸能界、スポーツ界に、捜査のメスが入って、マスコミの、餌食になって。しまう。・・・だから、解散しろ。て。警察が。言ってきた。・・・解散とは、此の世界では。死ね。と言う事。なんでよ。代々繋いで来た。組織だ。し。一人では決められない、迷いまして。ね。」
「そう。なんですか。解散とは。・・・会社で言えば、倒産。でしょうから。ね。それは、無理な話だよ。負債抱えて、いる。わけでもない。だろう。から。」
「当時は、若い者が、五百人。居ましたから、困りまして。ね。・・・・若い者の就職先が、先決ですから。だから、都内の某組織に頼んで、若い者の行き先を決めてから、警察と談判しました。
警察は、各界と、私が絡んでいた。事を、マスコミに、流されたら、警視庁の面子にも、係わる。し。体勢の甘さ、政財界、あらゆる人に迷惑が係ることに。なる。真田が決断すれば、全て丸く治まる。頼む。と、言う。・・・何回も話し合って、私も、何百人も助かる。と言うので、腹を括った。んです。・・・財産にメスは入れないが、ただ、脱税分は。請求行くよ。ご存知の通り、縦割り行政。だから、そっちは、国税局だ。と、言って来た。・・・そして、何百億も。払いました。ね。」
「えー。そんな事。ある。んです。ね。・・・考えてみれば、政財界、企業だって、頼みにきた、ん、でしょう。真田さんの人格に頼って。・・・それで私腹を肥やした。人も。沢山居る。わけですよ。ね。企業だって、ゴルフ場なんか、特にそうですよ。大勢の地主を纏めるには、会社の人間じゃ。出来ないです。よ。」
「それは、大いに、有り、ですよ。当時は、ワンマン社長が、多かった、から、総会で叩いて、辞退させる。株取引だって、あまり厳しくなかった。から、平気でインサイダーを。遣っていました。よ。私らも。でも、嘘の情報ばかりで、多くの人は、騙されましたよ。・・・私も、その一人ですよ。ハハハ。」
「そうですよ。引っかかりました。よ。皆。」
「私の場合は、騙された事は無い。ですよ。会長。社長じきじき。ですから。・・・金庫に株券がいっぱい。入っていますから、私が、居なくなったら、ゆっくり調べて、ください。」
「そうかー。インテリー。だった。んだね。真田さん。・・・知能集団、髪を伸ばし、スーツ、ワイシャツ、ネクタイ、時計、靴、全て、ブランドで固めて、髪伸ばして、いても、直ぐに分りました。よ。・・・でも、皆、紳士でしたよ。・・・中身もね。勉強していた。よ。あの人達は。」
「そうでした。よ。私らも、パーティーが多かった。から、殆ど来ていました。ね。・
・・その道の人。」話は、盛り上がっていた。真田は、真剣な顔して。
「娘さんたちの話をしたい。んだが。」お父さん達は、座りなおした。
「ミナさんとエリさんは。神田に三十坪の土地が有って。其処に八階建てのビルを。建てます。一階に、画材売り場と印刷所を造ります。二階三階が、半分。づつ、絵画展示場、アトリエ、事務室、校正室、四階、五階、六階は予備校として、賃貸します。七階、八階は半分。ずつ、住まいを造ります。
リエさんは。ジャズ歌手になりたい。と言っています。ので、アメリカの、ドリス・ティーさんに、内弟子として、お願いしたら、OKを頂きましたので、九月に、アメリカに送っていく事に。なっています。日本に帰ってきたら、虎ノ門の家を、リエさんの住宅として使用してください。
エミさんは、赤坂の料亭を、経営したい、と言うので、私のお袋と面接をして、OKを、頂きました。ので、女将として、頑張っていただきたい。と思います。住まいは、二階にあります。
只今申し上げました事を、四人で力を合わせて、やり遂げる。と言う事なので。お父さん、お母さん達のご協力が無ければ出来ません。私からも。絶大なるご協力をお願いします。又、リエさん意外は、大学院に進むようなので、両立で大変だとは思いますが、若いから大丈夫だと思います。
又、授業が空いているとき、リエさんはアメリカに行くまで、赤坂の店を手伝って頂きたい。お袋が元気なうちに、習い事、いろいろなこと、手ほどきを受けて頂きたい。良い先生が居ますので、必ず身になります。リエさんは、アメリカに行った時、役に立ちます。
私が居る間は、徐々に話しますが、財産の配分は、皆さんで話し合って、考えておいて下さい。この事はまだ時間がありますので、私も考えておきます。これからは、新たに、堅固なスクラムを組んで、娘さんたちに、ご尽力を貸してください。長くなりましたが、失礼します。」真田は、深々と、深々と、頭を下げた。
又、スッキリしたようで、嬉しいようだ。お父さん達は、真剣に聞き言っていたが、嬉しいのと、大変なのと、ごちゃごちゃに、なっている。
「そうですか。あの女将さんの指導なら、娘達は必ずプラスになります。良いこと尽くめ。です。」エミの父は喜んでいた。
お母さん達は、ゴルフと魚の話で盛り上がっていた。
「今度、船に乗って漁に連れていって、下さいね。・・・約束よ。」
「ゴルフのコンペも、遣りましょう。秋が良いかもね。涼しくなってから。」
「今度は、忙しくなりますわ。・・・お魚とゴルフと、毎月来たいわね。」
「はい、はい。どうぞ。お待ちしています。」
「今日のお魚美味しかった。伊勢えびのお刺身、丸焼き。鯛、ヒラメのお刺身。アイナメの煮付け。アワビのお刺身、炙り焼き。アサリのお吸い物。こりこり、歯ごたえがあって、プリプリ。・・・お腹、一杯。やみつきに、なりそうですわ。」ミナのお母さんは、大分魚が好きそうだ。管理人が。
「明日の朝、散歩しながら、私の家に来ませんか。・・・朝食を用意しますので。
お父さん達も、一緒に。」
「本当。・・・行きます。全員。」
「いろいろと。・・・お世話になります。」
娘達は、父母達が、喜んで、くれている。の。暫くぶりで見た。自分達はあまり、はしゃがないように、気をつけていた。エリが。
「じゃ。私達も行く。」全員で行く事に決めた。時間は、十一時を回っていた。
ミナが。
「もう、そろそろお開きに、したら、どうでしょうか。」お母さんに言った。
「あら。もう、こんな時間。・・・すっかり忘れていた。そうしましょう、真田さんに伝えて。」ミナは、真田に、言った。
「あ。・・・そうですか。」真田は立って。
「皆さん。宴、たけなわのところ、この辺りで、手締めとさせて頂きます。」と、挨拶した。パチパチパチパチパチパチ。拍手で手締めとなった。コック長が。
「皆さん。お風呂は、この奥にあります。十人位入れますから。・・・お部屋は、二階に娘さん達。三階にお父さんお母さん達を、用意してあります。ドアーに、名前を書いてありますから。ゆっくりお休みください。」
皆は。真田に、一人、一人、握手を交わして、ロビーに集まった。漁師夫妻は、奥さんが運転して帰ると、挨拶して帰った。管理人も、明日。待っています。と、言って、帰った。父母達は、一緒に、風呂入ると言って、八人で風呂へ行った。
真田と、四人は、ロビーで話して、いた。
「どうでした。」
「パパ。大成功よ。・・・だって。初めて会って。お父さん達と。・・・初めて会ったにしては、打ち解けて話していたみたい。だし。」
「それはそうよ。・・・此処へくると言う事は、OKと言う。事だから、開き直っていたのよ。・・・その辺りは、紳士ですよ。」
「でも。パパの方が、全々、若いから。びっくりした。んじゃない。十歳は違う。く、見える。もん。」
「おい、おい。・・・失礼だよ。お父さん達に。」真田は、満更で無い、様子だ。
「でも。パパって。凄い。・・・・あの魚。鯛、ヒラメ、アワビ、伊勢えび。大きい。前の日に来たけれど。魚を買う為、だった。んだ。そう言う考えが。・・・違うのよ。・・・普通の人と。又、好きになっちゃった。」
「パパ。私達のお父さん達。どうだった。」
「うん。・・・やっぱり紳士だね。相手を見て、失礼の無いように、話している。・・・人を憂える心。を。感じたね。それが一番大事だ。君達も、お父さんを尊敬しなくちゃ。これからも、何があっても、お父さんが一番、力になる。んだよ。」
真田は、お父さん達と、あまり口を利かない事を、知っていたから、強調して付け加えた。
「そうね。今までは、あまり話さなかった。ね。・・・でも、心では思っている。のよ。」
「思っている。だけでは。・・・明日からは、思っている。だけで、なく、積極的に、話し合って、気楽に付き合って、いかないと、お父さん達も、可愛そうだよ。・・・やっぱり、頼られると嬉しい。もんです。よ。」と、真田は、離れに行った。
がやがや声がする。お母さん達が風呂から上がってきた。四人も、荷物を持って一緒に部屋へ行った。遅いので、皆寝た。
次の日、
七時ごろ。皆、ばらばらに、おきてきた。自分でコーヒーを飲んでいた。全員起きたようだ。八時になった。
「じゃ。皆、行きましょうか。」誰か、なんとなく、言った。全員で管理人の家に向かって歩いた。玄関、出て、左、西へ歩いた。大きな、お城の屋根が、見えた。
「あれじゃない。・・・大きな家。・・・豪邸。」
「お。凄い。和風造りだ。・・・お城だ。百坪はある。」
辺りを見回しながら、歩いている。門があった。
「あ、門だ。凄い。大きい。」門のベルを押した。門は開いていた。引いたら開いたので、皆で入った。奥さんが、家の方から走ってきた。庭も広い。
「いらっしゃい。どうぞ。夕べは、どうも、・・・家の人も起きて、待っています。よ。」奥さんは、嬉しく迎えている。広い庭だ。玄関に着いた。奥さんが玄関を開けた。
「どうぞ。お入りください。」皆びっくり、八畳ほどの土間だ、石を張ってある。旦那が出てきた。
「いらっしゃい。・・・どうぞ、上がって下さい。どうぞ。どうぞ。」
皆は靴を脱いで。
「お邪魔します。」幅、四メートルの廊下。入って右に、和風のリビング。繰上げ天井だ。今は殆ど見られない、銭湯で見た天井だ。長いテーブルに、ご馳走がいっぱい並んでいる。皆、びっくり。
「こんなに。ご馳走並べて。」お父さん達は。
「私達は、家を見せて、頂いて、よろしいですか。」
「あー。はい。見せるほどでも無い、ですけれど。・・・どうぞ。」案内した。玄関入って左の部屋。十二畳の、座敷が、四部屋続きで、天井が、リビングと同じ、繰上げ天井だ。奥には、床の間。奥行き、一軒、幅二間半。
「わー。広い。宴会場だ。」裏にも、八畳三部屋、納戸、トイレ、風呂、台所。二階には、八畳、六畳が四部屋、納戸、全てゆったりしている。すると、二階から、子供二人が降りてきた。
「お早う御座います。」皆に挨拶した。
「お利口さんね。」お母さん達は、一万円。づつ、上げた。
