「耳鳴り」について
みなさんは「耳鳴り」というものの経験があるだろうか。
ふとした時、具合の悪い時、頭に衝撃を受けた時……。状況はさまざまだが、誰しも一度は経験があるだろう。「キーン」「ジー」「ザザザ」「ピーー」「ミーー」。人それぞれ聞こえ方、感じ方はあるはずだ。
では、「耳鳴り」とは一体なんなのか。
医学的には、気圧の変化や難聴、ストレスや精神的なものに起因して起こる現象と言われている。しかし、はたしてそれだけが原因なのだろうか。
こう思ったことはないだろうか。
「耳鳴り」は、誰かの声かもしれない……と。
例えば、夏の夜に目を瞑って微睡んでいるとき、突如耳元で蚊の羽音がする。「ブゥゥゥゥゥン」と。
ほとんどの人は電気をつけて音の元凶を探し出して退治したり、外に誘導したりするだろう。仮に疲れていれば、刺されるのを覚悟で無視して寝る、なんてこともあるかもしれない。
では、なぜその音が蚊だと思ったのか。電気をつけた人は姿を確認したからと言える。では、確認していない人は? いつから羽音だと確信していたのだろうか。姿形がわからないのに。
もしかしたら、蚊じゃないかもしれない。他の虫か、ただの気のせいか。でも、実際に音は感じた。だがここで人は、「おそらく蚊だ」という仮説を信じて考えるのをやめる。
ここで本題に戻るが、「耳鳴り」がなんなのかを実際に理解している人はどれくらいいるのだろうか。
医学的、生物的な観点での知識を持っている人は、前述したような見解を考えて納得するかもしれない。逆にその知識がない人は、なんとなく「そういうものだ」という見解で自分を納得させているだろう。
ここで、先ほどの蚊の話と違うのは、そこに実際に「いる」か「いない」かだ。
じゃあ、「耳鳴り」は「いない」ということにしていいのだろうか。
夜中、1人で寝ている時に耳鳴りがしたら、それは疲れているから、あるいは気圧が変化したから……といろいろな理由は考えられる。だが、それらの理由づけは「1人で寝ている時に耳元で音を出すものがいない」と結論付けているからこそ、「いない」と思い込んでいるに過ぎない。
だが、本当にそうだろうか。
1人で寝ている時、耳元に誰か、あるいは何かが「いる」から、その何かが音を出しているから、耳鳴りがすると考えられないだろうか。
「いるわけない」と言う人が大半だと思われるが、音は確実に聞こえているのだ。
いるわけない、ではなく、いるかもしれない。そう思った方が、何かが耳元にいた時に危険はないかもしれない。
――この話を、寝る前に思い出してほしい。
ほら、聞こえてくるだろう?
何かの声が。
ああ…、駄目だ。振り返ってはいけない。…いるのだから……。




