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鉄甲騎モミジブライ(改)  作者: 二瀬幸三郎
機関士少年と蒸気の巨人
5/30

巨人と武辺者

 

 結局、セレイが偵察飛行に出ることはなかった。もう一度、至急の伝令としてウライバの城に飛ぶことになったのだ。

 携えた書状の内容は、ウーゴ砦の現状と、それに対する支援の要請である。

 これまでも再三にわたり王城へと書簡を送ったものの、一向に応じる様子はない。もし、今回、良い返事がなければ、シディカはイバンと共に登城することも考えていた。


 ウーゴ市街上空を飛行するセレイは、ふと、山道を登っていった自働車を思い出した。

 ――そう言えば、朝の自働車はどうなったんだろう……

 ナランの話では、山道を登れる自働車は珍しいとのことである。



 キタル山の朝――

 件の自働車であるが、入城の手続きが済み次第、街を抜けて山道を爆走していた。

「だーはははは……高出力の焔玉機関(フレムモータ)四輪駆動(フォーバイフォー)を搭載した、特注の自働車(オートモビル)じゃあ!……どけどけぃ!!」

 頭にターバンを巻き、派手な色遣いの上着で着飾った老人が、がたがたと揺れる車体をものともせずに高笑いしながら、西方言葉混じりで自働車を運転している。一見恰幅の良い体型ではあるが、捲られた袖口に見える腕は、年齢のわりにはしっかりとした筋肉を付けているようだ。

