龍と人
お詫びの長め投稿
さて、少し旅に出るか。
あの騒乱を終えて、町歩きを終えた後、住居地区を離れて装備を纏う。
いつ着てもこの装備はしっくりくるな。
これは和国と呼ばれるエリアに存在するキモノと言う服らしい。一瞬で硬化する効果はないが、これはショウグンと呼ばれる人が着ている装備に少し似ている。
第二形態とか、第三形態とかもあるらしいが、今の俺には第一形態しか出来ない。
和国の中ではブシや、ニンジャと呼ばれる人間たちが内乱をしていて、センゴク期と呼ばれているらしい。
そこでは、超頭脳明晰なサクシと呼ばれる人達や、腕に自信のあるブショウと呼ばれるリーダーを基準とするブシ隊と言うものを作って常に戦っているらしい。いつか行ってみたいな。
そのエリアは気候などが少し特異で美しい景色が四季折々楽しめ、四季によって、取れるものが変わったり、服を変えたりするらしい。
この世界で元最強の戦士はこの村出身らしいし、多分猛者がゴロゴロしているだろう。封鎖国家なのであまり内情は分かっていないが。
そして、旅に出た理由はある物が欲しくてね。
そして、草むらをぬけ林を駆け抜け空を飛ぶと、見えてきた。
破壊龍ブロウクノス、黒い気を纏った羽の生えた地龍。飛ぶことこそないが、その地を駆ける姿は空を飛んでいるようだ。もう少し成長すれば虐殺龍ジェノサイドロスになる。
その姿は、空を駆ける絶望。風圧で木々はへし折れ、強靭なモンスターも吹き飛び、山は割れる。
天災のようなモンスターだ。こいつは聖域最奥地のトップレベルの強さはあるとは思うが、遠目でしか見たことがないから本来の強さはわからないが、その遠くからでも、ビリビリとした気迫のようなものを感じる圧倒的捕食者。
そして、その龍になる可能性のあるブロウクノスは林に突っ込むと、速度を緩めることなく木をなぎ倒す。この龍の生息地は本来聖域中域。
中域の王レベルの強さはあるが、その速さ。乗り物として乗れたならば超一級だ。俺のランニングレベルの速さぐらい。
それがたまたま、聖域入り口辺りに現れたので、ちょっと捕獲にね。
こいつぐらいの速さならば俺のランニング以上の速さが出て、楽が出来る。
進化してくれれば、魔法を掛けるだけで楽だ。魔法使うのと違って空飛ぶのって何気に体力使うんだよね。全力ダッシュさせられる感じ。
それがなくなれば、かなりいいなぁーと思ってね。
よし、モンスターを手懐ける方法は、人間と仲良くなる方法と同じだ。
語り合えば、仲良くなれる。
まぁ、モンスターの言葉はわからないから拳で語るしかないな!!
ブロウクノスの前に立つと、そいつは少し様子を見て空を仰ぎ見て大地が揺れる様な咆哮を上げ、地属性のブレスを放つ。
それを、正面から両腕を前に出しガードを行う。
それで起こったその土煙を突っ切る様に突っ込んでくる。ひらりと躱すと、その脇腹に肘打ちを打ち込んだ後、蹴り上げ、からの蹴り落としを行う。
すると、ブロウクノスは低い呻き声を上げながらゆらりと立ち上がる。
その闘志はまだ消えていない。
さすが、俺が乗り物に選んだだけはある。
すると、ブロウクノスの体が、光を放ち始め、その身体がみるみるうちに大きく、強靭に成長し、翼がどんどん大きくなり、空に舞う。絶望の始まりだ。
その堂々とした姿は、まるで空の皇帝。こちらを見ると闇属性のブレスを放ってくる。それを、反射魔法で反射すると口元で爆発したが、気にも留めない様子で羽を畳み、猛烈なスピードで突っ込んでくる。
その速さのあまり、身体が燃え上がり、熱気が伝わってくる。それを蹴りで止め掌底からの、ストレート。
しかし、相手もその隙を狙い尻尾で薙ぎ払うが、それをもう片方の腕で受け止め、持ち上げて空中で一回転してから地面に叩きつけると、爆発が起こったかの様に地面が抉れその中心に奴が居る。
最後の最後まで反抗し続けていた、その姿勢に敬意を表そう。最高の技をもって。俺が目の前に瞬間移動し膨大な魔力を一斉に解き放ち、いつもは制限をしているパワーのリミットを解除する。すると、龍は諦めたように笑みを浮かべた様に見えた。
さらばだ、我がライバルよ。
って危ねぇ…目的完璧に忘れるところだった。
その膨大な魔力を収縮させ、収納する。そして、リミットをもう一度かけて、そっとその巨大な龍の頬に触れる。
「俺の下部にならないか」
そういうと、理解したのかはよくわからないが短く鳴き頬をこちらにそっと寄せた。
これは龍の服従の印らしい。
そして、今や出会った頃と全く変わった巨体全体に回復の魔法を掛ける。掛けるの初めてだから失敗したらまずいな…と思ったがなんとか無事成功し元気に鳴き前足で龍は俺を掴み、二本の角の後ろに俺を座らせる。
さすがに、その角を二本掴めるほど俺の体は大きくないので魔力で手綱の様にして乗る。
引っ張った方向に飛んでくれて、なかなか従順だ。可愛い奴め。
