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第十ニ話 真田幸介。東侠会、会長に就任した

※昭和五十二年一月。

真田幸介。三十七歳。

東侠会。会長に就任。

※一月十五日。都内の一流ホテルで。襲名披露パーティーが、執り行われた。招待者。二千人。付き人。マスコミ。芸人ら。あわせると、三千人近い。

朝。十時。受付。午後三時。解散。戦後最大の襲名披露と成った。

又、反面。マスコミの標的と成った。高級車がホテルの周りを囲み。機動隊が、出動。黒づく、めの。人達が埋め尽くし。祝賀パーティーは。盛大に、執り行われた。

政財界。スポーツ会。国会議員。作家。芸能界。学長。財団、社団。各種団体。右翼団体。プロレス。相撲会。各、二次会も、この場所で執り行われた。お客さんは。何処から帰ったか。分らない。裏門から帰った。

真田の、人派。此処に、有り。とばかり。・・・これが一部。テレビで報道され。波紋を呼んだ。国会でも取り上げられた。野党の議員も、参加していた、ので。うや、もやに、なった。

真田の名は、全国に、広まり。益々の隆盛を。極めた。東京に真田あり。又、警視庁も、見逃す筈は、無かった。関西の組織も、東京に進出して、来た。小競り合い。も、多くなり、警視庁の監視も、厳しくなる。真田達も、追われる羽目になる。

芸能関係も、狭まれ。総会の規制。警視庁も指定暴力団と。名指し。暴力団追放の、たて看板を、都内中に立て。マスコミを巻き込んで、大々的に、排除のアピールをした。

東侠会。真田会長は、幹部会を開いた。百名を超える。幹部会となった。

真田会長が。

「皆さん。国は、我々を、暴力団と称し。社会から、我々を追放しようと、している。我々は。飽くまでも任侠道である。これは譲らない。勝手に言うのは。弁論の自由で有る。・

・・我々は。屈する事は、無い。・・・我々を、必要としている。人達が居る。限り。今までと、何等、変わりは、無い。社会は、警察では、頼り無い。から。我々に頼む。ん、で有って。・・・この世には。警察では、出来ない事。が。山積して、いる。確かに、泣く人。笑う人。様々だ。泣く人を、我々の仕業に。仕立て上げて、いる。・・・それを、喜んでいる人だって。居る。・・・ただ。関西から来て、小競り合いが起きている。ことは。確かだ。したがって。空手形。幽霊手形には。絶対。手を出さない事。私は、手形には、手を出さない。小競り合いが起きる。だけだ。・・・そして、不振に思ったら。直ぐ。本部に連絡してくれ。コンピューターを。導入した。ので。直ぐ、対応できる。仕組みに。なっている。全国の関係者を、リストアップして。ある。」

真田会長は、組員に、些細な喧嘩に、巻き込まれない。ように。注意した。

一千名を超える。組織に、拡大した。東侠会は。真田会長に従い。益々の勢力を、伸ばした。又、トラブルも増え。揉め事も、多くなった。会長就任披露パーティー以来、笹本会長には、会って、いなかった。会長に、電話した。赤坂の母の店で会った。

「真田会長。・・・先日の、お披露目は。凄かった。ね。・・・真田幸介を、励ます会。・

・・と。名打ったから。良かった。です。よ。・・・襲名披露じゃ。誰も行けなかった。と。思うよ。・・・流石。真田幸介。・・・見事でした。」

「有難う御座いました。・・・疲れた、でしょう。最後まで居て、くれて。」

「あー。顔ぶれを見たかったから。・・・疲れたけれど。・・・良かった。・・・俺は。何時。死んでも、良い。・・・見届けた。から。・・・俺の仕事は。終わった。・・・

真田会長。・・・これが最後の情報だ。電電公社の株。十万株。買える様に。手続きして有る。・・・十億円で買える。・・・十年後に、一株=百万円には成る。・・・絶対。明日十二時に。電電公社の理事長が待って居るから。小切手で。十億円を払って。使用権を貰ってくれ。必ず儲かる。」笹元会長は。本気な目をして、真田に話した。

「会長。そんな事。言わないで下さい。よ。・・・まだまだ、知らない事。沢山、有ります。会長在っての、俺だ。・・・今まで導いてくれて。本当に。感謝しています。から。」

「うん。立派だ。俺の、描いた。人だ。・・・あ。真田会長。祝いに。ゴルフ場プレゼントします。よ。二箇所有る。」と。パンフレットを出した。

「え。此処は。」

「あ。千葉と埼玉。・・・知っている。でしょう。」

「あ。・・・知っています。」

「これが、謄本だ。公証役場で作成して、登記すれば。良いですよ。」

「はい。有難う御座います。・・・どうしてこんな、事に。」

「あ。オーナーとして。半分、現金払って。経営していた。んです。が。突然死。して。跡継ぎが。居なくて。引き取った。物件です。よ。現在営業中です。A社の社長は、会員券で、元は取ったから。経営するのは、嫌だ。それなら。真田さんに。プレゼントしよう。て。・・変な物件じゃ無いです。から。安心してください。近いうちに、支配人と、会ってください。・・・話してあります。から。」

「分りました。有難う。ございます。」真田は、深々と頭を下げた。

「真田会長。外国の、要人が、来ていました。ね。」

「あ。真理の顔。でね。十人来ていました。ね。俺も、スペインには、大分投資して。ます。から。空手で交流も、深めています。会館を、創った。り、して、後輩が。頑張って、くれています。」

「へー。空手。ね。・・・話は別だが。・・・金余りの現象が、ちらほら聞こえる。芸能界。スポーツ界が、ターゲットになる。株。不動産投資。銀行が。借り手を、捜している。今までとは、ちょっと違う。売り手と買い手を見つければ。銀行が、金を出す。半端じゃない。都心の土地、なら、二、三倍吹っかけても。金は出る。・・・言わば、地上げだ。・・・株も。・・・億単位だ。有名人を、探せば、簡単だ。一平方メートル。一千万円の、時代が来る。・・・なぜなら。上に伸ばせる。二十階。五十階の商業ビル。マンションが。どんどん建つ。土地も。大手が探している。ただ。立ち退かせて。更地にしないと、買わない。・・・立ち退き料も、出る。・・・これが味噌だ。」

