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Bブロック予選

『いやぁ~、初戦から良い戦いでしたね!!

 強いだけでなく甘いマスクのグラド選手にカミラちゃんはきゅんきゅんしちゃいましたよ!!!!』


「「「「ええええええええ」」」」


 一部男性の方々から残念そうな声が上がる。


「そんなぁ、カミラちゃん居なくならないでくれよぉ」

「だっ、駄目ですぞあんな危なそうな男!」

「お父さんは認めない!認めないぞぉぉ!!」

「だから貴方!落ち着いてってば!!」


 観客席が揺れる。


『大丈夫ですっ!!!カミラちゃんはいつでも皆のカミラちゃんですよーーーっっ!!!!!』


「「「「良かったああああ!!!!!!!」」」」


「はぁ.......カミラちゃんかわゆ......」

「気になる人が出来ても我慢する.........アイドルの鏡だぜ」

「でっ、でも俺はカミラちゃんが幸せになるならっ」

「天使だ........」


 壊れる一部男性客達。


『お、そうこうしている内にBブロックの準備が出来たみたいですよカミラちゃん。次も良い筋肉は期待できそうですかな?』


『筋肉はわかんないですけど注目されている選手はBブロックでは二名います!!!!

 ではBブロックの入場と共にご紹介しましょう。では入場のお時間です!!!』


 彼女の合図と共に会場の選手入場口が開かれ、大量の参加者達が入場してくる。


『ではまずは一人目!

 水人族の国よりやってきました!「人間戦艦」の名で知られる傭兵、アキム・トラモール!!!

 彼が護りに付いた船が沈んだことは一度たりともありません!!』


 入場していた水人族の男の一人が観客達に向けて手を振る。

 彼の整った顔には魔物の爪で裂かれた様な傷痕が残っており、腰には少し長めの双剣が下げられている。


『そして二人目ぇぇぇぇぇっ!!

 此方はクリンドル王国よりやって参りました!

 マーティン侯爵家の長男、イルセス・マーティンだぁぁぁぁっっ!!!!』


 金髪の髪をぐっ、とかきあげて気合いを入れるイルセス。

 彼はすうっと息を吸うと。


「覚悟しろタツキ・ヒューガ!!!!俺は必ず本戦に上がってお前を待つ!!!!

 ブランシュ嬢に相応しいのはどちらかはっきりさせて貰うぞ!!!!!」


「「「「うおおおおおおお!!!!!!!」」」」


『おおおおおおっ!!!!!これは男と男の戦いの予感ですよ!!!!

 タツキ・ヒューガという名前の選手は...........あれ?名簿に見つかりませんねぇ。偽名で登録しているみたいですね』


 イルセスの宣言に会場は大盛り上がりになる。

 そんな中硬直している少女達が居た。


「い、今タツキ・ヒューガって...........!」


「ああ........俺にもそう聞こえた.......」


 Bブロックに振り分けられていた四人の勇者の内の二人。

 姫路命と神崎竜牙だった。


「タツキ君が.........生きてるかもしれない!!」


「でも何してんだアイツ?女の取り合いって......」


 イルセスの宣言から色々とお察しなのだが(イルセスが一方的に迫っているだけだが)ミコトはタツキが生きているかもしれないということだけで頭がいっぱいになっているみたいだ。


「もう負けられないよこれは!!!」


「まっ、全力を尽くすだけだけどな!」


 そして、Bブロックの参加者達の全員がフィールドへと入場した。


『全ての選手が入場しました!それでは。

 Bブロック予選、始めーーーーッッ!!!!』


――ドォォォォォォン!!!


 先程と同じく彼女の合図と同時に太鼓が叩かれ、大きな太鼓の音と共に戦いの幕が上がる。


「うおおおおおおおっ!!!!」


 開始早々に全力を出し始めるアキム。


『おおおっとぉ!?開始直後にアキム選手が仕掛けて来ましたっ!!双剣がすさまじい速度で振るわれ他の参加者達を次々と斬り伏せております!!』


『おお、なんとも瞬発力に優れた良い筋肉ですな。人間戦艦の二つ名は伊達では無いと言うことですな』


「シッ!フッ!ハッ!」


――ヒュッ!ザシュッ!ズパッ!


 踊るように双剣を使って、迫り来る参加者達を斬り続けるアキム。

 順調に倒し続けると思われたが、


「『氷弾蓮華(フローズンガトリング)』」


「何っ!?」


――ガガガガガガガガガガ!!!!


 突然彼を襲った氷弾の雨。

 彼は類い稀なる身体能力によってなんとか避けきったが、彼の周りに居た参加者達は瞬時に凍らされ、撃ち抜かれて絶命した。


「.........無名の選手にここまでの猛者がいるとは」


「私の目的の為に、負けてくれるかな?」


 にっこりとアキムに微笑むミコト。だが、その目は全く笑っていない。


「断る」


「わかった、死ね」


――ドドドドドドドドド!!!!!


