VS邪神ラウラプテュティカ
ラウラプテュティカ 神族 ♂ 封印状態
Lv.999
HP325000/900000
MP4000/10000
攻撃78000
防御35000
速度700
魔術39000
スキル:自己再生Lv.MAX 威圧Lv.MAX 闇魔法Lv.MAX 念動力Lv.MAX
称号:邪神
念動力:触れていないものを自在に操れる。生物であっても可能。Lvが上がるほど操れるものの大きさが大きくなる。
邪神:世界に仇なす神に贈られる称号。自動MP回復効果がかなり上昇する。攻撃魔法の威力が通常の三倍になる。
鑑定を使ってみたがかなりのステータスだ。
序列には紹介されていなかった邪神。
既に殺したはずの邪神なのだから紹介されていなかったが、かなりの能力。
ラウプだった頃とは比べものにならない強さだ。
「だが、まだ封印状態だ!!!ここで奴を倒すぞ!!!」
俺は仲間達を鼓舞する。
タミルはともかく他の三人は充分な戦力になるだろう。
「タミル、お前は街に戻って報告しろ!!」
「お、おう!!」
逃げ出すタミルに向かって『暗黒槍』がラウラプテュティカから放たれる。
が、
「させない、『聖域』!!!」
ミラの唱えた魔法により、俺達を守るように光の壁が現れタミルを守る。
今の隙にタミルは逃げ切れたようだ。
「ああぁ?人間のくせになまいきだなぁ。俺の下僕のゴミ共のクセによぉぉぉ!」
ラウラプテュティカから途轍もない圧がかけられる。
「なっ!?」
ドマがエルザに切りかかった。
エルザは突然の父親の攻撃にギリギリで反応し防ぎきる。
「これは......念動力だな、キサマ!」
ミラが普段は見せないような怒りを込めて叫ぶ。
「『限界突破』!」
ドマの身体から銀色のオーラが吹き出しその身を包み込む。
『限界突破』とは元々勇者にしか使えないと言われていたスキルだ。
だがいわゆる『英雄』や『達人』等と呼ばれる武人達の一部はそのスキルを手に入れることがある。
ドマはその貴重な内の一人なのだ。
爆発的に能力を高めたドマは念動力の呪縛を振り払い、ラウラプテュティカに斬りかかる。
「『一影六華』!」
一回振るったようにしか見えない剣がその一閃の内に六度振るわれる。
が、それをラウラプテュティカはいとも簡単に防ぎきってみせる。
「雑魚がぁ!この程度で殺れるとでも思ってんのかァ!?」
「黙れ!邪神めが!弱っている貴様の力なぞ俺にはもう通用せんぞ!!」
「るっせえええええええ!クズ共は俺に黙って操られてりゃあいいんだよおおおおおおお!!」
『黒炎』が四人を襲う。
四人は避けようとするが、
「なっ!?身体が動かんっっ!」
今度はエルザが操られて動けなくなってしまう。
エルザに迫る『黒炎』。
「エルザああああああああああ!」
ドマがエルザを庇うように覆い被さる。
「どっ、ドマあああああああああ!」
俺が助けに入ろうとするが俺とミラの結界では自分達を守るだけで精一杯だ。
炎が過ぎ去った後、無傷の俺とミラはエルザ達が居た所を確認する。
「うわああああ!嘘だ、嘘だああぁぁぁぁぁぁ!!」
背中側の鎧は完全に焼き切れ、背中全体を炭化させたドマがエルザを守りきって倒れていた。
エルザは突然の父親の死に子供のように泣きじゃくる。
「それだよ、それ!
あのオッサン俺の思い通りに動いてくれちゃってよお。お前等はそうやって俺の言いなりになってりゃいいんだ!
俺の念動力があればどんな奴だって俺の思い通りなんだよぉ!!
