表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/22

twuerubu

 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼


 あれから時はあっという間に過ぎて行った。

 森の草木も、緑色から茶色へと移り変わっている。アランが来なくなってからエメラルダは、また、いつもの生活へと戻っていた。

 森に出かけ、毒を調べ、精霊と戯れたり。でも、エメラルダの心は何故だか晴れなかった。


「何故かしら……」


(何かが、ポッカリと穴が空いたような感じがする……)


 エメラルダは屋敷の窓から、森をジッと見つめる。


(寂しい、な……)


 そこでエメラルダは、自分がついさっき思った言葉にハッとなった。


「さま、しい……?あぁ、そうか……私は、寂しいのね……」


 エメラルダはアランがくれた花冠にそっと触れる。花冠はエメラルダの魔法によって色褪せること無く、貰ったままの美しい花冠だった。


「……アラン」


 エメラルダがそう呟くと、誰かが屋敷の扉を叩く音が聞こえてきた。

 エメラルダは、もしやと思い小走りで階段を降り扉を開く。


「アランなの?!」


 しかし、扉に立っていたのはアランではなく、見知らぬ青年だった。


「……誰?」


 エメラルダは内心ガッカリしたが、青年に向かっての警戒心は取らなかった。


「こちらに悪魔の魔女と言われる魔女がいると聞いたのですが……まさか……」


 黒髪に片眼鏡を掛けている青年はエメラルダをジッと見つめた。


「悪魔の魔女は私よ。というか、悪魔の魔女じゃなくて『黒の魔女』ね。それで、用は何?」


 青年は「やはり……」と、小さく呟くと目を見張りながら驚いていた。

 しかし、それも一瞬のことだった。

 青年はエメラルダに頭を下げ「貴女様に助けていただきたい方がございます」と、言った。


「助ける?」

「はい」

「私は……もう人は助けないの……。他を当たってちょうだい」


 そう言うとエメラルダは扉を閉めようとしたが、青年によって閉めるのを塞がれてしまった。


「お待ちくださいっ!お願いします!私の主を助けて下さいっ!貴女様しかいないのです!」

「…………」

「お願いいたします!」


 あまりの必死な願いにエメラルダは「はぁ……」と、溜め息を吐く。


「……わかったわ。話は聞いたあげる……でも、助けるかはわからない」

「有り難うございます」


 青年は、またエメラルダに深々と頭を下げた。

 エメラルダは、青年の話を聞くために屋敷の中へ招いた。


「中へ入って」

「いえ。中でお話しをする時間はございません。森の外に馬車を用意させてあります。その中でお話しします」


 その言葉にエメラルダは眉を寄せ、真剣な表情へと変わった。


「……それだけ、その主が大変ってことなのね」


 青年は苦い顔をし頷く。


「……はい」

「はぁ……。わかったわ。言っておくけど、この代償は大きいわよ」

「かしこまりました」


 そう言うと、エメラルダはコートも着ずに青年の言う馬車へと向かったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