「何じゃ、ありゃあ?」

「見ろ、馬無し馬車が山道を登ってくる!」

「ありゃ、自働車って奴じゃないか!?」

 ウーゴの街から北に延びる、キタル山中腹へと続くジグザグ坂道に突如出現した自働車を、同じように山道を登る行商の者たちは驚き、迷惑そうに避ける。

「誰だ?こんな山奥に自働車で来る物好きなお大尽は……」

「ありゃ、南の国トバンの大店(おおだな)ナーゼル商会のアリーム・アルイマド・ビンナーゼルだ……家督を息子に譲って隠居したと聞いたが……」

「だいたい何で、こんな山奥の市場に天下の豪商が出てくるんだよ……」

「もともと冒険商人なんて言われていたから、隠居生活に耐えきれなかったんだろ?……たぶん、お目当ては、あの敷物だな……」

「モミジちゃんの布、評判になっていたのは知っているが、あんな大商人まで買いに来るとは……」

 人々が噂をする中、上機嫌で自働車を運転する老商人アリームに、後続の二頭立て幌馬車が追いつき、無理矢理追走する。

「大旦那様……街に着いたばかりなのに、無理をしすぎです!」

「なあに、西方工房都市グラーツェンにその人ありと謳われた、名工ヘンジェームスが作りし自働車じゃ。ユキッチ金貨百枚は伊達ではないワイ!」

 それでも、御者台から老いた執事は、心配そうな声で叫び続ける。

「大旦那様のお体を心配しているのですっ……もう、お歳なんですから……」 

 そう言いつつ幌馬車を巧みに操る執事の後ろでは、二人の若い使用人が、旅装を乗せて尚有り余る荷台の中を、悲鳴を上げて転げ回る。

 だが、大旦那と呼ばれた老人は鼻で笑う。

「ワシを見くびるなよぉ!……老いたとはいえ、ナーゼル商会中興の祖はいまだ健在ぞぃ! ハイヨー、H―5型!」

 調子に乗ったアリーム老人は、舵輪横の槓桿を繰り返し動かし、それによって鞴から送られた空気を吸収した焔石はさらに加熱、より強く蒸気を機関に送り込み、出力を上げる。

 加速した自働車はワザとでこぼこの道を選んで走り、アリームは「ひゃっほーい!」とはねる感覚を楽しむ。

「流石は、最新の懸架装置(サスペンション)!……跳ね心地がよいのぅ!?」

「えぐっ!」

 自働車が悪路ではねた瞬間、後部座席から男の唸り声が聞こえた。

「大旦那、もちっと、静かに走ってくれ……キモチワルイ……」

 後部座席で、先の〈サムライ〉が苦しみ悶えていた。ウーゴの城門で鉄甲騎を睨み付けていたときの豪気な雰囲気は、いまや見る影もない。

「何じゃ何じゃ、鉄甲騎さえ真っ二つにする、天下の武辺者とやらが、みっともないのお……用心棒のくせに踏ん反り返って酒などかっくらっているからじゃゾ!」

「頼むよ……どっかで一休みさせてくれよぉ……」

 刀を支えにのっそりと半身を起こした、(よわい)四十と思われる男がぐったりとしたまま訴える言葉に、元気あふれる老人が耳を貸すことはない。

「なぁに、目的地はもうすぐじゃ。止まって先を越されたら、此処まで来た甲斐がないではないか。耐えろ、ダンジュウ! ムジーフもしっかり付いてくるが良いぞ!」

「待って下さい、大旦那さまぁ!」

 勢いが増す自働車を、老執事ムジーフ操る幌馬車が必死に追いかけていく。



 西方式の時刻表示で午前十時を回る頃――

 市場は、すでに人で賑わっていた。

 キタル山中腹、木々に囲まれた広場には、所せましと出店、品物が並び、串焼き肉や蒸かし饅頭などの軽食を売る屋台も、朝食を求める人で溢れている。

 集まっているのは人族だけでなく、わずかにツバサビトや、狼種や猫種といった獣の特性を備えた〈ケモノビト〉などの亜人種の姿も見える。皆、ウライバを取り囲むウル山脈の山々に暮らす民である。

 キタル山周辺では、村々や集落が三ヶ月に一度、山の中腹にあるこの広場へと集まり、市場を開くことが慣習となっている。この市場で、それぞれの村人は、互いに必要なものを売り買いし、また、必要な情報を交換する。ちなみにここは〈北の市〉とも呼ばれており、ウーゴを挟んだ反対側では、キヨウ川周辺の村人が集まる、〈南の市〉と呼ばれる市が開かれている。

 主に取り引きされる物品は、それぞれの村で採取、栽培された作物や加工食品、生産された道具類や装飾品など。その中で人気があるのは、ケモノビトが売りに来る新鮮な獣肉、山岳の村で採集された薬草や山菜、麓の村で作られた服や道具など。岩山で採掘される質の悪い焔石なども、貴重な燃料として村人達に重宝されている。加えて、二十年程前から、[巨人が編み上げた]平織りの壁掛け、敷物が評判となっているそうだ。

 これはウーゴが村だった頃から続いており、その頃から、こういった村々の品物を集め、異国に売る集積所としての役割もあった。今でも街の商人が訪れ、この辺りでは採れない塩や、鍋や釜、農機具などの金属加工品や異国の珍しい品々と、村々で採れたものを取り引きしており、交流は絶えることはない。

 だが、訪れるウーゴの商人は皆、小さな商家や個人の行商など、現在はわずかであり、今まで大店や異国の隊商が直接訪れることはなく、まして自働車などで乗り付けてくるなどあり得ない事である。


 その自働車に乗る大尽の出現は村人達に衝撃的だったのか、アリーム一行の周りには立ち所に人が群がってきた。

「やれやれ、これならワシも何か売り物を持ってくれば良かったワイ」

 群がる人々に自働車の自慢をしつつ嘯くアリームに、ようやく乗り物酔いから立ち直りかけている、ダンジュウと呼ばれた異国の武者が尋ねる。

「大旦那……」

「おお、ダンジュウ、ようやく立ち直ったのか?」

「そういや、どうしてこんな山奥の市場に来たんだ? 支店にも寄らずに」

 中原国家群より西南に位置する大国〈トバン〉は、古より商業を生業とした国である。その中でも、アリーム率いる〈ナーゼル商会〉は、中原国家群は言うに及ばず、西は西方諸国、北はグランバキナ、東はラ諸国連合の一部の国まで網羅する大貿易商で、当然、このウーゴにも支店を構えている。

 では、引退したとはいえ豪商の大旦那が何故、山奥の市場に単身乗り込んできたのか……

 ダンジュウの疑問に、アリームはよくぞ訊いた、とばかりに話し始める。

「ワシがトバンで余生を過ごそうとのんびり隠居生活を始めてしばらく経った頃……チュウガインの奴が売りつけてきた敷物を見て、衝撃を憶えた……

 素晴らしい色彩と模様を描いたその敷物を、ワシはとても気に入った。

 そして同時に悔しかったのだ……このようなものを、傾きかけたナーゼル商会を再び豪商に返り咲かせる為に長年、全国を旅した冒険商人の名を持つワシの手で発掘が出来なかったことが……」

 拳を振るわせるアリームは、更に言葉を続ける。

「これまで、ワシは世界中を旅して回ったが、ここは盲点じゃった……

 交易都市の一つとはいえ、中原国家群の中でも山々に囲まれた辺境の地に、こんな敷物を織り上げる職人がいたとは……」

 アリームが気付かなかったのも無理はないかも知れない。

 聞くところによると、その敷物はキタル山に於ける元からの伝統工芸品ではなく、二十年前、更に北にある山の奧地に住み着いた[巨人]が織り上げたもので、たまにしか市場に出されないものというのである。

