three
それから数時間後。アランは「ふぁ~あ」と、大きな欠伸をし椅子にもたれながら背を伸ばした。
「ちょっと、人の話聞いてるの?」
「はぇ?あぁ、聞いてる聞いてる」
「もうっ!」
腰に手を当てプクっと頬を膨らませて拗ねるエメラルダ。
それを見たアランは思わず苦笑する。
「歴史的有名な悪魔のような魔女が、実は可愛い女性で子供みたいに拗ねるって事実を知ったら、全員笑うだろうなぁ」と、心の中で思うと自然と笑いが溢れたのだ。
「あははは」
「何が可笑しいのよ!」
「別になんでもないよ。さて、と」
アランは膝に手を当て、椅子から立ち上がるとエメラルダをジッと見つめた。
「俺、そろそろ帰るわ」
「え?」
その言葉に、エメラルダの目が点になる。
(な、なによ……さっきは、デートに誘ってきたくせに……)
「やっぱり、人間なんて信用出来ないわね!」
「は?」
「別に」
エメラルダはそっぽを向いた。
それが丁度、窓の方だったのか、エメラルダは窓の景色を見て内心驚いた。
「え……もう、こんなに暗いの?」
エメラルダは、柱に掛けてある時計を見る。時計の針は、六時半を指していた。
「気づかなかったのか?って、まぁ、いつものことだから仕方ないか。デートはまた今度だな。じゃぁな、エメラルダ。また来る」
「なっ!?も、もう来なくていいわよっ!」
アランはエメラルダの言葉を無視して微笑むと手を小さく振り、屋敷から出たのだった。
エメラルダはアランの消える背中を見送ると、ボソリと呟いた。
「なんなのよ……もう……」




