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召喚獣タイタン

本日二話目。

 街へと向かうタツキ達はSランク以上ばかりの化け物の群れを視認していた。


「マズい!ブランシュ達が危ない!!」


「タツキ!召喚石は!?」


 街へと向けて魔法を放とうとする不死の王。


 そして、魔法が放たれた瞬間。


「街を守ってくれ!『タイタン』!!」


 世界は光に包まれる。

 そして。


ドドドドドドドドドドドドドドドド!!


 轟音の後。

 再び目にしたその先では全ての攻撃を一身に受けきってなお立ち続けるタイタンの姿があった。


『オオオオオオオオオオオオオ!!』




召喚獣タイタン 魔力体

Lv.-

HP65000/150000

MP400/400

攻撃80000

防御74000

速度34000

魔術7500

能力:身体強化 身体強化 土魔法 格闘術


土魔法:あらゆる土の魔法を使うことが出来る。ただし範囲は画力に依存する。


格闘術:素手での攻撃にダメージを40%上乗せする。



 筋骨隆々の巨人が目の前のリセントメントファラオを見つめる。


 リセントメントファラオはタイタンに杖を向ける。


『ウオオオオオオオオオオ!!!』


 タイタンは咆哮し、巨大なアンデッドとリセントメントファラオに襲いかかった。


「「「「「うおおおおおおおおお!!!」」」」」


 町から歓声が上がる。


「神獣様だぁぁ!神様が使いを送って下さったぞ!!」

「勝てる!勝てるぞおおおおおお!!」


 タツキ達は町へと向けて走り続ける。


「よし!とりあえず街は守ったぞ!!」


「神獣様って...........」


「女神様との契約者が出した召喚獣なんだしあながち間違ってもないんじゃないか?」


「確かに!」


 北門から中に入ると大量のスケルトンソルジャーと冒険者達が戦っており、ちらほらとリッチ等の姿も見える。


 フラウは今、スケルトンエンペラーを倒した所のようだ。


「フラウ!ブランシュ達がどこにいるか知らないか?!」


「タツキ!?邪神は倒したのか!!」


「そっちは終わらせた。場所を聞きたい」


「そうか.....そうか。ブランシュ達なら最初に突破された東門の方に居たから今は南門か西門の辺りじゃないか?」


「ありがとう。感謝する」


 タツキはそれを聞くとまず西門へと向かう。


 後方で轟音を響かせて戦うタイタン。

 歓声が上がる。

 どうやらあの巨大アンデッドをぶっ飛ばしたらしい。


 タツキ達はブランシュ達を探すために町を走った。









 スケルトンエンペラーが倒され、眷族達も消滅する。


「「「うおおおおおおおっ!!!」」」


 勝利したフラウに歓声が上がる。

 と、タツキさんが戻ってきたようだ。

 無事で良かった、邪神は既に倒したのだろうか?

 タツキさんはフラウさんと何か話した後、ミラさんと一緒に何処かに走っていってしまった。


 まだ魔物は残っている。

 タミルは杖を構えて残ったリッチと対峙する。


「オイ、ソコノオ前」


 突然タミルはそのリッチに話しかけられる。


「な、なんだ.......」


「リーダー格ダロウ?コイツガドウナッテモ良イノカ?」


 そういってリッチは手下のグールに何かを持ってこさせる。

 それは―――


「てめえっっ!離せ!離せぇぇ!!」


 ガンタだった。


「オ前、コイツガ殺サレタクナカッタラ自害シロ」


「...........はっ??」


 いきなり言われたことに意味を飲み込めないタミル。


「コイツハオ前ノ仲間ナンダロウ?見捨テテモ良イノカ?」


「なっ.........お、俺は........」


 どうすれば良いのか。

 悩むタミルに周りからは「お前はそんなことしなくていい」「そんな奴助けて何になる」等言葉が浴びせられる。


「お......おい、タミル......」


「............ガンタ......」


 グール達に拘束されているガンタがタミルに話しかける。


「なぁ?友達だろ?」


「..............」


「俺はここで死ぬわけにはいかないんだよ。頼むから......」


「...............」


 タミルは答えない。

 ガンタは友人だ。

 だから助けたいが、本当に助けるべきなのか?


「お、俺が生き残ったら冒険者はやめるからよぅ..........。村に帰って........農業するんだ」


「...........」


「ほら.........俺ってさ?アレだろ多分ユリフィアって俺のこと好きだったろ?

