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第十一話 真田幸介、東侠会。幹事長に任命された

会長が。

「真田幸介。・・・立って前へ。」この時。真田幸介。三十三才歳。

「はい。」真田は、立って会長の、左脇に来た。会長が真田の肩にふれ。

「本日より。真田幸介を。東侠会。幹事長に任命する。」会場は、拍手が巻き起こった。

「はい。」真田は、緊張した。薄々は、知っていた。が、まさか。と。思っていた。からである。会長が、皆に、挨拶しろ。と。言った。真田は、準備をして、いなかった。

「はい。皆さん。わたくしを。ご指名、頂き、有難う御座います。東侠会。発展に、身体を張って。邁進して行く所存で御座いますので。宜しくお願いします。」

パチパチパチパチ。拍手が沸いた。そして、前幹事長が。

「皆さん。新幹事長は。役員会満場一致で。決定しました。これからは。我々も、時代に沿った形で、生きて行かなければ、成りません。言うなれば、企業戦線に、参画、しなければ、生き残れない時代に、成って来ます。その方向性から。時代に沿った遣り方をしている真田が。適している。と。考え。満場一致と。成った訳で、あります。今後は、新幹事長を従い。任侠道を、貫いて頂きたい。又、現代に合った規約に、改正して、団結して、行って、欲しい。」パチパチパチ。拍手が沸いた。司会者が。

「本日は、ご苦労様でした。次の幹部会は、一週間後、本部の会議室で行ないます。幹部会。終わり次第。新年会と、規約の改正と、新役員紹介を行ないます。会場は、真田幹事長が経営している。「クラブ赤坂」で、行ないます。集合時間は。午前十一時。・・十二時から、宴会となります。宜しくお願いします。」

真田は、事務所に帰り。皆に報告した。

「皆。俺。今度。幹事長に。抜擢された。よ。」

「代表。・・・マジ、すかー。・・・・おめでとう御座います。」皆、大きな声で、喜んだ。

「それで、来週。家の店で。新年会だ。」真田は、規約の改正を考えていた。

真田案。

一、 服装を正す。・・正装とし、スーツ、ネクタイ着用。柄物のスーツは禁止。

一、 パンチパーマ。禁止。

一、 街を歩く時、つばを、吐いた。り。くわえタバコ。禁止。

一、 ポケットに手を入れない。背筋を伸ばして歩く。

一、 会員は、会長と同等の車。又、以上の車に乗らない。

一、 会合に、二回欠席した人は、一ランク、格下げ。

一、 会合に、三回欠席した人は、半年間名刺使用。禁止。

役員。

一、会長

副会長兼会長代行

理事長

副理事長

常任相談役

相談役

幹事長。本部長。組織委員長。懲罰委員長。室長。事務長。評議員。代議員。

以上の構成で、体制を改める。

真田は、今までの規約に、この内容を追加して。会長に、提出した

会長は、これを承認した。

当日。幹部会が終わり。全員、クラブ赤坂に。集合した。

十二時。真田の店で、東侠会。新年会。新体制報告。祝賀パーティー開催。

其の中で。真田が、挨拶した。

「この度、幹事長に、任命され、重責と受け止めております。・・・我々の先輩達が、築いてきた任侠道を、守り続けて行く。事がわたくしたちの。責務であります。ご存知のように、戦後復興に於いて、当局は、我が組織を、治安維持の先頭に立たせ。三国人の締め出し、闇市の統制、労働者の手配、愚連隊の阻止。等々。様々な危険を、無償で、潜ってきた。遣らされた。と言っても。過言ではない。・・・

しかし。現在はどうでしょう。マスコミを利用し、我らが、任侠道を。暴力団と称し。押さえつけ。締め出しに、掛かっている。しかし。我々は。一企業として、全うして、行かなければ成らない。現実に、我々でなければ。裁けない、仕事は、山ほど、有る。単なる、当局の、拒みだと、わたくしは、思って、いる。東侠会は、赤坂界隈を、人が、安心して集まる街を、創って行かなければ、成りません。皆々様の、御隆盛を、祈念いたしまして、挨拶にかえさせて頂きます。」パチパチパチパチパチ。盛大な。拍手を浴びた。挨拶が終わり、

宴会に入った。真田は、歌手を招待していた。立食式にした。構成員。準構成員。合わせて五百人。内。真田組が、百人。ホステスも百人。満杯だ。会場は、熱気に包まれて、宴会は。三時ごろ。一本締めで、解散した。真田は、会長。幹部達と、二次会に行った。太田達真田組は、別の場所で二次会を行なった。次の日。真田は。九時頃。事務所に行った。

「おーす。」皆、立って挨拶した。

「おー。皆、来ていた。」

「幹事長。お疲れ様でした。」

「幹事長。昨日の、挨拶。良かった。ですよ。・・・皆で話していた。んだ。」

「あー。有難う。今年は、忙しく、なる。よ。皆。頑張ってくれ。あ。事務所を引っ越す。から。・・・本部のビルの。七階が、空いている。から。昨日。会長と話した。んだ。直ぐ内装始まる。」真田は、直ぐ、内装屋に、電話した。