「どうも有難うー。」喜んで、台所へ走っていった。皆は外へ出た。
「此処は、庭園、ですね。広々で。」
「はい。千坪有ります。様々な太い木を集めた。んです。桜、梅、楠木、霧島ツツジ、コブシ、白モクレン、赤モクレン、サルスベリ、カエデ、黒松。紅葉、白樺、」
「へえー。凄い、二十メートル、あるね。この黒松。高さといい、枝振りが、見事に釣り合って、手入れも、大変だ。」
「えー。私が、全部やります。・・・息子も好きで、遣ってくれるから、楽しみです。」管理人は、喜んでいた。
「自分で手入れ、できないと、人頼みじゃ、持ち堪えられない。て。聞いています。よ。お金がかかって大変だ。って。黒松は、特に。」
「そうです。庭師は、ここでも、居ないですからね。・・・家に入りましょう。」
皆、家に入った。お母さんと、娘達は、お茶を飲んでいた。
「凄い庭です。・・・びっくりしました。」お父さん達は、満足して、帰ってきた。座って、お茶を飲んでいる。嫁さんと、子供達が、座って、挨拶した。
「先程は、心遣い有難うございました。」嫁さんは、姑に、小遣い頂いた事、耳打ちした。
「あらあら。本当。お小遣い。頂いて、有難う御座います。・・・皆さん。食べてください。家で取れた物。ばかりです。」野菜料理がいっぱい、漬物、お浸し、山菜、イチゴ、みかん、などなど、いっぱい出して、くれた。すると、旦那が。
「真田さんは、私達家族の、命の恩人。なんです。三十年前、此処にゴルフ場を造りたいと言う人が来て、共同経営で、遣りませんか。と言う話が進んで、工事が始まって、一年。その会社が、資金繰りに詰まって、私達が保証人になって、二十億円借りた。ん、です。十八ホール造るはずでしたが、九ホール、未完成のまま、クラブハウスも、コンクリートむき出しのまま、二ヶ月立っても、何の連絡も無いので、東京の会社に行った。んです。会社には、変な人達がいっぱい居て。
「丁度良かった。お宅が保証人か。」と言われて、私は、は。と思った。んですが、どうしようもなく、その人達に連れて行かれました。○○組みと言う看板が掛かっていて。そこで、話を聞かされました。ゴルフ場が、この人達に譲り渡って居る。と。言う。
「どうしますか。保証人様。」と、怒鳴られて。今日は、此処に泊まって、明日、一緒にゴルフ場へ行くという。次の日、此処へ来た。んです。・・・結末は近日中に、此処から出て行け。と。言って、帰った。んです。私達は、子供が小さくて、三人居た。んです。その頃、銀行も乗り気で、この家が古かったので、金を貸すから、家を建てたほうが良い、と言ってくれて、私も、その気になって、一億円借りて、この家を建てた。ん、です。ですから、この家を出て行っても、借金が残ります。し、保証のお金など。払える訳有りません。
一ヶ月が経ち、黒塗りの車、五台で来ました。例の人達でした。また書類をいっぱい見せ付けて、後一週間で、出て行かなければ、強制的に追い出す。と言って、帰って行ったのです。私達は、相談する人も居ないし、どうすることも出来ない。皆で自殺しよう。って。本気で考えて、家は燃やせないから、あそこに小屋を自分達で建てて、そこで一家心中しようと、ガソリンを買ってきて、その朝、子供達に、何食べたい、って、聞いたら、ラーメン食べたいと言うので、ラーメン屋さんで、ラーメンを皆で食べて、帰ってきて、少し休もうって、こいつと、懐かしい写真を眺めて、子供たちを連れて、実行しようと、皆で小屋に入った。んです。その時、黒い大きな外車が、一台。入ってきた。んです。来たー。と思い、隙間から見ていました。見たことない、身体の大きい人が一人、降りて、玄関へ行って、チャイムを何回も鳴らしている。んです。変だな、と思って、私一人で、恐る恐る、玄関に居る人の傍へ、行きました。丁寧な挨拶をしてくれて。
「あ。此処の家の方は、おりませんか。」って、聞くのです。おそるおそる。
「私ですが。」と、言ったら。
「あー。・・・良かったー。」と、喜んだふうで。
「あ。申し送れました。私は、真田と、言います。変な人じゃありません。から、安心してください。ちょっと前に、何回も来た。んですが、居なくてね。・・・良かったですよ。会えて。」そして、紙袋から、書類を出して。
「実は、此処の物件が、都内で、評判になって、いてね。詳しく聞きたい。ん、だが。」と言うので。私は、震えながら、玄関を開けて。二人で入った。のです。
「ほおー。凄い家。です。ね。」ホールで話しました。今までの経過を全部。
「この名詞の男です。ね。」と、名詞を見せてくれました。
「は。・・・はい。そ。・・・そうです。」私は、名詞を見るだけで、震えました。
「やっぱり。この男は、悪いやつ。なんです。よ。東京では、相手にする人は。居ない。んですよ。此処の物件は、この家も、全部、ある組織に渡って、私の所へ回って来た。んです。・・・一度、物件を見たくて。ね。今日来たのです。」
「失礼ですけど。・・・貴方は、この前の方達とは、違う。んですか。」と、聞いたら。
「あー。この前の人達とは、違います。よ。あの人達は、荒っぽい人達でね。愚連隊ですよ。其処から私の所へ来たのです。」私は、気が抜けたように、ふらふらしました。
「親父さん。大丈夫です。よ。・・・心配しなくて。」優しい人。でした。すると。
「この一件を、私に任せて。くれませんか。」と、言うのです。私は、あの人達意外なら、誰でも、良いと思いました。どうせ死ぬ。つもりだ。し。
「はい。・・・任せます。」と、震えていました。すると。
「これに。一筆書いて、判を押して、頂ければ、有り難い。ん。ですが。」と、言って、便箋を出しました。私は、その人の言う通り書いて、実印を出して。判を押しました。
「あ。これで良い。です。ね。」と、言って、その紙を封筒に入れて。違う封筒から。紙包みを出して。
「これ。手付金。です。」と、言って。渡されました。私は、何がなんだか、分らないけど、受け取りました。ずっしりと重い。のです。お金と、分りました。何がなんだか分らない、ただ、ぼーと。していました。・・・袋を開けたら、百万円入って居ました。」
「あ。・・・ここは、全部。私が買い取ります。ので。安心してください。貴方達の借金も、私が払ってあげます。・・・土地は、確か、六十町歩。と。聞いています。が。」
「はい。そうです。・・・この家は。・・・どうなる。んですか。」
と、尋ねました。
「あ。この家ね。・・・この家は、私は、入りません。から。其の儘。住んで居て。下さい。だたし、登記は私名義です。よ。当分は、貸す事に。なります。
そして、ゴルフ場とクラブハウスは、私が、完成させます。九ホールは、ほぼ完成しています。ね。後は。造りません。当分九ホールで行きます。」と、言ってくれた。近い内に、詳しい話をしに来る、と言って、帰りました。私は、直ぐ小屋へ行って、女房と抱き合って喜びました。その事は、時々、夢を見ます。次の日は、必ず良い事が、あります。空から神様が降りてきて、助けられた。て。今でも、感謝しています。
その後、私達を、工事の人達の、食事の世話をした。り、ずーと、此処で働かせて、頂いている。んです。そして今は、家族全員で働いて、年に一千万円。も、頂いている。んです。おかげで、何不自由なく、暮らして居ます。又、二年前には、私達の住んでいる、家と、土地を、私の名義に書き換えてくれたのです。だから、子供たちにもその話はしてあります。し、私達家族は、このゴルフ場が、無くなる。まで、此処で働きますので、皆さん、これから先も、私達を、宜しくお願いします。」延々と話す、管理人さんは、涙が溢れていました。
「そうですか。そんな事。有った。んです。か。真田さん、て、見直したね。・・・一家心中。なんて。・・・でも、未開地は、まだ有る。んですか。」
「はい。南西の方に、三十町歩。程。山が、有ります。」皆、立ってみている。
「お父さん。・・・三十町歩。て。分んない。」
「あ。一町歩は、十反歩、一反部は、三百坪で、約千平方メートル・・・後で計算しなさい。」皆で、管理人さんが、指差して、案内しているのを聞いていた。皆座りなおした。この家の、息子さんも、嫁さんも、素直な、良い人達です、真田の付き合い方が、分るような気がした。話を聞きながら、ご馳走になっている。時計を見た。十二時を回っていた。皆は、長居した。そして帰った。真田とコック長は、ロビーで、コーヒーを飲んでいた。
「ただいまー。」
「お。随分、ゆっくりした。ね。・・・美味しいもの。有った。でしょう。あの家に行くと、珍しいものが、いっぱいある。んですよ、山歩きが好きだから。」
「え。もう。お腹いっぱい。」
「皆さん。・・・今日、これからどうしますか。」真田が聞いた。
「はーい。今日も、泊まりたいでーす。」子供達が言ったら。お母さん達も。
「どう。しましょう。皆さん。・・・お父さん達。まあ。良いか。」
お父さん達も、良いとも、悪いとも言わない。お母さん達は、泊まりたがっている様子だ。
「わーい。決まった。良かったー。」子供たちは、喜んだ。真田も。嬉しそうだ。
「そうですか。良かったね。それじゃ。今晩のディナーは、貴方に任せます。よ。管理人たちに、手伝って貰って、美味しいフランス料理。頼むよ。・・・それでは、お客さんたちは、お腹を減らす為に、ゴルフコースを、一周しますか。ゆっくり歩けば、四時間掛かります。」帰れば、五時頃になるので、丁度良い感じだ。コック長は、早速冷蔵庫の中を点検して、準備に取りかかった。真田達十三人は、ゴルフ靴に履き替えて、ゴルフ場へ向かって外へ出た。
「さー。出発しますか。」真田が先頭になって、歩いた。
アップ、ダウンが激しいとは、言っていた。が、実際に立つと、凄い落差に見える。
「此処が有名な、パー5・八百メートル。」お母さん達が。
「わー。ここから打つ、のー。・・・無理よー。私は。」
「はー。・・・でも、下りた所に、ティーグランドありますから、大丈夫ですよ。」皆、降りて行った。グランドに立った。
「えー。此処からでも、長いー。」
「此処からだと、七百メートル。」子供たちも。
「長すぎー。・・・はるか向こう。」次に行った。パー3・三百メートル。池越え、その先が、土手越え、旗が、僅かに、見える。お父さん達が。
「此処は、面白い。技術が光る。良いですね。」
そして、右へ、階段がある。スロープもある。
「階段を登ると近いです。スロープを行くと、遠いですよ。・・・今日は、階段を、行こう。階段も長い。上がると、くたくただ。それから、ミドル、パー四・六百メートル。