「そうですか。・・・立ち退き料も。・・・それは、俺たちの仕事だ。是非。お願いします。」

「あ。真田会長も、知っている。A者とB者の社長ですよ。」

「あ。・・・そうですか。・・・知っています。」

「俺も。まだまだ。死ねない。な。・・・会長。ハハハハハハ。」

真田は。次の日。十一時に、電電公社の理事長を訪ねた。

「あ。真田さんですか。・・・笹元会長からの。投資依頼の。件ですね。」

「はい。・・・十億円の小切手です。・・・大手銀行発行です。間違いありませんので。」理事長は。小切手を確認していた。

「はい。間違いありません。確かに。・・・これが、投資証書です。十億円分。この、システムは。電電公社が民営化に当たり。投資者を集めて居ます。従って、この投資金額は、

株式上場した金額で、持ち株数と成ります。従って、買い手が多ければ、上昇して行きます。・・・ただ、民営化は。何年後に成る。かは。未定です。・・・が。一応、昭和六〇年を目指して進めて居ます。上場金額が記され。初売りと成ります。この時期を目安に。国の情報を。見守って居てください。・・・必ず民営化に成ります。」真田は。

「この投資。資金が。自動的に買えてくれる。ん。です。か。」

「そう言う。事です。・・・例えば。一株=十万円なら。千株。・・・百万円なら=百株。」

「じゃ。昭和六十年度を、注意して、見て居ます。」

「はい。連絡は事前に届きますので。・・・大丈夫です。投資金額の証書は無くさないように。大事に保管してください。」

「有難うございます。・・・理事長。後日。ゆっくり会いたいです。けれど。電話しますので。」

「はい。有難うございます。・・・気をつけてお帰り下さい。」

真田は電電公社を後にした。

そして。後日。真田は、土地の物色と有名人達に、接近した。会員クラブは。益々、繁盛した。そして、都内の高層用地を物色し、リストを作った。又、株券は、大手企業のみを。残し。全部売り払った。三倍。五倍も有った。経済は、笹本会長が言っていた。通り。上昇気流が見え始めた。銀行。証券マンが動いた。土地買収が始まった。大金を纏めて。動かす時代に入った。真田は、若い者を使い。競売物件を、裏金で落とす。荒っぽい事も、遣った。立ち退き。買占め騒動が、あちこちで発生。

関西からも。乗り込んできた。お互い。看板揚げての騒動に発展して行った。真田会長は、十兆円を超える。土地を動かし。資産も膨れ上がった。五千億。七千億とも言われ。自社物件も。膨れ上がった。多額の株も保有しる大富豪と化した。当然、警視庁が、真田を追い始めた。真田は。忙しさに追われ。金のガードが、手薄になっていた。自宅の大型金庫。真田組の金庫。本部の金庫。いっぱいに成った。

赤坂の会員制クラブは、情報発信基地。として。大盛況。真田会長の行動も、過激になり。武闘派を、増やし。立ち退き、買収に絡む、トラブル。そして。

昭和五十三年。一月十日。都内のホテルで。笹本会長が。何者かに射殺された。身体に。三発の銃弾が打ち込まれた。真田は、いち早く駆けつけた。身内が居ないので、真田が、柄受けに、なった。そして、都内の、一等地の墓場に、葬ってあげた。そして、弔い合戦になった。真田は、警察が犯人を捜す前に、自分達で探した。さすがに、真田幸介。一日で割り出した。犯人は四人。自称暴力団と言って、いる。真田は、末端の若い者に、東侠会に。一切関係の無い。人間、愚連隊の頭を。呼んで。依頼した。即。行動。四人とも。射殺した。ニュースで報道された。この事件の、解明に、警視庁は。総動員となった。

真田幸介は。万全の態勢で。笹元会長の、弔い合戦を。実行した。「此れが俺の、流儀だ。」

笹本会長の四十五日が、都内のお寺で、執り行われた。真田は、付き合いの有った人達。三十人に。案内状を出した。全員来てくれた。其の一人が。真田の傍へ来て。相談がある。と言うので。法要が終わったら、会う事に、した。

法要が終わり。二人で会った。伊豆の修善寺で、笹本会長が進めていたゴルフ場が。揉めている。と言う。詳しい事は、後で、電話すると言うので、電話を待つ事にした。そして、三日後。電話が入った。そして。喫茶店で会った。

「伊豆の修善寺に。揉めている。ゴルフ場が有る。んです。東京のブローカーに渡ってしまって。脅かされて。困っている。地主がある。んです。其のブローカーを、排除出来るのは、真田会長。しか。おりません。用地は、六十町歩有ります。十八ホールのコース。なんです。が。九ホール。しか、完成していません。クラブハウスも、コンクリート。むき出しです。が。ただ。安いですから。これから造っても、一億あれば、完成します。ただ、九ホーだけです。・・・情報だと、ブローカーは。一億ぐらいで、押えている。みたいです。ですから。一億五千万位で、落とせれば。買い時です。悪い奴みたいで。強引に行けば。会長なら。落とせます。よ。・・・旨く遣れば。一億円弱で。八千万円位。」

「そうですか。・・・分った。其の野郎の。住所は。」

「はい。・・・これです。」住所と氏名を書いた。メモを貰った。真田は、十万円くれて、分かれた。次の日。真田は、修善寺に行って。地主と会って、いきさつを聞いて、帰った。そして、其のブローカーと会い。8千万円で。話をつけて、謄本を貰った。

真田は、赤坂クラブに、顔を出した。

「おーす。」

「おー。会長。丁度良い、ところへ、来た。・・・待っていた。んです。よ。皆。」

「お金儲けなら。お断りですよ。・・・ハハハ。」真田は。笑いながら。言った。

「其の。断られる話です。よ。・・・会長の紹介で買った。ゴルフ場会員券が。三倍で。値を付けている。んです。よ。」

「おー。そうです。か。俺も忙しくて、気に止めていなかった。・・・まだ、持っていた、ほうが、良いかも。・・・まだ上がりますよ。・・・あ。そうそう。今度。二箇所。有ります。」

「えー。どの辺り。ですか。」

「千葉と神奈川です。・・・皆さんなら、書き換え手数料は、頂きませんので。何口でも。又、伊豆の修善寺に、パブリックコースを造ります。九ホールですが、高低差が有って。面白いコースです。よ。・・・女を連れて遊ぶ。には、最高です。宿泊も。出来る。し。」

