第4話.疑惑の正体
「あなたと組む…?」
「まぁどちらにせよお前が断る理由はなかろう」
確かにさっきの話が本当ならば断るだなんてことする訳がない…
だけど、私はまだこの男を信じきってる訳でもない…
こいつは、『私』のことを知っているんだ
「そうね…でも悪いけどまだ完全に信じてるわけではないの、幾つか質問に答えてくれるかしら?」
「あぁ構わん。これから2人は信頼関係を結ばなければいけないからな」
すぅ、と小さく息を吸う
「まずそもそもどうして私に声をかけたの?」
「こちらがお前の秘密を知っていることを餌にすればのってきてくれる…嫌な言い方かもしれんがそんなところだ」
話すまでの間隔、表情から見て嘘ではないだろう。まぁ大体そんなことだとは思っていたけど…
「じゃあ私を誘ったのは?解析屋ならもっと役立つ人材だっているはずでしょう?」
「ほう、お前は自分が弱いと思っているとでも言うつもりか?」
「……私は弱いわよ」
「だが誘ったのはこちらだからな、私様の判断。とでも言っておこう」
『あのこと』を知っているんだ。私のことを調べたのは本当だろうが…
私の能力を間違っているのだろうか
「それじゃあこれからどうするつもり?」
「それは2人が組む前提でいいのか?」
「さーね、これからすることを言ってくれないと不安で仕方ないわ」
「では話させてもらおう…
まず最終目標である『学園の裏を明かす』ためには内部へ進入する必要がある。
この学園内でそれに一番近いのは…恐らく生徒会だろうな。
やつらと接触するためにどうするかと考えたが新たに『委員会』を創ろうと思う」
委員会…?
もっと大きな組織かこそこそ動くと思っていた
「委員会を創立することができれば事務的にやつらに接触することができる…ただの一般生徒のままでは門前払いを喰らうだけだろうしな」
「…で、具体的には?」
「ん、まだ決めておらんぞ?」
「は…?」
「いやいや、実際そこまでいかないと何がわかるか知らんからな。あくまで私様が今現在考えているのは委員会を創立して生徒会に接触することだけだ!」
確かにそうだが……いや、まだ初日にしては上出来だろう。なるようになる、どうせ卒業から逃れるためにはやるしかないのだ。
「…じゃあ最後ね」
「む、まだあったのか」
少し唇が震えるのがわかった
言うのが怖いのか?真実を知るのが怖いのか?
「…あなたは何者なの?」
ここまでの会話で初めて鳥谷は口を籠らせた。
だがすぐに今の調子で
「似たような質問を先ほど廊下でもしなかったか?」
こいつは何か隠している
「解析屋 鳥谷 仁ってことはね」
「それで十分ではないか、初日の自己紹介などそんなものだ」
逃がさない
「ただの情報通で私のことをあそこまで知ってるとは思えない」
「情報通の上をいく解析屋なのだから仕方あるまい」
私が聞きたいのはそんなことじゃない
「あなたは何か隠している」
「そう思うのなら質問すればよかろう」
もっと、もっと核心を突かないと
「私の能力がとても役立つとは思えない」
「私様の判断と言ったはず。それにあの事件を起こしたというなによりの根拠があるではないか」
あの事件……
「その事件…言ってみなさいよ」
「私様が嘘をついてるとでも?はっ!なら望み通り言ってやろう
『児童大量虐殺事件』の犯人は白瀬 希お前であろう!!!!!」