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どうしてお前は

表現力と文章力ほすぃ.........

――――カリカリカリカリ


 静かな研究室にペンの音が響きわたる。

 今、俺たちは召喚術の訓練を行っているのだ。


 ニコラスは用事が出来たから分身体を戻さなきゃいけなくなったと言って居なくなった。

 明日の朝には戻ってくると言っていたし問題は無いだろう。

 だから、二人には俺が召喚術のやりかたを教えている。

 ニコラスは最初に『全属性魔法』が要るといっていたが、後々聞いたら


『全属性なら属性の重ね掛けが出来たり、色々応用が利くからそう言っただけじゃ。魔術が充分に高ければ普通に作れるぞい』


 と、言われた。

 だから二人にもやってもらうことになったわけだ。

 ちなみに今の二人のステータスはこんな感じだ。








ブランシュ 神操機 ♀

天職:最上級天使

Lv.23

HP36000/36000

MP60000/60000

攻撃6700

防御7100

速度7000

魔術7500

スキル:聖魔法Lv.MAX 天歩Lv.- 剣術Lv.6 槍術Lv.5 弓術Lv.5 斧術Lv.5 自動HP回復Lv.- 解呪Lv.MAX

称号:アトロポスの最高傑作




ミラナディア 神族 ♀ 封印状態

天職:侍・武道家

Lv.999

HP30000/30000

MP40000/40000

攻撃5000

防御9000

速度6000

魔術8500

スキル:聖魔法Lv.MAX 水魔法Lv.MAX 神力Lv.MAX 身体強化Lv.MAX 拳法Lv.MAX

称号:女神・担い手との契約者



封印状態:力を封印された状態。全ステータスが大幅に減少、スキルの一部が使用不可能(表示されない)になる。


神力:神へと至った者が聖力を持っていた場合この力へと昇華する。聖魔法の補助や、強力な結界魔法等を覚える。


女神:女神になった者に贈られる称号。聖魔法と神力に上昇効果がある。


担い手との契約者:担い手が強くなればなるほど自らも強くなる。自らが強くなればなるほど担い手も強くなる。




 とまあ、こんなところだ。

 二人とも結構強いし、召喚石もきっと良いものが作れるだろう。

 ちなみに俺は今テュポーン先生を描いている。

 大量生産してテュポーン地獄にしてやるのだぁ。


「ところでミラ、お前は何を描いているんだ?」


 ものすごいスピードで絵を量産しまくるミラ。

 鬼気迫るその表情に何を描いているのか気になってしまった。


「ん、これは全部ボクだよ。夜眠っているタツキの所に大量に召喚してボクまみれにしてあげるね!!!」


 (おおっと、同じことを色々危ない理由でやろうとしてる娘がいたぞぉう?)


 みれば十数枚はあろうかという紙の全てに全裸のミラが描かれている。恥ずかしくないんだろうか...........。


「お前...........やっぱりビッ○なのか.............?」


「ええぇ.......タツキにそう言われると本当に傷つくなぁ.............。ボクはまだ処女だよ?なんなら今夜試してみるかい??」


「はいはいそうですね、それならそうしましょうか.............ってなるかっ!!!!

 どう考えてもおかしいだろっっ!!!!???

 常識がないのか???!!常識が!!!!!!」


「失敬な!!!常識ぐらいわきまえてるよ!!!!!