「そこで、今日辺りにあの敷物や壁掛けの類が売り出されそうだという情報を掴んだので、ワシはここに来たのじゃ。あの手この手でチュウガインの奴を出し抜いての……」

 チュウガインというのは、仲買人の名前だろうか。

「あ奴め、取引を独占し、その上で相当安く仕入れとるようじゃ。しかも、売るときは信じられんような値段をふっかけ、暴利を貪っとるそうじゃあ、ないか……輸送費用を考慮しても、あの値段は、あり得ん……」

「暴利?」

「そうじゃ。ここの敷物は、一廉の貴族にも評判なのじゃよ……それをよいことに、無駄に高く売りつけ、品物と作り手の真の価値を貶めるなど、商人の信頼を落とすような行為は、トバン商人として絶対に許せんのじゃ!」

「そんなもんかね……」

 ダンジュウは、まだ乗り物酔いが抜けきれないのか、ぼんやりと話を聞いていた。


 アリームが憤慨する頃、老執事ムジーフは、幌馬車と自働車を留め置く場所を市場の顔役に尋ねていた。

「広場の中でなきゃ、どこでもいいよ。ここじゃ人の荷物を取るような奴はいない」

「そう言えば、本日は評判の敷物を買い求めに来たのですが、それはどちらの出店になりますか?」

「せっかちだなぁ……ゆっくり市場を見物してればわかるのに。ほれ、広場の向こうの端にでかい仏塔があるだろ? あの傍がモミジちゃんの定位置だよ。

 ……ただ、見たところ、あんた達じゃ売って貰えないんじゃないか?」

「何故でございますか?」

「あんた達、焔石、持ってきてないだろ?……モミジちゃんは[もの]としか交換しないんだよ。一緒に売ってる木の実や薬草なんかは西瓜やハミ瓜でも喜んで取り替えてくれるが、敷物は焔石と材料の糸としか交換しない」

 ムジーフの知らせを聞いたアリームは、

「なるほど、チュウガインの奴は材料の糸に生活必需品を加え、それらと交換していたのか……このような山奥に暮らし過ごしているのを良いことに、足元を見て買い取っているのじゃろう……それにしても、焔石とは……」

「伝え聞いたところによりますと、[巨人]が織り上げたと云われておりますから、おそらくは、〈ギガス〉ではないかと思われます。人の倍ほどもある彼等は、怪異と間違われるのを嫌い、人里に現われることは滅多にありませんからなぁ……」

「ワシもギガスとは、生涯で三度しか出会ったことがないからのぅ……」

「俺は昔、それよりでかい[巨人]と逢ったことがあるぞ?」

 割り込んできたダンジュウの言葉を、アリームは軽く受け流す。

「鉄甲騎じゃあるまいし、ギガスよりでかい奴らなど、見たことないわい。

 まぁ、相手がギガスでも、ちゃんとした価値を教えて正統な対価を支払えば、問題ないであろう。ついでに、そうすればチュウガインの奴が、今後不当に安く仕入れることは出来なくなるはずじゃ」

 世界中を旅し、様々な人種を見てきたアリームには、大都会にありがちな人族偏重主義を持たない、開明的な思想が養われていた。それゆえ、巨獣や怪異の類と混同されることが多いギガスに対しても、ここの村人達と同じように、受け入れることが出来た。


 せっかくなので、アリーム達は他の店を物色しながらその仏塔を目指した。

 並べられた品々は、大商人の目から見ても、満足のいくもののようだ。

「……なかなか、良い品が揃っておる。若い頃のように、こういうものを仕入れて行商したいものだのう……」

「そうでありますなぁ、大旦那様」

 時折、目に付いた木工の道具類や陶器の器、天然石を繋げた首飾り、しっかりした作りの竹細工などを手に取り、品定めをしつつ、若い頃の自分に思いを馳せるアリームとムジーフ。

 その一方、モツの煮込みや焼いた腸詰めに舌鼓を打つ使用人二人を横目に、未だ心ここにあらずのダンジュウは、屋台で切ったハミ瓜を買い、かぶりつきながらとぼとぼ歩く。

 よく冷えたハミ瓜は、気分を少しだけ楽にしてくれた。

「……白く炊いた米のメシが食いてぇ」

 屋台で炊かれる焼き飯を見て望郷の念に駆られるダンジュウは、気が付くと、目的の仏塔に辿り着いていた。

「これか……?」

 巨大な石を積み上げて築かれた、古い仏塔の側面に、鉄甲騎が外套に出来るほどの大きさを持つ、平織りの敷物が掛けられていた。その両脇に設置された物干し竿には、大小の壁掛けが計三枚、掛けられており、中央には、大きな天秤と、様々な乾燥植物が入れられた四つの木箱が置かれていた。