「へー。それは、良いですね。・・・何時ですか。・・・オープンは。」

「オープンは、四月頃に成るでしょう。」真田は、相変わらず。皆と親しく、話していた。

「これからの情報交換。は。修善寺に、場所を変えましょう。・・・此処のクラブも手狭に成った。し。・・・ゴルフしながら。健康にも良い。し。」

「会長。そっちのほうが。良いです。ね。・・・泊れる。なら。・・・何人。泊まれますか。」

「あ。三十人は、泊まれますね。」

「お。丁度。良いですね。・・・会長。其処に、決めましょう。」

全員乗り気だ。

真田は、警察が動いて居るのを、察していた。修善寺は、県道から五百メートルぐらい入る。その道は。管理人の専用通路なので。他の車、人も入れない。プライベートには、持って来い。の、場所だ。真田は、東侠会を、度量と手腕で、益々、拡張した。千人を。超える。大所帯と成り、都内の盛り場には、東侠会の若い者が。必ず潜んで、居る。と言う。巨大化した。一方。他の組織も。都内に集中し。揉め事も、多くなり。拳銃を使う喧嘩が、増え。マスコミの、格好の餌食になった。総会屋と称する、連中も増え。依頼も半減し、取り締まりも厳しく、なり、公に出せない仕事。に。なった。其処で真田は、総会開催。前に。企業の社長らと、接触し、直談判に切り変えた。従って、四月上旬。修善寺のオープンは。待っていました。と。ばかり。

情報交換が、頻繁に行なわれた。真田は、修善寺に滞在する。羽目と。なった。そして、真田の、仲介により。退陣派。改革派。お互い、丸く治まり。総会騒動を、抑えた。これも、真田の知恵である。真田は、警察を、あざ笑うかの、ように、通り抜ける。一枚上である。其の儘。東侠会は凄まじい邁進を、続けて、居た。しかし。社会は動く。

※昭和五十九年。二月上旬。六本木で、発砲事件が起きた。東侠会側が、二人死亡。相手側が。三人死亡。警視庁が動いた。真田会長逮捕。を。前提に。動き出した。しかし、真田は。事件当日。都内に居なかった。千葉方面でゴルフをしていた。緊急連絡で、事務所に戻った 。刑事が、五人で待っていた。

「会長。事情を、話して、貰おう、か。」

「なんですか。・・・藪から、某に。」真田会長は、怒鳴った。

「会長。今度の事件は。単なる若い者の、喧嘩じゃ、ない。だろう。」

「俺は、知らん。・・・みんなの話を、聞かない。と。分らん。」強い口調で言った。

「会長。情報は、掴んで、いる。」

「何。言っている。んです。か。・・・他人の事務所に。土足で、入り込んで。捜査礼状とか。逮捕状とか。持って、んの。かよ。お前ら。」怒鳴るように、言った。

「お前らとは、なんだ。よ。・・・公務執行妨害で、逮捕する。ぞ。」

「何が、公務執行。妨害だよ。・・・家宅侵入罪。だろうが。・・・非常識だろう。・・・紳士的に、話せば、分る。だろうが。・・・出直して、来い。」真田は追い返した。警察も、逮捕状を取っていない、から、弱いところもあった。若い者達は。真田の行動に。震えて居た。

「流石。会長だ。」皆、顔を、見合わせて、居た。

真田会長は。

「緊急幹部会を開く。・・・皆を集めてくれ。」執行部。三十人を集めて。幹部会を開いた。本部長を議長に、話して、いた。事件の流れを、説明した。

「発端は。賭博ゲーム機の設置。利権に係わる、問題で。以前から、小競り合いは、遇ったんです。今回は、相手が六人。家は三人だった。応援を頼んで、十人に成った。ん、です。其処で。相手が突然、弾いて来た。んです。家では、六人が、チャカを、持っていて。相手は、全員チャカを、持って、いました。室内での発砲なので。誰に当たった。かは。分らなかった。治まって立ち上がったら。相手は三人倒れて、いました。家は、二人が、立てなかった。ん、です。直ぐ警察が来て。救急車でけが人が運ばれて、いる隙に。俺は、逃げてきた。んです。」現場に居た若い者が、説明した。

「お前が、居たのか。・・・けが人は、何人だ。」

「分りません。直ぐ逃げて、来たから。」

「じゃ。お前は、面が割れている。から。自首して。・・・一人着いて、行って。現況を確認して。病院を聞いて、見舞いに行ってくれ。・・・相手は。」

「はい。今。調べた。ん、ですが。愚連隊、です。系列を見ると。○○組だと思います。若い者達に、聞いた。ら。○○組の幹部と、つるんで入る。のを、見ています。」

「うんー。死んだのは、組員では、ない。・・・ま。先方の出方しだい。だが。用意はして置いた。方が。良いな。・・・奴らも武闘派だから。油断は、するな。十班ぐらい、就くって置いた。方が良い。な。」

「はい。チャカは、用意して、有ります。」すると、病院の情報が入った。相手は三人死亡、三人重体。・・・家は、二人死亡、二人重体、四人軽傷、二人無傷。

「うー。・・・弔い合戦に。成る。か。」

「会長。組員で無い。から。どうでしょうか。」

「うん。其れが、常識的な。・・・でも。今は。何が起こる。か。分らない。こっちから荒立てる。必要は、無いだろう。・・・つるんでいた。幹部を。マーク。だな。」 

「はい。現在。追って、います。」

「おー。掘。早い。な。・・・じゃ。葬式の段取りを、してくれ。」

「はい。」執行部は、葬式の準備を始めた。関東全域に、弔問状を出した。

東侠会は。三日後に。都内の斎場で、二千人を超える、弔問客で。しめやかに執り行われた。真田達は、生産を済ませ。斎場を出た。車、五台連ねて事務所へ向かった。途中。赤信号待ち、していた真田らの車に、突然発砲。してきた。

東侠会で、マークしていた若い者達に、全員取り押さえられた。三人だ。そして、袋叩きにして、一人を射殺した。警察が来た。真田会長は。車に乗っていた。パトカーも十台来た。全員警察に連行された。真田が乗っていた車からは。一人も降りて、いなかった。

マスコミも、大々的に、取り上げ。テレビで。全国に放映された。本来なら。義理場では。報復。喧嘩。揉め事は。禁止されている。○○組は。全国の組織から。吊るし上げをくって。解散した。一方。真田達は、射殺した一人。暴行した十人が。逮捕された。真田たちの車に乗った人達は、誰も逮捕者は居ない。