「幹事長。此処は。」

「あー。此処は、以前、後輩から頼まれて、経理事務所と建築事務所に貸して、やる。本部のビルも、広いから。泊るように造る。よ。」

真田の同志、七人は、全員、金融業と宅建の資格を取って。業者登録。会社を設立した。ので。不動産業と、金融業を本業とし、それぞれ、会社を運営している。

又、ゴルフ会員券。株券。などの斡旋も、頻繁に動いて居る。真田は、思惑通り。クラブ赤坂を拠点に。人派を増やした。クラブは、全会員制とし、名刺交換会を頻繁に、行なっていた。株主総会も、五〇社を、超え、ゴルフ場計画も、本格的に開始する。芸能界も、クラブ赤坂で歌わしてくれ。と。歌手達から。催促される店に、成長した。真田は、笹本会長に電話した。幹事長になったことを伝えた。そして、母の店で、会う事に成った。又、真田は、本部に、お昼まで居る事に成った。新幹事長の挨拶も兼ねて、だ。少しの間だと言う。午後六時。母の店に行った。

笹本が来ていた。

「よー。おめでとう。・・・幹事長。」会長は、嬉しそうに、真田と握手した。飲食の用意がしてあった。今日は、コンパニオンが居ない。

「有難う御座います。これも、会長の、御蔭です。」

「いや、いや。真田君。・・・あ。幹事長。貴方の器量ですよ。私は、これを、待っていた。んです。よ。・・・幹事長。仕事が、早速。有ります。よ。・・・ゴルフ場で、邪魔されている。のが、五件。有る。ある地方の組織だ。幹事長なら。大丈夫。だ。

良かった。・・・金に成る。よ。早速手配する。よ。」

「はい。お願いします。」会長が、ワインを注いでくれた。

「今日は、酒が旨いなー。良かったー。」笹本会長は、本当に、嬉しそうだ。

「会長。真田会は、本部の、七階に、引っ越します。」

「えー。あの、ビルに。良かった、じゃない。か。・・・今度は、会長。目指して、頑張ってください。よ。幹事長が、会長になる。まで。私も、頑張る。よ。」

「あ。内装は、あの社長に。頼んで、よ。」

「はい。電話して有ります。」

「おー。そうか。・・・良かったー。あの社長は、良い人。でしょう。

人派が有るから。大事に、付き合ったほうが、良いよ。地元だから。」

「はい。大分紹介、頂きました。」

「えー。代議士との、交流も、多いから。な。」会長は、嬉しくて、ワインを、ぐいぐい飲んでいる。

「今年は、東海道新幹線開通。東京オリンピック開催が、十月十日に決まり。日本は、高度成長期に入った。外国の交流も。活発に動いて居る。幹事長。オリンピックが終われば、国が、体力づくりを促進する。だから、運動場、厚生施設、テニスコート。造りに力を入れるから。三多摩地区。東京近郊の土地。を。確保して置いた方が良い。

都内は、八階以上の商業ビル。マンションが、どんどん建つ。し。人口は。一千万人を超える。し。住宅も足りなくなる。幹事長。五十歳までに、会長にならないと。」

「はい。頑張ります。」

「うん。其の調子だ。・・・後は。会長の椅子。しか。ない。」二人は、次の作戦を練っていた。十時ごろ分かれた。

一方。真理の事務所は、忙しそうに電話が鳴って、いる。ゴルフ場会員券。株の取引。売買。銘柄の紹介。真理は、証券アドバイザーの資格を取得した。から、大々的に動いて居る。又、外交が盛んに動き出し、コンパニオンは、休む暇も無いほどである。又、母の店では、芸能界の、口利きで、板長が、日本懐石料理人として、テレビ出演をした。それを見た。外国人たちが。伝統の懐石料理が食べたいと、予約が、殺到していると言う。ある日、スペインの要人達が、母の店に来た。

女将も一緒に相席を頼まれ。参加した。そして、ワインのこと、話した。そして次の日、真田は、母に呼ばれ。スペイン大使と会った。そして、スペインの話を聞いた。店で使う分なら。大使館に入る。ワインを、分けてあげる。と言う。月に。二百本ぐらいなら、と言うので。一流のワイン。毎月、二百本。送ってもらう事に、頼んだ。そして、大使は。

「真田さん。今、スペインのリゾート地、カナリア諸島では、外国人の永住希望者を、募集しております。幾らかの、寄付、預金、又、土地購入

をすれば。永住権を与えます。誰か、紹介してください。」と言うのである。真田は、直感で。

「ワインを送って頂く、お礼に、私が、参加します。」

「本当ですか。有難う。明日、書類を届けます。此処で、宜しいですか。」

「はい。此処で良いです。」真田は、この時から、スペインとの。交流が始まったのである。大使は、プライベートで、「クラブ赤坂」にも、来るようになった。又、インド大使らとも友達で。クラブに来るようになった。そして、クラブのお客さんら、十人も、スペイン永住権を。取得した。大使は、大変喜んでくれた。真田は、預金のほうも、頼んだ。すると、大使は、預金でなく。投資と言う。形で遣れば、何も言われません。と言うので。そのように頼んだ。これを、きっ掛けに。スペインに、投資した。

二月上旬。真田組の事務所が完成し、引っ越した。本部が八階で。真田組は、七階だ。事務所開きは。会長と理事長だけ呼んで。身内だけで行なった。身内だけでも、構成員と、準構成員、合わせると、二百人居るので、入りきれないので、交代で入った。何時も五人は、当番で、泊まるようにしてある。部屋が無い若者も居るので、常に、十人は。泊る。会長と理事長は、真田の器量には、びっくりしていた。真田は、会長と理事長には、何時も、可愛がられていた。真田達同志は。八人共、バーバリーのトレンチコートを揃えて着ていた。百八十センチ、以上の男。八人で、会長と理事長を迎えた。

