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第4話 妹とか憧れる!

 俺が13歳になった時、我が家に、ある女の子が来た。


 薄いピンクの短い髪で、ちょっとちっちゃい女の子だ。


 そう、まさかの、この女の子を、養子としてうちへと迎え入れることとなったのだ。


 養子の話を聞いたのは、わずか1週間前。夕食後、突然言われた。あまりに急な知らせに、俺は死ぬほど驚いて声が出なかった。


 父さんは、"なんで驚いてるんだ?"とか言いやがった。そんなの、分かるわけないだろ!


 確かに、二人目の子供が欲しいという話は、よく言われていた。


 俺は、そういうこともちゃんと知ってるからな。聖なる儀式を経て、新しい命が生まれるのだと、そう思っていた。

 ことあるごと聞いてくるし、なんて◯欲の溜まったかわいそうな男なんだろうと思いつつ、ちょっと気まずかった。


 でも、どうやら違ったらしい。養子の話を持ちかけられていた時、判断を俺に委ねようと、そういう話だったらしいのだ。


 俺は、前世で兄弟なんていなかったからな。すっごい憧れていたし、もちろん欲しいと答えた。ちょっと父さんのためでもあったが。


 ......そして、衝撃の事実を聞き、驚きが抜けないまま今日を迎えたというわけだ。


「おっ、おはようございます。今日から、どうぞよろしくお願いします」


 緊張しているのか、言葉が少し震えている。

 でも...かっ、かわいいぃ...!


 やばい、やばいぞ、これ。初めての妹だからか、胸の高鳴りが止まらねぇ。

 それに、前世じゃ彼女すらいたことなかったからか、女の子に耐性が皆無なのかもしれない。


「おお、ラナちゃん! よく来てくれたね。こちらこそ、これからよろしくっ!」


「やっぱりかわいいわねぇ! 私からもっ、これからよろしくね! ...ほら、あんたも挨拶するっ!」


「どうも、初めまして。僕は、兄になるカイン・アルフレッドと言います。よろしくねっ」


 上手く言えたかな? 前々から考えといた挨拶だし、いい感じな気がするけど。


「ラナ、9歳です。よっ、よろしくお願いします」


 ...あかん、あかんわ、これ。

 血が繋がってないせいで、どうしても変に意識してしまうっす。やばいっす。


「・・・・・・」


 でも、この暗い顔は、何なんだろう。緊張してるからかもしれないが、それでもこんなに暗くなるだろうか?


 わ、わからん...兄弟がいなかったから、小さい子の気持ちなんて、分かるわけねぇよぉ...


「それじゃ、みんなでお昼を食べましょうか!」


 ◇


 お昼が終わると、ラナは自分の部屋に案内されて入ったまま、出てこなくなった。ラナって気軽に呼んでいいのかもよくわかんないけど。


 うーん、でも、マジで全然出てこないじゃん。大丈夫なのか?


「カイン、ちょっと」


「父さん。どうしたの?」


 そう思っていると、父さんに急に頼み事をされた。


 どうやら、ラナが全然出てこないのが少し心配らしい。俺に見に行って欲しいんだと。


 父さんに頼みごとをされるなんて、久しぶりだな。


「いいけど、なんで俺?」


「父さんみたいなおじさんより、お前みたいなお兄ちゃんの方がいいだろ、多分」


「そう、なのか?」


 あんまり変わらん気もするけど...まあいいや。行ってみるかな。


 ◇


「失礼しまぁす」


 静かに扉を開く。


 中には、静かに本を読む、ラナの姿があった。


「どう、したんですか?」


「いや、部屋から出てこないから、ちょっと様子をと...」


「別に、大丈夫ですよ」


 少し冷たい言葉で、跳ね返されてしまった。


 これ、本当に大丈夫そうだな...本に集中してただけだな、うん。


「ごめんごめん、もうーーって、その小説、もしかして...」


 ラナの手にあったのは、俺のよく読んでた恋愛小説だった。

 ラナが、こんなものを読んでくれてるなんて、思いもしていなかった。


 あれから、すっかり恋愛小説を好きになり、家にある全ての小説を読み尽くしてしまった。


 暇だから読むのではなく、いつの間にか好んで読むようになり。好きな時間の一つになった。


 そんな本を、ラナが読んでいる。嫌々読んでいるようには見えない。


 ...そして、俺の何かに火がついてしまった。


「その小説、すごい面白いよなっ! 主人公のキャラとか! でも、他にも面白いのがたっくさんあるんだぞっ! ほら、これとかーーーー」


 ついつい、勢いでしゃべってしまった。おすすめの本やら感想やらを、熱弁した。

 これまでは、そんなの話す相手もいなかったからな。

 ラナは、それをじっと聞き続けてくれた。


「それでな、この小説は、この後の展開がーー」


 ...でも、顔は、ずっと暗いまま、だった。前のめりに聞いている気はするけど、その瞳に光はない。


 まるで、全てを諦めた、前世の俺を見ているかのようだ。

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