絶望した顔みせろやあぁぁぁぁぁぁ!!」
何かが、切れる音がした。
「このクズ野郎があああああああああ!!」
タツキはラウラプテュティカへと一歩を踏み出す。
「アイツをぶっ殺せ『テュポーン』!」
ダンジョンの中は目映い光に一瞬何も見えなくなる。
そして、
『グオオオオオオオオオオオオオオ!!』
召喚獣テュポーン 魔力体
Lv.-
HP130000/130000
MP5000/5000
攻撃60000
防御50000
速度10000
魔術11000
能力:身体強化 身体強化 身体強化
魔力体:15分活動可能な分の魔力で出来ている。
身体強化:発動すると全ステータスにプラス元のステータスの四分の一の数値が加算される。
本番用に取っておいた『テュポーン』の召喚石。
俺が作った召喚石の中でもパワーはピカイチだ。
「!?んだぁ、そいつはあぁぁ!?」
「死ねやクズがあぁぁぁぁぁ!」
『ゴアアアアアアアアアアアア!!』
テュポーンが殴りかかるが、念道力によって押さえつけられる。
が、
「疑似神装具精製『モラルタ』!」
その手に一振りの剣が現れる。
タツキの怒りに呼応するかの様に剣からは圧が高まりその力を強くしていく。
「なっ、それは!?何故人間のお前がそれを使える!!」
「死ねええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
タツキの頭は怒りによって支配された。
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ!!
「ガアアアアアアアアアアアッッッッッ!」
『グオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッ!』
念道力を振り払い起きあがるテュポーン。
沸き上がる殺意のままに切りかかるタツキ。
「うっ、うわああああ!やめろおおおおおおおお!!」
――――ぐちゃっ
「あ、あれ.................?」
気づいたら戦いは終わっていた。
いつの間にかテュポーンは居なくなり、目の前には何だかよくわからない状態になった肉の塊がミンチになっている。
「ミラは......?エルザは.......?ドマ......ドマ!?」
思い出した。
あのクズ野郎にドマを殺された瞬間、完全に怒りに支配された俺はアイツをミンチにしたんだ。
だからこの肉塊があの邪神。
「お.......俺は.......?」
全身血塗れのタツキに誰か近づいてくる。
「タツキ..............」
ミラが悲しそうな顔で此方を見つめてくる。
「ミラ...........?や....やめろ........くるな!近寄らないでくれ!」
やめろ。
怖い。
誰も来ないでくれ。
近付かないでくれ。
汚い。
血塗れだ。
人殺しを何とも思わない。
狂気。
狂気。
狂喜..........??
「タツキ.......逃げないって言った..........」
「駄目だ......駄目なんだよ俺は...........やっぱり産まれたときから壊れてたんだよ俺は.........!」
俺は人間なんかじゃない。
勇者でもない。
化け物だ。
血塗れの化け物。
訳が分からなくなったタツキは大声で笑い始める。
自虐的な笑い。
あの時から初めて人を心から愛そうと決めたのに。
なんともお粗末な結果。
あの時泣けなかった俺は俺のままだった。
俺に心なんてものはついていない。
いつだって表面だけで取り繕うだけ。
今回も、また。
(やめてくれ。もうたくさんだ。壊れた俺なんてもう見たくない。)
不意にタツキを暖かいものが包み込む。
「大丈夫、貴方は壊れてなんかない。壊れてる人が誰かの為に怒ったり出来る??」
「う.........み、みら......?」
ミラは昔のことを少し思い出す。
「貴方は心がないから泣けなかったんじゃない。貴方が知らない頃からずっと貴方を見ていた僕だから確信を持って言える」
「ミラ..........」
「貴方は優しすぎるだけ。この世の誰よりも貴方は優しいの。自分でもそれが優しさだって理解できない程に、ね。」
あの時も、貴方はそうだった。
それで誰かが悲しむとも知らないで。
「自分に価値を持って、タツキ。貴方は自分を下に見過ぎてる」
「訳が...........わからない..........」
「.......どうして?」
「どうして.......こんな穢れた俺にそんな優しくするんだ.............?俺には.....わからない..........」
「この人はどうしていつもこうなってしまうのだろう」と、半ば呆れながらミラは答える。
「貴方を守りたいから。貴方が好きだから。私にとって貴方はそれだけの価値があるの」
「俺に........価値なんて.........」
「貴方の価値は貴方が決めるものじゃない。他人が決めるものなの。だから人によってあなたの価値は上下する。私にとって貴方の価値は自分でも信じられないくらい高いんだよ?」
「.........俺は.....」
「どうしてもわからないって言うのなら..........。
『貴方のことを好きな女の子が居る』
それだけじゃ駄目かな?」
「..........うっ、ぐうううううううぅぅぅ――――」
溢れ出る涙にタツキは泣かないようにこらえる。
邪神達との初戦はこうして決着したのだった。
ラウラプテュティカ等の既に死亡済みの筈の邪神達については後の話にて紹介があります。
のんびり待っていて下さい。