「真田さん。このコースは、楽ですけど、階段で、疲れています。から、ドライバー振れますかねー。疲れていて。」
「ハハハ。流石。読みましたね。・・・そう。なんです。その通りです。」
「へえ。考えたねー。」皆、三コースで、歩くだけで、疲れている。次もミドル、パー4・五百メートル。此処は平らで。広い。楽なコースだ。次に、ショート、パー3。二百メートル。打ち下ろし。
「真田さん。此処の池。超え、ただ、グリーンが、上がって。いる。から、距離は、そんな遠くは無い。けれども、落ちたら、大変だ。歩いて下まで行く。
「そう。なん、です。其処がこのコースの、醍醐味です。・・・グリーンに乗っかれば、平らな橋を渡って行けます。が、落としたら、下へ降りて、登って、大変です。落とした人は、ペナルティを、二打、払って、橋を渡る人が多いです。」
「え。これは、面白い。考えました。ね。」
「次からは。ゆっくり、楽しむように、ミドル、六、七、八と、続く。んです。」
皆、此処は、ゆっくり歩いていた。
「パパ。ほら。景色が。駿河湾。富士山、一望だ。」
ここは、ゆったり、景色を眺めながら、緩やかに。登っている。なぜならば、降りた分を、登らなくてはならない。コースは、右回りになっている。駿河湾を見て、富士山を見て、最後は、九ホール、パー五・八百メートル、右カーブになって。いて、更に登っている。最後の難関、グリーンは、殆ど見えない。四打目で初めて、旗が見える、まだ登っている。
「真田さん。これは何ですか。此処で、分かれ道、登りで、曲がりで、体力の限界だ。
「ハハハ。そうです。此処が、最後の勝負です。ミドルで、安心させて、最後に絞る。」女性軍は、送れている。疲れている。
「これじゃ。四時間では、回れないですね。だって、もう四時間。ですよ。・・・運動になりますよ。・・・こんなコース、初めてだ。」
「皆さん。そう、おっしゃいます。ですから、東京でも、話題になってね。大勢の方から、評判が良いですよ。」
「おーい。速く歩きなさい。」女性軍は、くたびれている。お父さん達は、待っていた。
「あー。くたびれたー。出だしは、良かった、けれど、大変ね。でもね。遣り甲斐がある。かも。ね。ね。このコース。」お母さん達が、戻ってきた。
ミナ達は。
「ゴルフ。て、大変ネ。・・・私達、初めてです。・・・コース歩くの。」
「疲れました。」全員くたくただ。真田は、平気だ。
「パパ。疲れないの。」
「あ。あー。そんなでも、無いね。慣れているから。・・・コースが、分らないと、神経も疲れるから、体力にも負担が。かかる。んですよ。」皆で、最終ホールのグリーン場に、集まっている。
「真田さん。手入れが行き届いて、いますね。・・・管理人さん。」
「何時間。かかりました。・・・」
「あー。四時間。過ぎています。・・・やっぱり。本番なら、六時間か。」
「朝六時スタート。して。・・・二回。十八ホールは、難しいですか。」
「うん。慣れれば、回れますよ。・・・皆、そう。やっています。」
「でも、難しそう。・・・でも遣りたい。」お母さん達は、むずむずしている。
「皆で、ゆっくり来ましょう。」
「あ。もう。こんな時間だ。」時計は、五時を回っていた。
「みなさん。お風呂入って、下さい。」真田は、離れに行った。離れには、露天風呂がある。五、六人は、楽に入れる。ミナ達四人は、離れの露天風呂に入った。そして風呂から上がり、ロビーで、寛いでいた。真田も風呂から上がって、着替えてきた。コック長が。
「皆さん。用意が出来ましたので、入って下さい。」皆、昨日みたいな感じで、座った。真田が。
「今日は、ざっくばらんに、行きましょう。かたぐるしい挨拶は、はぶきます。どうぞ召し上がってください。」皆も、納得した。お互い、飲み物を選んで、自由に飲んでいる。お互い、すっかり、ご機嫌のようだ。コック長も座った。真田が。
「急がせて、すまなかったね。ご苦労さん。」コック長に、言った。
「はい。大丈夫です。・・・あー。管理人の親父を、呼んできます。」コック長が、呼びに行った。直ぐ来て、座った。真田は、取って置きの、ワインを開けて、皆に注いで、回った。1945年、と、記してある。
「どうぞ。」リエの父に、注いだ。
「真田さん、これ。45年ものですかー。・・・違いますね。」
リエの父は、分ったようだ。
「えー。そうです。何かあったとき、特別用に、ワインセラーを造って、置いてある。大分前に、買った。んです。・・・二百本。・・・まだ、半分ぐらい、残って、いる。でしょう。」
「へえー。そんなに。・・・買ったんですか。」
「えー。スペインの知り合いからね。昨日からの、ワイン、全部です。・・・だからスペインに行く。んです。」
「そうでしょうー。・・・どこか、違うと思っていた。んです。」満足そうに話していた。
フランス料理は、全員何時も食べている。から、分る。娘と母達は、顔を見合わせながら、美味しい、美味しいと言って、食べている。お父さん達は、あまり喋らない、真田は、気使って、話しかけた。
「この中で、一番、先輩は、どなたでしょうか。・・・私は、十年です。」
皆顔を見合わせた。ミナの父が。
「私かな。五年です。」
「すると、戦争は、行ってないですね。」
「えーっ。行っていません。ね。・・・二年生まれの人達。まで、かな。・・・でも、毎日、戦争の話で、明け暮れましたよ。私らも、戦争に行く準備は、していました。から、軍人になって、偉くなって、日本の為に、命をささげよう。て。真剣に、考えていました。よ。」真田は。
「私らも、逃げて歩きました。からね、長野に、疎開して、・・・でも、国の為、家族の為に、自分が、犠牲になる。て。本気でしたから。ね。その気持ちを持って、終戦でしたから、恐れるものは、何も無かった。・・・だから、江田島教育。て。今でも、有っても、良いと、思いますね。・・・国を守るためには、気概が、大事ですから、・・・公務員は特に。」
「そうです。ね。これからは、そう言う考え方が、必要だと思います。私らも、戦争映画は、随分、出演したけど、本気になりました。ね。演技と、言っても。」国思う、心は、通じるようだ。真田は。
「そうですねー。今は、どんな役が、多いですかっ。」
「うん。十一年ですから、今になって、忙しいですよ。お父さん役、お爺さん役。継続は、力なり。て。とこかな。でもね。役者。て。面白いですよ。今、年取った役者の家に、若い役者達が、遊びに来る。んですよ。芸を盗め。て。今でも、生きています。ね。だから、今、楽しいですね。」
「へー。そう言うもの。なんですね。役者。て。良い人、ですよ。先輩を敬愛するなんて。絵画のほうは、どうですか。何十億とか、何百億とか。」
真田は、気がかりだった。
「えー。浮き沈みが多い商売です。今は、上限が見えないですが、良いものは出ません。・
・・ですから、良いもの程、偽物が、多いですよ。・・・気をつけてください。」
「そうですね。それは、昔から有ります。ね。でも、それは、勉強していない人の、授業料ですから。又。逆に、そういう人が、居ないと、専門業の価値が分らないですから。一時成金で、骨董、絵画に手を出す人、勉強して、いないで、手を出す。だから詐欺師が出てくる。お父さんみたいに、何十年も勉強している。人を、仲介人に、頼まないと、大変な事に成る。世の常、ですけれど。・・・ところで議員さんの現状は、大分、乱れていますけど、特に、首相。」
「えー。私は、まだ、三期目で、無所属だから、派閥も、好きじゃない。し、世襲議員も、好きじゃない。かと、言って、駄目だと言っても、始まらない。派閥に、流される。しか、ない。し。・・・首相は、国民投票で決めるのが、私の考えです。これからも、こんな状態は続きます。選挙のことばかり考えている。議員、派閥ばかり考えている。議員。これは、無くなりません。最近、大東亜戦争を、太平洋戦争と言う、議員が出てきて。います。からね。それに、日本が、侵略した。と。言う、議員も居る。し。」真田が追い討ちをかけるように。
「そうです。ね。愛国心が足りない。のか。な。・・・・何時も、考えさせられます。ね。議員さんたちは、ニッポンと言う国に、誇りを持って。これが、ニッポン国だ。と。言う証し。を。示さないと。大東亜戦争は、大義名分を持って戦ったのですから。・・・タイの、ククリット・プラモート首相が書いた、本があります。」
(ニッポンのおかげで、アジア諸国は、全て独立した。ニッポンと言う、お母さんは、難産して、母体を損なったが、生まれた子供が、すくすく育っている。
今日、東南アジア諸国民が、米・英と、台頭に話を出来る。のは。いったい。誰の御蔭で。有るのか、それは、身を殺して、仁を成した。ニッポンと言う、お母さんが有った。為である。十二月八日は、我々に、この重大な思想を示してくれた。お母さんが、一身を、賭して、重大な決心をされた日である。我々は、この日を、忘れてはならない。」) と、書いている。
ニッポンは、アジアから、欧米列強の植民地支配の勢力を、追い出す働きをした。のである。・・・だから、今でも、アジア諸国の人々は、ニッポンを、敬愛している。のです。このようにニッポンは、アジアの為に、良い事を、している。
なぜ国内で語って、伝えてこないのか。他の国が、敬愛しているのに、ニッポンが、侵略した。んだ。て。・・・私には、考えられない。議員さんたち、には、特に、警鐘を鳴らしてもらいたい。・・・又、戦争は、戦地の流れで、非道な行為が無かった。とは、言えない
しかし、それが戦争でしょう。悲惨な事は分っている。・・・敢えて、ニッポンが動いた。俺が遣らなきゃ、誰が遣る。忠誠心を持って、戦った。・・・誰でも戦争は好きだ。と言う。人は居ないでしょう。・・・議員さんたちは、大勢の人達と、会う機会、話す機会が多い筈です。だから、愛国心で、ニッポンの証し。を。世界に示し。広めて行ってほしい。
私は、議員さんと会うと、何時もこんな話をする。んです。」ミナの父が。
「ご尤もです。真田さん。私も、同感です。地方公務員、国家公務員の皆さんは、特に、自国を愛し、誇りに思い、過去の蓄積を、正しく受け止め、先人達に感謝をし、つつ、日本国の発展に、真剣に取り組んで、頂きたい。我々国民も、同じだが、国を憂える国民。」
俳優が。
