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nine

「で、結局は森の中を歩くだけじゃない」

「仕方ねーだろ?お前は、ここから出たがらないんだからさ」


『デート』と言っても、結局、エメラルダとアランは森の中の散歩をすることになったのだった。

 エメラルダはアランの鋭い指摘に図星をつかれる。


「……うっ……それは……まぁ、そうなんだけど……」

「でも、ほら。花がいっぱいだぞ?」

「馬鹿ね。これは、全部毒草よ」

「へぇ。こんなに綺麗なのにか?不思議だな」


 アランはそう言うと、赤く咲いている花に触れた。


「それはヒガンバナよ」

「これがか?」


 エメラルダはアランの言葉に少し疑問を抱いた。だが、アランが「これは?」と聞くので、その疑問は胸の中にしまいエメラルダはアランが指す花の名前を言った。


「この白い花はスズラン」

「あぁ。あれか。ふーん」


 エメラルダは、ついにその疑問をアランに尋ねた。


「ねぇ。貴方、毒に詳しいの?」

「へ?……あぁ~……まぁな」


 アランは頭を掻いて苦笑する。そんなアランの様子をエメラルダは訝しげに見ていた。


「ますます貴方の素性が解らないわ」

「俺の?俺は……」

「俺は、なによ?」

「ただの夢見る商人だ」


 ニコリと笑いながらアランは言った。

 エメラルダは、なんだか深刻そうだったアランを心配した自分が少しバカらしくなった。


「変なの」

「よく言われる」

「この辺りは毒草だらけよ。そうねぇ……あそこならいいかもしれないわ」


 そう言うと、エメラルダは南西の方を指さした。


「そうなのか?森は詳しくないから、よくわからないが……ま、行ってみるか!」


 アランはエメラルダの手を握ると、エメラルダが指した場所に向かって歩み始める。エメラルダは、突然、手を繋がれたことに驚き言葉を失っていた。


(何するのよって言いたいのに……)


 それでも、そんな言葉は出なかった。


(だって……不思議と嫌じゃないんだもの……)


 エメラルダは手を繋がれたのと同じく、自分の気持ちに困惑し、内心驚いたのだった。

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