「ご苦労様です。ご苦労様です。」理事長が、大きな額のようなものを持ってきた。

「おーす。」二人が応接室に、入って来た。ソファーに座った。若い者がコーヒーを入れた。真田ら八人。並んで立って、迎えた。

「真田。・・・頑張って居る。な。」

「はい。みんなの御蔭です。・・・これ。ゴルフ場の会員権。会長と理事長に、プレゼントします。」と。二枚出して。手渡した。

「おー。読売ランドの権。じゃないか。・・・良いゴルフ場だよ。」二人は。大喜びだ。真田も、ほ。とした。理事長が。

「悪いな。真田。有難う。・・・これ。会長と、俺からの。・・・その辺に下げて、おいて。」

「有難う御座います。」真田は、早速。開けて見た。びっくりした。

「会長。これ。・・・シャガール。の絵だ。」真田は、直ぐ分った。

「お。流石。真田。・・・分る人にくれて、良かった。・・・そう言えば、親父も絵が好きだった。からな。」

「はい。有難う。この正面に。掛けます。」

真田らは。会長。理事長。太田ら同志と。クラブに行った。十時ごろまで、飲んで騒いでいた。会長と理事長は、帰った。玄関まで。送った。真田たちも、店を出て銀座の寿司屋へ向かった。電話をしないで入った。

「おーす。」

「お。いらっしゃい。・・・真田幹事長。」

「え。親父。何で、知っている。」

「幸ちゃん。銀座は、狭いよ。・・・今日は、皆さん。カッコイイ。そんな高いコート着て。お揃いで。どうした。んです。か。」暇で、カウンターが空いていたので、並んで座った。真田は、奥に座った。

「あ。親父。今度事務所が、変わった。から。・・・本部の、七階。」

「へー。本部ビルと同じ。・・・デモさ。巷では、大変な評判。だよ。真田幸介。・・・暴力団に見えない。頭の良い人で、些細な事に、動じない。機転が利く、人を引き付ける。包容力がある。若い人達に、気使う。礼儀正しい・・・凄い親分だ。て。」

「なんだよ。今日は。親父。」皆は、ビールを飲んでいる。十本目だ。

「いやね。昨日。此処に座った。お客さん。三人で。話していた。ん、ですよ。幸ちゃんの事。だな。て。聞いていた。よ。俺も、知っている人。だ。とは、言えなかった。よ。」

「そういえば、幹事長。当たっています。よ。俺たちだって。何と無く。魅力に。惹かれましたよ。何と無く。頼れる。て。」

「そうだよ。な。俺たちは、真田に、助けられた様な、もんだ。・・・幹事長に。よ。」

「お。そうだ。忘れていた。これ。オリンピックの開会式の、入場券。二十セット。有る。ペアーで。七セット。一人。づつ。田舎の親父とお袋を、招待してよ。・・・親父にも上げるよ。」真田は、皆に上げた。

「え。俺も、ですか。」すし屋の親父も喜んでいる。

「え。開会式の券。幹事長。凄い。有難う。尊敬する。よな。皆。」

「よし。田舎の親達。呼ぼう。・・・親孝行出来る。よ。」

「俺達とは、違う。よな。まさか、幹事長になる。人は。」

「あ。羨ましい。よ。・・・中身が違う。んだよ。」皆で、真田を褒めていた。二月も終わり、三月に入った。寒さも幾らか、緩んだようだ。笹本会長から、電話が入った。赤坂の喫茶店で会った。

「幹事長。これからは、金の取引が、多額に成るので、数え方を決めよう。

百万単位は、タオル何枚とか。一千万単位は、ブロック何枚とか。億単位は、四方結びと。決めましょう。

本題に入る。この五件の物件を。纏めて欲しい。千葉二件。茨城。埼玉。神奈川。それぞれ、一件。づつ。一件。当たり、五百万円。(クラウン一台、百万円)で。解決して欲しい。百万円。で、話しつければ。四百万円。抜ける。・・・とにかく。五件で、

二千五百万円で。纏めて欲しい。金は、現地に行く前に払う。この書類。今までの経緯を綴ってある。作戦を練って。相手を落としてくれ。・・この書類に、相手の住所、氏名、実印を押して、印鑑証明書を付けて。纏めてくれ。あくまでも、警察沙汰に、成らない、ように。事件になると。今までが水の泡だ。・・・あ。それに、土地の買値は、他の土地よりも多く出している。それにも拘わらず。要求して、いる。

恐喝。ですよ。・・・其の書類さえ有れば。計画は、実行される。工事も着工出来るし。会員券の販売価格も、設定できる。」

「そうですか。恐喝。・・・土地代金は、払ってある。」

「そうです。ここに領収書有ります。・・・これを突きつけて下さい。」と。

会長は、興奮気味だ。地元の組織の連中だ

「うん。・・・そうか。」

「この五件は、まったく同じ内容で、引っ掛かって、いる。・・・警察沙汰になると、会員券が、売れなくなる。し。他の物件で忙しかった。から。放って置いた。ん。です。よ。一年も。」一件分。五百万円を出した。真田は受け取った。

「分りました。直ぐ、動きます。」と。二人は、分かれた。真田は事務所に戻った。書類を広げて。全部目を通した。そして、本部に行って、組織と組長の素行を調べた。

(事務局は。関東一円の組織。組長などの、情報を、殆ど把握して。ある)

真田は、落とせる。と。睨んだ。手始めに。茨城から始める事に、した。念には、念を入れ。会長に話した。

「お。そうか。・・・幹事長になって。初仕事か。こじれたら。俺が出るよ。安心して遣れ。」

「有難う御座います。頑張ります。」真田は、五件全部。電話を入れた。会う日時を二日置きに、決めた。十日で決着を付けようと。決めた。太田、佐藤達と。若い者。車一台に四人。五台。二十人で、乗り付ける。十日間の割り振りを決めた。体制は整った。

