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幕間
――男は、学園の屋上でほくそ笑んでいた。
ようやく見つけたぞ、と。そう小さく呟きながら。
視線の先には一人の少年がいた。どこにでもいる極めて平凡な少年だ。しかしその見た目に反した力を秘めていること、それを男は知っていた。
「ククク――良いだろう。積年の恨みと共に、まとめて消し去ってくれよう……」
黒き衣に身を包んだ彼は静かに言う。
「我が編み出した【感情魔法】によって……!」
そう、地の底から這い出る悪魔のような声を発して。
そこにあった感情は、憎悪以外の何物でもない。今まで自らを虐げてきた者、そして偶さかの出来事によって祭り上げられた愚か者への黒き思い。
醜い、あまりにも醜い感情だった。これは、ただの劣等感だ。
それでも、その感情は何よりも強く燃え上がる。
「待っていろ。待っていろよ、ユリウス。そして――」
男――黒き始祖は、口角を歪めて最後にこう言った。
「赤き賢者レッド!」――と。
久々更新、すみません!!




