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038、二軒目の宿 2(モフわさ)。

この宿の名前は、なんとクハラだった。

クラハの父親の方の風習で、自分の名前を子供にあげるらしい。

一番先に産まれた者にあげるようで、名前を貰われた父親は奥さんのツキナの『ナ』を貰いナクハと名乗ってるらしい。

地球の〇〇ジュニアの進化系というのか、親の名前を子供にあげて、親は名前を変えなきゃいけないという、面倒な風習があるもんだ。

だが、自分の子に、自分の名前とジュニアと付けるあちらの風習よりはマシかと思ってしまった。

あのインディシリーズで、大人になっても父親にジュニアと言われている状況に可哀そうっと思ったのは俺だけじゃないはず。

それにしても、ショーン〇ネリーはカッコいい、どうやっても最高の7番は彼だ、おっと脱線した。


一階に受付や食事場所などがあり、二階が宿泊部屋。

全部で六部屋で、受付から一番遠い奥の二部屋を取った。

「なにかあったら、夜中以外は一階にいるから!あとは、18刻の鐘辺りに夕食だけど、食べれないものとかある?……じゃぁ、お母さんと私で美味しいの作るから楽しみにしてて」

部屋の鍵を渡し、クハラは踵を返したので、ケモミミとふわふわしっぽに見とれてから、部屋に入るとリンも付いてきた。

「コウ……」

「うぉーっ!!リアルケモミミがいる世界だぁ。スッゴいわー、目の前でピコピコ、しっぽかウネウネ動くんだぜ!あーっ触りたい……いやっ痴漢になってまう!あーケモミミ欲しいー、お前ケモミミ出ないの?こう変態したりしないの?……あっ、ケモミミは獣の耳のことでな」

「いや、なんとなく分かったが。そのケモミミでここに決めたんだな」

「リアルケモミミ元気印娘を間近で見れるんだぜ!このチャンスを逃すのは惜しいだろ」

「見るだけでいいんだな、あの娘を気に入ったとかじゃなくて」

「んっ?」

「……そうか、良かった」

なんだか自己完結してるようなのでほっといて、ケモミミモフモフは出来ないから、部屋に入れていいと許可を貰ったイムリンを抱き上げベッドに座り、イムリンプニプニで我慢。