当日、朝九時。事務所の前に。アメ車五台。新車を並べた。全員乗った。茨城に向かった。十一時。現地に着いた。若い者二人居た。佐藤が降りて話した。分っていた。ようだ。駐車場に案内された。とりあえず、真田と五名。だけ、中に入った。後は、玄関の外で、待ってた。アメ車五台に。若者は。ビビて。居る。ようだ。

親分らしき人が、出てきた。真田は深く頭を下げて。

「赤坂の、真田と。言います。」と。名刺を出した。名刺交換した。

「遠いところ。ご苦労様です。・・・どうぞ。」応接室のソファーに座った。真田が。

「親分。二人。きりで。話したい。んです。が。」

「うん。そうか。・・・分った。・・・皆。下がれ。」親分が言うと。皆出て行った。真田組も、出て行った。真田と親分二人に成った。真田は、書類を出して、広げて、見せた。親分も見た。真田は、経緯を話した。分っていた。ようだ。すると。

「俺たちは。あれから来ないから。没に。成った。と思っていました。」と言う。

「親分。企業が、困っています。今までの投資が、水の泡になる。んです。よ。」

真田は親分の目を。そらさないで、見ていた。相手は、目を、ちらちら、そらしている。

「親分。この書類に。氏名を書いて。実印を押して。印鑑証明書を付けて。頂けないでしょう。か。・・・此処まで進めた、ゴルフ場が。オープン出来ない。んです。よ。地元の人達も。金が貰えなくて。困っている。みたいです。よ。・・・お願いします。」真田は、じっと相手の、目を睨め付けた。真田は。相手の目を見れば分る。動転している。ようだ。目をそらしている。真田は、じっと、睨んでいる。そして、落ちた。

「親分。これで、決着を。付けて。頂けませんか。」と。百万円を、テーブルに。置いた。

親分の目が。歪んだ。

「幹事長。分りました。直ぐ印鑑を押します。」と言って、席を立って、ペンと印鑑を持ってきた。そして、書類を書いて、印鑑を押した。

「幹事長。・・・私が。席を用意しますので。昼食でも、一緒に。其の間に。印鑑証明書を。若い者に取らせます。ので。」

「あ。そうですか。・・・それではこれを。受け取ってください。」真田は。百万円を。親分の前に。差し出した。すると。鷲摑みで。

「あ。有難う御座います。」直ぐ。引き出しに。閉まった。そして、町の、料理屋に案内された。真田達は、百八十センチの、大柄な人達ばかり。約、三十名、料理屋に入った。店主は、何事か、起きたような素振りで、慌てている。ようだ。テーブルを囲んで座った。料理が運ばれて、食事をした。親分も、ご機嫌のようだ。若い者が。印鑑証明書を取ってきた。親分がそれを。真田に渡した。真田は。封を開けて。確かめて見た。

「はい。確かに。」

「幹事長。ご苦労様でした。」

「はい。こちらこそ。有難う。ゴルフ場が、オープンしたら。遊びに来ますので。そのときは、宜しく。」

「分りました。どうぞ、遊びに来てください。」真田達は、店を出て、茨城を後にした。途中。真田は。公衆電話から。笹本会長に電話を入れた。会長は、喜んでいた。真田達は、事務所に戻り、解散した。真田は、笹本会長と社長と三人で。母の料亭で、会った。

「真田幹事長。・・・ご苦労様でした。」社長が。嬉しく、真田の傍へ来た。真田は、書類を、社長に渡した。

「はい。揃っています。」

「幹事長。凄いな。一番。手小頭んでいた、現場だった。だから。幹事長になる。のを。待っていた。んだ、よ。・・・良かった。」二人は。喜んでいる。

「社長。これで、明日から、着工に、取り掛かれます。ね。」

真田も、安心していた。

「明日は、千葉の一件です。」と。真田が言った。

「はい。千葉の一件分。タオル五枚。」会長が。真田に渡した。

「はい。頑張ります。」真田は受け取った。この社長が、総、元締め、で。全体の権利を握っている。用地を纏めるまで。出てくる。纏まれば。建設会社にバトンタッチだ。

「幹事長。工事着工すれば。会員券販売も開始しますので、二十枚。差し上げます。後は。販売権も、登録できますから。売ってください。手数料は、二十パーセントで。他社は。十パーセントですから、・・・内緒。ですよ。」

「はい。有難う御座います。・・・何時頃。販売は。」

「あ。二週間で、分ります。」

「はい。分りました。」

「幹事長。こうやって、決めて、行けば。次々と。金が動く。幹事長の。懐に。どんどん入って来る様になる。・・・旨く。出来ている。でしょう。」

「はい。有難う御座います。」

「話はこれで、終わり。だ。・・・宴会だ。」三人は。笑いながら。十時ごろまで、飲んでいた。会長と社長は、このホテルに、泊る。ようだ。・・・ホテルに泊る。と。言う事は、コンパニオンを、連れて行く事に。なっている。真田は、深々と。頭を下げて。分かれた。家に帰った。真理が居た。

「お帰りなさい。・・・どうでした。」真理は、出張仕事なので、心配していた。

「あ。うん。・・・これ。」五百万円。出した。

「なに。これ。・・・お金。」びっくりした。一日で。五百万。

「あ。うまく、行った。よ。・・・明日は、千葉だ。」真田と真理は。早く寝た。

次の日。朝。

八時に。事務所に集合した。アメ車五台。二十人で事務所を出た。千葉駅前。市内のようだ。十時ごろ着いた。事務所の前に。若い者十人位居た。待っていたようだ。真田が降りた。