組織内も、大波乱と成った。真田は、全員を落ち着かせる。為。東侠会、総会を、赤坂クラブで。執り行った。会長が挨拶した。

「今回の事件は。我々が、巻き込まれた事件。で、ある。従って、皆の素早い、行動は、他の組織の、模範となる。行動。だった。高く評価。する。組織のために。身体を張った。若い者に対し。全員で激励し、応援して行かなければ、成りません。会でも、充分に考えて有ります。殉職者二名。懲役者。十六名。百万円から。千万円単位で、考えています。事務局で幹部達と決めてください。任せます。・・・今後。益々過激に成る。と。考えられますので。大義名分の無い。戦争は。絶対。しない様に。心がけて。貰いたい。」

真田会長は。組織の寛大さを報告し。お互いの連携を重視するよう。組織固めに配慮した。当局は、真田を引っ張ろうと。したが。本部長。止まり。で、納まった。

一方。真理の会社も、順調に業績を伸ばして、商業ビル、五棟。マンション百室。真理の名義で、運営している。又、株券。ゴルフ会員権。等々。何十億も、溜め込んでいた。又、子供。・・・信行も。・・・大学に入り、外交官を、目指して頑張って、いた。信行は。岡田の性を、名乗り。真田との、関係は、出ない、ようになって、いた。

お袋の方も。板長が殆ど仕切っていて。業績を伸ばした。官庁。企業などに、高級仕出し弁当を届けて。土、日、祭日意外は、てんてこ舞いの忙しさだ。板長の息子も、勤めている。真田は、自宅で、今までの事を振り返り。一人のんびりしていた。真理と信行は。二階で話していた。電話が鳴った。真理が出た。

「あら。お母さん。・・・久しぶりね。パパいます。よ。・・・信行も居ますよ。・・・はいっ・・・はい。分りました。」電話を置いた。

「パパ。お母さんが来る。て。急に行きたく。なった。て。」

「うーん。」真田は。さりげなく返事した。信行が。入って来た。

「お。信行。・・・暫く、だな。・・・元気そうじゃ、ない。か。」

「あ。・・・お父さん。テレビに出ていて。かっこ良かった。よ。ゴルゴサーティン。みたい。だった。」

「あ。葬式の時か。」

「うん。後ろに若い人達が、大勢居て。お父さんが、先頭になって。映画みたい。だった。よ。・・・でも。殺されないで。ね。」

「ハハハ・・・お前も、大人に、成った。な。・・・俺のことは、心配、するな。それより、夏休みになったら。インドに、行って、こいよ。俺の。知って、いる。人だから。・・・頼んでおくよ。」

「えー。本当・・・行きたい。」

「よし。明日。手続きして、くるよ。」真田は。お父さんぶり、こ。して居た。

「ごめん下さい。」お母さんが来た。

「はーい。」ドアーを開けた。

「あら。いらっしゃい。お母さん。久しぶり、です。どうぞ。」

「おー。いらっしゃい。」

「まー、まー。今日は御揃いで。・・・皆さん。」

「こんにちわー」信行も居た。

「信行も。大きくなった。ね。・・・急に、大きくなった。みたい。・・・はい。お土産。」ケーキを買って来た。皆で食べていた。

「幸介が。テレビに映って、いた、から。・・・大丈夫。かと。思って。・・・お父さんみたいに。成ったら。」

「あ。大丈夫。だよ。・・・今は、親父らの時代と、違う。から。」

「それなら良いけど。・・・お店も、忙しくて、ね。板長が。一生懸命。なの。弁当作りで。朝、五時から、遣っている。のよ。息子さんと二人で。」母も、嬉しそうに。話している。

「うん。俺も、議員会館で、食べさせて、貰った。けど。美味しかった。ね。・・・

あれなら、売れます。よ。」

「え。五百食も。出ています。のよ。大使館。領事館。議員会館。商社。銀行。殆ど、お客さんみたいです。よ。」

「確かに、冷めても、美味しい。・・・板長にもお世話に。成っている。な。・・・息子も、勤めてくれている。し。」真田も、嬉しかった。

「えー。良い、息子で、ね。・・・飽きないで、来てくれれば。一人前に成る。でしょう。」

「うん。板長も、厳しい、からな。・・・」

「あ。幸介が元気で、良かったー。・・・逃げ回っている。のか。と。心配で。」

「そんな事。ないよ。・・・よし。皆で、寿司屋へ行こう。」

「あら。良いわ。ね。・・・お寿司。」真田達は、タクシーで、寿司屋へ行った。

「おーす。」

「らっしゃい。お。今日は、ご一家で。・・・女将さんも。奥。空いています。どうぞ。」

真田達は、奥の部屋へ行った。ワイン、ビール、ジュースを運んできた。親父も座った。

「どうぞ。」親父は、皆に、注いであげた。母が来ると、親父が、付き合って、くれる。幼馴染だから、気が、合う、らしい。

「幸ちゃんも。会長に成って。・・・偉い。出世して。」親父が、嬉しく、言った。

「そんな事。無い。のよ。・・・お父さんみたいに、なったら。」

「そうね。今回は。・・・大丈夫だった。んですか。」親父も、心配だった。

「うん。大丈夫。じゃない。ですよ。・・・警察が、俺を潰しに。係っている。妬みだろう。金儲けのうまい。人は、妬まれる。・・・かと、言って、金が無い。と、相手にされない。不思議な。社会。だ。・・・俺の場合は、頼まれて遣っている。仕事だ。から。な。・

・・断れない。し。・・・でも、ね。金欲。役欲。・・・私利、私欲の。塊。ですよ。自分だけ良ければ良い。駄々、子。ですよ。」すると真理が。

「株式の意味。分っていない。じゃない。・・・株主の会社。だって、事。」

「うん。それが。・・・自分が創った。会社。だから。次の社長は、息子だ。と。言い張る。・・・それが、揉める、原因。・・・その仲裁に、俺が、頼まれる。・・・なぜならば。俺は。学生時代から。総会の揉め事に。取り組んで来た。第一人者。と。して、企業体が。認めている。・・・俺だって、何千人の会長、社長と直談判してきた。経緯が、有る。だから、説得できる。(貴方は、他社が、過去に潰れた会社と同じ事を、遣ろうとしている。)だから、重役達が反対に、回っている。重役達は、株主の為に、会社を良くしよう。と。している。んだよっ。・・・又、なるべく外部に漏れない。ように、気を配って。・・・今回は、重役に譲、って。次に息子を、社長にして。は。如何です。か。・・・それでも、突っ張る。それを、説得する。一日がかり。ですよ。」

