019、第一聖地キユランス 2(聖女仕様)
突如、ドクドクっと心臓が腹の奥にあるような感覚に陥る。
リンを見ても同じようで、目が宿で見たあのスイッチの入った目になっている。
「コウッ、こ、これはっ?」
「くっまじかよ、これっ。さ、催淫も無効じゃってっ、そう……そういうことかっ」
「……どういうことだ?」
「……エロ特化なの、はっこういう、ことか。あー、くそっ。つまり勇聖者と聖女は各地を回ってヤってたってこと!んーっキツイっ」
もう、ダメだ、体がおかしい。
まだ指しか入ったことがないが、中がそれよりもデカイものを欲しているのがハッキリと分かる。
目の色や表情は変わっているが、年の功か俺よりも我慢出来ているリンに抱き付き、口付けた。
「コウっ」
「ムリっ、我慢なんて無理だっ」
「俺もキツイが、コウは昨日が初めてだろう、慣らさないと」
「多分っっ、いける気がするっ、そのままっ」
「でもっ」
「俺は聖女だっ、多分そういうことなんだよっ、早くっ」
それから幾度もラウンドし続け。
リンは8、俺は計15イキと更に最高記録を更新した瞬間、自分たちがいる空間が淡い光を放つのを感じた。
先ほどまで、枯渇し続けた体がようやく落ち着きを取り戻す。
「まじか、こんなにとは……疲れ……てない、そうか……やっぱり……」
「コウ、すまない。俺の理解の域を超えてる、どういうことなのか教えてくれ」
「まず、出よう」
見事に脱ぎ散らかした衣服に手を伸ばし着ていく。
そういえば汗もかいていない。
「コウ、身体は大丈夫か?」
「な~んともない、俺は聖女様だぞ」
「そのようだな。俺も疲れを全く感じていない、色々とスッキリはしているが」
「8回もだ、そりゃスッキリするって」
「コウ、お前15?」
「昨日の最高記録を更に更新。俺の枯渇するんじゃないかって思うよ」
「俺も一度で8は初めてだ」
軽口を叩きながら服を着ると、何故か恥ずかしさが振り返してきた。
「コウ、顔が赤いぞ」
にこやかに微笑むイケメンの腕を軽く叩き、出るぞっとズリズリとベッドのような下層の端に寄り、外に手を伸ばす。
入る前と違って、淡く光っている表面から出ると、やはりキュポンっとビンを開けたような音がした。
「これ、なんなんだろうな」
「水みたいなものとしか分からない」
「……リンは聖女と勇聖者の役割のこと聞いてんだよな」
「聖女と勇聖者は聖地に守護核を宿す存在だと、だとするとこれがそういうことなのか?」
「だろう。じゃなきゃ、さっきのは説明できない」
初めてでも難なくでき、互いに激しく求め合ったのにその後の疲れはない。
「……コウが来たのは、これをさせるためだと?」
リンの複雑そうな顔を見て、慌てて取り繕う。
「例えばだぞ、怒るなよ。お前、俺以外のやつと108箇所回ってコレやりたいか?」
「無理だな、それならこの世界がなくなる方がマシだ」
「即答!……だけど、そういうことだ。大精霊も言ってただろう、お前が気に入るやつを選んだって」
「だが、それじゃあ、人身御供と同じじゃないか」
リンの顔に怒りの表情が表れる、こいつにも怒りのスイッチがあったのだと少し安心している自分がいた。
「怒るなって、世界を救う為の犠牲とも言えるが、命を取られる訳じゃない」
「それはそうだが……」
「中でヤってる時、めちゃくちゃ気持ち良かった、簡単に天にも昇れるって思ったよ」
「っ、ああ、それは俺もだ、だが……」
「俺さ~、エロ特化なこの身体が不思議だったのよ。でもようやく解決したんだよね。んで、ぶっちゃけ、今すぐにでも中に戻りたいと思ってるし」
「コウ……俺だってそうだが、今は煽らないでくれ」
「硬いな~、そういうことだって受け止めなって。そうそうリン、早く次の聖地に行こう。またアレの中入ろう」
「……コウ、どんどん大胆になってないか?」
「だって、俺、聖女だもん」
そう断言した瞬間、何故か心の中で涙が流れた気がした。
お目通し、ありがとうございます。