「赤坂の、真田だが。」二十人。全員、降りた。

「ご苦労様です。少々お待ち下さい。」若者は、事務所に告げに行った。幹部らしき人が来た。

「お疲れ、さんです。・・・全員は、入れません。五、六人で、お願いします。」

真田は、五人連れて。事務所に入った。奥に親分らしき人が、居た。真田は、その人の前に、案内された。

「親父連れてきました。」幹部は。下がった。

「赤坂の真田です。」と。名刺を出した。先方も出して、名刺交換した。

「ご苦労産です。どうぞお座り下さい。」真田は、ソファーに座った。真田は、相手の目を、そらさないで、見ていた。電話で話をしている。から。何できたか。相手は、分かって、いる。こっちから、話す必要は無い。相手が、どう切り出して、くるか。待っていた。

「東侠会の、会長とは、義理場で、拝見した事が有ります。一際。光っていました。よ。」

「そうですか。」真田は、まだ、目を逸らさないで、見ていた。相手の目を、睨むのは、試合で、馴れている。から。なんとも思わない。相手は、目を逸らして。

「真田幹事長。誰に、頼まれて、来た。んです。か。」

「誰に。・・・書類に書いてある。会社です。よ。」

「俺に、何をして、貰いたい。」

「私は、ビジネスで、ここに来ている。んです。この書類を見ると、支払い済みに。成っている。領収書も有る。実印と印鑑証明書が。付いていない。んで。ね。それをお願いに、来ている。んです。」

「うーん。・・・嫌だ。と。言った。ら。」

「貰うまで。此処に、居ます。」

「なにー。」緊張が走った。睨み合いに成った。真田の目は。鋭くなった。此処で下がる。わけには。いかない。相手が興奮すれば。こっちの、勝ちだ。勝負とは、そう言う、ものだ。相手が見える。金を出せ。と言わん、ばかり、だ。

「親分。ゴルフ場を経営して行く為には。地元と密着しなければ。運営が、成り立たない。この企業だって、親分とは、末永く、お世話に成ろうと。考えている。んです。よ。その為に。他の土地の。二倍で。買っている。んですよ。・・・企業だって、運営してみなければ、利益が。でるかどうか。分らない。し。・・・もし、利益が出れば。お互い、潤いる。じゃ無いですか。目先の事に。囚われず。長い目で、付き合って、頂けないでしょうか。我々は。双方の、揉め事を、止めようと、来ている。んです。会社も。早くオープンしたい。ん、です。親分。二人だけで。話したい。んです。が。」真田は。まだ、目を逸らさない。

「お。そうか。・・・おー。皆、席を外して、くれ。」真田のほうも。皆。でた。二人だけになった。

「親分。百万円有ります。・・・これで、私に免じて。納得して、頂きたい。」

「え。・・・百万。」びっくりしている。相手の目は。潤んだ。真田は。勝った。と思った。そして。親分が。

「後。一件。どうする。・・・あれも、違う名前で、俺が、遣って、いる。」と言って、書類を出してきた。

「そうですか。じゃ。・・・それも。百万払います。」

「お。良いよ。」当時。クラウン一台。百万円ぐらい。

「有難うございします。」早速、真田は、書類を出して、書いてもらった。それも

二箇所だ。印鑑証明書は、若い者が取りにいくので。待っていた。親分は、直ぐ金を金庫に入れた。

「真田幹事長。若い者に、ご飯をご馳走する。よ。」と言って、近くの寿司屋へ連れて行かれた。先方は、親分だけだった。この人は。金の猛者だ。自分さえ儲かれば良い。若い者には目をくれない。真田は、そんな風に感じた。

若い者が、寿司屋に、印鑑証明書を、二通、届けに来た。親分が、それを真田に手渡した。真田は、書類を開けて、確認した。

「有難う御座います。」頭を下げた。

「真田幹事長。今度は、千葉に、ゆっくり、遊びに来て、下さい。」

「はい。有難う。千葉へ来るときは、親分に、連絡しますから。その時は。」

真田達は。寿司屋を出て。千葉を後にした。真田は、途中で、笹本会長に電話を入れた。母の店で。会う事にした。社長も来る。真田達は、事務所に着いた。上田に、三万円を渡して。皆に、ご馳走するように言った。真田は、母の店に行った 。会長と社長が、待っていた。

「幹事長。ご苦労さん。・・・良かった。ね。」会長は。ニコニコだ。

「まさか。こんなに早く進むとは。思っていなかった。よ。・・・真田さん。・・・皆。大喜びだ。よ。建設会社も、銀行も。」

「あ。社長。追加分。払ってあげないと。」会長が。

「あ。そうそう。一件。良かった。この一件も。揉めていた。んです。よ。じゃ。

タオル五枚と・・・次の三件。分。渡しましょう。・・・信用できますから。それでは。足すと。ブロック二枚。・・・それにあまりにも。早かったので。ブロック一枚足します。合計。ブロック三枚。・・・どうぞ。」真田は。・・・・

「あ。はい。・・・有難う御座います。残りは。必ず。勝って見せます。」

「良かった。残りは。埼玉と神奈川か。」二人は。安心したようだ。

「よし、飲もう」三人は。十時頃まで飲んで帰った。真田も帰った。

真田達は、問題なく。埼玉と神奈川を纏めて、全件終了した。そして。真田は。社長とゴルフ場関係業者 。十社。国会議員、八名、を。赤坂クラブに、ビップルームに。招待した。二十名。名刺交換会を開いた。真田は。此処を、情報発信基地として。利用して頂きたい。と。挨拶した。全員。

