登場、マスクドM
『Bブロックはまさかのアキム選手の敗退で驚きましたね!!!』
『うむ、あの筋肉が負けるほどの魔法は半端じゃなかったのである。それと最後までイルセス選手と戦っていたリュウガ選手もかなり良い筋肉だったのである。負けてしまったのは残念であるが今後も諦めずに精進して欲しいのであるな』
『解説ありがとうございますっ!
それではどんどんいきましょーっ!!!
Cブロックの選手の入場です!!!!!』
「「「「「うおおおおおおおっ!!!!!」」」」」」
観客達の歓声に揺れる会場にCブロックの参加者達が続々と入ってくる。
『さてさてー?Cブロックの注目選手は三人ですっ!
まずは一人目!ヴォーギル帝国よりやってきましたフォールカウト公爵家の三男ジョゼ・フォールカウトだぁっ!!』
するとフィールドへと進む参加者の中からガッチガチの鎧に身を包んだ太った男が偉そうに胸を張る。
『さらに二人目っ!
クリンドル王国より、マルクス伯爵家より次男アレクセス・マルクスぅぅーーーっっ!!!!!』
今度は真っ赤な髪のイケメンが観客席に向けて白い歯を見せてニカッ、と笑ってみせる。
「んっはぁぁぁ!」
「アレクセス様ぁ..........」
「はぁはぁ、アレク様かっこ良すぎぃ.....」
『アレク様がんばれ♡』と巨大な横断幕を広げていた女性の団体が一瞬にして総崩れになる。
アレク様かっこよすぎた。
『おおぉ.....アレクセス選手凄いですねぇ........。
最後に三人目ですぅっ!
白金級冒険者ッッ!サリフ・ギザード選手!』
フィールドに入りきった選手達の中からツンツン頭の男が拳を天に向けて突き上げる。
『皆、良い筋肉をしているな。Cブロックも満足できそうな筋肉振りであるな!』
『き、きんにくぶり........?まぁ、おいときましょう。
それではっ、Cブロックの予選を始めますっ!
準備はいいですね?では、始めッッッ!!!!』
――ドォォォォン!!!
Cブロックも合図と同時に参加者達が周りの参加者達に襲いかかり、混戦の様相を呈す。
そんな中に、覆面の達樹も居たのだった。
「タツキどこだろー?見つからないね」
「覆面をしておりますから声を聞かない限りわからないかと.......」
「ん~、見つからない?」
「どんな格好なのかわかりませんからなぁ」
フィールドをきょろきょろと見回し覆面の達樹の姿を探すミラ達四人。
『早速ジョゼ選手とサリフ選手が仕掛けるーーーっ!!!!
二人に襲われたアレクセス選手っ!これは早々に本戦出場者が決まってしまうのかーーっ!??』
「ピギョオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!!」
『なっ!?なんですか今度は!??
フィールドの東側に居た選手が一人を残し全滅しておりますっ!!
Cグループもダークホース出現って、変態だああああぁぁっっ!!!!!』
そこに立っていたのは頭部にミジンコの被り物をかぶった黒いマントの男。
黒いマントには金文字で『ミジンコこそ至高』と書かれていて、控えめに言って凄くダサい。
男はバサァっとマントを翻すと高らかに自己紹介をする。
「フハハハハハ!!!!我が名は『マスクドM』!!!!
マスクドMだぁぁぁぁぁっっ!!!!!!」
「「「「変態だあぁぁぁぁ!!!!!!!」」」」
観客席から笑い声と悲鳴が上がる。
フハハハハハと笑い続ける男。
男の周囲には恐らく光弾によって作られたのだろうと思われるミジンコが四体ふよふよと浮かんでいる。
「み、ミラあれって............」
「多分、そうだよブランちゃん..........」
「ん?あれご主人様?」
「は、ははっ、そういう感じで来ましたか.......」
謎のミジンコ男、つまり達樹は『デーン!』という効果音が似合いそうなミジンコっぽいポーズ?をキメると手に持っていた刀を掲げる。
「喰らうが良い!!『火弾蓮華』!!!!」
大量の炎のミジンコ達がマスクドMの周りに出現、そして千はあろうかというそのミジンコ達が残りの選手に襲いかかる!!!!
『ミジンコつよおおおおおお!!!???』
「なっ!やめっ!?」
「うがあああああ!!!!!」
「ミジンコしゅごいいいいい!!!!」
「ぐおおおおおお!!!!」
圧倒的なミジンコの暴力(意味不明)になすすべなく蒸発させられた参加者達。
ジョゼは殺られて残るはサリフとアレクセスのみになってしまった。
「タツキぃ.........僕はどう反応すれば良いのかなぁ」
「勝てーっマスクドM!貴方に全部かけてますよーっ」
「ブランちゃん意外とたくましいねぇ......」
「ますくど、M、がんばれーーっ」
「クロエちゃんまで.........。まあ良いか!マスクドMがんばれぇぇっ!!!」
突然の美少女達の応援に注目が集まる。
ミジンコ男は「はっはっは!応援してくれて有り難う!!」と手を振っている。
『.......あの変人は一体何者なんでしょうか.......』
『気になるところだが、あれだけの人数をものともせずになぎ払う、凄まじい強さの魔導師なのであるな。冒険者ならミスリルかアダマンタイト級はありそうである』
『それって滅茶苦茶強いじゃないですか.........。
とんでもないダークホース出現ですね!さあこの厳しい状況を残された二人はどうやって乗り切るのかー!??』
マスクドMと対峙する二人の男。
「おい、アレクセス」
「何だよサリフ」
「あれを倒すまで共闘とはいかないか?」
「いいだろう、倒したらそこで終わりだしな」
タッグを組むことに決めたアレクセスとサリフ。
だが、
「ぴぎょ?そんなものは無意味だぞ?『光剣』」
ミジンコ男の手に光のケンミジンコが現れる。
「ミジンコの本気、とくと見るが良い。覇ッッ!!!」
「「!!?」」
一瞬にして姿がかき消えたマスクドMに動揺する二人。
その隙が仇となった。
「二人じゃ、お前の方が弱いだろ?」
「なっ!えっ?」
サリフは全く動けなかった。
なのに視界がふわっと上がったかと思うとどんどんと落ちていく。
サリフが転送される直前に見たもの、それは。
首を無くした自分の身体がゆっくりと崩れ落ちていく姿と、その真後ろにケンミジンコを持ったマスクドMが立っている所だった。
「ふん、この程度では植物性プランクトンにも劣る」
「な........な、な!!??」
思考が追いつかないアレクセス。
ヒュッ、と光のケンミジンコを振るうマスクドM。
そして、天に向かってそのミジンコを突き上げる。
『えっ!?あっ!し、Cブロック予選、ここまでです!!!!
勝ったのはマルクス伯爵家の次男アレクセス・マルクスとっ!
頭のおかしいダークホース!ミジンコの申し子マスクドMだぁぁぁぁぁっ!!!!!』
「ピギョオオオオオオオオオッッ!!!!」
「「「「「うおおおおおおおおっ!!!!!!」」」」」
マスクドMの奇声につられて、さっきまでミジンコ男に凍り付いていた観客達も歓声を上げる。
「神崎くん.....あの声って.........」
「か、完全にアイツだ..........」
控え室で様子を見ていた勇者二人はあまりのショックに凍り付いていた。
「「何が起きたんだーっ!??」」
控え室に二人の大声が響き渡った。