「へー。それは、大変だ。・・・幸ちゃんは。企業の為に、頼まれて動いた。て。事だ。・

・・うん。」親父も、感心して、聞いている。

「そう。なんです。よ。俺は、実績を。持っている。から、九十パーセント。旨く行く。けして、組織の風を、吹かせている。訳じゃ。ない。んです。よ。」すると、母は。

「うん。幸介の話は。分るの。よ。・・・デモね。看板を、背負って、いる。から。どうしても、世間は、そっちへ、向いちゃう。のよ。・・・特に、婦人団体、マスコミ、も。」

「そうね。コンパニオン達。も。裏社会に、見られて、白い目で、見られて居る。のよ。」

「へー。色々、苦労。有る。んです。ね。」親父も、びっくり。しながら、聞いて、いる。

「今回は、事件を起こした、我々の落ち度。だが。・・・待っていました。と。ばかり。警察は、俺を、追って、いる。・・・此処だけの話だが。今年中に、解散に追い込まれる。だろう。・・・そんな気がする。・・・ま。信行も、良い大学に、入れた、し。真理も自立している。し。母さんも機動に、乗っている。し。俺も遣ることは、遣った。し。悔いは、無いよ。・・・親友の幹部達も、家を建てて。自立して。います、から。ね。・・・ただ。若い者達が、気がかり、でね。五百人。居るから。」

「でも、良かった。じゃない。堅気に。慣れる。なら。・・・警察の所為に、して。・

・・世間は。納得する、でしょう。・・・組織の連中。だって。」

「あー。でも。簡単じゃ。ない。んだ。よ。・・・決断。と。成ると。・・・俺も迷う。」

真田は、目頭を、抑えていた。みんなの前では、初めて、だ。寿司屋の親父も。涙ぐんで。いた。

「お父さんも。苦しい時が、有る。んだね。」信行も、心配して、いた。真理は、心配だけど、嬉しい様子だ。

「あ。信行。人生は、楽しいことばかり、じゃ、ない、んだよ。ただ。弱気を、見せたら、駄目だ。でも、突っ張っても、駄目だ。・・・信行も、スタートラインに、立っただけだ。これからが、様々な場面にぶつかる。自分の信念。目標を決めて。貫く。事だな。」

「はい。お父さん。俺。外交官に、成る。よ。・・・決めた。んだ。」

「お。そうか。・・・お前には、向いている。よ。お母さんも、その様に願って、育てたこと、だし。・・・ほら。お母さんも、喜んでいる。よ。」真田も、嬉しかった。

「まあまあ。・・・信行も。将来の事。話した。の。始めて、ね。」真理も、嬉しかった。

真田家は。一家団欒の、ひと時。だった。皆嬉しかった。真田は、内心。寂しさが、どよめいた。真理達とは、一緒に暮らせない。からで、ある。・・・これも、自分の人生。だと。諦める。しか。なかった。考えては、いたが。目の前に来た。零時を回って、いた。

皆で。腹いっぱい、食べたようだ。

「帰ろう。か。」一家は、帰った。

真田は、信之の為に。真理とは、籍を、入れなかった。信之は、岡田の性を、名乗って、生きてきた。信行もそのことは、知って居たようだ。真田は、自分の世間に対する。後ろめたさは。最初から。分かって居た事である。素直に育ってくれた。信之には。頭は上がらなかった。

昭和六十年三月。電電公社民営化が発表された。(NTT株式会社)

昭和六十二年。二月九日。一株=百十六万九千円で。株式上場した。

真田は電電公社理事長と会った。

「真田さん。いよ、いよ、です。ね。・・・十億円を百十六万九千で割ります。と。八十六株に成ります。ので。・・・おそらく三〇〇万円位まで。上昇しますので。そしたら。打ち止めにしましょう。・・・二十五億八千万円。に成りますよ。」

理事長の、言う通り。四月には。三〇〇万円に成った。真田は解約した。そして。

「真田さん。此の株式証券は。NTT株式会社に、投資して置いてください。今、解約すると税金の対象に成ります。・・・十年間。預けて。置けば。二十五億八千万円に、利益が加算されますから。」

「おー。そうですか。・・・じゃそうしてください。」

「分かりました明日。証書を作成して。渡しますので。後者の私の部屋に来てくれますか。」

「はい。伺います。」

次の日真田は、新会社。NTT株式会社に行った。

「ご苦労様です。・・・この話は、二人だけしか、知らないので。他の人には。話さないでください。・・・約束して頂きたい。」十年間の投資金額証書を受け取った。

「はい。分かりました。・・・理事長。今晩。赤坂の家のクラブに招待しますので。六時に来てください。お待ちしています。」

「あ。・・・はい。・・・六時ですね。」

そして夕方六時。ビップルームで。会った。ホステス五人を付けた。

「理事長。帝国ホテルを予約して有りますので。五人の中から一人。コンパニオンで付き添いますので選んでください。」

「え。・・・あ。はい。」

真田は、五百万円入りの封筒を。理事長に渡して。別れた。この頃、日本は。バブル真っただ中。だった。紙切れの様に。金が舞い飛んだ。銀座。赤坂。六本木。新宿。渋谷は。路上駐車で。溢れた。

次の日。真田は、本部。事務所に行った。

「おーす。」

「お苦労さん。です。」若い者が、お茶を持ってきた。事務所は、緊張している。様子だ。真田は、若い者に。

「皆。気を、楽にして。・・・緊張すると、手元が、狂う。し、頭の回転も、鈍くなる。

勝負に勝つ。人は、常に冷静で、なければ、ならない。」真田は、若者達を落ち着かせた。

「おーす。分りました。」そして、幹部達が来た。会議を開いた。真田が、挨拶した。

「皆。暫くは、自粛する。ように。丸暴が、総動員で、我々を、監視している。らしい。と言う情報が入っている。勝ち戦には、成った。が。当局が、捜査続行。らしい。・・・

暴対法に引っ掛けて。俺を、パクリに、来る。らしい。」事務所は。シーンとなった。会議は、二時間ぐらい続いた。幹部達は。会長の身体を気使って居る。真田は、インド大使館に、電話して信行のことを話した。近日中に手続きを、します。ので、本人を、来館させてください。との連絡を、頂いたので、信行に伝えた。

東侠会も、自粛しながら、何事も無く、街は賑わっていた。夏も終わり、北から、紅葉の便りが聞こえ、対感温も肌寒く、身が引き締まるような陽気と、なり、街も、活気付いた。ように、足早に歩く人が、目立つ、赤坂界隈。真田会長も本来の姿に、戻って。昼はゴルフ。夜は、銀座。赤坂。六本木と、忙しく飛び廻っていた。時も十二月に入り、官庁街も、慌しさが、ちらほら、目立つように、なった。