 奇妙なことに、木箱と絨毯が掛けられた岩の間は、鉄甲騎が駐機できるほどの広い空間が空けられ、使い古された布地が敷かれていた。

 敷物を売りに出した店主の姿はない。

 その敷物の文様を目の当たりにしたダンジュウは、しばし呆然となった。それらの幾何学模様に、懐かしい感覚を覚えたのだ。

「……見つけたぞ! この幾何学模様で編まれた、東方の花をあしらった文様、金糸や銀糸こそ使わないものの、大味ながらも鮮やかに染められた糸を巧みに組み合わせた美しさ……これを織り上げた職人はどこにいるのだ!?」

 いつの間にか横にいたアリームが敷物を見上げて興奮する。

「(ちょっと、勘が鈍ったか?)」

 乗り物酔いが抜けていないとはいえ、雇い主が傍に来たことに気付かないほど呆然としていたことを悔やんだダンジュウは、改めて周囲を見渡す。何故か、頭上を見上げるように。

「まさか……な……?」

 そんな彼等を見かねたのか、隣で着物を売る中年女性が声を掛けてくる。

「モミジちゃんなら、さっき子供達にせがまれて、もっと向こうの岩陰で遊んでやっていたはずだから……」

 その言葉を聞いた若者が気を利かし、その岩陰に向かって叫ぶ。

「モミジさーん……お客さんですよぉ!」

「……はーい」

 岩陰から、女性の声が大きく聞こえた。

「ギガスにしては、澄んだ声だな……それに、感情的でもある……」

 声の雰囲気から、アリームは巨人がまるで、うら若き少女みたいだと感じた。だが、同時に違和感を覚えた。向こうが特別大声を出したわけではなく、地声のようであった。いくらギガスでも、ここまで声が大きくはない。

 しかも、アリームが知るキガスはどちらかと言えば無機質な雰囲気の話し方をするものなのだが、こちらは明らかに感情が籠もっていた。

「ずいぶんと大きな声でございますなぁ、ダンジュウ殿……ダンジュウ殿?」

 ムジーフは、同意を求めたダンジュウの様子がおかしいことにも気付いた。

「(…………やはり……だが、どこか違う)」

 少女の声を聞いたダンジュウは、何を驚いたのか、その場で硬直していた。

「今、行きまーす」

 再び少女の大きな声が聞こえた。

 と、思った瞬間、わずかではあるが、地面が定期的に揺れはじめた。鉄甲騎とも違う、何か巨大な二足歩行の足音と振動に、アリームは身構える。それは、荒野を徘徊する巨獣のそれに似ていたのだ。

「大旦那さま……」

 忠実な執事が周囲を見るように促す。すると、人々の様子がおかしい。なにやら含んだ笑みを浮かべ、皆が、これから起きることにアリーム一行がどう反応するのかを楽しみにしているようなのだ。

 そして、一行の前にそれは現われた。

 人の背の倍以上もある岩陰から、この地方の山岳民族衣装を身に纏う、薄い褐色の肌を持つ少女の上半身がぬっと、出現したのだ。

 東方にあるという秋の紅葉を思わせる、赤くふっくらしたと長い髪を先端でまとめ、良く整った高い頭身の体、それでいて幼さを残した可愛らしい顔、その額にある小さな水晶のツノも、もはや魅力の一つと行っても良いだろう。

 だが、彼等が驚いたのは少女の外観そのものではない。

「……巨人!?……鉄甲騎ほどの大きさの、巨人じゃと!?」

「これまで、大旦那様と長年旅をして参りましたが、このような巨人を見るのは初めてです……」

 やがて全身を表わし、軽い地響きとともにゆっくりと歩み寄る[巨人の少女]に、冒険慣れしたはずのアリームはただただ驚き、ムジーフは胸で魔除けの印を組み、使用人に至っては、一人は呆然と立ち尽くし、一人はあわわと四つん這いになってその場からぎこちなく逃げようとする。

「……これは、ギガスじゃない。ワシの知るギガスは、こんなに巨大でも、こんなに人族に似た姿をしてもおらんぞ!?」

 アリームが驚くのも無理はない。彼等が知るギガスは、目の前の巨人と比べて半分程度の大きさしかなく、外見も、上半身が筋肉で肥大化した逆三角形を形成しているものだ。頭部に至っては、胴体にめり込み、小さな目と口があるだけのはずである。