「良いね。他のお客と、会わない、のが。良いです。ね、真田さん。今度。使わしてください。」皆は、使いたいと、喜んでいた。

そして、会員を増やした。建設業界は、オリンピックに追われ、寝る暇も無いと、言う。しかし。オリンピックが終われば、暇になるので、次の仕事の取り合いに、活発に動いていた。丁度、其の頃。ゴルフ場建設が始まる。真田と付き合っている。業者は。ホクホクで有る。今回も、ゴルフ場の話が弾んだ。ホステス達も、政治経済を、勉強するようになって。経済の仕組み、政治の仕組み、世の中の流れなど、殆ど把握していた。酒を飲みながら話すから。エキサイトするホステスも居る。政治家も、吊るし上げを、食う。時も、有る。

この頃から。大卒のホステスが、銀座、赤坂、六本木を賑わした。真田は、井の頭街道沿いに、低音倉庫を、改築した。前からの板長の要望だった。土地は、二百坪有った。建物は、五十坪総二階建て。ワインセラーと、超低温冷凍庫を、設けた。此処で、生鮮食料品が、殆どストックできる。し。新鮮なものを使える。 価格も市場には、左右されないで済む。

真田は、専門家の話を良く聞く。自分を高ぶらない。調和を大切にする。ですから、母の店の料理は。板長に任せてある。板長も、一本気の人だから、妥協は許さない。真田のお父さんと、タメ張るぐらいだ。そして、板長は、高級弁当を作り始めた。それを真田は、議員会館。各省庁。各企業。テレビ局など等。注文を取った。配達は、運送業者に頼んだ。板長は朝、五時に店に出て、働くようになった。倉庫の管理も、板長が遣っている。

真田は、みんなの意見を取り入れ。専門家に、相談する。頭から駄目だ。とは、言わない。ホステス、一人一人の話も聞いて、やる。若い者一人。一人の話も。聞いて、やる。誰に対しても、抱擁力。憂える心を示す。真田は、久しぶりに真理と、寿司屋へ出かけた。陽気は、春めいて、何処でも花見をしていた。真理は。

「貴方。出来ちゃった。・・・出来たの。よ。」歩いている途中。突然言った。

「え。子供。本当。・・・良かった。じゃない。・・・俺も何時できるかな。と。待っていた。んだ。よ。」真理は、嬉しかった。

「今まで貴方が。忙しかったから、作らなかったの。よ。でも、歳だから、早いほうが良いと。考えたの。」

「そうか。俺の子供か。・・・」真田は、一瞬。親父を思い浮かべた。母と俺を。親父の籍に、入れなかった。自分もそうする。事に。頭を過ぎった。

「何。貴方。・・・考え込んで。」

「うん。・・・あ。なんでも無い。よ。ただ。俺も親父に成った。な。て。

よし。お祝いだ。」二人は、寿司屋へ入った。

「らっしゃい。・・・今日は二人で。」

「あー。」・・・二人は、カウンターに、座って、乾杯した。

「うん。今日のワインは、旨い。・・・親父。真理が。子供できた。て。今日は、お祝い。なんだ。」

「え。本当。・・・良かった。ね。・・・何時かな。と。思っては、居た。ん、だが。・・・・良かった。・・・男・かな。」親父も、嬉しかった。

「うん。・・・男だ。ね。・・・男が。良いよ。」真田は、男を希望していた。

「私は、どっちでも良い。わよ。」店は、子供談議に、話が弾んだ。二人は、十一時ごろ帰った。リビングで、コーヒーを飲みながら、話して、いた。

「今度、隣に移った、経理と、設計事務所は。どうだ。」真田は。気に成って、いた。

「え。大分、走り回っている。みたい。良い人、達よ。・・・何時、会っても。腰の低い人達。で。」

「お。良かった。・・・後輩。なんだ。よ。空手を遣っていた。所為か。・・・自分で何か遣りたい。て。相談されて。二人とも。資格を取得していた。から。俺が、あの場所を勧めた。ん、だ。会社勤め、じゃ。物足りない。んだよ。真理も、応援して、遣って。・・・良い奴ら、だから。」

「実家は、何処です。か。」

「あ。経理が群馬で、設計が、栃木だ。田舎育ち。なんだ。が。負けず嫌い。で、根性は有る。よ。きっと。成功する。よ。・・・だから、応援して、遣って。」

次の日。真田は、本部に、朝早く行った。

「おーす。」本部は、何時も、五人で、出迎える。

「ご苦労さん。です。」直ぐ、お茶を出す。

「あ。有難う。・・・今日は、会長、何時に、来る。」

「はい。・・・もう直ぐ来ます。」真田は、待っていた。少し過ぎて、会長が来た。

真田も、玄関で、迎えた。

「おーす。・・・ご苦労さんです。」真田が。言った。

「お。お早う。・・・真田。今日は、早いな。」会長の部屋へ行った。真田も後から、入った。お茶を飲んでいた。

「会長。この前、話したゴルフ場の件。旨く、纏まりました。・・・少しですが。」

真田は。テーブルに。二百万円。を積んで。会長に、差し出した。

「うん。・・・真田。大丈夫。か。・・・こんなに。・・・心配するな。これは良いよ。」と。真田に、百万円。戻した。

「幹事長。お前も、金は要る、筈だ。俺に。気。使わなくても、良いよ。気持ちだけ受け取るよ。・・・若い者集めて、しっかり、固めてくれ。それがお前の、仕事だ。」

「はい。分りました。・・・有難う御座います。」深々と。頭を下げた。真田は。金を鞄に。入れた。本来ならば、男として、取らないのが、筋だが。真田は、会長の気分を。受け、留めた態度で。・・・無理して、受け取った。