リリリリリリ。事務所の電話が鳴った。若い者が出た。真田も居た。

「はい。東侠会。本部。」

「はい。・・・はい。・・・会長電話です。」

「お。誰だ。・・・もしもし。真田だ。・・・う。・・・暫く。・・・

え。・・・はい。・・・分りました。」電話を切った。

「俺。出かれる。よ。・・・警視庁からだ。・・・一人で、良いよ。」

真田は、一人で、タクシーで出た。事務所内は、静まった。真田は、警視庁に着いて、手続きを済ませ、待合室に居た。警視正が来た。

「真田会長。暫く。・・・応接室へ、行きましょう。」真田は、後から着いていった。

「どうぞお座り下さい。」真田は座った 。二人は、目と目が合った。

「真田会長。・・・幾つに、なりました。」

「ん。・・・四十七。ですが。」

「ん。・・・まだ若いです。な。・・・実は・・・東侠会を。解散して、頂きたい。んですが。」

「んー。」

「あ。ごめん、御免。いきなり、で。・・・実は、会長の身辺、調査をして、裏付を取った。んです。よ。・・・この通り。膨大な調査資料。だ。・・・此の儘。だと。政界。財界。スポーツ界。芸能界。相撲界。貴方が係って、いた。全ての、人達が。暴力団に。加担した事に成って。国が、揺れます。よ。・・・貴方の言い分は。分る。

しかし。我が国家。は。法事国家。です。から。・・・引っ掛かっちゃう。んです。よ。

・・・マスコミも、うるさい。し。・・・今回の、抗争事件は、追い風。だった。ね。我々も、何処で、攻めようかと、てぐすね。を。引いていた。んです。よ。・・・国税局も。動いて、います。よ。・・・ま。この辺りで。ピリオドを、打ってくれ。・・・皆を、助ける。と。思って。・・・国税局にも、穏便に済ませる。ように。私。からも、お願いする。から。貴方の、決断で。皆が助かる。マスコミの餌食になる。前に。考えて、くれんか。ね。・・・あ。今。返事をくれとは、言わない。近日中に、国税局長と、三人で、会おう。決まったら。電話くれ。・・・これが、私と、直通の、番号だ。」は分かれた。真田は。タクシーで、学生時代の、喫茶店に行った。

「いらしゃい。ませ。・・・あら。真田さん。」

「お。元気で遣って、いる。ね。・・・」

「はい。お蔭様で。」

「コーヒーくれ。」コーヒーを、注文して、真理に電話した。真田は、原点に戻って、考えていた。

「いらっしゃいませ。・・・あら。ママ。」

「暫く、ね。・・・家で来ている。でしょう。コーヒー。ね。」真理は、真田の傍へ。いった。

「なに。貴方。・・・こんなところで。・・・でも、改装した。みたい。ね。」

「うん。ちょっと、変わった。ね。」

「なに。・・・処で。」

「あ。ただ。・・・原点に。帰ってみよう。かな。て 。此処へ、来た。」

「なによ。」

「ん。・・・今・・警視正と、会ってきた。んだよ。解散しろ。て。言って。きた。」

「えー。出来る。の。」

「ん。・・・分らない。・・・お前の意見も、聞きたくて、ね。だから、此処へ、来たんだよ。・・・此処で皆と夢を。語り合った。時が、一番。楽しかった。な。・・・お前にも惚れていた。し。」

「そう、ねー。貴方達が、通うようになって。から、この店も、活気が、出てきて。・・

・私も。あの四年間。が。一番よ。・・・私も貴方が来る。と、ほ。とした。のよ。」

「俺も、五十に成った。んだ。・・・早いよ。な。・・・お前。どうする。」

「どうする。て。・・・私は、分らない。わよ。・・・貴方に。任せます。よ。」

「金は。大丈夫か。」

「お金は、心配ない。わ。・・・会社の当座預金も、十億円。有ります。し。・・・

月平均。二千万円。超えています。から。・・・買いたいものも。無い。し。」

「そうか。ビルとマンション。お前のも、有る。し。」

「貴方。どうする。の。・・・溜め込んでいる。でしょう。」

「あー。一千億円は、有る。かな。」

「一千億円。」

「うん。資産合わせれば。・・・現金で。五、六百億は、有るよ。株券も二〇〇億円は、有る。金塊。プラチナ。・・・でも、国税局が。入る。らしい。」

「へー。全部は。持って。行かない。でしょう。」

「ん。まだ、分らない。今度、警視正と、国税局長と、三人で、会う事に、成って、いる。」

「へー。そんな事。出来る。の。」

「うん。解散の、駆け引きに、出す。みたい。だ。・・・だから、五百億円。以内。位、払って、済めば、俺の勝ちだ。・・・今後の組織の事を、決めないと。・・・これから、銀座の根津総長と会って。相談する。よ。お前に。先に。話した、かった。」

「有難う。気使って。くれて。・・・あ。そうそう。信行がインドに行って。凄く楽しかった。て。帰って来た。わよ。・・・お父さんに、宜しく。て。」

「あ。それは良かった。信行は。頑張れる。だろう。・・・俺が居なくても。」

二人は、六時ごろ、店を出た。真田は、銀座の根津総長と連絡を取り。赤坂の料亭で。会った。

「真田。・・・これは、避けられない。俺の耳にも、入ってきている。芸能。スポーツ。政財界。各企業会長。社長。・・・良く此処まで。潜り込んだ。ね。若い者は、俺が。面倒見るよ。・・・心配するな。」

「はい。有難う御座います。幹部達は。それなりの。凌ぎは、あります。から。総長には、迷惑。掛からない。と。思います。・・・正組員。三百名に。準組員が、二百名おります。幹部は、五十名。程です。特に、太田ら、七人は、学生時代からの、親友。なんです。・・・宜しくお願いします。」

「あー。明日にでも、俺の事務所に来る。ように。」

「はい。分りました。宜しく。お願いします。」と言って。真田は、内ポケットから、小切手を出して、テーブルの上で、数字を、書いて、総長に、手渡した。

「うん。真田。・・・丸が一つ。多い。じゃ。ないか。・・・」

「大丈夫です。・・・五億円。です。」真田は、安心して答えた。

「真田。・・・噂は、聞いて、いたが。・・・」総長も、びっくり、している。

根津総長は、小切手を懐に入れて、芸者を呼んで、宴会に入った。昔の、真田の親父の事で。話は弾んだ。総長もお父さんの、若い衆。だった。真田は先に、帰った。一安心して、いた。