「そうですよ。戦争映画撮影は、厳しかったね。確実、静粛、敏速。本当に殴りあった。事。ありました。よ。興奮して、敵役の相手を。本気で、この野郎。て。私は、何時も感謝しています。靖国神社には、何度行ったか。・・・鳥居を潜って、境内を歩いて、資料館の資料を見て、出てくると、目が潤んで。頭が下がります。ご苦労さんでした。て。自然に。言葉が出ます。」
真田は。
「私は、何時も、若い者に言って。いました。歴史を勉強しろ。て。腕力で倒すか、能力で倒すか、戦略は、江戸時代と同じだ。・・・いえ。昔のほうが、密度は濃い。かも。しれない。何時も、戦闘態勢を、執って、行動する。ように。全て勝負だ。て。」
議員の父が。
「私も、愛国者団体の人達。と。会って。話をすると、ついつい。力が入ります。ね。・・
・歴史は、この辺で終わりにしましょう。」エリの父が。
「真田さん。近いうちに、暇を作って頂いて、絵を拝見。したい、んですが。宜しいでしょうか。」真田は、自信ありげに。
「あー。よろしいですよ。何時でも。」
「ここに居る、皆さんは、絵が好きでね。何枚か持っています。よ。真田さんは、何枚ぐらい、お持ちですか。」
「あ。何枚・・・数えた事は無い。ですが。・・・親父も集めていた。から。それを入れると、百枚は、超える。かな。」
「そんなに有る。んですか。・・・是非。拝見させて、ください。」
「私が描いた。のも。有ります。けれど。・・・誰にも見せたくない。んです。よ。死ぬまで、だれにも、見せまいと、思って、います。」
「それは、それは。・・・余計にみたい。です。ね。・・・是非。」
「此処十年。毎日、・・・・私は筆を止める。のが、早い。んですよ。油絵は、きりが無い。んで、これでよし。とは、中々決まらない。んで。私は、ぱ。と。終わり。完成。て。難しいです。」
「そう。なんです。完成の度合いが、難しいです。・・・ここに、もうこし、色をあげてほしかったな。と言うのが、沢山、有ります。」
真田は。
「はい。それが私です。・・・お父さん。神田のエリさんの画廊が、楽しみですね。アドバイスを。お願いします。」いろいろと、長い話が続いている。お母さん達が、真田のところへ全員、集まった。
「あら。まだ、飲んでいる。私達、お腹いっぱい。」お父さん達も、満腹のようだ。其処へ、コック長が。
「どうぞ。・・・スッキリしますから。」甘酸っぱいデザートを出してくれた。
「本当。・・・美味しい。スッキリ。」子供達も、集まって、デザートを食べている。少し過ぎて、管理人さんが帰った。すると、お母さん達が。
「真田さん。・・・凄い。・・・管理人さんから、聞いたの。」
「え。感動しちゃった。・・・助けた。話。」
「あ。このゴルフ場の話ですか。・・・あの時、私も迷った。んです。東京に帰って一人で考えた。あそこ買っても、・・・でも、若かった。し。金持って、軌道に乗っていた。し、ま。良いか。て、感じで、決断した。んです。・・・始まった限りは、と。燃えました。真田が、ゴルフ場を持っている。て。噂が噂を、呼んで。お付き合いが広がって、変わったゴルフ場がある。噂も広がって、大変でした。予約が、殺到して。
この時、思いました。人を助けると、自分に見返りが、帰ってくる。て。・・・知ってはいたが、こんなに返ってくるとは、思いませんでした。管理人さんの。御蔭で、私も助かりました。ここで成立した話は、数知れない。・・・ですから、出会い。て。人を変える。
それからは、バブル経済が。足がかりに成って、億単位の話が、次々と出ましてね。株、ゴルフ場、土地売買、マンション経営、次々と発案者が。現れて、相談に来ましたよ。東京近郊のゴルフ場開発。新会社の株式上場、都内のマンション用地買収。
政財界、芸能人、スポーツ界、金持ちが、蟻の様に群がってきて、毎日、何十人と会って、話しました。ね。銀行も、証券会社も狂ったように。動きました。よ。ですから、関東全域にまたがり、飛び歩いて、仲裁。仲介。ゴルフ場は、その土地、土地の地主、有力者との解決。」
「へー。でも。普通の人じゃ。そういった仕事は、無理ですもの。ね。真田さんだから、出来た。でしょう。ね。でも、株にしろ、会員権にしろ、嘘ばっかりで、詐欺師に、皆引っかかって、大変でしたよ。・・・そんな事、無かった。の。」
「うん。それは。ね。皆さん。私らは、違う。んですよ。・・・・私らは、経営者。会長。社長との。直接取引。ですから。絶対、嘘は無い。」
「はー。成る程。それはそうです。よ。ね。・・・我々は、紙切れの話です。からね。印刷は誰でも出来ます。もの。・・・其処が違う。」
「ですから、正確な情報を知らないと、引っかかります。マスコミが騒いで、日本中が揺れる。儲かるのは、一部の人だけ。勝ち組とか負け組みとか、殺人まで出る。ですから、正確な情報を。どのようにして、仕入れる。か。です。」
「はい。そうです。その通りです。・・・真田さんなら。安心ね。今までのお話を、聞いている、と、私達は、恥ずかしくなります。わ。」
お母さん達は、微笑んだ顔して、見合わせていた。子供たちは、あまり喋らないで、親達の話す姿を見て、ただ聞いているだけ。時計を見た。十二時を回っていた。
「この辺で、お開きとしましょうかっ。次の機会は、私の絵を見ながら、五日市の別荘で、会いましょうかっ。・・・・本日は、お疲れ様でした。」
皆、各部屋に、入って、就寝した。
次の日。
皆さん疲れた様子で、九時ごろ起きて来た。真田は、起きて、外のテラスで、コーヒーを飲んでいた。
「お早う御座います。」
次々と、起きて来て、全員、外のテラスに集まった。
「ここの眺望は、素晴らしいですね。今日も、スッキリ晴れて。」皆で、景色を眺めていた。コック長が、コーヒーを入れてきた。
「どうぞ。」
「あら。有難う。夕べは、遅くまで、お疲れ様でした。」
コック長は、軽く、会釈をして。
「皆さん。食事の用意が、出来ています。ので。レストランのほうへ、どうぞ。」
「あら。朝食。どうしましょう。・・・・私達、お腹いっぱい。」
「でも。トーストぐらい。入るでしょう。・・・行きませんか。」
あまり進まないようだが、レストランに行った。バイキング式になっていたので、食べたくない人は、食べない。スープだけを、頂いた。食事を済ませ。少し休んで、皆で帰り支度を、して、ロビーに、集まった。
真田は。
「この度は、お忙しい中、三日も足止め、させて、お疲れ様でした。本当に、有難うございました。今後とも、宜しくお願い申し上げます。」と、深々と、頭を下げた。
「いいえ。こちらこそ、宜しくお願いします。いろいろと、分らない事。ばかりです。ので、教えてやって。ください。」皆、丁重に頭を下げた。コック長が連絡して、バスは、来ていた。管理人さんたちも、全員見送りに来た。バスは、出発した。皆で、手を振って、見送った。真田たちは、ロビーのソファーに座った。十一時過ぎていた。
「皆、疲れた、でしょう。横になって休もう。」と言って、皆で横になった。うとうと眠り始めた。大分疲れたようだ。真田は、二時ごろ起きた。
「コック長。熱海まで、送ってくれ。・・・今日は、熱海に泊まろう。暫くぶり、だから、皆、びっくりするだろうな。」と言って、帰り支度をした。以前は、何時も泊まっていた、老舗のホテルで、オーナーとも付き合いがあり、久しぶりだ。一晩、泊って、次の日、新幹線で、東京へ帰った。虎ノ門に着いたのは、三時ごろだ。早速、設計事務所に電話をした。プランは、出来たようで、夕方、持ってくると言う。板長のこともあるので、赤坂の店で会うことにした。真田は、母の所へ行っていた。電話が鳴った。設計事務所の方が、見えていると言うので、部屋へ案内させた。真田も行った。
「よー。ご苦労さん。・・・どれどれ。」真田は、図面を見ている。
「うん。神田の、ビルは、此の儘、申請しましょう。・・・内装は、造りながら考えましょう。・・・板長の家は。・・・うん。良い。んじゃない。・・・板長。呼ぶか。」
インターホーンで、板長を呼んだ。直ぐ来た。
「板長。プランができたよ。はい。」図面を渡した。板長は、広げて見た。
「会長。こんな大きい。んですか。」と、びっくりした。
「うん。そうでもないよ。八十坪。だよ。一階の南東を、板長夫婦、玄関は、東。二階に、息子ら家族、四人。玄関は、南西。庭も広いから、いろんな木を植えて、庭いじり、できるよ。後ね。一階のリビングは。十五、六人ぐらい、座れるように、造って。友人を集めて、宴会でも、やってよ。皆、板長を慕って、いるから、遊びに、来るよ。・・・それから、太陽光発電を設置して、自家発電。一年中、二十四度に、セットしておけば、快適に過ごせるよ。電気料は、掛からないし。」
「えー。そんな事。出来る。んですか。自家発電。」
「はい。今は、出来る。んです。環境対策で補助金も出ます。」
「そうだ。神田のビル、も、住まいだけでも、付けよう。」真田は、頼んだ。
「板長さん。息子さんとも、相談してください、まだ、時間は有りますから。」
「はいっ。有難う御座います。・・・でも、設計士さんに、任せる。と。言っていますので、其の儘で進めてください。」
「そうですか。じゃ。これで申請します。・・・細かい事は、工事中に言ってくだされば、変更は可能ですから。」
真田は。
「そうか。良かった。図面は、解決だ。後は、計理士を呼んで、金の出し入れを、任せれば、終わりだな。」真田は、ホ。と。している。
「板長。これからどうする。」
「あ。はい。私は、仕事があります。から、板場へ。」
「あ。そうか。じゃ。計理士を呼んで、銀座の寿司屋へ、行こう。」
真田は、計理士を呼んで、銀座の何時もの、寿司屋で会うことにした。寿司屋へ電話した。カウンターしか、空いていない。と言うので、カウンターにした。
「おーす。」
「らっしゃい。・・・部屋が空いたので、奥に用意して、有ります。三名様。」案内されて座った。三十分位経って、計理士が、きた。真田は手を上げた。見つけたようだ。真田を挟んで、座った。
「お二人、ひさしぶり。もしかして。」
「はい。そうです。」設計士が会釈した。
「そうか。仕事頼むよ。・・・設計士と相談して、決めてくれ。全部で、十億位の仕事だ。見積もりして、金額が、決まれば、支払いは、任せるよ。・・・今までのやり方だ。」
計理士、も、設計士、も、真田の後輩で、全部任せても大丈夫である。人は、金を見せて動かせば、喜んで引き受けてくれる。そして、百パーセント以上の仕事をする。真田は、若い時に教えられた事を、今でも実行している。