「なっ!ふっぐぁっ!?」


 光弾の雨がアキムを再び襲う。

 突然の攻撃にもアキムはなんとか反応するが幾つか直撃を受けてしまう。


「あなたじゃ私に勝てないよ?」


「無詠唱.......しかも魔力も殆ど練らずに.......。ぐふっ、君は一体何者なんだ......?」


「恋する女の子、かな?」


「はは.......こんな恋する女の子が居てたまるか.....」


「『砂塵槍撃』」


 三本の砂の槍がすっ、と地面から現れる。


「終わりにしよっか」


「ぐっ、がああああぁぁぁっっ!!!」


 走り出すアキム。

 身体強化をフルに使い、更に天歩を使ってランダムな軌道で間を詰める。

 不規則な動きをするアキムに砂の槍は当たらない。


「『クロスブレイド』!!!!」


「『氷壁』!!!流石は準英雄、中々やるね」


「まだだっ!『空斬』ッッ!!!」


「遅いよ、『風斬玉』」


 剣と魔法による激しい攻防に観客もヒートアップする。


『おおおおおっ!!あの選手は一体何者なんでしょーか!?ダークホース出現でっすよぉぉぉ!!!!』


『うむ、筋肉ではないがかなりの魔法の使い手であるな。おそらくは全属性魔法の使い手なのではないかな?綺麗な花にはトゲどころか剣が生えていたのである』


「うおおおおおっ!!あの二人すげぇ!!」

「誰だ!?あの女の子無茶苦茶可愛いぞ!!!」

「負けるなアキムーーッッ!勝ってくれぇぇ!!」


 だが、依然としてアキムはミコトに押され続けている。


「ぐっ!?ふぅっ!」


「『影縫い』終わりだよ」


 遂にアキムがミコトの闇属性魔法によって捕らえられる。


「『火焔槍(ヒートランス)』」


 出現した炎の槍が空中に縛られたアキムを貫く。

 貫かれたアキムは数分間悶え続けた後に黒こげになって死んだ。


『ひっ、ひぃぃぃぃ。あの女の子滅茶苦茶怖いですよぉ』


『敵には無慈悲なのである。もし彼女を狙う男が居るのならまずは死を覚悟しなければならないのであるな』


 ヒュッ、と手に持った杖を振るうミコト。


「さて、次は誰かな?」


 とても黒い笑みをしていた。






「おらぁっ!!」


「ふっ!何て馬鹿力なんだ!!」


――ドオオォォォン!

――ガキィィィィン!!!


 ガントレットと片手剣が打ち合わされる。


「そりゃあ俺は武道家なんでなッッ!!」


「はぁっ!中々重い一撃だよ、でもそれだけだねッ!!!」


 イルセス・マーティン、彼は幼少の頃より潤沢な資金による英才教育を受けていた。

 それは算術から美術、剣術、魔法にまで多岐に渡る。

 中でもその才能を遺憾なく発揮したのが剣術。

 齢10歳にしてスキルレベルをMAXにし、ステータス外の領域にまで届こうとしているその実力は本物である。


「『正拳突き』!!」


 ゴウッ、と音を立ててリュウガの拳がイルセスを掠める。

 イルセスは慌てることなく身体をそらして避けると、


「『袈裟斬り』『逆袈裟斬り』」


「うおっ!?」


 キィンと金属同士のぶつかり合う音が鳴り、リュウガの防御は崩される。


「貰った!『一閃六華』!!」


「まだだっ!」


――ガガガガガガ!!!!


 瞬時に繰り出される六の刃にリュウガは高速の拳をもって迎撃する。

 

「ぬぐっ!?がっ!」

 

 完全には防ぐことは出来ずに片腕が斬られてしまった。


「今度こそ終わりだ!『一閃』!!!」


 目にも止まらぬ速度で振るわれた片手剣はリュウガの腹部に真一文字の紅い線を入れる。


「がっ......あ」


「俺の、勝ちだな」


「ああ、お前強ぇよ........」


 身体の中心から両断されたリュウガは「こいつにタツキ?は勝てんのかなぁ」なんて思いながら控え室へと転送された。




『そこまでぇーーっっ!!!

 Bブロックの本戦出場者はぁぁぁ!

 クリンドル王国侯爵令息、イルセス・マーティンとっ!

 ダークホース現る!謎の美少女魔導師ミコトだぁぁぁぁっっ!!!』


 カミラの声が会場中に響き渡る。

 その声はマイクを通して選手控え室にも伝わっており、


「.........えっ?ミコト......!?」


 もの凄く恥ずかしい格好のタツキは内心冷や汗をかいていたのだった。

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