 そして何より、ギガスには性別はない。

 だが、目の前の[巨人]は明らかに違う。

 その大きさは人族の五倍強――標準的な鉄甲騎に匹敵するにもかかわらず、その外見はどう見ても、美しい少女そのものにしか見えないのだ。

 経験豊富なアリームも、さすがにこの状況にはどう対処したらよいかわからなかった。

 しかし……

「まぁ、初めてモミジちゃんを見る奴らは、だいたいこうなるわなぁ」

 顔役の言葉に、周囲の人々がどっと笑う。その光景に、アリーム達は呆気にとられた。

「……大旦那様、これは……?」

「……そういうことか」

 戸惑うムジーフを余所に、アリームはこの瞬間に、巨人の少女と村人達が友人同士であることを理解していた。

 そして、当の巨人本人はと云うと……

「……あの、驚かしちゃいましたか?」

 と、苦笑いを浮かべながらアリームの傍まで歩み寄る。

 自身の地響きを押さえながら近付いてくる巨人の姿は、改めて見上げても、やはり迫力があった。しかも、それでいてわざわざ体を大きく誇張して見せているわけでも、巨体を誇らしげに見せつけているわけでもなく、寧ろ可能な限り、縮こまろうとするのだから、始末に悪い。

 そんな中、逃げようとして結局蹲ったままの使用人は、その場で動けずにいた。が、

「……大丈夫ですか?」

 と、優しく掛けられた声におもわず振り向き、そして、自分に向けて近付く巨大な手に恐怖する。

「う、うわわわわわ……」

 あたふたと逃げようとする使用人の体を巨人の手が掴み上げる。そしてその手は、怯える使用人を高く持上げるわけでなく、その場に立たせ、手慣れた感じで膝に付いた汚れを指で優しく叩いて落としてやり、それから、手を離す。その行為に、使用人が改めて巨人を見上げると、彼女は両膝を付いてその場にしゃがんでおり、にっこりと笑みを浮かべて使用人を見下ろしていた。

 巨人はその姿勢のままアリームに向き直る。

「初めまして。私、モミジです」

 その微笑みは、アリーム達の恐怖心を完全に取り去った。立たせて貰った使用人に至っては、「綺麗だ」と、先ほどまで怯えていたことを忘れ、モミジの笑みに魅入ってしまっていた。

 暫し眺めていたアリームだが、正気に戻るや、すぐに襟を正してモミジに向き直る。

「……いや、これは失礼。今まで、いろいろな種族に出会ったが、あんたのような巨人は初めてだ……

 名乗りが遅れて申し訳ない。ワシは、ナーゼル商会の前当主にしてイマドの子、アリームと云う……」

 さすが冒険商人と名乗るだけはあり、一度存在を認め、友好的な会話が成り立つ存在とわかれば、寛容に振る舞う器量を持ち合わせている。何の躊躇もなく握手を求めるアリームに、モミジは笑みを浮かべたまま、その老人の小さな手に自身の人差し指を重ねる。

 そんな中、ダンジュウはアリーム達とは違う反応を示していた。

「…………サクラ?」

 その言葉を耳にした顔役は、驚きを隠せなかった。

「あんた、その名前……モミジの母……」

 顔役の言葉が終わらぬうちに、ダンジュウの姿は掻き消えていた。

 いや、ダンジュウの行方は、すぐに判明した。

「……あれ?」

 モミジは、自分の目の前を何かが落ちていくのを感じ、無意識に受け止める。それは今まで頭の上に載せていた、自分のお気に入りの帽子だった。

「何で……?」

 気が付くと、アリーム達がモミジを見上げて驚きの表情を見せていた。彼等だけではない。周りの人々全てが同様の表情を浮かべていたのだ。

「(どうして?……今更私を見て驚くことなんて……)」

 モミジが不思議そうに呟いたその時、顔役がモミジの顔を指さして叫んだ。

「モミジちゃん、頭、頭……上っ上っ!」

 直後、モミジは不意に、そして唐突に、頭頂部に掛かる重量を感じた。

「え?……何、何!?」

「……このさらさらすべすべした感触、いい心地だぁ! 色は違えども、二十五年前を思い出すぞぉ!!」

 人々が呆気にとられて見上げる中、ダンジュウがモミジの頭の上にしがみついていた。しかも、破廉恥にも彼女の髪の毛を両手で掻き回し、頬摺りしているのだから、驚くのも無理はない。

「何すんですかぁ!?」

 モミジは慌てて、この失礼な男を振り払おうとした。ところが、両手は空を切り、自分の頭頂部に乗るだけである。

「……お主、まだまだ未熟ではないか?」

 気がつくと、ダンジュウはモミジが自分の頭に乗せた手の甲に胡座をかいて座っていた。その瞬間まで、全く重さを感じさせないほど素早く、自然に動き回る。モミジが何度、捕まえようとしても同じである。

「えいっえいっ!……このこの!」

「はっはっは、どうしたどうした!?」

 ダンジュウはモミジの頭上で、繰り出される巨大な手を余裕の表情で避け続ける。やがてダンジュウは地面に一度着地、高笑いしながら人垣を戸軽々と飛び越え、「どうした、こっちだ!」と広場の外れにある樹林に向けて走る。

