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001、プロローグで世界観紹介

宿屋に隣接した食堂。

夜も更けてくると酒場にもなる。

そこで食事をしていると、嫌でも周りの声が聞こえてくる。


「そろそろ聖女様達が次の鐘を鳴らすよなー」

聖女様達、正確には聖女と勇聖者の二人を指している。

「あれ?もうか?確か、前の鐘から……5日しか経ってないじゃないじゃないか」

二人は聖地を巡業して廻っている。

「それが今回の聖女様達の凄いとこじゃないか!普通に回ったら倍はかかる距離を半分で移動されてる、それも従者も連れずたった二人だって話だ」

乗り合い馬車等で移動していたら、それよりもかかるが、特殊な魔獣に乗り移動しているから、その位で移動可能。

「本当に早い、飛竜でも使われるのかねぇ?」

「でも飛竜ってことは、降りれるとこは限られてるし、もっとお二人の情報出てるだろうが、全くと言っていいほどないんだぞ」

そう飛竜で移動していたら、確実に目立っていただろうから、それは避けたかったから飛竜は泣く泣く却下した。

「何で移動しているかは知らねぇが、早く廻ってくれるのは助かるよ」

「そうだな。……そうか、もうそろそろか……」

両手をテーブルの上に組み、一人考え深げな様子に訝しむ同席達。

「ん?」

「どうしたんだ?」

「どーした?」

「おっ、決心付いた?」

「えっ……あーっ、お前っまさか!」

大きな音を立てながら立ち上がり、指差す者に周りの視線が寄る。

「おいっ、声が大きいって」

諭した者が、周りにぺこぺこと頭を下げる様子を見ていると、ここが異世界ではないような気がしてくる。


そう、ここは異世界。

日本でも地球でもない。

周りにいるのは、多種多様な生き物達。

肌の色は、白、赤、黒、緑、獣肌等などと色彩、肌自体豊か。

髪の色も同様に多種多様な色彩。

人種と言っていいのか、見た目も様々。

大まかに分けると三種の人種がいる。

狼、ネズミ等などの動物等の耳を持っていても顔が人なら人族。

アジア系よりは、西洋、欧米の凹凸のハッキリした顔立ちが多い。

次は顔が、動物や爬虫類系の獣人族。

体が人族でも顔が人以外なら、獣人族に分類されるらしい。

最後は、人族や獣人族と変わらない見た目の魔人族、見分け方は目。

白目部分に色があるのが特徴、初めて見た時は充血が酷すぎると驚いた位、あと、虹彩部分にも鮮やかな斑点やラインがあったりする。

そんな本当の意味で多種多様な人種がいるこの世界には、もう一つの種族と言えばいいのか、魔物がいる。

人族や獣人族、魔人族との違いは、含有魔素が多過ぎて、他種族と意思疎通出来ないこと。

魔素溜まりから湧き出てくるのが魔物。

魔物として生まれて、獣人族になった者もいるから、獣人族なんているが、それらとはどうやら身体に含まれる魔素の含有量が違うらしい。

それに含有量が変わってしまえば、誰でも魔物になれてしまうということらしい。

そこあたりは、また今度探ってみよう。


おっ、話が進みそうだ、お隣のテーブルに注目し直そう。

ちなみに隣の人種は、ドラ1○のドワーフみたいな緑系の肌した小柄な男性。

エルフみたいな耳のコビットの女性は目が魔人族。

さっきから大声出してるは、顔が兎で体は人の兎人族の女性。

「まさか!お前、こっ告白するのか?」

指差され周りにペコペコ頭を下げていたリザードウーマンは、全身が鱗で覆われている。

大声に頭の上の耳を押さえる熊耳の人族の男性。

魔人目の人族男性といった多種多様な人種の男女6人組。

「誰なんだ?いつもはぐらかしやがって、ほらっ言えよ」

後で分かるが、貴族でもなければ男言葉、女言葉なんてものはないから、この兎人女性を含めた庶民や冒険者等の言葉は粗め。

それに飲み会やコンパでなきゃ、飲み屋でつるむなら大体は同性だが、ここは男女関係なく、仲のいい仲間でつるむのが基本。

「いや……まだ言えない。鐘が鳴ったら言う」

チラリと兎人を見てすぐに恥ずかしそうに頬に手を当て、酒を煽るリザードウーマン。

「……意気地がねぇなー、さっさと言っちまえばいいのに」

そんなリザードウーマンを見ながら、何か考えてる兎人。

そんな二人を見て、ニヤニヤしているコビット。

ドワーフは、店員を呼び酒を追加した。

「ほらっ、今日は呑むぞ!飲んだ勢いでいいことあったりなかったりってな」

「それ、賛成!聖女様達が通ったあとには伴侶が増えるが、その前からってのもあるしな、さぁ呑むぞー」

この世界、同性でも結婚し、互いの遺伝子を持った子を育てることが出来るから、結婚した二人のことを、伴侶と呼ぶ。

ドワーフの提案に、コビットはニヤニヤと二人を見るのを止め、呑気な発言とは似つかわしくない矢手のような目でドワーフを見たが、それはすぐに笑顔に隠された。

そんな中、ちょいちょい冷やかしながらも静かめに飲んでいた二人の男性の距離が少し近付いた。

おー、ここはドワーフ男性とコビット女性、兎人女性とリザードウーマン、熊耳人族と魔人の男性二人の3組が出来上がるんだろうな。


俺が認識していた聖女は、魔を払ったり、人を救済するんだったが、この世界の聖女はちと違う。

色々して鐘を鳴らして、魔を払う役目は、確かにあるにはある。

だがこの聖女、それ以外に様々なキューピッド的な役割もする。

俺らが通った後には、結婚式がよく行われ。

子供に恵まれなかったとこには子供が出来たり。

仲違いしていたとこは、仲良くなってくっついたり。

ようは縁結び的な役割がある。

俺はこれをキューピッドを略してキュピると言ってる。

俺が直接くっつけたのもあるから、横にいる勇聖者ではなく、俺がそれのようだ。

歩く縁結び神社とも言えばいいのか。

ちなみに元々の俺にそんな機能は付いてない。

どこにでもいる単なるしがないモブ以下な存在だった。

俺は冴えないただのモブ人間、なのにこんなとこに召喚されてしまった。


そう、男の俺は、聖女としてこの異世界に召喚され、隣にいる勇聖者と二人で聖地巡礼の旅をしてる。

お目通し、ありがとうございます。

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