次の日。真田は。本部事務所に行った。幹部達を集め。胸の内を話した。

「会長。本気です。か。・・・会長。会長。」幹部達は。皆、目頭を抑えていた。声を出している。者も居た。

「皆。・・・今回の解散は。今後の任侠道を。継続して行く上で。の。仕方の。無い。

決断だ。昨夜、銀座の、根津総長と会って、承諾して頂いた。・・・決めた事だ。総長も許してくれた。俺だって。皆とは。別れたく。ない。・・・分って。くれ。みんなの。身体は。根津総長が、引き受けて、くれる。だから、十名。総長の事務所に。夕方。行って。くれ。」 

真田は。涙声で、話している。震える手で。幹部の氏名を、書いて。メモを渡した。そして。警視正に電話を入れた。赤坂の料亭で、会う事に、成った。

「お。真田会長。ご苦労さん。・・・こちらが、国税局長だ。」

「お世話に成ります。・・・真田です。」真田は、頭を下げた。

「初めまして。局長の○○です。」と。名刺を出した。と直ぐ。

「処で。真田さん。これが、私どもが集めた、資料です。総括は、私が持っています。ので、部下のものは、これには、係っては、いません。知っているのは。私だけです。」

「要するに、この話は、局長だけが、知っている。・・・早い話が、決定権を。持っている。と言う。話だ。」と。警視正が。横槍を入れた。

「其の通りです。」局長も、その気に、成っている。

「真田会長。一千億を、超えるじゃ。有りません。か。・・・まだ有る。でしょう。

脱税で、引っかかったら。どうしますか。」

「半分以上。無くなります。よ。・・・真田さん。」

「はい。それは、承知しています。」

「どうだ。会長。・・・二百億円で。・・・解散しますか。・・・それとも、カポネみたいに、脱税で、刑務所で。死にますか。・・・どっちだ。」

「はい。・・・前者で、お願いします。」と。真田は、頭を下げた。

「よし。決まった。・・・手打ち。だ。・・・真田。良く決断して。くれた。・・・

有難う。俺からも。礼を言う。よ。・・・俺の首も、繋がった。」警視正も嬉しい、様子だ。女将を呼んで、宴会が始まった。

「よし。手打ちの。乾杯だ。」三人で乾杯した。真田も帰らないで。付き合った。

「真田会長。今年の忘年会で、解散発表。・・・其の前に、税金払って。よ。」

「えー。私のほうは。直ぐ。払います。」真田も、静かにして。いる。

「真田会長。良かった。じゃない。か。・・・二百億円で。・・・それより。会長。社長。先生方。芸能。スポーツ。・・・皆、助かった。・・・真田会長。貴方は偉い。自分を殺して。よく、決断して。くれた。任侠道と、しては。奈落の底に落ちた。が。・・・人間としては。日本を、助けた。と言っても。過言では、ない。・・・これがマスコミに流れたら。止まらなく成る。ところ、だった。よ。・・・局長も有難う。私も、長官命令、で、動いていた。んです。よ。・・・これを、しくじった。ら。私の首も、吹っ飛ぶ、ところ、だった。よ。・・・さっ。飲んでくれ。この場所は、俺が持つ、さっ。無礼講。だ。・・・それにしても、真田会長は、運が、良い。来年からは、脱税査察が。活発化、するみたい。だから。一発で、引っかかる。ところ。だった。よ。」真田は、無理して付き合って。いた。一時間ぐらい。居て。真田は帰った。十一時を回っていた。真田は、真理に。電話して、銀座の寿司屋で待ち合わせた。

「おーす。」

「らっしゃい。・・・あれ。一人。」

「カウンターで良い。真理が来る。」お客は、居なかった。

「丁度、一段落した。所だよ。真理さんが来たら、暖簾外し、ちゃおう。」

「今晩はー。」

「らっしゃい。・・待っていました。」親父は。直ぐ。暖簾を外した。

「どうでした。・・・その後。」

「あー。話は、進んだ。・・・今、警視正と会って、きた。」親父も、ワインを持って来て、座った。

「幸ちゃん。顔が、引き攣って、います。よ。・・・何か有った。」

「うん。・・分る。んだ。な。親父は。・・・俺のこと。・・・深刻。なんだ。よ。」

「そりゃ。分ります。よ。・・・何十年の。長い付き合い。だ。よ。」

「うん。・・・この前、ちょっと話した。解散の事。だよ。」

「あ。この前。言っていた。・・・」

「あ。今、警視正と会ってきた。・・・従うしか無い。ん、だよ。警察庁が、動いた。んだ。でも、今まで付き合ってきた。会長。社長。各団体の。人達を巻き込む事に。成って、其の人達の名を。汚す事に。なる。と。言う。・・・国には、勝てない、よ。・・・若い者達は。銀座の根津総長に。預けた。よ。気持ちよく。引き受けてくれて。ね。一安心だ。・・・後は、自分が、どうするか。・・・生きてく道を、探さないと、都内には、住めない。し。」

「えー。何故。此処に住めない。・・・分かんない。」真理は。びっくりして、いる。

「任侠道。て。そう言う。もの。なんだ。・・・・暗黙で。」

「へー。我々には。分からない。・・・どうしますか。これから。若い。し。」

「パパ。・・・好きな絵。でも。描いた。ら。」

「うん。俺も、そう考えて、いる。取り敢えず、伊豆の別荘に。行って、います。よ。」

寿司屋の親父も、目頭を抑えながら、付き合っていた。二時頃まで、話していた。

真田は、次の日。事務所に、幹部達を集めた。

「上田。全部清算して、幹部達で、均等に分けてくれ。三十人。居る。だろう。

それで新たな、出発をしてくれ。」上田は、書類を集めて、整理を、している。真田は、それが終われば、即。解散届けを、出す。つもりだ。

「会長。残りは。丁度。三十億円。有ります。」

「おー。・・・丁度か。・・・じゃ。一人。一億円。づつ。分けて、くれ。・・・

皆。今日まで。ご苦労様。でした。俺に協力して。くれて。有難う。」深々と、頭を下げた。・・・目には、涙がこぼれて。いた。皆。声を出して、泣いて、居た。

「これで。東侠会。・・解散する。」幹部全員が。涙した。

「会長。会長。・・・」しきりに、真田に、名残を、惜しんでいた。真田は、学生時代の仲間を、応接室へ呼んだ。

「皆。三十年間。短いような。長いような。付き合い、だった。が。悪く思わないで。くれ。俺は、逃げる気は。無い。遣る事は、遣ったつもり。だ。それは皆も、知っている。だろう。・・・でも。時代の流れには、逆らえない。・・・皆も、達者。でな。」と。言って。真田は、自分の金庫から。七億円。出して。七人に、一億円。づつ。渡した。