「ま、待って下さい!」

 丁寧ではあるが、怒気を含む言葉を発し、モミジも人垣を飛び越える。

「わあぁ!?」

 モミジの巨体が頭上を過ぎる瞬間、人々は、思わず頭を押さえて蹲るが、その後、何が起きたのかを理解した一部の男達が同時に「ちっ!」と舌打ちしつつ指を鳴らす。

「絶好のアングルを見逃した!!」

 それは聞かなかったことにして、モミジは、木々の間をからかうように走り抜けるダンジュウを追う。

「はーっはっはっは……こっちだこっちだー」

「もう、失礼なおじさんですっ!」

 正直、モミジは苛立っていた。言葉には出さないものの、膂力は当然として、反射神経でも人族に劣ることはないと自負し、事実、この辺りで一番素早い悪ガキを相手にしても本気を出さずに捕まえられた彼女が、一方的に翻弄されている事実に戸惑いを隠せないのだ。

 そうこうしている内に、モミジは目標を見失っていた。

「……どこに行っちゃったんですか!?」

「見えてるぞ……良い眺めだ」

 その言葉に反応したときには手遅れだった。ダンジュウはモミジの脚の間に余裕の表情で腕を組み、笑みを浮かべて[上]を見上げていたのだ。

「………………!?」

 何が起きたのかを理解できずに呆然となるモミジだが、やがて状況を理解する――してしまうと、恥ずかしさのあまり顔を赤く染め、瞬間的に腰布の前後を押さえつつ、その場にズン、と音を立てて座り込む。

 当然、そこには……

「……サクラの必殺技[太股重力落とし]、久しぶりに味わったぞ!」

 見ると、閉じられた太股にダンジュウが至福の表情で挟まっていた。それを目の当たりにしたモミジは「ひっ!」と悲鳴を上げてその場から飛び退る。

 無論、顔を紅潮させつつ腰布の裾を押さえながら。

「……必殺技って……かあさま、昔なにやらかしたのよぉ――――――!?」

 ここでモミジは、ようやくダンジュウが[サクラ]の名を口にしたことに気付いた。

「……あの、かあさまを知っているんですか?」

 今度は、ダンジュウが驚く番だった。

「母さま、だと?……お前、サクラの娘か!?……まさかあいつに、娘が出来ていたとは……しかも、母にそっくり、と云うより瓜二つ……」

 打って変わった表情でダンジュウはモミジに詰め寄る。

「モミジと言ったか……サクラは……お前の母はどうした? 息災か!?」

 懐かしさに笑顔を見せるダンジュウに、モミジは、少し悲しげに告げる。

「……かあさまは、二年前に、逝きました」

「…………そうか」

 その言葉を聞いたダンジュウは、目頭を押さえる。特に泣き叫ぶでもなく、嘆き悲しむでもない。

 しかし、武辺者の心は少年の頃の記憶を確かに呼び起こしていた。

 サクラと別れ、故郷に帰らねばならなくなった、あの日の記憶を……



「俺、大人になってもう一度ここに来る!」

 二十五年前のとある街道沿い――

 少年剣士は、桜色の髪を持つ美しい巨人の女性に向けて誓う。

「サクラに負けない立派な剣士になって、もう一度ここに……お前を嫁に迎えてやる!!」

 サクラと呼ばれた巨人は、いたずらな笑みを見せ、少年から見れば大きな丸太のような人差し指で、その額を軽く押すようにつつく。

「生意気言わないの……あなたが大人になっても、私が年上なのは変わらないんだから……」

「諦めるもんか……絶対に、サクラよりも強くなってやる!!」

 少年剣士は腕をぐるぐる回しながら、額に押しつけられた巨大な指を懸命に押し返そうとするが、それはぴくりとも動かず、地面を蹴る足は、無駄にその場を削り続けるだけである。

 そんな健気な少年を見つめていたサクラは、ふと寂しげに呟いた。

「私、あなたが考えているより、ずっと、お婆ちゃんなの」

「…………え?」

 サクラは、少年剣士をそっと抱き上げ、その小さな身体を自分の顔、そして頬に寄せる。

「もしかすると、あなたが大人なる頃、私はこの世にいないかもね」

 少年剣士は、その言葉の意味が理解できなかった。

 いや、理解したくもなかった。



 その言葉の意味をダンジュウが知ったのは、二十五年後のこの日であった。

 意味を知り、その上で事実を受け入れてしまえるほど、今のダンジュウは[大人]になってしまっていた。

 ――結局、最後まで勝ち逃げかよ……サクラ……

 ダンジュウは、別れ際にサクラが残した言葉を思い出し、頬に一筋だけ涙を流す。その後、ダンジュウは衣を正し、改めてモミジに向き直る。

「……無礼つかまつった。俺は、東の国イズルから罷り越した、妻木団十郎為朝……ダンジュウと呼ばれている。あんたの母親とは、かれこれ二十五年前に、共に旅をしたことがある。母から、何か聞いていないのか?」

