俺は聖剣の勇者だ!!!!
題名変えてみました。
反応良くなかったら元に戻します。
「くそっ!!! なんでミコトは現実を見ようとしないんだ!!!!」
壊れない程度に力を入れてテーブルを叩く『聖剣の勇者』こと『遠藤光太』。
「はぁ、またこっちのパーティに勧誘したのか?逆効果だって教えたばっかだろ?」
彼の幼なじみにして親友の『藤田智』は呆れたようにため息をついてそう言う。
「そんな筈はない!! 俺が誘えばどんな女子だって喜んでついてくるんだ!!! そうだ、きっとアイツが死ぬときに彼女に呪いをかけたんだ!!! そうに違いない!!!!」
「んなっ、そんな事あいつがする訳ねえだろ!!! お前ほんとに頭大丈夫か!!!??」
とうとう呪いだなんだとおかしな事を言い始めた光太に智は呆れを通り越してなんだか馬鹿らしくなってきた。
「そうとわかれば彼女を助けに行こう!!! アイツの呪いを解けば彼女はきっと俺の事を好きになってくれる筈だ!!!」
「お前馬鹿なのか!?? 馬鹿なんだろ??? いいから落ち着けこの大馬鹿野郎!!!!」
とうとう取っ組み合いを始める二人。
ミコトのところへ行こうと暴れる光太とそれを押さえつける智。
そんな二人を白い目で眺める少女『檜山里奈』。
彼女も光太の幼なじみだ。
身長167センチに茶髪のポニーテール。胸はCで顔はかなりの美人。
男子からの人気も高く、告白された回数は既に50を越えるが彼女の理想に見合う男子は現れず恋愛経験は未だ皆無だ。
「はぁ........アホらし..........」
彼女は昔から光太の事を知っているから、色々と光太の残念な面もよく知っている。
昔から光太は何をやっても一番だった。
顔もいいから女の子にはモテモテだし。
何でも自分の思い通りにしてきたのだ。
(自分がイケメンだって自覚しているからたちが悪い)
彼女は今話題にあがっていた『彼』について思い出してみる。
顔は良いのにどこか目立たないようにしている節があった。
一番ではないけれどどんなことでもそつなくこなす。
性格も良さそうだったのに何故か苛めを受けていた。
何から何まで光太とは正反対の『彼』。
惜しい男を亡くした、と思う。
(彼と話していたら、好きになったりしただろうか?)
そんなことを考える。
自分から気になる人なんて彼女には居なかった。
何故なら光太が一緒に居たから。
光太でもどうしようもないやつだと呆れていたから、せめて光太以上のスペックじゃないと男として見れない。
全くはた迷惑なイケメンだ。
折角気になる人が出来ても既に死んだ後。
(いや、まだあの子達が捜してたか。)
自分も捜索に参加してみようかと思う。
だけど、目の前の現実を見て心を落ち着かせた。
まずは此方から片付けなければ。
「ハァ、二人とも。ぶっ飛ばしていい?」
「「!!!!????」」
凄まじい殺気をまとった彼女を前に、先程まで取っ組み合いをしていた男二人は即座に正座の姿勢になる。
「「すいませんでしたーッッ!!!!」」
二人揃っての綺麗な土下座。
はぁ、みっともない.......。
「..............許す。それと光太、お前はもう姫路さんに近付くな」
「えっ!? 何で?? 俺は悪くないだろ??? アイツがかけた呪いを解きにいってあげるだけじゃないか!!!!」
「ハァ~」、と思わずため息が出る。
こいつはどこまで脳味噌が腐っているんだろうか。
「お前、気持ち悪い。その姿をほかの奴らが見たら完全に幻滅モノだろうな。それと勝手なご都合解釈で日向君を貶めるな。この場に居ない彼を悪者にして、卑怯な奴だな」
「なっ!!? 里奈がそんなこと言うなんて!! まさか里奈まで呪いにかけられているのか!!?? そうなんだね!!! 今、『聖剣の勇者』の聖なるキスで里奈の呪いを―――」
ドゴッ!!!!!!!!
『重戦士の勇者』である智の一撃が光太の脳天に炸裂する。
光太は完全に気絶して倒れた。
「はぁはぁ、やっぱこいつ一度病院に行った方が良いと思う」
智も完全に呆れている。
里奈の口からまた溜息が漏れる。
彼女の気苦労は当分無くなりそうにもなかった。