設計事務所が見積書と、工程表を作成して、施工業者、数十社を選定して、入札させ、真田と設計士が、業者を決める。工事金額を決め、契約書を作成し、銀行の口座に全部振り込み、支店長が通帳管理、計理士、が、支出の管理をする。と言うのは、施工業者は、建て主が、工事金額を本当に持っているかどうか、心配するので。それを分るように、銀行と計理士に任せる。今までのやり方だ。連絡待ちと言う事で、別れた。十一時だ。真田は、虎ノ門に帰って寝た。
次の日の朝、真田が、応接室で寛いでいた。電話が鳴った。ミナだ。これから四人で来ると言う。九時ごろ、チャイムが鳴った。真田は玄関に出て、ドアーを開けた。
「パパ。」四人で、抱きついてきた。
「パパ。お疲れ様でした。」四人は立って、御礼を言った。
「良かった。お父さん達も、賛成してくれて。今日からここへ泊まるの。・・・お父さん達に言われたの。絆を深めて、仲良くする。んだよ。て。」
「お。良かった。お父さんお母さんを、大事にする。んだよ。お前達を理解してくれた。んだから。・・・幸せだな。お前達は。」
エリが、コーヒーを入れてきた。
「そうかっ。明日から、女将さんとこの、二階で一緒に過ごして、習い事。お茶、日本舞踊、着物の着付け、和食のマナー、生け花、琴も、エリは、アメリカへ行って、役に立つよ。
・・・女将さんが声かければ、良い先生が何時でも、来てくれる。よ。」
四人は、スッキリしない顔を、している。
「此処には、交代で、来れば良いじゃない。か。」顔を見合わせている。
「うん。・・・分った。パパ。そうする。・・・でも、今日は、皆で此処に、泊まる。・・・良いでしょう。」
真田は、良いよ。と言った。時計を見た。十一時だ。赤坂の店には、明日、お昼を食べながら、行く事にして、真田は。
「そうだ。横浜へ行こう。中華街。」直ぐ電話した。二時に予約を取った。
「わ。中華街。本当。・・・何年ぶり。」
四人は大はしゃぎ。着替えて、大通りに出た。タクシーを拾って、横浜へ向かった。道路が混んでいる。二時までには着くと言う。高速を走った。二時前に着いた。
タクシーを、下りて歩いた。
「ひさしぶり。」四人は、嬉しい。真田は、止まった。
「此処だ。」
「え。此処。・・・お店なの。」大きな観音開きのドアー。皆でドアーの前に行くと、内側に開いた。ドアマン、が、開けてくれた。高級そうな店だ。
「あーら。さなださん。久しぶり。」おばさんみたいな人が、迎えてくれた。
奥に案内された。赤と黒と金を使った内装の、これが中国飯店。と言う感じの店だ。丸い大きな赤いテーブル。皆座った。
「さなださん。お任せね。」中国人だ。オーナーみたいだ。真田は、ニコッ、と、手を上げて合図した。
直ぐに、料理が運ばれてきた。
「早いー。」
「あー。予約すると、早い。んだよ。・・・食べて。この店は、中華街では、一流と噂。されている。今のおばさんが、オーナーだよ。中国人でね。」
「美味しい。・・・ほら。これも。美味しい。」
「ちょっと。エリ。リエ。・・・声が、大きい。」
「だって。・・・美味しい。んだ。もん。」四人は、中華は、あまり食べたこと無いようである。先にがつがつ食べると。後の料理が、食べられなく。なる。後から出てくるのが、美味しいのである。真田は、少し、づつ、食べて、いる。
「パパ。・・・食べないの。美味しいよ。」
「あ。食べている。よ。」真田は、ワインを飲んでいた。料理は、器に残っていても、代わる代わる運んで、替えられる。
「あー。お腹いっぱい。・・・又、運ばれてきた。・・・又くるの。」
「そんなに食べられない。よ。・・・パパ。」
「そんなに。慌てないで。まだまだ、時間は、有るから。・・・まだ、一時間も過ぎてないよ。・・・少し休みなさい。」
「あ。本当だ。・・・ね。パパ。此処は、何時まで、居ても、良いの。」
低い声で喋っている。
「あー。この店は、無制限だよ。・・・でも、程度がある。わ、な。せいぜい、三時間。・・まだ、出てくる。よ。」
「えー。まだ出てくる。」
「あー。まだ、まだ。出るよ。高価な料理。・・・少し、づつ。」
「え。もう食べられないよ。もしかして。・・・意地悪していた。知って、いて。」
「ハハハ。そんな事ないよ。意地悪なんて。でも、美味しいでしょう。・・・好きなものは、どんどん食べて、良い、んだよ。私は、後から出てくるのが、好きなだけ。だよ。少し休みなさい。まだ、二時間ある。よ。」
「本当。」四人は、少し休むことにした。
「あ。昨日。神田のビルと。北沢の家の設計が、決まって、申請を出して、直ぐ進める事にした。ビルは、リエがアメリカに行く、まで、着工出来るか、どうか。二階建て住宅は簡単。なんだ、が、ビルは、手続きが、難しいから。エリとミナは、図面を見て、内装は自分で決めなさい。いろいろと、大変だよ。・・・俺は、板長の家を、造る。から、退屈しないけど。」
「パパ。五日市の別荘へは、何時、行くの。・・・ずーと、虎ノ門に居る。の。」
「あー。そうだな。行ったり、来たり、に、なるでしょう。入梅明け、七月に入ったら、皆で行きましょう。エリのお父さんが、俺の絵を、見たい。て。行っていた。し。皆で一緒に行けるように、予定を組んでおいて。て。お母さん達に言って。おいて。」
「はい。分りました。・・・パパ。修善寺のゴルフ場って、楽しそうね。・・・でも、私達出来ないから、やったこと。ない、し。・・・お母さん達は。楽しそうよ。直ぐにでも、行きたい。て。張り切って。いた、わよ。」
「あー。楽しいよ。ゴルフ知っている。人は。でも、バテ、ちゃう。かも、ね。・・・管理人と、連絡を取って、自由に行っても良い。んだよ。俺に断らなくても。お母さん達に。伝えて。」
「はい。・・・喜びます。母達に。伝えて、おく。」
「さあ。お腹すいた。でしょう。食べよう。」真田が、食べ始めた。
四人も、食べ始めた。若いから、まだ、入るようだ。真田も、つられて、食べた。
皆、満腹だ。
「うん。今日は食べ過ぎた。・・・お前達に、つられて。」
「あー。お腹、いっぱい。」最後にコーヒーを飲んで、真田は、会計を済まして、外へ出た。すっかり暗くなって、いた。少し、運動にと、雑貨など見て歩いた。一時間ほど歩いた。お腹も落ち着いたようだ。真田は、タクシーを止めた。二台。東京に向かった。
虎ノ門に着いたのは、八時過ぎていた。皆、食べ過ぎで、疲れているようだ。真田は、風呂にお湯を入れて、皆に、リモコン操作を、教えていた。追い炊きが付いているから。沸かしながら入れる。
「え。そんなの、付いている。良いわね。」皆、珍しがっている。皆で、ソファーで横になっていた。真田は、風呂へ行った。お湯がいっぱいになったので、服を脱いで入っていた。すると、四人が、がやがや。
「パパ。背中、流してあげる。」丸裸になった、四人が、入って来た。四畳半ほどの浴室だから、狭くは無いが、騒がしい。まだ、幼さが残っている。真田も合わせていた。
「おい、おい。芋荒いじゃない。んだから。」それでも騒がしく、シャンプーだらけになった。真田は、苦しくなって、シャワーを浴びて、風呂から出た。
「あー。殺される。」バスタオルを巻いて、寝室へ行って、ガウンを着て、リビングに居た。騒ぎながら、出てきた。全員、ティバックのショーツを履いて。
「パパ。どう。四人で、お尻を並べて、見せている。
「おー。若くて、ピチピチしている。」真田は、わざと褒めた。その気になっている。今度は、乳房を揺らして、真田の傍へ寄って来た。
「パパ。もう寝よう。」四人で、ぶら下がっている。
「パパ。今夜は、四人で、攻めちゃう。よ。」お茶目に、言っている。
「おい、おい。・・・殺さないでよ。」言っていると、本当に四人で、ベッドに倒れた。真田も一緒だ。真田は、四人とセックスするなんて、思いも見なかった。せめて来る四人に、流されるように、絡まっていた。そのまま続いた。一時間ぐらい過ぎた。真田はぐったりして寝ちゃった。
この四人は、能力も、体力も、持て余している様だ。年齢的にも、遊びに関しては怖いものなしである。がゆえに、真田も、これからは大変な事に、なりそうだ。流石の真田も、二十二歳女の、セックスには、恐れを感じた。想像を絶する。四人も疲れたようで、寝たようだ。ダブルベッドを二つ並べたので、余裕はあるが、重なるように寝ていた。
次の日、朝日が、真田家を赤々と照らしている。誰もおきてこない。太陽は、真上にあった。エリが起きてきた。雨戸を開けた、日差しが目に入って眩しい、皆を起こした。真田はまだうとうとしていた、でも目を開けた。
「あー。・・・もうこんな時間。」時計は十二時になろうとしている。応接室へ行ったら、皆コーヒーを飲んでいた。
「おはよう。パパ。・・・お疲れー。」ニコニコしながら、真田を見つめている。
「あー。お、は、よう。」ぐったり、ソファーに座った。
「はい。コーヒー。」リエが、コーヒーを、持ってきた。
「有難う。・・・」真田はコーヒーを飲んだ。
「あー。死んじゃう。・・・つかれたー。」皆、真田を見て。
「頑張りすぎたの。よ。・・・パパ。」
「お前達だろう。攻撃してきたのは。俺は、うけただけ。だよ。」皆、真田の周りに集まった。
「お前達は。エロきちがいか。・・・ビデオだろう。・・・やっぱり。セックス・・・とは、遊びじゃない。て。この前も言った。でしょう。新婚生活も、いいが、始めから、あんな過激な、セックスを、したら、段々つまらなく、なる。今の若い子は、アダルトビデオの、見すぎだな。自然で良い。んだよ。・・・だから結婚生活が、続かない。んだよ。そんなビデオを、見ている、から、欲求不満が、出て、浮気をした。り、離婚した。り、男女関係が、上手く、いかない。俺も今、分ったよ。セックスをビデオで、覚えるのは、歓迎しない。な。」皆、真剣に聞いて、いる。
「うん。・・・でも。・・・皆、そうしている。のかな。て。」真田は、笑った。
そして、真剣に話した。
「一部の人だけだよ。・・・セックス、女、酒、博打を、気分転換の、手段として、考えて居るならば。大きな間違いである。そう言う、男と女は、必ず、山のような壁に、ぶち当たる。そう言う男と女は、何百人も見てきた。・・・だから、愛、ロマンス、性欲を、正しく理解し、正しい性の知識を、身につけなくては、ならない。その中で、性エネルギーを転換させ、想像力、アイディア、インスピレーションを、引き出し。活用する。・・・君達が考えている、セックスは、ただの、肉体労働に、過ぎない。疲れが残る。だけだ。俺にはそう感じる。間違えていたら。ごめん。ね。」
すると、ミナは。
「うん。そう思う。・・・当り。パパの言う通り。です。・・・私達は、間違っていました。御免なさい。」
