表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/22

~短編~◆魔女と哀れな人魚姫(Ⅰ)

黒魔女の色々詰まった短編になります。

 これは、まだエメラルダが2桁(3桁後半なる前)の歳の時である。


「暇だわぁ……」


(何か面白い事無いかしら?)


 テーブルに頬杖をついてエメラルダは何も無い天井を見上げる。そして、ふと、昔の事を思い出した。


「そう言えば、アルカディア(かい)で、末娘の人魚が産まれたって噂を聞いたわね」


(暇だから、見てみようかしら♪)


 エメラルダはそう思うやいなや、テーブルの中央に置かれた水晶に手を(かざ)した。

 すると、水晶はポウと光り始め、水晶の中央には映像が浮き始めた。


「んん?」


 エメラルダは水晶の中の映像をジッと見つめる。そこには、綺麗な鴇色(ときいろ)の長髪で魚の足をした女の子が、金髪の美しい男を助けている場面だった。


(ふーん、この子優しいのね)


 感心したようにエメラルダは水晶の映像を見続ける。エメラルダは、暇潰しにその女の子の様子をずっと見ていた。

 そして、何気なく女の子の心の声を聞き始めた。

 どうやら女の子は、自分が助けた筈なのに、青年が別の人に助けられたと勘違いしてしまったことにションボリしてしまったらしい。

 そして、その後も女の子は青年のことを忘れられなくなったらしい。


「ふーん」


 エメラルダはジーッと水晶を見つめる。


「素敵な王子様……。あぁ、私も人間になりたい……」


 たまたま聞いた女の子の心の声にエメラルダは「変なの」と、小さく呟いた。


「人間に、ねぇ〜」


 そこで、エメラルダはふと閃いた。


「そうだわ!面白そうだから、この子の力になってあげましょ!」


 そう思うとエメラルダは水晶に向かって呪文を唱え始めた。


「言葉は糸……言葉は縁……我の言葉を()の者に届け――」


 すると、水晶がまた光り輝き始めた。そして、エメラルダは水晶に向かって喋り始める。


「そこのお嬢さん」


 水晶に映っている女の子はビクッと肩を揺らせ、辺りをキョロキョロと見回す。


「だ、誰??誰かいるの??」

「私はそこには居ないわ。貴女(あなた)の頭の中に語りかけているだけ……」

「頭の中?」

「そう。ねぇ、美しいお嬢さん。貴女(あなた)は、今、悩んでいるんじゃない?」

「え?!ど、どうして解るの?!」

「ふふふ。だって、私は魔女だもの」

「……魔女」


 そこで、女の子はハッとする。どうやら何かを思い出したらしい。


「そう言えば、父様から話しを聞いたことがあるわ。魔法が使え、なんでも出来る魔女がいるって。…。ねぇ、貴女は私の足を人間の足に変えることは出来る??」

「えぇ。私なら出来るわ」


 エメラルダは水晶に向かって微笑んだ。

 すると、水晶の中の女の子は目をキラキラと輝かせ嬉しそうにこう言った。


「本当?!なら、お願いがあるの、私の足を人間の足にしてほしいの」

「いいわよ。だって、私は貴女の強い想いが聞こえたから、貴女に話しかけたんだもの」


(まぁ、嘘だけど)


 エメラルダは、子供のようにペロッと舌を出す。それは当然ながら女の子には見えない。

 そして、それが嘘だともバレない。


「嬉しい……」


 だから、水晶の中の女の子は、本当に嬉しそうにして微笑んだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