第2話.秘密の秘密
「これから3年間、みなさんにはこの学園で生活してもらうことになります……」
普通。
先生も普通で話すことも普通。
普通の入学式だ。
意外と特に何もなく生活を送ることができるのかもしれない
ただ門に居た警備員の持っていた銃…
いや、あれもきっと防犯の為だろう。これだけ大きな学園なんだ、その位していてもおかしくないはず…
「起立!!」
はっ、と気づくと周りはみんな立っていた。
慌ててその場に立ち上がりお辞儀をする、考え事をしていたら入学式は終わったみたいだ。
「結局話してたこと聞いてなかったな…」
今日はこれから教室へ行って簡単なHRをして解散だ。
広い渡り廊下へ出て先ほどもらった学園内の地図を見ながら教室を目指す。
「やっぱでかいなぁ…」
すると突然誰かが私の横を走り抜けた。
そして少し行きすぎると大きくカーブを描き…
私の正面に立った。
身長高めの顔立ちの良い男子。あらイケメン。
そして彼は私に向かい
「私様にお前の名を聞かせるがよいぞ!!」
あぁ、ヤバイ人だぁ…
「む、お前さては私様のことを怪しんでおるなぁ?」
「えぇ、はい…」
「むむ、お前今『なんでわかったんだ!?』と思ったであろう!?」
「まぁ……」
しかもめんどくさい。
もちろんこの人も異人だろう…ここまで典型的な異人は初めて見た。
「それであなたは一体…?」
「…仕方がない、特別に私様から名乗ってやろう。鳥谷 仁、『解析屋』と呼ばれているぞ」
解析屋…?
「私は白瀬 希」
こういう変態はさっさと離れよう。
名前だけ言うとすたすたと歩き始める。
「白瀬 希か!ふむ、クラスメイトとして仲良くしようじゃないか!」
「…同じクラスなの?」
「あぁ!」
うわぁ、無駄に白い歯を見せつけて笑ってる…平和な生活は無さそうだ。
「…なんで私に話しかけたんですか?」
「ははは、まぁそう警戒するでない!」
すると突然真顔になりそっと耳元で囁く
「お前…例の事件の犯人であろう?」
ぞくっとした。
つまりそれは私に心当たりがあるということだ。
「なんで…知ってるの」
「心配するな!誰にも話すつもりは無い…が、少しこちらからも提案があってな」
「提案…」
「そうだ、詳しくは教室で話すとしよう。さぁ我らが教室へと向かおうではないか!」
たらりと汗が流れるのがわかった。
ここは異人が集まる那由多学園、安全ではないことは理解していたのに…
初日から私は絶望へと立たされた。
目の前のこの男によって…
「どうした!早く行こうぞ!」
「………さないと」
「む、何か言ったか?」
それから私はいつもの笑顔に戻した
「なんでもない、行こう鳥谷くん」
それから2人で教室へと向かった。
『解析屋』鳥谷 仁
はじめはこいつだ……