「パパ。御免なさい。・・・ただ。好きになって、もらおうと。思って。」
皆、真剣に話している。
「でしょう。・・・分ったら、良い、んだよ。俺は何時も、若い者に、このことを教えてきた。性エネルギーを、心の刺激剤として、転換させ。成功した芸術家、音楽家、作家、大勢居る。だから、セックスは、大いにする。べき、なんです。よ。愛の力と、心の刺激剤として、活用する。・・・これからは、性エネルギーを活かした。セックスを。しましょう。売春婦じゃない。んだから。」
どうやら、分ってくれた、らしい。真田も、話したので、気楽になった。
「あ。赤坂の店に行く事になって、いた。んだ。・・・行こう。」皆直ぐ支度をして、赤坂に向かった。二階に上がった。お客さんが居るようだ。靴が一足。
「おーす。俺だ。」と言って、真田が入った。後から四人も入った。
「失礼します。」四人は並んで、膝をついて、挨拶した。
「あーら。皆さん。いらっしゃい。・・・どうぞっ。」五人で入った。男のお客さんだ。
「あ。真田さん。」すると真田が。
「あー。○○さん。久しぶりです。元気そうで。」
「はい。実はこの度、」と言って、名刺を出して真田に手渡した。
「有難う。・・・ヨーロッパ担当。へえー。偉くなった。」
真田は、嬉しそうだ。要人関係の、仕事をしている。人だ。
「有難う御座います。・・・実は、女将さんと、話していた。んですが、来月の第三土曜日に、イギリス人、二十名様。会席料理を食べたいと申されて、此処の店に、決まりまして。お願いに、お邪魔しました。」
女将が。
「幸介。岡田さんとこ、お願いね。・・・貴方達。英語、話せます。でしょう。」
「あ。はい。四人とも、話せます。」
「良かった。じゃない。幸介。」
「あ。母さん。今日から、この四人のお嬢さんたち、此処に泊って、習い事や、お手伝いをしたい。て。連れて来た。んだが。」
「えー。本当。・・・待っていた、のよ。・・・最近調子悪くて。ね。」
「宜しく、お願いします。・・・お世話になります。」四人は、嬉しそうに、畳に手を突いて、お辞儀をした。
「○○さん。紹介するわ。ね。これから、この店で、働いてくれる人達。
エミさん。この子が、私の跡継ぎです。それから、お友達の、エリさん。リエさん。ミナさん。リエさんは、ジャズ歌手を目指して、後の三人は、大学院生なの、勉強が好きで。よろしくお願いします。」四人も、○○さんを向いて。
「宜しくお願いします。」お辞儀をした。○○さんは、慌てるように。
「あ。はい。・・・こちらこそ。宜しく。お願いします。」頭を下げた。そして。
「この店は、長いこと、お世話になっておりますので、二代目の女将さん。これからも、宜しくお願いします。」エミに、お辞儀をした。エミも。慌てたように。
「いいえ。こちらこそ。宜しくお願いします。」硬くなっていた。
真田が。
「あ。あまり硬く、ならないで。○○さん。」
「あっ。はい。真田さんが、連れて来たから、女優さんかと思って。固まっちゃった。ハハハハ。失礼しました。」
真田も。
「この人は、外国の要人の、お世話をしている。人でね、各国の人達と。交流を持って。いる人だから、大事に付き合って。行かないと、ね。」
「はい。宜しくお願いします。」
「それじゃ。皆で、寿司屋へ行こう。お昼まだ。なんですよ。○○さんも、行こう。一緒に。」真田は、寿司屋に、予約を取った。
「えっ。・・・良い。んですか。」
「良いよ。丁度、良かった。エミと会えて。・・・エミも運が良いね。」真田も嬉しかった。
「あ。幸介。岡田さんとこ、忘れないでね。二十人。」
「あー。」真田は、忘れないうちに、真理に電話した。
「これでよし。・・・さあ。行こう。」銀座に向かった。
「おーす。」
「らっしゃい。」親父が出てきた。
「奥の部屋を、用意してあります。」部屋へ案内された。真田と○○さんは、並んで座った。対面に、四人が並んだ。○○さんは、四人に見とれて、嬉しい様子だ。真田とは、庁舎に勤めた頃からの、長い付き合いである。四人がこれから生きて行く上で、何かと利用できる人である。○○さんの情報は間違いなく、とにかく早い。真面目で、酒好きで、女好きと、来ている。から、事は簡単である。自分から要求は、しない、ただ、仄めかして話せば、心配してくれる。酒とワインと刺身の盛り合わせが運ばれてきた。皆で乾杯した。
真田が。
「○○さん。この子達を紹介しよう。」
エリさん。
実家が、青山で画廊を経営している。大学院に通う傍ら。自分も神田で画廊を経営しようとしている。
リエさん。
ソプラノ歌手を専攻していたが、ジャズ歌手に変更して、アメリカのジャズ歌手のドリス・ディーの家に、九月から、内弟子としていく事に決まっている。お父さんは俳優、お母さんは女優。
エミさん。
お父さんは、国会議員。お母さんは第一秘書。エミさんも、政治経済大学院に進む傍ら、この店の、跡継ぎとして、女将の修行中。
ミナさん。
上場企業の会長娘。文学を専攻、大学院に進み勉強中。傍ら、神田に出版社を経営する事になっている。
又、この子達は、私と結婚している。」と、紹介した。
○○さんは、びっくりした様子で。
「真田さん。・・・この子達四人と、・・・結婚。・・・・ですかー。」びっくりして、声を詰まらせた。真田は、微笑んで。
「そう。なんです。いろいろ、有って、ね。・・・○○さん。私からもよろしく頼むよ。特に、エミさんは、赤坂の店を、切り盛りする。から、○○さんが、一番頼りになる。人だから。頼むよ。」と、真田は、頭を下げた。
「真田さん。分りました。任せてください。・・・さっきから・・・気がかりで。・・・四人。と。結婚する。んですか。・・・」羨ましく、気がかりのようだ。さらに。
「でも。・・・皆さん。・・・若いです。よね。」
「はい。二十三歳です。」と言って、四人は、立って、ニコ、っと、軽く会釈をした。
「皆さん。・・・グラマーですね。・・・背も高い。し。・・・何処かの、モデルか、女優さんかと、思った。・・・それが。四人も、真田さんと結婚する。なんて。羨ましい。なー。 真田さん。て。」真田の顔を見た。益々、真田の凄さを見せ付けられた。自分には出来ない事を、何でもするから、真田が羨ましくて、しょうがない。
「皆さん。真田さんと初めて会ったのは、此処の店。なんです。同僚四人と、五人で、今まで食べた寿司は。何だった。んだろう。て。美味しくて、美味しくて。
ところが、勘定の時、請求書を見たら、ゼロが、一つ多いじゃないですか。びっくり。給料吹っ飛んじゃった。隣で笑って、いた、のが、真田さんだった。」
五人は、唖然としていたら。
「まあまあっ。お客さん達。人生の経験ですよ。これも、授業料だと思って。お近づきに、これ飲んで下さい。て。・・・ワイン一本出してくれて。見ず知らずの人に、おごる人。て。居る。んだな。て。甘えて、ご馳走になった。んです。そのワインが、又、美味しい。皆で、美味しい、美味しい。て。今でも、脳裏に焼きついて、います。」
「へえー。そんな事あった。んだ。」
「えー。それから、銀座で飲み食いするのは、私らには、無理だと分った。んです。・
・・そしてあくる日、赤坂の店に、お邪魔したとき、真田さんが居た。んですよ。その時も、びっくりして。そのとき、名刺を交換した。んです。」それからは。たまに、会いました。・・・この店は、高い。んです。よ。」低い声で言った。四人は、笑っていた。真田は、ニヤニヤしながら聞いている。
「あ。そう、そう。今度、アジア担当の課長を、紹介します。よ。私の後輩だから、私と同じ道を。たどっている。んですよ。・・・これからの日本は、外国との交流に。拍車が、掛かります。要人の往来も、盛んになります。から、外交は忙しくなります。職員も増えていますから。」
エリが。
「○○さん。ヨーロッパの人は、各国、言葉が違いますから、大変でしょうね。」
「うん。・・・全然、大丈夫です。日本に来る要人は、皆さん、頭の良い人達、ばかりで、殆ど英語を、話せます。だから、英語が話せれば、充分です。・・・ところで英語は話せますか。」
「あ、はい、全員話せます。」ミナが言った。○○さんは、英語で話しかけてきた。皆で、英会話になった。十分位、話した。
「へー。凄い。上手。・・・皆さん優等生。私より上手です。安心しました。それで良いです。」
「本当。・・・良かった。」皆喜んだ。
嬉しくなって、○○さんに、四人で、代わる代わる、お酌をした。○○さんは、何倍もお代わりしていた。真田の顔も、ニコニコしていた。そして、次の機会を楽しみに別れた。十一時を回っていた。今日から虎ノ門に、交代で、泊まることに、なった。今日はエリ。リエ、エミ、ミナは、女将さんに、電話をした。
次の日は、四人で、虎ノ門から、赤坂に、着替えなど荷物を引っ越して、女将にこれからの、稽古の目標をたててもらい、稽古と、大学院と、歌のレッスン、デザイナー、それぞれ自分の目標に忙しく、学んでいた。
季節は、入梅に入り、雨続きの日が続いたが、ようやく梅雨が明け、熱くなりつつ、待ちに待った。要人達が店に来る。四人とも、昼食を済ませてから、着物を出して、女将が選んで、着付けをしていた。チーママが来た。三時までに、コンパニオン達が、二十人来ることになっている。女将達は、一階の会場に集まった。準備は整っていた。コンパニオン達が、来るのを待ちながら。四人はチーママから、いろいろと、教えていただいている。二時半、コンパニオン達。二十人が来た。
「お早う御座います。」と、女将さん、私達にも、挨拶した。女将が、エミを、紹介した。そして私達三人も、紹介してくれた。
「これからも、宜しくお願い申し上げます。」四人は、深々と、お辞儀をした。
そして、接待のマナー、態度、などなど、一人一人に、女将が、注文をつけ、日本舞踊、琴、三味線、小唄、茶道などの出演者を決めて、一休みした。四人は、コーヒーを入れてきた。コーヒーを飲んで、和気藹々と、話していた。この風景を見た四人は、女将さんは、歳とはいえ、テキパキと、進めている。又、お姉さん達も、何でも出来る人達ばかりで。流石。パパの前夫人が、派遣してくるコンパニオンだ。
「コンパニオンの、お姉さん達も凄いが、前夫人も凄い。これだけ揃った人達を、どうやって集めたのか。」四人は、ひそひそ話していた。
其処へ○○さんが、部下を四人、連れて来た。
「お早う御座います。お世話になります。・・・・本日は、私、司会をおうせつかりました。○○と申します。又、この五人で、要人達のお世話をします。どうぞ宜しくお願いします。」と、挨拶した。六時からお客さんが入る。まだ十分有る。