「この金は。俺の手持ち。金だ。少し。だが。俺の気持ちだ。受け取ってくれ。」

「会長。会長ー。」

「おいおい。会長じゃ、ない。よ。今、解散した、じゃ、ないか。真田で、良いよ。学生時代に。戻った。ん、だよ。」真田は。ぼろぼろ涙を、流して、いた。皆は、真田の涙は、初めて、見た。

「真田。真田。有難う。よ。有難う。」八人は、抱き合って。泣いて、居た。最後の、男同士の。友情を。かみ締めて。いた。このビルは。真田の持ち物。なので、皆は。荷物を出して、帰った。真田も、家に帰った。真理は、まだ、帰って。いない。夜八時ごろ、真理は、帰ってきた。電気を点けた。

「貴方。帰っていた。の。電気も点けない。で。」真田は。ソファーで、うたた寝していた。

「うん。あー。」真田は起きた。

「どう。でした。皆。」

「うん。・・・今日。解散した。よ。・・・明日。警視庁に届けを、出して、終わり。だ。」

「そう。スムーズに、行って、良かったじゃ。ない。」真理は、コーヒーを、入れてきた。

「あ。寂しかった。よ。親友との。別れは。辛かった。よ。・・・もう、会う、ことは。無い。と。決めた。んだ。人生は。散り際が。大事。だ。」真田は、過去を。振り返らないと、決心していた。

「でも、何時でも。会える。じゃない。銀座。赤坂へ来れば。」

「あ。それは、な。・・・真理。明日から、伊豆の別荘に、行こう。か。・・・

仕事のほうは、どうだ。」

「え。良いわ。よ。・・・うちのスタッフ。は。しっかりして、いるから。任せて。おいても。」真田は、嬉しかった。

「じゃ。一週間ぐらい。・・ゴルフ三昧で。」

「えー。久しぶり、ね。クラブ、握るの。・・・じゃ。用意して、おく。」真理は、嬉しそうに、二階にあがった 。

次の日。

※昭和六十二年。十二月二十日。

東侠会。解散届提出。会長。真田幸介。四七歳。

朝。十時。真田は、書類を警視庁に提出した。其の儘。伊豆に、向かった。

「このキャデラックも、もう必要。無い。な。・・・買ってから、まだ、一年も立ってない。帰ったら。上田に、上げよう。

(臨時ニュースを、申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。都内最大の暴力団。真田幸介率いる。東侠会は、今日午前。警視庁に、解散届けを提出しました。・・・繰り返します。都内最大の。暴力団。真田幸介率いる。東侠会は。本日。午前十時。警視庁に、解散届けを提出しました。尚、関連ニュースは。入り次第。お知らせします。)

「暴力団。か。・・・マスコミは、怖いね。パパ。」

「うん。上手く利用すれば。違う、んだが。・・・これで。終わりだ。・・・警視正も。国税局長。も、約束は。守るだろう。な。・・・」二人は、東名高速を走りながら、ラジオを聴いていた。真田と真理は。伊豆の修善寺で、十日間、ゴルフ三昧で過ごした。東京に帰り、

真田は、今後の生活基盤づくりに取り掛かった 。キャデラックは、上田に上げて。四輪駆動のアメ車。ダッチ。八人乗りを購入し。東京都五日市。方面に。山荘の宅地を探しに出かけた。二泊した。そして、街道沿いに、山田商店と言う、雑貨屋が有った。其処で休んで。山荘の話をしていたら。

山を譲っても良い。と言うので。早速見に行った。気に入ったので、千坪程、安く、譲って頂いた。大工さんも友人が居ると言うので。早速合わせてもらい。家造りの話をした。そして、大工さんの家に招待され。泊まりながら、家造り。庭造りの話をした。真田は、一度、東京に帰って、お金の用意をして、土地代を払って、大工さんの家に行った。そして、庭師を、呼んで、現地に行った。色々と、注文を言って。直ぐ。着工契約書を作って。来年の四月。完成する。と言う。契約を、結んだ。村一番の棟梁で、三代目だと、言う。良い大工さんに、めぐり合ったようだ。真田は今までの勘で。分った。

年も明け。新年を迎えた。真田家は、過去に無い、静かな正月を迎えた。母も来て、信行と、四人で、今後の事など話しながら、一般的な、正月だ。信行と真田は、明治神宮に。初参りに行って、お札を焚いてもらった。真田は。家造りに、五日市と、行った。り、来た。りで。結構、忙しかった。四月からは、五日市に、引越し。暫くは。東京に帰らない、ことを決めていた。家族も、真田の考えを分った。そして、四月末。山荘が完成した。棟梁達と、完成祝いをする事に成った。真理と信行も、一緒に参加した。三十人ぐらい。集まり。盛大に。終わった。

「お父さん。素晴らしい。です。ね。こんな山奥で。ゆったり、している。し。庭木の配置も。何と無く。良い感じ。癒される。と言うか。」

「おー。・・・信行も。大人に、成った。な。・・・分るか。」

「うん。分る。家も、素晴らしい。大きくて。高さも高くて。田舎の、豪農の、家。て感じ。・・・本に、出ていた。・・・こんな家。」真田は、信行の話している、姿を見て、勉強している。な。と。感じた。

「うん。・・・お父さんも。此処と伊豆で。余生を、送る。から。・・・信行も。自分を、信じて。目標達成する。まで。頑張れよ。」真理と信行は。一晩泊まって。帰った。

真田は。今日から、一人暮らしを。する。取り敢えず。近隣の山を、くまなく、歩き。地理を覚えた。又、サンドバックを、持って来たので、毎朝。二時間。足蹴り、突き手。受け止めをやり。足腰を鍛えている。山登りをするには。足腰が大事だ。

時間表を作り。規則正しい。生活をするように、心がけている。五月になり。新緑の香りが。家。山。全体に広がり。気分も爽快になった。そして、本格的に。絵を書く事に。専念した。

真田幸介。隆盛時代。完結。


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