 それを聞いたモミジは、母サクラから聞いたことがある話――この地に来る前に、可愛らしい東の少年剣士と旅をしたことがあった、ということを思い出した。

 しかし……

 ――その子、見た目のわりに悪戯好きでスケベな悪ガキだったなぁ……

「(まさか……嘘でしょ!?)」

 東の剣士にして悪戯好きでスケベなところ以外、何も共通していない事にモミジは戸惑った。二十五年とは、かくもこれほど人の外見を変えてしまうものなのか……

 モミジは、母がどれほどの時を生きたのかを知らない。ここにいる旧知の人々さえ、二十年程度である。

 ――昔のかあさまを知る人がいる!

 無意識のうちに、モミジは目の前の[元少年剣士]を両手ですくい上げていた。

 ――サクラの娘か……掌の暖かさまで一緒とは……

 ダンジュウも、今度は抵抗せず、為すがままである。かつて感じていた巨大な手の感触を懐かしむように……


「おほん!」

 咳払いが、モミジを現実に引き戻した。

「……そろそろ、商談をしたいんじゃがのぅ」

 アリームがモミジを膝元から見上げていた。


 落ち着いたところで、改めてアリームは、モミジの敷物を観賞する。

「素晴らしい!複雑な幾何学模様で、それでいて優しく表現された……これは花……こちらは星か。このよう繊細な模様が巨大な指から編み出されたとは、とても思えん……」

「ど、どうも……」

 あまりのべた褒めに困惑するモミジ。

 モミジ、そして母サクラは、これらの平織り布地を敷物や壁掛けとして作ったわけではない。ただ、大きさ、厚み故にそれとして扱われただけだ。よく見ると、彼女が着ている服も、簡素な柄ではあるが同じ布を用いて作られている。

 これは、人里に現れたサクラの服、その柄を見て気に入った商人が、同じものを欲しがったことが始まりらしい。

 また同時に、これまで村人との取引で入手してきた、質の悪い焔石で我慢していたサクラにとって、またとない機会とも云えた。

 依頼に対し、サクラは代価として、材料となる太めの糸と、並以上の焔石を求めた。これらの品は、キタル山の市場では手に入らないものであり、故に当然の要求と云えるため、商人は快く応じた。

 その後暫くは、その商人とは良い関係が続き、次第に代価として支払われる焔石の量も増え、更には余剰の糸で自分や生まれてきたモミジの服を作ることもできるようになっていった。

 それがどういう経緯で広まったのか、気が付くと、製作者の素上ではなく、敷物そのものが[知る人ぞ知る逸品]として一部の人々に伝わったようだ。

 サクラはともかく、モミジは母、そして自分の布がどれほどの価値があるのかを知らない。

 満足行くまで品定めをしたアリームは、モミジに向けて掌を広げて見せた。それは、購入額を表わしたものだった。

「……全部合わせて、ユキッチ金貨五十枚でどうだ。イチヨ銀貨がよいなら、そちらでも用意があるぞ?」

 アリームの提示額に、見物人はどよめいた。

「……こんな市場でユキッチ金貨なんて、価値観がおかしくなりそうだ」

「……俺、金貨を初めて見る……どのくらいすごいんだ?」

「一枚あれば一家族がひと月、楽に養える……」

 戸惑うのも無理はない。そも、ユキッチ金貨は交易用の高額貨幣であり、通常は一般の商用に用いられることはない。あるとしたら、それはよほどの高額商品の購入と云うことになる。

 当然ながら、それはこの市場で売り買いするものには甚だ迷惑とも云える。

 ユキッチ金貨は高額すぎて、庶民の買い物には使い勝手が悪く、両替をする場合、手数料が取られるならまだ良い方で、状況によっては持ち込んだ人物が取り調べを受け、最悪、身分不相応で逮捕されることも考えられる。

 山奥暮らしで世間に疎いモミジも、提示された額、そして金貨そのものの価値は、見物していた人々の響めきから何となく理解出来るのだが、それ故、困惑してしまう。普段の取引に支払われる代価は、焔石と原材料との交換という形で支払われており、例え、交易通貨としては比較的使いやすいイチヨ銀貨であっても巨人である彼女には使う機会はおそらくないであろうし、また、高く売れることはよいことではあるが、自身が考えていた価値の限度を遙かに超えてしまうと、今後の扱いに困ってしまうのも事実である。

 アリームの提示額は、通常モミジが代価として希望する焔石約一トンの三倍、相場によっては五倍以上の価値はある。

 ちなみに、チュウガインはいつも、その半額に値切ってしまうらしい。

 サクラ死去の後、元の商人との仲介として入ってきたチュウガインという男は、人の良いモミジを(嘘の身の上話などで)丸め込んで値下げを要求し、その裏では仕入れた織物の値を不当につり上げていたのだ。

