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魔物焼き肉



 アリアが夜風に当たっていた頃。


 地底の奥深く、日向達樹は二匹目のトリ野郎(ファイヤーダンサー)との戦いを制し、夕食の準備を始めていた。

 前日まではアイテムボックスにあった携帯食糧で済ませていたのだが、それも尽きたために遂に魔物の肉を食べることにしたのだ。




 洞窟内に小川が流れているのを発見した俺はその近くにアイテムボックスから出した簡単なバーベキューセットを設置して、魔物が近付いてきても大丈夫なように周りには至る所に聖力で作ったトラバサミ等のトラップを仕掛けた。


 このバーベキューセットはオタクな達樹が『ダンジョン飯』なるものに憧れたためにダンジョン訓練の二日目に城下町の店で買ったものだ。

 金は一層のホーンラビットやゴブリンの持ち物等を換金して手に入れた。

 その時についでに『オークでもできる!!!簡単初級魔法!!!』という本も買っていたのだがこの二つは非常に役に立っている。



「ふむ、まずは狼の肉からいってみようか」


 アイテムボックスからグロテスクな狼さんの死体を取り出して血抜きと解体を行う。

 (アイテムボックスの中の時間が止まっているためにこういうことが出来た。アイテムボックスさん有能過ぎる。)


 ジュウウゥゥゥゥゥ


「見た目グロかったけど味はどうだろうな」


 焼き上がったのを一枚取って食べてみた。




「まっズぅぅぅぅゥゥゥ!!!???」


 味自体は悪くない。

 肉質は少し筋張ってるぐらいでそこは問題ないのだが............


「臭ッッッ!!獣くっさ!!!」


 得も言われぬ獣臭さが口中に広がって鼻孔に伝わる。

 味は悪くないのにこれでは食べられた物じゃない。

 そこで俺はアイテムボックスからある物を取り出す。



 ケイブ・エメラルドハーブ:洞窟でしか成長しない珍しいハーブ。普通のハーブに比べて非常に香りが強く、一部の料理人や貴族達がこぞって買い集める。高級品。


 ジャイアントケイブペッパー:一粒が10センチにもなる巨大なコショウ。香りは普通の胡椒よりも薄目だが洞窟の外でも育ち、コストも抑えられるために庶民の食卓に並ぶ胡椒のほとんどがコレだったりする。



 どちらもこの洞窟の中で手に入れた物だ。

 後で使うことを予想して少し多めに入手しておいた。

 洞窟暮らしにも大分慣れてきたものである。


「確かこういうのを大量にまぶしてほっといたら臭みがある程度抜けるんだっけ?とりあえずやっておこう」


 狼の肉は刻んだハーブと胡椒をまぶした後、大きな葉っぱで器用にくるんで持ち歩けるようにした。



「次はトリ野郎の肉だな」


 今度はトリの死体を取り出すと再び血抜きと解体を行う。

 焼いて食べてみると中々に上手かった。


「鳥の胸肉って火を通すと固くなり易いのにそれが全然無いな。しかもすごい肉汁だ..........小籠包食べてるって言われても納得出来るぐらい美味いな。皮とか作れないけど」



そして最後に、例の()()()き地竜さんの肉である。

 寒い親父ギャグが頭を過ぎるが気にしないでおこう。

 うん。


 肉を焼くと上手そうな香りが漂い始める。


「こ.........これは..........!!」


 美味い!!!!

 数ある異世界モノでも美味い肉として書かれることが多い竜の肉。

 この世界の竜も美味い肉だった。

 一口ずつ噛みしめる毎に口中に広がる牛肉の様な風味。

 じゅわっと染み出す肉汁。

 肉食の筈なのに一切の臭みのない完璧な肉だった。


 調味料も殆ど無く、メシと言うには少々寂しいかんじだったがこれなら満足行きそうだ。


「うまぁ................」


 結局その日は地竜の様々な部位の肉を心行くまで堪能したのだった。

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