「真田。其の話は、終わりだ。・・・座れ。」

「はい。」真田は、会長と世間話に、なった。政治。経済。これからの日本。など等。真田と話していた。理事長も入って来た。本部長も来た。四人だ。

「お。ご苦労さん。丁度良かった。今、真田と、これからの日本を。話していた。ところだ。・・・やっぱり。真田は、頭。良い。成る程。言われてみれば。そう成る。

理事長。今、真田と話して、居た。んだが。我々の事務所も。自社ビルに、しないと。追い出しを、食らう、かも。・・・自社ビルに、しない。と。・・・誰か、自社ビルを、建てる。元気の良いのは、居ないか。」理事長が。

「自社ビル。ね。・・・難しいです。よ。・・・会長。」

「そうか。・・・・ま。其の内、考えよう。あ。昼だ。ひさし振りに、皆集まった。な。蕎麦でも食うか。電話して、蕎麦を、取れ。」

「はい。」若い者が、人数を数えて。ざる蕎麦。を、頼んだ。蕎麦が来た。会長が払った。何時も。事務所が、出す。今日は、会長は気分。良くして、いた。

「皆と、食事するの。一週間ぶり。か。・・・美味しかった。・・・帰って、良いよ。俺もこれから用事が、有る。」皆、帰った。真田も、自分の事務所に帰った。一階降りるだけだ。

「おーす。」

「ご苦労さんです。」真田組は、何時も、十人ぐらい、居る。

「皆飯。食った。」

「はい。食べました。」真田組は、自炊している。食料品は、店から届けてもらう。買い物はしない。好きなものを電話する。食べ放題だ。支払いは、事務局で払う。真田組は。大卒が半分居る。しかも、スポーツ系だから、皆、身体が大きい。食堂や、レストランの一人前じゃ、足りない。合宿で、料理は、慣れている。

食べ物に不自由しないから、若い者達は、居心地が良い。らしい。たまに見たこと無い奴が、泊まって、いる。それも、真田は知っている。でも敢えて、言わない。腹いっぱい食って居れば。若い者は悪い事は、しない。又、クラブで働いている。所為か。都会人になった気分で、居るようだ。

真田は、若者の行動を、逐一、報告を受け、自分でも、細かく、見ている。そして、知能集団と武闘集団に。分ける。ただ、小競り合いを、起こされないように。監視はしている。組員になって。粋がる若者が、多いからで有る。

真田組は、学生の、間で、何時も話題に、成って居る。ようだ。一月から三月頃は、就職先が見つからない、学生が、街を、ふらふらして、いる。・・・警察になろうか。真田組に入ろうか。喫茶店では、必ずと。言っても。良い位。話題に上がる・・・真田組の幹部達。七人は知っている。自分達もそうだった。からだ。

真田は、お父さんが殺された時。自分の道を(決断)決めた。高校生の時だ。そして、必死で、空手に没頭。空手が、真田と言う。人間を創った。部長に成り。学生チャンピオンに成り。友人が増え。頼りにされた。そして、七人が、付いてきた。又、真理と言う。年上の女にも好かれ。同志達も真田を、信頼し、支えた。

この八人は、何の違和感も無く。この道に入った。心は、迷わなかった。真田が、好きだからだ。真田は。ふ。と。自分を、振り返る事が。しばしば。有る。

ただ、若者達を、どう。どう導いて行こうかと。自分の事より、心配している。現在の若者達。何人残れるか。せめて。四、五十人は、相談役にして。上げたい。と。考えている。何時も、若者達の行動は把握している。

クラブの運営は。上田が見ている。芸能界は、太田。宮田。須藤。企業総会は、掘。佐藤。山本。七人は、若者達をチェックしながら。適材適所を、決めてやる。真田は、幹事長になり、組織固め。組織の継続。等々。本気で考えるようになった。若者の指導。育成。又、看板意識を。持たせ。東侠会を振る活用。させ。巷に広げ。人との交流を、深め。金儲けに、誘う。真田は、組織拡張に、乗り出した。笹本会長から電話が入った。今週土曜日。伊豆で会う事に成った。今日は、月曜日だから、五日後。真田は伊豆に行くために。用事を済ませた。

当日。真田は、運転して。一人で向かった。会長が待っていた。

「おー。ご苦労さん。・・・どうぞ。」真田は、ソファーに座った。

「幹事長。もう直ぐ総会、だ。今年は、百件。越します。よ。」書類を出した。

真田はびっくりした。毎年、増える。

「会長。どうなっている。んですか。・・・こう言う。状況は。」聞いた。

「うん。各企業が、大風呂敷を広げて居る。んです。よ。中身はどうでも、総会をして。スムーズに、終わらせて。会社が問題なく経営している。と。公表する。のが。目的だ。それを。安心株と。思っている。人達が多いから。面白い。其処を、狙っている。だから、シャンシャン総会で、終わりたい。・・・紙に印刷して配れば、金が入る。こんな面白い商売は無い。」真田は、聞いて、いる。

「それを見た人達。は、銀行に預けるより。儲かる。と。思って。株を買う。」

「そうです。だから、シャンシャン総会は。いかに、大事。か。又。其れを、幹事長達が、遣ってくれている。応援している。と。言っても、過言ではない。・・・株主には、悪いけど。企業にとっては、良い事。なんだよ。・・・我々は、あくまでも。企業の見方だから。ハハハハ。」

「えー。怖い、です。ね。」

「うん。怖いです。証券は。長く持っていれば。配当が付く。儲かると言う。代物では、ない。だから、倒産しない企業の株をもって。二十年後の配当を待つ。・・・これが株だ。しかし、我々は。そんな気が遠く成るような勝負は。御免だ。

