キチガイおっさんと俺!!
「マサキ様? 如何されましたか?」
はっ! としてフロドの話に耳を傾ける。
曰く、この『神眼』の力があれば精霊と契約を交わし全ての魔法を使うことも可能らしい。そして今世界の火の力を統べしフィアと既に友好な関係を持った俺は他の魔法使いを軽く凌駕した魔法を使用する事が出来るそうだ。フロドはいかに俺という存在が稀有で崇拝すべき存在なのだとありとあらゆる褒め言葉で誉めちぎり長々とまた語り出す。
「わかった! わかった!!……で、ここに案内したのは褒め称えるだけじゃないんだろう? 本題は?」
「……マサキ様、無理を承知でお願いしたい事がございます」
そう言ってフロドが話した内容は魔王討伐の魔法使いとしてパーティーに入る事だった。何とも異世界転生らしい展開だ、これはもちろんOKに決まってる!!……とも思ったがやっぱり死ぬのは嫌だしな~
一瞬喜びはしたが必ずしも危険は付いてくる、なんともリスキーな内容に首を傾げて悩む。
「マサキ様!!流石に今直ぐに討伐する訳では無いのです!! マサキ様のお力で各地を納める全ての神と契約を交わしその力で勇者とともに魔王を倒して欲しいのです!!」
おおっ!更に何ともRPGの様な展開!ワクワクしてしまう内容だな!……けど死ぬのはなぁ~……
「フィア?この世界って魔王倒さないとヤバいのか?」
「そうだな、魔王は種族が住む土地を脅かし、精霊たちが守る大地を穢れた土地へと今この時でさえ徐々に侵食させているであろう。その土地を統べる私のような神となる存在が力を合わせることが出来れば魔王の力を消し去ることも可能かもしれぬ。実際私の守りし土地も魔王にはしてやられておるが何も手がなかった。マサキが動いてくれるならば私はマサキの力になろう」
なるほど、これは俺にしかできない案件なのか……どちらにしてもフィアが力になってくれるのであればフィアは強いし安心かな……よし。
「フロドのおっさん、その話受けます。魔王退治の力になりましょう!」
それを聞いたフロドは俺の手を取り両手でブンブンと力強く握手、マサキ様~ありがたや~ありがたや~と感極まり涙を流し土下座のポーズからの崇拝する、騒がしい。
「……で、フロドのおっさん。魔王退治といえどどうすれば?」
ハッとなったフロドは懐から金の薄いカードの様な物を取り出し……
「……何分急なことなのでこれをお渡しすることにします、これは身分を証明する物です。これを提示すればいつでもここの他に王立図書館等、本来なら行けない場所に自由に入れますし、宿などで提示すれば国が支払いしますので。それから申し訳ないが私フロドと同じ身分の扱いになりますゆえマサキ様専用の証明書が作り終わりましたらすぐに代わりの物をお渡しします」
「あぁわかった、ありがとう」
「それからこれからのことですが度々申し訳ないが暫くこの国滞在していただければ幸いです、何分証明書もお渡ししたいのと今後パーティーに加わります勇者様との合流をしていただきたいので……」
「なるほど、わかった。じゃあ俺はギルドに戻ってるかな」
「ありがとうございます、マサキ様よろしくお願いいたします」
帽子を手に持ち深々と頭を下げて頭皮を光らせるフロドに目を背け、教会をあとにした。