コンパニオンは、一列に並んで、待っている。私達も、後ろに並んだ。
入って来た。私達は、緊張していた。
「ウエルカム。いらっしゃいませ。」英語と日本語で挨拶する。
接待時間は、二時間だそうだ。でも、一時間ぐらいは、何時も、オーバータイム。だそうだ。宴は、九時まで続いた。写真を取ったり、名刺をくれたり、キスをされたり、外国人は、臨機応変だから、気にしてはいけないと言われたので、気にしないようにしていた。いろいろ話題も豊富に、話している。何でも聞いてくる。中々、打ち解けるには、大変だ。全て終わったのは、十時ごろだった。コンパニオンのお姉さん達に、チーママが御礼の言葉と、チップを上げて、解散した。
私たち五人は、二階に上がった。女将と真田が居た。
「あーら。ご苦労様。見ていた。よ。・・・カメラで。」
「そう。カメラを設置して、あるの。・・・皆。見て。」
「えー。本当。・・・あ。写っている。ほら。ほら。」
「自分の姿と、コンパニオンの姿と。チーママの姿、仕草、会場の雰囲気。後で、これを見て勉強してください。」真田は、ニコニコして言った。チーママも。
「四人とも、頑張りました。ね。お喋りも達者ですよ。・・・会長。」
「本当。・・・チーママに褒められた。んじゃ。凄いね。・・・あまり褒めない人。だからね。仕事になると、ぴりぴり、している。から。まあ。ビデオ見れば、分かる。よ。」
真田は。
「チーママ。これから銀座へ行こう。予約してあるから。」・・・女将は。
「私は、遠慮します。・・・チーママ。付き合って。ね。」
「はい。御伴、します。」真田と五人は、洋服に着替えて、寿司屋へ向かった。
「おーす。」
「らっしゃい」親父が出てきた。奥に取ってあります。皆座った。
「お疲れ、さん。」とりあえず、ビールで、乾杯した。刺身がいっぱい出てきた。
真田が。
「初舞台は、同でした。か。」
「はい。楽しかった。です。・・・何も分からない儘、終わった。て。感じです。エミが言った。リエは。
「楽しかった。私は、こういうの、好きです。・・・横笛、尺八、最後の茶道が、良かったわ。私も、何か覚えて、演奏してみたい。」
「うん。リエなら、直ぐ覚えるよ。横笛を習ったら、良い。んじゃない。女将に頼んであげるよ。良い先生を呼んでくれるように。」
「チーママ。日本舞踊。凄い。上手だった。」
「そうですか。有難う。・・・女将さんに教えて、頂いた、のよ。・・・貴方達も、大丈夫ですよ。直ぐ覚えますわ。今日の貴方たち、見ていたら。」チーママは、嬉しそうに言った。
「良かったよ。お前達が、喜んでくれて。」
真田は、四人が、心配だった。この子達を、一流の女性に、育てて、ほしい、育ってほしい。それだけを、祈っている。チーママが。
「子の様なパーティーは、若い女性が、主役ですから、それに、日本を代表して、外国の要人と会えるなんて。素晴らしい事。ですから。頑張ってくださいね。」
「はい。頑張ります。」四人は、真剣に聞いている。真田も。
「本当。お前達にも、文化、芸能は勿論だが、物事の仕組み、世の中のしくみを。正確に、完全に、マスターしないと、いけない。ね。・・・女将とチーママに、就いて行けば、必ず、身に付くよ。・・・でも。ね。俺は、若い人達の考えも、少し、づつ、取り入れて行かない。と、現代に遅れる。んじゃないかな。なんて、時々、考える。な。伝統と、言っても、今風に合わせる事も、大事だと思う。音楽で言えば、アレンジを、入れる、とか。・・・まだ先の事だけど。」
「はい。分かりました。パパの言いたい事は、現代っ子達は、昔を知らない儘、現代風にしてしまう。て。言いたい。ん。でしょう。・・・実際にそう。なんです。全てにおいて、理屈をつけて、私達は、違うの、親達が何時も、基本、基本。て。うるさく言われて、来ているから。だから、昔を知らない人。て。好きになれない。の。だから、同年代の人と、合わないの。」チーママも。
「私も、そうかも知れない。昔のことを、覚えたくて、女将さんを好きになったの。ね。同年代とは、合わなかった。わ。でもね。この仕事をしてからは、質問されることが多くて、嬉しい。のよ。・・・先程の会長の話のように、しきたりが、変わってきている。の、現代風に、着付けなんかは、昔とは、大分。違います。よ。・・・流石に、会長は、お見通しだった。素晴らしい。」
チーママは、真田を見た。
「うん。それぞれに合った。変わり方。なら、良い。し、着付けの場合は、今風で良い、ん。じゃない、と思う。基本は、外れていない。から。今風が、スッキリしている。し、良い方向に、変わって、ほしいね。お姉さん達も。」
「え。あ。・・・私達。」
「ハハハ。・・・あまり硬く、ならないで。・・・それはそうと、家には、政財界、スポーツ界、芸能界のお客さんが、多いから、情報は、外へ漏らさない。ように。固く守って、ください。絶対約束よ。・・・お姉さん達。」
「はい。絶対守ります。」四人は、今日のパーティーで、察していた。
「そろそろ、帰ろうか。」と、店を出た。それぞれ別れた。真田とエミは、虎ノ門に帰った。真田は、風呂のスイッチを入れて。コーヒーを飲んでいた。エミは、二階で着替えて下りてきて、コーヒーを飲んでいた。
「今日のようなパーティー。時々、入ってくるから、自分でプロデュースして、プログラムを作れば良いよ、ただし、日本の伝統を、取り入れて、見ていると、気休めに、ジャズを歌っても、良い。んじゃない。かな。・・・どう思う。・・・女将とチーママが、プロデュースしている。から、マンネリ化、している。かもね。」
「はい。ジャズ。・・・良いかも。パパ。」
「でしょう。だから、チーママの前で、話したの、わざと。」
早速、若い人を使う、真田のやり方である。
「はい。明日から、その心構えで頑張ります。」
「うん。お前なら、出来るよ。・・・さっきも、話した、が、情報漏れは、絶対無いようにしてくれ。赤坂の会話は、一番新しい、正確な話だから。・・・お前は、それを利用できる、特権を持っている。話の話題を、聞き逃さない、ように、気を配って、行動しなさい。そして、霞ヶ関の仕組みを、覚えなさい。お父さんのことは、喋らないほうが、良いでしょう。警戒される。から。・・・これからの、日本の、政治経済は、慌しく動く、エミは、良い運勢を持っている。」
「はい。分かりました。」エミは、真剣に聞いていた。
「ところで、皆、両立で、大変だが、頑張っていける。かな。」
「はい。頑張ります。リエは、特に、頑張っています。」
「そうか。俺の見る目と、決断が、当たっていた、な。」真田は、エミを見つめた。
「そうね。パパは凄い。私達は、皆、希望通りよ。遣り甲斐が、ある。て。話している。の。パパ。お風呂。入ろう。」
「あー。入ろう。」浴槽が、いっぱいなれば。自動で切れる。二人は、一緒に入った。エミは。真田の背中を洗ってくれている。
「パパ。今度、彫り物のこと、教えて。皆で、言っていた。の。興味がある。から、聞きたい。て。」
「おー。そうか。機会を見つけて。・・・彫り物は、細かく喋ると、長くなるから、半日かかるよ。・・・彫り物も、全身彫ると、誰もが、びっくり、憧れる。・・・ほら。・・・誰もが、憧れるでしょう。スポーツ。芸能。何でも、自分に出来ないから。出来る人を、憧れる。でも、彫り物は、逆に、警戒される。邪魔者扱いに言う。人も入るよ。ま。それはそれだ、別に気にしていない。から。考え方が、それぞれ違う。し。」
「うーん。そうね、自分に、出来ない。と、出来る人。て。・・・憧れます。ね。」
「うん。それと同じだ。・・・貴方達の、柔らかい、真っ白な肌は、憧れるよ。」
話をしながらエミは、真田の背中を流した。
「はい。終わり。先に湯船に入って。パパ。」エミは、自分の身体を洗っていた。真田は、湯船に浸かって、エミの身体を洗うのを、眺めている。段々、ピンク色に染まるエミの身体は、はち切れそうに、張りがある。真田は、のぼせるようなので、先に上がった。
「もう上がるの、パパ。」
「あー。頭が、くらくらする。よ。熱くて。先にベッドに入って。いるよ。」
エミは、隅々まで、洗って、湯船に浸かって、上がった。自分が、熱った身体になっている。急いで寝室の真田の胸に飛び込んだ。
「パパー。・・・」無邪気に、被さり、上になって、むしゃぶりついてくる。真田はすかさず。エミを、仰向けにして、自分が被さった。エミの身体は、触られないぐらい熱くなっている。真田は、二人一緒に、頂点に達するのを待っている。
「あー。パパ。パパ。」真田も、エミに合わせ。頂点に達した。これが、本物のセックスと、ばかり。真田も、頑張った。二人は、其の儘、ぐったり、就寝に入った。タオルケットは、びしょびしょだ。
次の朝、二人は、十時ごろ起きた。コーヒーを飲みながら、真田は、夕べの、セックスの話をした。
「エミ。夕べのセックス。どうだった。」真田は聞いた。
「うん。・・・最高。何か脳裏がスッキリ。今も、性器が熱って、あったかい感じ。」エミは、女らしさが、出たような、落ち着いて、話していた。
「でしょう。もしか。受精したかも、あれが本物の、セックスだよ。」
「うん。分かった。一緒に頂点に達した。のが。分かった。」嬉しそうだ。
電話が鳴った。真田がでた。
「はい。真田だが。お。・・・そうですか。じゃ。赤坂の何時もの、レストランで、会おう。」電話を置いた。嬉しそうだ。設計事務所からの電話だ。北沢の建築確認が下りたと言う。今回は、真田が、株を持っている、へーベルハウスメーカーに、全て、依頼した。家具類、電気器具、じゅうたん、カーテン、門扉、外溝、太陽光発電。
「エミも一緒に、行くよ。設計士と会う。んで、昼食をしながら。」二人は、支度をして、赤坂のレストランに行った。設計士は来ていた。
「ご苦労さん。」真田が、先に挨拶した。設計士は、立って。
「お早う御座います。」
エミも。
「お早う御座います。」挨拶した。
「早かったね。確認下りるの。」
「え。大手メーカーは、早い。ん。ですよ。
「そうか。・・・食事頼んで、食べながら話そう。」三人で、同じものを頼んだ。ワインも、頼んだ。
「どうしますか。メーカーの社長、直々に契約しよう。そのほうが。完璧に進むでしょう。」
「はい。私も、同感です。下請け業者も、社長直々の物件だと、引き締まるでしょうから。順調に進みます。」真田は、社長に電話しに、フロントへ、行った。
エミと設計士が二人。