インサイダーは。必ず儲かる。三ヶ月で。三倍。四倍は。ざらだ。・・・そして。其処に又。落とし穴がある。・・・一気に一千万円を、動かす。しかし、銀行の金は、多額を出すには、決済が必要だ。何日も掛る・・・そんな暇は無い。・・・だから。金融業。

十・一。と言う遣り方で、金を貸す。十日で。一割の利息で貸す。・・・でも。借りた人は。インサイダーを、買えば。早ければ、一ヶ月で三倍になる。十・一払っても。残る。・・儲かる。だから、金融業は。五千万円を、一時間で出す。と言う。宣伝が、必要だ。これを名刺交換会で。(クラブ赤坂)で。常に話す。・・・必ず。人は、集まる。」

「はあー。・・・分りました。」真田は、成る程。十・一。

「幹事長。まだまだ。法律は甘い。・・・そして。国会議員は。逃げられない。必ず、取れる。・・・後。二十年。・・・これからは。上場する企業と。シャンシャン総会だけで。気楽に遣った。ほうが。トラブルに巻き込まれないで。済む。ごたごた総会。は。・・・愚連隊に任せて。高見の、見物だ。」

真田は。会長の話しに、聞き入って、いた。帰ったら。皆に話そうと、思っている。

「会長。自社ビルを。建てたい。んだが。・・・良い方法は、無い。でしょうか。」

「自社ビル。」

「えー。本部も、賃貸だと、出て行け、とか。貸さない。とか。貸すな。とか。様々な風潮に、巻き込まれて、事務所閉鎖も、余儀なく、される。・・・自社ビルなら。そんな事を跳ね返す。事が、出来る。と。思うからです。が。」

「んー。・・・一時逃れは、可能だが。・・・追放となる。と。自社ビルでも、どうか。な。・

・・ま。借りている。よりは。法律的に、戦うことは、出来る。・・・それは名案だ。探して見る。よ。・・・一ツ木通りでね。」

「はい。お願いします。」

「幹事長。焦る事は、ない。よ。今の成長に。法律が付いて、行けない。し。経済を分る。政治家が、居ない。現に、議員達。だって。インサイダー取引に、手を染めて居る。し。選挙が近づく。と、企業と企んで。株の操作を、遣っている。これが、現状だ。ま。正直者は。馬鹿を見る。」真田は。まだ有る。

「会長。ゴルフ場、会員券の、将来性は。・・・」

「あ。簡単だ。よ。必ず乱売する。猫も杓子も、会員券に、群がり。乱売となり、四百人しか、プレー出来ないのに。一千枚も売る。其処で値上がり、する。其れが、転売となる。・・企業は、転売を抑えようと。手数料を取る。又、それが、売れなく、なって。倒産する。と言う。いたちごっこ。が、始まる。・・・だから、これも、絶対。倒産しないゴルフ場を買わないと損をする。・・・これは、世の常だ。一万人が損をして、一人が儲かる。経済は生き物だ。・・・アメリカが寒いと。日本が風をひく。時代が、遣って、くる。・・・皆、アメリカの真似だ。・・・もう料理と芸者が来る。筈だ。風呂、入って、待っていよう。」二人は。風呂、入って、待っていた。

料理が運ばれ、芸者達も、揃った。何時もの宴会が。始まった。今日も、芸者が四人泊まる。と言う。宴会は。十一時ごろ。まで、続いた。会長達は、二階に。真田達は、一階に寝た。次の日。真田は。二時頃伊豆を、後にした。

東京に着いた、真田は、翌日。幹部会を開いた。同志。七名の他に。十人を参加させた。

「皆も知っている、通り。日本も、高度成長期に入った。オリンピックを軸に。様々な産業、企業が、発展している。我々も、指をくわえて見ている。だけでは。乗り遅れる。・・・何をするか。金融業、手形取引。土地売買。立ち退き。居座り。等。

詐欺に遭って、悩んでいる、企業。地主。ビルのオーナー。大勢、居る。又、各企業が、

工場用地。スポーツ施設用地。建売分譲用地。産業廃棄物処理場用地。又、車社会が到来する中で。事故問題。中古車販売。又、高級ブランド商品。輸入業。等が有ります。このことを何時も、アンテナを高くして。行動すれば、何かにぶつかる。

我々は、確かな情報をキャッチする事が。金を掴む事と。同じである。特に、株券。ゴルフ会員権の、購入については。事務局に、文書で報告しておけば。俺が見る。該当する物は、直ぐ対応する。金が無くても相応の。地位、の、有る。人ならば。金は、俺が、出してあげる。利子は、十、一だ。五分五分に分ける。」

真田は、若い者達に、仕事を与える、事を、何時も考えて、いる。現在真田が係わっている企業は。三百社を超える。事務所には、真田専用の電話が有る。何時も、鳴りっぱなし。だ。又、クラブ赤坂では、毎日、情報交換をしている。レベルが高い。ので。都内では、有名に、なった。会員数も、パンク状態だ。でも真田は、必死になって、動いて、居る。そんな真田組は、東京を手に取る。ように把握して。いた。

真田自身も、益々、拍車が、掛かり。自社商業ビル、五軒。賃貸マンション、十件。二百世帯。などを経営する。企業に、成長した。勿論。社長として。素人の人を、雇った。真田も。三十歳で、子供も男児が生まれ、一家族として、お父さん振りを、楽しんでいた。又、幹事長になった。記念に。自分に気合を入れようと。全身に、彫り物を彫った。一方。若者達も、真田のバックアップで、百人が、押しも、押されぬ。東侠会の、幹部に、のし上がった 。そして、其の若い者。としている。三百人。準会員を合わせると、真田組は。五百人を超えた。


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