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箸の研究
学校の昼休憩、いつものように弁当箱を開ける。
左手に箸を構え、右手は箱に添える。
そして口にご飯を放り込む。
この時である。我々が口内で食べ物を咀嚼している間、
仕事を無くした箸はどうすれば良いのか。
私の場合では、箸を持ったまま手の小指側を机に置いている。
しかしこれでは箸を持つ手のやるせなさがひしひしと感じられ、もの哀しい気分となり、ご飯を美味しく食べる事が出来ない。
例えば咀嚼中に次の食材をつまんで待機しておくのはどうか。しかし、そうしていればそこはかとなく次の一口に対する焦燥感に駆られるような感覚がする。
これではやはりご飯を味わいながら食べられまい。
ならばいっその事箸置きを一口毎に使うのはどうだろうか。
これなら箸のやるせなさや焦燥感をおぼえる事無く食事を楽しめる。
しかしこれにも重大な欠点がある。
一々箸置きを使っていては時間がかかると言う事である。
時間をかけていたら熱々艶々のご飯も終いには冷たく固くなってしまうのだ。
我々が真に食を楽しみたいのであれば、まず箸の居場所を深く研究せねばならないのであろう。