 お前あいつのこと好きだったもんな。あいつの幸せを守ると思って助けてくれよぉ......」


 プツン、と。


「............今...」


「え?死んでくれるのか?嬉しいなぁ」


「今何つったテメェ!??

 俺が死ぬわけねぇだろ!!!

 どこまでお前は腐ってんだ!てめぇなんて俺の友人じゃねぇ!!」


「............は?」


「これ以上俺の知ったこっちゃないってんだ!

 おい、リッチ!俺は自害なんてしねぇからな!」


「はぁぁぁぁ!??何言ってんだてめぇ!ぶっ殺すぞ!!」


 完全にキレた。

 こいつはどこまでクズなんだ。

 今までずっと我慢してきたが、もう我慢ならん。


「ハハハハハ!!コリャ傑作ダナ!

 オイ、オ前!アイツヲ殺スンダロウ?殺シタラ特別二生カシテヤル!!殺シテコイ!!」


 リッチはそう笑うと、ガンタの前に剣を一本落とす。

 ガンタはリッチに治療されたのかすっくと起きあがると剣をとる。


「俺とユリフィアの為に死んでくれやあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 発狂して突っ込んでくるガンタ。

 一方のタミルはそのガンタに杖を向けると。


「『大嵐』」


「なっ!?がっああぁぁぁぁぁぁ!!」


 タミルはソロでやっていれば金ぐらいの実力は既に付いていたのだ。

 ガンタの適う相手ではない。


「あ......うぐぅ......なん.....で.........??」


 身体中を切り刻まれ不思議な顔をするガンタ。

 それにタミルは冷たく言い放つ。


「だまれよ魔物。お前は友人でもなければ人間でもない」


「なっ........てっ.....めぇ...........ころし.....て....」


「それと最後に言っとく」


「あ...........?」



「ユリは俺の女だ。誰にも渡さん」


「ぎざまぁぁあぁぁぁぁぁ!!」


 周りから歓声が上がる。

 タミルはこの瞬間ガンタと完全に決別したのだ。


「ハァ~。全ク使エナイ道化デシタカ。マァ良イデスヨ、私ガ全員殺シテヤリマス」


 リッチが杖を構える。

 そして、その場に居た魔導師全員がそのリッチに杖を向け。


「『大津波』!!」

「「「「『風刄』!!」」」」


 互いの魔法がぶつかり合う。

 リッチの魔法と魔導師20人の魔法が相殺され、リッチは今度はガンタに向けて魔法を放った。

 心臓に氷の槍が突き刺さる。


「がっ!?あが.............」


「使エナイ道化ニモ少シハ役二立ッテ貰イマショウ」


 水魔法の『氷結槍』で死んだガンタにさらに闇魔法が加えられる。

 次の瞬間、ガンタはグールとして蘇った。


「襲エ」


「ガアアアアアアア!!」


 腐った身体からおぞましい声を発し冒険者達へと襲いかかるガンタだったもの。

 それを哀れむような顔で見るタミル、


「『風斬玉』」


「ガギャアァァァァァ!!」


 再びタミルによってズタボロにされ、完全な死を迎えるガンタ。


「救いの無い男だったな」


 それは彼の行動に対してか。

 それは彼の最期に対してか。


「本当に人間をやめるとは思わなかったよ。リッチ、今のは皮肉か?」


「カカカッ、人間モ魔物モナンラ変ワラン。要ハ欲ノ強サダケダ。魔物ハ生キルトイウ欲求ガ人間ヨリモズット強カッタダケニ過ギン」


 カカカっと笑うと再び杖を構えるリッチ。


「ダカラココデオ前達ニハ死ンデ貰ウ。全テハ人類ノタメニ」


 と、そこで。

 外に出ていた金ランク冒険者達も戻ってきた。

 包囲網はリッチの逃げ場を完全に失わせた。


「ハァ、我等ガ主ガ撤退ダト呼ンデイルトイウノニ。全ク、馬鹿ミタイナ最期ダナ」


「ああ、これで終わりだ」


「ソウダナ。ダガ、殺セルダケ殺シテヤルヨ」


 冒険者達がリッチに襲いかかる。

 人間に群がる魔物の様に。







 数分後、倒れるまでに12人を殺したリッチは満足そうな顔をして逝った。

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