こいつは、先ほど言ったジェノサイドロスに進化を遂げたようだ。
確かに、速度は凄まじく、俺が全力で飛ぶ時と同じ様な速度を魔法無しで出す。
魔法をかけてやると、とてつもない速さで飛ぶ。雲の上を飛ぶだけで地面が抉れたので止めたが。
そして、低速飛行で街に戻ると下の人々が絶望していた。
この世の終わりだ…あの姿はまさしく神獣…山上のモンスターとは格が違う…と言っている。
結構高い所を飛んでいるつもりだったが、この巨体と迫力では気づかれてしまった。
大きさは俺が今の姿で二メートルちょっとぐらいだから…って言っても比べ物にならない巨体だなこれ。
角と角の間が百メートル程、並んで頭上に生えている、と言えば分かりやすいだろうか。
そして、その頭は小さい。そう見える程の巨体だ。この街より大きいな…ってことは尻尾抜きで全長十キロ以上はあるんだろうか。
さすがにこれで着陸すると大混乱だな。屋敷もこいつが普通に暮らせる程大きくはないし。
ちょっと小さくなれるか聞いて見ると言葉をこの短期間で理解したのか
「わかったよ」
と、少し高い子供の様な声でたどたどしく語りかけてきた。
ちょっとビックリしたが、俺もモンスターみたいなもんだしそんなもんかと落ち着いた。
「これぐらい?」
と、言うと一気に小さくなり、一キロぐらいの大きさになった。が、まだデカイな。屋敷には入れるが街中に降り立ったりは出来ない。この世界には龍乗車許可証というのがあり、それで乗れるということは一般にも知られているので不審には思われないだろうし、街中に結構龍はいる。我が家にもいたなそう言えば。
え?お前は許可証持っているのかだって?L級の特権の中に勿論入っておりますとも。
そして、さらに小さくなってもらい10メートルぐらいの大きさになってもらった。ようやく、角が握れる様になった。
魔力を出すのを解除し角を素手で握ると、少しくすぐったがっているのかちょっと頭をふるふるっと振ったが嫌ではない様だ。
また見える位置に降りて見ると今回は立派な龍が飛んでるぞ…ぐらいで特に何もなかった。
この姿は、ブロウクノスの幼体の姿に少し似ている様な気がするな。きっとそんなイメージで小さくなったのだろう。
街に降り立つとやはりまだ大きかった様で人が少し集まってきた。すると、それが気に食わなかったのか若いライダーが
「おい!勝負しろよ、この辺では見かけねぇな!テメェの龍なんてこのスカイバーン様がケチョンケチョンにしてやるぜ!!」
と、言ってきた。別に俺を馬鹿にするのはいいが、この子は関係ないだろ。と思ってちょっと仕返しに勝負を受けてやった。
相手の龍は風王龍、家にいる奴だ。そいつは風王龍スカイドラグーンでこの世界では最速、というのは話したか。勿論あくまで聖域を除いて、だ。聖域内では風王龍は遅い部類だ。そして、このスカイドラグーンは、風王龍の中でも力が強い種で、調子に乗っても仕方あるまい。
だが、調子に乗れるのも今日までだろうな。
相手と一緒に闘技場へ行き、戦闘を開始する。観客はさっき集まってた人々と、ライダーギルドの人。そして、冒険者ギルドの偉い人もなぜか来ていた。
そして、本日二度目の戦闘を開始する。
ライダーの勝負というのは、その龍から叩き落とされるか、地に足を付けるかで負けとなる。
魔法の使用は禁止で、ドラゴンの力だけで戦う。
勿論、ライダーも指示をしっかりしたり、躾をしたり、落とされない筋力も必要ってことで結構もてている。羨ましい限りだ。
戦うとするか。両者ともに名乗りを上げる。名を聞いた瞬間相手は一瞬ビビったが、すぐに切り替えた。きっと若いが戦闘経験は豊富なんだろう。
まず、相手はスピード自慢らしく、素早い動きで飛び回る。しかし、ジェノサイドロスの前では無力。
大きな咆哮をあげると、相手の龍は本能的に危険を察知し一目散に逃げようとする。
しかし、ライダーがまた戦闘区域内に戻した所を小闇のブレスで応戦する。そこから実力を見せつける。
つもりだったが、その威力を極限まで抑えたブレスは相手の龍の翼を的確に撃ち抜き、龍はバランスを崩し転落する。
そして、ゲームセット。
あっけな…。
しかし、観客は満足した様で、ライダーギルドの人はやれやれ…という感じで帰っていった。
冒険者ギルドの人は満足した顔で帰っていった。
見てた人は、すぐさま飛び降りてみんなこちらへ近づく。
やっぱりL級はライダーとしての腕前も一級品なんだな!っていう声が多かったがこの子が頑張ったからですよーと流しながら、話していると、赤毛の少年が走ってきて
「あのスカイバーンを倒すなんてすごいや!また今度、龍好きが集まる龍の家の集会に来てよ!お菓子も出るからさ!」
いくことにした。別にお菓子につられたわけではない。
決して無い。
誤字がいつもから多いのですが、今日はテスト明けって事で特大に多いかもしれません。