いや我慢ってやつではないな、これはこれで願望の一つなのだから。

「プニプニは手に入れたから、こうモフモフ欲しいー。ラウもふわふわだけど、違うんだよなー」

「プニプニとモフモフがないとダメなのか?」

「異世界に来たら、プニプニとモフモフは絶対に手に入れたいだろ」

「だろって、言われても分からない」

「あっ、そっか。あー、モフモフしっぽ欲しいー」

「……しっぽ?」

「ケモミミ弄るのも、それはそれで楽しいだろうけど、モフモフしっぽをわさわさしたいじゃないか!」

「プニプニ、ふわふわで、モフモフをわさわさ?」

「的確だと思わないか?オノマトペって言うんだけどさ、これプニプニだろ?」

イムリンをプニプニしながらリンの前にも出すと、ちらりと一瞥して、手を伸ばして俺の頬をプニプニした。

「じゃあ、これもプニプニになるんだな」

「ん?なるのか?あんまプニプニしてないだろ」

「してると思うぞ。……いやいらない、こっちがいい」

イムリンを更に差し出しても、退けられてプニプニを払うと何故かベッドに押し倒された。

「へぇ?」

「ふっ、人狼の血が入っていることを初めて感謝したくなったよ」

「なんで?」

リンの琥珀色の瞳がいやに輝いてると思ったら、腕を掴むリンの力が強くなった。

「いっ」

「おっ、すまない。っっ……」

ブァサッッと音がすると、リンが少し離れ後ろを向いてベッドに座った。

「んっ?……ぬぁっ?なっなんで?」

そこには、先程まではなかったしっぽがあった。

リンの髪の毛みたいな白と黒のコントラストのモフモフが確かにそこに生えてる。

「人狼の血のお陰で、お前の言う変態が出来るが、俺はしっぽだけなんだよ……何だ、その手……目も……」

念願のモフモフに手がワキワキ動いてしまうが、仕方がないだろう。

「モフモフーっ、おーっモフモフだぁー」

ガバリっと張り付いて、モフモフをわさわさしまくる。

実際、動物にガッツリ触ったのは、親戚のおじさんが飼っていたデブ猫のみ。

飯の時間に食べてやるから背中を撫でろと命令してくるやつで、その時しか触らせないから、それを恐る恐る撫でたことしかない。

あれは毛の短い猫だったが、これは適度な固さと長さのある毛でふわふわとまではいかないがモフモフじゃないかと思われる。

わさわさと毛を堪能してから、モフモフの下のしっぽの軟骨部分まで掴むと、リンがうっと唸って、しっぽが大きく動いた。

「うおっ。どした?あっあれか、ダメ?それとも快感的な?」

「後者だ、分かっているなら、それ以上やるなよ」

そんなことを言われたら、やりたくなるのが人のサガではないだろうか。

俺の頬の筋肉がしっかり動くと、手がしっぽをガッツリ掴むと、指だけをわさわさ動かした。

「ぐっ……コウ……やったな」

「えへっ!やるなって、やれってことだろう。それはやらないと……あっ、やべっ」

「ほぉー、それも反対になるんだな」

こちらに振り向いたリンの表情に、やり過ぎたとズリズリと後退するが、足首を捕まれて引き戻された。

「待った、ここ宿だし、一階にいるって」

「だな、だが俺は誰だ?」

「リンです、はい……」

「責任は取ってもらわないとな」


18刻の少し前まで、貪るように快楽に身を委ねたが、声だけはどうにか押さえることが出来た。


色々とぐしゃぐしゃなベッドをどうするか考えていると、イムリンがゆらゆらとベッドに移動してきた。

もしかしてと見学していると、汚れはもちろん濡れた箇所までスッキリと綺麗にしてくれた。

シワは残ったがそれだけ、そこでの形跡はもはや無い。

ベッドの上に無造作に置かれていた俺の脱いだ服やリンの服まで一緒に綺麗にしてしまった。

「イムリーン。お前凄すぎないか!」

抱き上げると、ゆらゆら揺れて俺の体も綺麗にしてくれた。

体の上を少し冷たいイムリンが這い回るのは、それはそれで違った気持ちよさだが、息子はスンとも反応しなかったので、そのまま全身を綺麗にして貰った。

息子を侵食されたときは、若干の恐怖?みたいなのもあったが、一瞬で移動したからかなんともなかった。

「リン、まだ着るなよ。イムリンが綺麗にしてくれるから」

嫌そうにしていたが、リンに渡すとリンもイムリンの気持ちいい自動洗浄を分かってくれた。

「凄いな」

「イムリン、お前最高だぁー」

撫でると、なんとなくイムリンが喜んでいる感じがした。


その後、クハラからご飯出来たよーっとお呼びがかかったが、俺らがヤってたのを知ってる感じではない。

いわゆる普通で、今日は腕を振るったよーっと得意気な表情に、安堵した。

そして、クハラとお母さんの料理は、旨かった。

サラダと肉プレートとパンという一見シンプルなラインナップだったが、一つ一つが旨い。

特にサラダのドレッシングが旨くて、おかわりしたら、リンがお母さんにドレッシングのレシピを聞いていた。

それを見て、またこれを食べれるーっと喜んでいたら、クハラに聞かれた。

「お兄さん方って、冒険者?」

「うん、そう」

冒険者登録してあるから、一応冒険者。

「そうなんだ、これからどこに行くの?」

「コラ、だめよ!」

すると母親がクハラが窘めた。

「あっ、ごめん。あまり聞いちゃダメだよね」

「えっ?そうなの?」

こんな異世界に個人情報どうのこうのないだろうと思っていたら、クハラの癖らしい。

「この村から出たことないから、外のことを気にしちゃって、色々聞きたがるのよ、ごめんね」

「いや、いいよー。次はユリランス」

「えっ?聖地に?なんで?」

言ってから、あっと気付いてしまった。

ちらりとリンを見ると、呆れ顔でため息を吐いた。

「だから、ユリランスの先のジヌエストに行くんだって、名前覚えれないからって適当なことを言うなよ」

上手い具合に誤魔化してくれたリンに、あははっと笑ってから、それそれっと合わせておいた。

そこから先は、リンがジヌエストの知人に会いに行くと設定を展開してくれたから、それに合わせてウンウンと頷いておいた。


部屋に戻ってから、お仕置きと称して、ガッツリとキスされた。

これ、お仕置きか?と思ったら、立ち上がったものをそのままに部屋を出られて、こっちかーっと。

自家発電するのもなぁーっと思いながら、イムリンを抱き締めたら、すっと息子が何もなかったように落ち着き、イムリンの更なる効果を発見した。

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