 ただ、タツキ相手なら常識が無いくらいじゃないと駄目なんだよ!!!!!!!」


「ちょっ、俺が悪いみたいに―――」 


「タツキ様のヘタレ」


「ぐふぅっ」


「タツキの朴念仁」


「がはっっ」


「タツキ様の甲斐性無し」


「ごぼぉっっ」


 ミラを注意しようとしたら何故か二人から攻撃を受けてしまい撃沈したタツキ。

 彼女達のことを思っているからこそヘタレているというのにとんだ仕打ちである。

 いや..........元々とんだ鈍感野郎だから仕方無いのだろうか.................。


「そういうことだからお仕置きってことで今夜はにげちゃ駄目だよ?タツキにはちゃんとボク達を好きになって欲しいんだから............」


「駄目だ........前にも言ったが俺は二人の気持ちには応えられない。

 ......................................俺はそんなことをする資格は無いんだよ」


「ん?最後の方で何か言った?」


「いや、何でもない。それともう俺の事は諦めてほかの男で良い奴を捜して欲しい。その方が良い」


「タツキ..................?」


「タツキ様........................」


 神妙な空気に包まれる。

 駄目だな、やっぱり俺には無理だ。

 いつかは―――なんて気持ちがあった事もあるけど、やっぱり俺にはそんなこと出来ない。

 俺にはそんな資格は無いんだ。

 産まれたときから、ずっと。


――――もふっ


 顔が柔らかいもので包まれる。

 ミラが俺の頭を抱え込んで抱きしめたのだ。


「大丈夫........ボクは知ってるよ.........?貴方がどんなに優しい人なのか............。

 貴方はずっと変わってない。あの時からずっと........」


「ミ.............ラ......?」


 ミラは何か含んだような言葉で優しく慰めてくる。

 ああ、まただ。

 何処か懐かしい声。

 彼女に触れていると何故か落ち着く。

 俺は......................この感覚を知っている。


――――ふにゅん


 柔らかいものが背中に当たる。

 ブランシュが背中から抱きついてきたようだ。


「タツキ様.........私は今、幸せですよ.......??」


 ブランシュが優しく語りかけてくる。

 胸に熱いものがこみあげて来た。


「ああ......ごめん、二人とも........俺は..................」


 今になって気付いた。

 彼女(ブランシュ)を機械から普通の女の子にする?

 違う、機械だったのは彼女じゃない。俺の方だ。

 ()()()に失った筈のソレが再びタツキの中に戻ってくる。


 誠意の為に彼女達の想いには応えられない?

 違う、俺は逃げていただけだ。

 確かに誠意だ何だという感情はあった。だけど応えなかった理由はそこじゃない。

 俺は彼女達の想いにちゃんと向き合おうとさえしなかった。怖かったから。自分が信じられなかったから。



 彼女達を愛する資格なんてお前には無い。



「俺は駄目なままだな...........」


 涙が溢れてくる。

 何年振りだろうか、涙を流すことなんて。

 

 「なぁ.......どうしてお前は俺の事が好きなんだ?」


「好きだから好きなんだよ......?好きになるのに理由は要らないって.........君の居た国ではそう言うんだろう?」


 また、あいまいな返事をするミラ。

 でもあれから毎日の日課になっている彼女の俺の寝室への突撃も、何処か俺のことを元気づけようとしているようでもあった。

 だからきっと彼女の気持ちに嘘偽りは無いと思う。


「私もタツキ様を愛しています。存在意義ももう何も関係ありません、私の幸せにはもうタツキ様が必要なんです。責任は取って下さりますよね?」


 未だ丁寧な堅い口調は直らないが、偽りの無いストレートな気持ちをぶつけてくるブランシュ。


「そうだな.........もう、逃げないよ........」


 女の子二人に慰められるなんてみっともないな。

 タツキは二人から離れると二人に向き直る。


「まだ........いきなりすぎて気持ちの整理はついていないからよくわからないけど、俺はきっと2人の事が好きなんだと思う。だから今日からはちゃんと2人の気持ちに向き合うよ。もう逃げたりなんてしない」


 二人とも好きになりました、だから二人共とおつき合いしますなんて最低だ。

 今、俺はその最低になってしまった。

 でも、これでやっと吐き出せた偽らざる思い。


「タツキも.......枷が外れたみたいだね......。

 良かったよ.......本当によかった..........」


「タツキ様......私も安心しました」


 二人共本当にすごい美少女だし性格もいい。

 俺には本当に勿体ない娘達だ。


「本当、ハーレムなんて最低だな、俺」


「ボク達はそれで幸せだもの。最低なんかじゃないよ?ブランシュもそう思うよね」


「ええ、ミラ。私もそうしてくれればもっと幸せになりますよ?タツキ様」


 恋は盲目。

 

 ブランシュは何となく想像がつくけど、ミラが俺を好きになった理由は結局まだわからない。

 でも彼女が好きだって言ってくれてるのなら俺も今度こそ()()()()応えなければならない。

 だからまた、いつも通りの一日を始めよう。

 今日もまだ午前10時で始まったばかり。


「ごめん、俺のせいで時間食っちゃったね。

 練習を再開しようか」


「うん!!!!」


「はい!!!!」


 そして再確認する。



 俺はミラとブランシュが好きだ。 

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