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025、名付け

城に帰ってきて、獣舎にピポグリフォルを入れ、そこでしばらく顔を見ながら固まっていた。

「私は戻りますが、遅くなると冷えてきますのでほどほどに」

「うん、分かった、とうちゃん」

「勝手に四人目にならないで下さいよ。リンスラン様はこちらに?」

「ああ、早めに戻す」

「よろしくお願いします」

そんな、会話を聞き流しつつ、ずっと名前を考えていた!

ピポ、グリ、フォル、グリーン、ブラウン、シロ、ポチ……

名前のセンスねーっ、何かに名前付けることも初めてだから、どう名前付けて良いのか分からん。

スマホを取り出して、辞書アプリで、ポチポチと検索をかけてみる。

特にこれといったのはかからなかった。

「決まったか?」

「全く。んっ?なんで?」

声は背後からで、地面に座り込んでポチポチしてた俺はリンに後ろから抱き締められる一歩手前、ギリギリで触れられていない状態だった。

「寒くなられたら、とうちゃんに怒られるだろう。風避けしてたが、そろそろいいか?」

「お、おう、ごめん、気付かなかった、ありがとうな」

若干のドキドキ心臓は置いといて、そう言い立ち上がろうとした時、抱き締められ、更に首元にキスが落ち、背中にザワリと何かがかけ下りた。

「おいっ何してる」

「いいかと聞いただろ」

「そっちかよ、お前、ここをどこだと思って」

「ラリスアット国メルガント城の獣舎だな」

「他国の城で盛るな」

「コウはいつも無防備だからな、危機感を持って貰わないと」

「そういう危機感なんて何もなく生きてきたんだ、今更ずっとそんなん感じながらなんてできるか!」

「なるほど、それもそうか。じゃあ、いつでも襲えるな」

「止めてくれ」

その時、獣舎の横にある木からひらりと葉っぱが落ちて、スマホの上に落ちた。

「あっ、リーフ!おっと『リ』はここにいるから却下。そうだ、世界の言葉で検索っと……おフランスではねぇな……おっハワイ語のラウっていいなっ。おし、ラウだ決めた」

立ち上がり、ラウの前に行き一応伺いをたててみる。

「ラウでいいか?」

「ピュィー」

なんとなく良いと返事を貰えた気がしたから、そのまま首元を撫でると目を閉じて、どことなく気持ち良さそう。

「それは、葉と言う意味か?」

「そう、ハワイっていう島があって、そこの言葉で葉っぱはラウだってさ」

「へーっ、他にもあるのか?」

「葉っぱで?さっき言ったリーフとか………とか……ゲール語?どこだこれ?これだとディラ」

「それいいな。ディラ、お前は今日からディラだ」

ラウの横の獣舎で寛いでいたディラは、その言葉にラウよりも力強く鳴いた。

「よろしくな、ラウ。ディラと仲良くするんだぞ、ディラはラウのこと苛めるなよ」

「苛めるとかないだろ、もうこんなに仲良いのに」

見るとお互いの鼻先をスリスリとこすり合って、名前を貰えた喜びを分かち合っているかのよう、もう仲良くなってる。

「なら、安心だな。……んっ?そういやぁ、もしかして魔物にも性別のあれない?」

「ああ、ないな。特に魔物は精霊の卵なしで受けた方が腹に宿して産んだり、産卵するみたいだぞ」

「ディラ、ラウを孕ませるなよ」

「発情期でもないし、そうそうないだろう」

「年中発情期みたいな飼い主がそれ言うか?」

「ほおっ、言うじゃないか」

「あっ、やべっ」

逃げようとしたが、すぐに手首を捕まれ、今度はがっちり掴み離れないので、アハハッと乾いた笑いで後退するとそのままリンは前進してくる。

腕を引っ張られ、胸元に引き寄せられると、腰と後頭部を支えられリンに口付けられた。

そのまま獣舎の奥まで後退し、背が壁に行き当たる。

俺はこいつの為にいる聖女だ、動き一つで体は陥落してしまう。

次に来るのは、中に奥に欲しくなる情動。

昨日、あれだけやったのにも関わらず、あんだけやったせいもあるかもしれないが、俺の体はすぐにリンを求めてしまう。

リンの胸を押す力も徐々に弱くなっていき、リンの服を掴みかけたその時。

「キュピーーッ」

ラウが鳴き、その声にリンの胸を押したら、少しだけ離れてくれた。

「ラウ、サンキュっ。リン、まじで場所考えろよ」

「……いいのかそれ?」

「よくねぇが、ほっときゃ収まる」

俺の息子は衣服に隠れていても、はっきり分かるほど。

抜きたくて仕方がないが、ここは城内の獣舎、誰が来るか分からない場所だ。

「コウ、俺は誰だ?」

「リンだっ……あっ聖愛の……でも、ラウ達がいるし……」

「飼い主も仲良しだと見せてもいいと思わないか?お前、本当に聖地だけで済ませる気か?俺は無理だぞ」

「自信満々に言うことかよ。……あーっ、くそっもう分かったよ。青空……屋根あるけど青扱いで二回目、もういいやっ」

突き放したリンの胸元を今度は引き寄せた。


聖地以外でだが、やはり俺のそこは聖地でのよう。

俺の体は、聖地だからではなく、完全に聖女なのだ。

終わってから、ラウとディラにため息のような小さな鳴き声を貰って、なんとなく謝りたくなり、ごめんなーっと言ってから離れた。


「お帰りなさいませ。リンスラン様もこちらで夕食を取られるかと用意しましたが、如何しますか?」

「もっ貰おう」

クアセコに戻ると、何処と無くお怒りのようなセミに、たじろぐリンを笑ったら、こちらもキッと見られ、ここは素直に謝っておく。

「とうちゃん、ごめん、ヤッてた」

「早く戻すと言ったのはリンスラン様ですよ。コウタさんが風邪でも引いたらどうするのですか」

「……すまない……もう完全に親目線だな」

「あっそうでした。失礼しました」

「とうちゃん、もっと怒ってー」

「イヤですよ。私も何をしてるんだか」

ため息を付くセミに、子供の時に出来なかった親に甘える自分を楽しむ。

今しか出来ない、ママゴトのようなこの時間が凄く楽しい。

お目通し、ありがとうございます。

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