 その事実を、人の世を知らぬ純粋な巨人の少女は、このアリームより伝えられるまで、知ることはなかった。

「私……お金なんて使ったこともないし、頂いても使う機会もないから、出来れば、馬車一台の焔石で頂けないかと。それと、材料の糸を……」

 苦笑いするモミジが自分の手を見せながら言うと、ムジーフは納得した。

「確かに、その手で貨幣は扱えませんからなぁ……これでは、交渉どころか商談そのものが成り立ちませぬ……」

 アリームはどうしたものかとその場で考え、瞬時に結論を出した。

「ムジーフ、焔石機関に火を入れろ! すぐに街へ戻るぞ。この金で上質の焔玉を手配するのじゃ。何、自慢のH―5型なら、ひとっ走りで戻れるぞい!」

「かしこまりました、大旦那様!」

「……そんな、高級品じゃなくて、焔石と糸を……」

 ――どうせ食べてしまうのだから……

 そう言いかけたモミジだが、夢中になるあまり言葉が耳に届かないのか、アリームは自働車に飛び乗り、ムジーフが機関部の扉を開け、中にある焔石に火を付けようとしたが……

「大旦那様……水の残量が0です……」

「のわにぃ―――っ!?」

 焔玉機関、焔石機関ともに、構造は違えども、共通するのは[水を蒸気に換えることで動力とする]事である。鉄甲騎やH―5型などの高級自働車には復水装置も搭載されてはいるが、それでも限度はある。今回のように、街道から山道を無補給で、しかも、先のように調子に乗った加速を続ければ、結果は自ずと見えている。

 悪いことに、ここは村ではなく、人々が市場のために集まった山頂である。水場は、山を下ったところにある沢か、登ったところにある湧き水しかない。市場の人々も、自分たちの必要な分しか用意してはいない。

「汲んでくるのは、骨が折れますなぁ……」

 そう言いながらもムジーフは、使用人に水の補給を命じたが、アジームがそれを止めた。そして……


「私が……街まで車を引け、と……?」

「そうじゃ。巨人とはいえお嬢ちゃんに力仕事を頼むのは申し訳ないと思っているのじゃが……絨毯の代価に上乗せするし、街での滞在は、ナーゼル支店の屋敷に招待させていただこう……」

 実の所、水場は言うほど離れているわけではなく、水汲みは確かに骨が折れるが、よくよく考えれば、村人に代価を払い、水を買い求めるか、そも、モミジが水を汲みに行けばよいだけのことなのだが、アリームはこの巨人の少女を街に招待する口実が作りたかっただけのようである。

 そこにムジーフが割り込む。

「大丈夫でございますか? ウーゴの居館は、支店長預かりのものでは……」

「心配はいらん。支店長は、かつてワシ直轄店舗の丁稚だった男じゃ」

 そんな中、アリームの突然すぎる申し出に、モミジの思考は、困惑の極みに達していた。

「街……ですか?」

 興味がないと言えば嘘になる。だが、見知らぬ人里に自分が行くことにも抵抗があるのも事実である。この地において母が最初の頃、そうであったように、自分も、巨人として人々に奇異の目で見られ、そして密かに恐れられるのではないかと、不安で仕方がない。

「大丈夫か? そのまま捕まって、見世物小屋に入れられるんじゃないだろうな……」

 〈ロウ〉と呼ばれる、狼に似たケモノビトからそんな声が聞こえる。ウーゴの街に様々な人種が偏見無く集まると行っても、やはり人族以外は住みにくいのが現実であることを知っているのだ。

「心配するな。アーリの神と先祖の名に誓って、そんなことはせんっ!!」

 市場の人々とアリーム達との押し問答がずっと続くかと思われたとき、モミジは決意を固めた。

「私、街に行きます……どのみち、代価を受け取らなければいけないし、商人さん達もお車を置いていくわけにはいかないでしょうし……」

 その言葉に、アリームの表情はぱっと明るくなる。

「よくぞ言ってくれた……我が屋敷に到着した暁には、歓迎の宴を開こうではないか……!!」

 大袈裟に両手を広げ、歓迎の意を表わすアリーム。

 そうと決まれば行動は早い。アリームの使用人達が幌馬車に、「邪魔だなぁ、この箱と槍……」と、ダンジュウの荷物を避けながら、丸めた敷物と壁掛けを載せる。

「さぁ、目指すはウーゴの街……ワシの屋敷じゃあ‼」

 すでにアリームは、絨毯よりも新たな出会いそのものを喜んでいるようだ。

 そしてモミジもまた、不安に駆られながらも、同時に新しい土地と新しい人々との出会いに、心を躍らせていた……




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