「あ。エミさんです。よね。・・・皆さん、綺麗で、同じような体系、だから、誰だか分からない。ですね。」
「あ。はい。エミです。赤坂のお店を、任されています。」
「あー。そうですね。政治経済、大学院。素晴らしいです。ね。・・・夢が大きくて、今の、若い人には、珍しいですよ、経済学者を、目指している。なんて。」
エミを、べた、褒め、している。真田が戻った。あれ。食事まだ出ていない。
「おまちどうさまー。」食事が来た。
「お。食べようー。連絡ついた。母の店で、今晩、六時に。・・・あー。朝から何も食べてないから。食べよう。」三人は、食べ始めた。
「エミも、来るか。」
「えー。私は、お店に、出ますよ。四人で。」
「あ。そうか。仕事だ。ちょうど良かった。四人一緒だ。ハウスメーカーの、社長だから、もしかして、エミは、初仕事だ。」
「はい。そう言われれば。そうです。よろしく、お願いします。」
「ハハハ。そうか。良かった。」食事を済ませて、エミは、店に帰った。真田たちは、これからの事など、話していた。レストランを出たが、まだ時間がある。喫茶店で、時間調整をしていた。五時半になったので、赤坂の店に行って、待つ事にした。レジからインターホーンが鳴った。
「ハウスメーカーの社長さんが、見えています。」
「あー。部屋へ通して。」六時、ぴったし、だ。社長と経理と建設部長と三人で来た。
「失礼します。」開けて入って来た。真田が、対応した。テーブルを挟んで、対面に座った。それぞれ、名刺交換した。
「私は、名刺がないので。真田と言います。」会釈をした。エミ達四人が。
「いらっしゃいませ。」入り口で、座って挨拶した。お茶を出して、帰った。少し、慣れた様子だ。落ち着いていた。話が終わり次第。連絡する事になっている。四十分ぐらい過ぎた。連絡をした。板長が来て、懐石の用意が始まった。真田たちは、席をはずし、庭を眺めている。エミが。
「準備が出来ました。どうぞ。お席のほうへ、お戻りください。」
「おー。じゃ。座りましょう。か。」真田が。先に座った。皆も座った。テーブルは五人。エミたちが四人。水屋に、板長と息子。女の子達に、次々と指示をして、本格懐石の料理に入った。しきたりに沿って、進めて、いる。エミ達は、あせらず、ゆっくり支持に、従っている。一時間かかる。これが終われば、宴に入る。懐石の器を下げた。板長が、今日の料理の手ほどきを説明して、宴に入る。宴の準備をしている間に、板長と息子を呼んで、社長に紹介した。
「家の板長と息子で。今度の家に住む人達。です。」
社長達、三人は、改まって。
「この度は、私どもを、指定頂きまして、有難う御座います。最善を尽くしますので、宜しくお願いします。」板長たちも。
「宜しくお願いします。」挨拶して、帰った。準備が出来て、席に座って。宴に入る。乾杯して。飲み始めた。お造りと、和風料理が並んでいる。宴も、中盤に入り、日本舞踊が始まる。エリが琴、リエが横笛、エミとミナが舞う。一曲で終わる。リクエストがあれば、もう一曲だが、今日は、これで終わり。又、お酌に出て来る。お客さんは、この辺で、トイレが近くなる。酒も回って、色気の話になる、世間話に成って、慌しくなってから、一時間位で、お開きになるのが、通例である。お客さんが帰った。十時だ。真田は、二階に行った。四人は、後片付けをして、二階に集まった。チーママの方は、まだ終わらないようだ。女将も居た。真田が。
「ご苦労さんでした。初めてにしては、ご立派。」
「本当に、良かったよ。」女将も褒めてくれた。
四人は、大分疲れた様子だ。コーヒーを飲みながら、いろいろと、反省をしながら、話していた。虎ノ門に泊まる。のは、ミナだ。真田とミナは、虎ノ門に帰った。エリたちは、風呂に入って、寝た。
虎ノ門に帰った真田たちは、風呂に入り、直ぐにベッドに入った。ミナも疲れた様子だ。でも、丸裸になって、真田に抱きついてきた。夕べのエミにしたように、真田は、ミナを誘導した。ミナも前とは感覚が違う。真田の説教が聞いたようだ。セックスに対する知恵が、出ている。二人は、しっとり燃えている。エミと同じく、二人一緒に、頂点に達した。ミナの瞼は、涙で溢れて、いた。本物のセックスをした、感じだ。真田は、昔に戻ったように、性エネルギーを存分に発揮し、この子達の性欲を、満足させた。二人は、其の儘、朝まで起きなかった。
次の朝。起きたのは十時。過ぎていた。真田は、コーヒーを入れた。二人はコーヒーを飲みながら、話していた。
「パパ。夕べ。私。違った、でしょう。・・・あれ。」
「あ。・・・どうした。」
「うん。パパに、言われたこと、反省した。の。セックスは、遊びじゃない。て。だから、頭の中で、パパのエネルギーを、受けよう。て。」
「うーん。そうか。・・・違っていた。君達は直ぐ、覚えるから。嬉しいよ。な。」
「少し、づつ。大人に、成らないと。」ミナは、更に、しっかりして来た。今までの、セックスとは、違う感覚を、身に付けたようだ、真田も嬉しかった。
「パパ。板長の家。何時。建てる事になった。んですか。」
「あー。八月十日までに、基礎を終わらせ、二十五日に、上棟式を済ませ、そしてアメリカへ行く準備をする。」
「パパ。忙しくなる。ね。・・・私達も、行く。ん。でしょう。」
「もちろんだよ。十日位、観光するよ。・・・ミナ。」
「はい。」
「行きたい人。聞いてくれ。父母達。」
「うん。分かった。・・・全員パスポートは、持っている、から。」
「そうだ。人数を確認して、アメリカに連絡しないと。・・・日時と。」
「うん。今日、調べておく。・・・パパ。リエの事。」
「ん。」
「アメリカへ行っちゃうと、会えなくなるから、出来るだけ、パパと長く居た。ほうが、良い。んじゃないかな。て。今、思った。の。・・・だから、今日からは、リエが此処へ、ずーと、泊まるように。しましょう。」
「うーん。それは、君達で考えてよ。俺からは何も、言えない。」
「パパ。私に任して。」
「あ。良いよ。それより、お腹すいたな。夕べは、接待で、あまり食べなかった。から。皆どうし、ている。・・・銀座の寿司屋へ行こう。皆に電話してくれ。寿司屋で待っている。て。」
「はい。」ミナは、直ぐ電話した。ミナは嬉しい。銀座の寿司屋は、四人とも、大好きになった。他の寿司屋には、行けない。なんて。言うようになった。真田とミナは、先に行っていた。
「おはようー。」
「お。お早う。夕べは、ご苦労さん。」真田を囲んで、座った。親父が、肴とワインを持ってきた。続いて、寿司もでた。
「いらっしゃいませ。・・・今日は、一段と、色っぽい。ね。皆さん。」
親父に、褒められた。皆で乾杯した。真田は、親父に、話が、ある。と言って、席をはずした。ミナが。
「ねえ。皆。板長の家。八月二十五日に、上棟式で、次日から、アメリカへ行く準備をする。て。だから、はっきりした人数を、アメリカに知らせるので、行きたい人を、決めてほしい。て。・・・十日位、観光する。て。言っていた、から。皆聞いて、父母達。」
「うん。皆で行きたい。て。言っていたけれど。聞いてみる。」
「あ。それと。リエの事。九月にアメリカへ行っちゃぅから、パパと、できるだけ長く居た。ほうが、良いと思うの。・・・どう。皆。」
「そうね。そう、言われれば。私もそう、思う。流石、ミナ。」皆、賛成した。リエは。
「良いわ。よ。そんな。・・・気を、使わなくて。」
「でも。そうさせて。リエ。・・・私達。何もして上げられない。もん。」リエが、納得したようだ。
「よし。食べよう。」皆で、わいわいがやがや。今日は、皆、沢山食べている。
真田も戻って、一緒に食べていた。四人の食べ。ぷりを、見て、嬉しそうだ。
「あー。食べた。お腹。いっぱい。」お茶を飲んでいた。すると、リエが、小さな声で。
「ね。パパ。・・・彫り物の話、聞かせて。」すると皆。
「そうそう。パパ。皆で、言っていた。の。彫り物の、話。聞きたい。」
「皆。興味。有る。もんね。実際に見て、触れるの。て。私達だけ。・・・もしかして。・
・・でしょう。」
「彫り物の話。・・・そんな話なら。何時でも、良いよ。」
「良かったー。今日と明日、お店お休みだから。これから皆、実家へ帰って、明日は、お母さん達と、青山で、食事会するの。終わったら。虎ノ門に行く。」
「あー。良いよ」エリとリエは、特に嬉しそうだ。二時ごろ寿司屋を出て別れた。真田は、虎ノ門に帰った。暫くぶりで、一人になった。
つぎの朝、六時に起きた。夕べは、一人で、ぐっすり寝た。
シャワーで汗を流し、久しぶりに、虎ノ門、界隈を。散歩した。日曜の朝だから。車もまばらだ。二時間ぐらい歩いて、家に帰って、コーヒーを飲みながら、ジャズを聴いて、昔を回想していた。うとうと寝たようだ。目を覚ましたら、十一時だ。四人が来るまで、時間が有る。近所の喫茶店で、軽食を食べてきて、チェアーで休んで居た。がやがや。声がする。四人が来たようだ。
「ただいまー。」紙袋を下げていた。
「パパ。ケーキ。買ってきた。よ。」と、紙袋を開けて。テーブルの上に出した。
「お。おいしそうー。」真田も、一個、食べた。
「パパ。全員行きたい。て。アメリカに。」
「お。本当。・・・良かった。」皆、纏まってくれた。真田も嬉しかった。
「じゃ。何人。四人、八人、一人で。十三人か。賑やかで、良かった。じゃ。ない。電話しよう。・・・あ。日時は。」
「パパに、任せる。て。」
「そうか。・・・九月・・・十日。にするか。・・・先に、日本航空に予約を取って。アメリカ。」と、日本航空に予約を取った。OK。アメリカに電話。OK。
「よし。決まった。皆。九月十日。十一時。成田発。・・・お父さん達に伝えて。」
「本当。わー。嬉しい。アメリカに行けるー。」はしゃいで、喜んでいる。各自家に、電話した。
「いよ、いよね。・・・リエ。」
「うん。・・・どきどきして、いる。・・・頑張れ。て。言っている。自分が、自分に。」
「リエは、何時も、どきどきすると、自信が付く。て。言っていた。じゃ、ない。」
「ソプラノを歌うとき。ね。声を伸ばす。でしょう。どきどき、すると。声が震える。から、それを止めないと。歌えない。その修行を学校で鍛えられた。から、歌い始まると、不思議に、震えが、止まるの。ただ。ジャズは、低音だから、それがちょっと。気になるの。」
「うん。でも、今まで、発表会だって、ぜんぜん、上がって、いなかった。よ。」
「うん。・・・でも。どきどき。」リエは、気持ちが込み上げて。いる。
皆が、元気付けて、いた。真田は、
「彫り物。の、話か。・・・長くなるよ。」