第3話 魔法を頑張る!
時はさらに経ち、6歳になった。
今日は、待ちに待った日である。
そう、二人の休職期間が、遂に終わったのだ! 寂しくて悲しむのが普通かもしれない。確かに、その気持ちもなくはない。
でも、やっと一人になれる時間ができるんだ! よっしゃおらぁーーーー!
そんな気持ちの方が、ずっと大きかった。
これまで魔法の訓練ができなかった。さすがに、両親の前で魔法を使うわけにはいかなかったからな。
そう、一人ならそれができるんだ!
「カイン、ぐすっ...いっ、いい子にっ、してるんだよぉ...」
父さんは、瞳に涙を浮かべている。
「うん、わかった。じゃあね、父さん」
「なっ、なんか素っ気ないぃ...カイン、寂しいかもしれないけど、頑張るんだよぉ。困ったら、俺のーー
「分かった。じゃあね、父さん」
「...カイン、もしかして、あんまり寂しく、ない?」
...しまった。さすがに不自然すぎたかっ。
「そっ、そんなこと、ないよぅ...ぐすん」
「ああ、ああっ! やっぱり、もう少し家にーー
「あなた、そろそろ行ったらどう? まだ私がいるんだし、あんまり寂しくはないに決まってるでしょ」
「そっ、そうだな。そう、だよな...ぐすっ、行ってくる!」
「「いってらっしゃい!」」
母さんは、午後からの勤務に変えてもらったらしい。あと少し、もう少しだっ!
◇
「じゃあね、カイン。すぐに帰ってくるから」
「うんっ、じゃあね、母さんっ」
「...カインは、やっぱり強い子ね。心配はいらなさそうね」
母さんは、やはり俺が息子だからだろうか、なぜか俺のことがよく分かっているように見える。
「うんっ、いってらっしゃい!」
「はい、いってきます」
そう言って、母さんは家を出た。
「・・・・・・」
きっ、キタァァーーー!!
一刻も早く、魔法をまた使いたいっ!
そう思い、俺は庭へと飛び出した。
まずは感覚をしっかり取り戻さないとな。
俺の魔法の訓練の基本は、'小さい魔力で最大の威力を出す'だ。
その上限はなく、訓練をやればやるだけ感覚は研ぎ澄まされ、使う魔力は小さくかつ威力は上昇する。
60年くらいやっていた俺は、何だかズルしている気分だが...
まあいい。とりあえず、頑張って威力を下げないと、庭が大変な事になりそうだ。
的は...まあ、壁でいいか。
「よしっ」
カインは目を瞑る。
「『水刃』」
...み、ミスった。やばい、かっ、壁に傷が...
もっと小さくしなきゃっ!
「『水刃』」
今度は気持ち小さくなった気はするが、結局傷はついた。
初めて訓練をした時からわかっている。
訓練は根性!
何年も続ければ、絶対にまた自由自在に魔法を調整できるようになるはずっ。
...でも、長い道のりになりそうだ。
一回、上位の魔法を使ってみようかな。聖王級とか。
ちなみに、魔法の序列はこうだ。
初級
中級
上級
超級
王級
聖王級
神話級
(神級)
神級は、俺が勝手に作った。要するに、世間では神話級が一番上だ。
俺の最終目標は、前代未聞の魔法、神級魔法を作ること。どんな脅威からも誰かを助けられるような、そんな魔法を。
まあそうは言ったが、神級にはまだ程遠い。とりあえず、聖王級だけでも使ってみよう。
「『神炎』」
ーーバゴォーンッッ!
...やっ、やばっ! マジで調整できな、い...あっ、...これ、落ちるわーーーーーーーー
◇
「んっ、んんっ......あ、あれ、ここって...」
その天井は、生まれた時と同じ、白く塗られた家の天井であった。
「カインっ、起きたのねっ! 大丈夫っ?!」
「カインっ!」
父さんと母さんが、血相を変えた顔で俺に抱きつく。
「あ...れ? 俺、なんでここに...」
「カイン、庭でずっと倒れてたのよっ!」
......思い出したぁ...俺、イキって聖王級魔法使って、そのまま魔力切れで倒れたんだったわ...
これは、マジでしくった。多分、バレた。
「その、庭って、どんな感じ、だった?」
「はぁ...。庭は、もうすっごい大きな穴が空いてたわよ。ここは近くに家がないから、気づかれなかったの」
「で、デスヨネェー」
すごい、二人の顔が怖いっ! 見たことない顔してるぞ、おい。お二人さんっ!
「もしかして、魔法を、使ったの?」
「うぅ......はいぃ、すみませんでしたぁ」
これは怒られるかもしれない。もしかしたら、これから魔法を二度と使わせてもらえない、かもっ! やべぇよ、おい!!
...しかし、そう思っていたが、二人の顔は突然明るくなった。
「すごいわよっ、あなたっ! この年齢で、しかもまだ魔法を見たことがないのに、魔法が使えるなんて!」
「そうだな、そうだな!」
...あれっ、思ってた反応と全然違う。もっと怒ると思ってたけど。
まあ、何も知らない子供が突然魔法を使い出したら、そりゃ驚きはするだろうけども。
だって、魔法にはすっごい大きく分けると2つが絶対に必要だ。それは、"魔法陣"と"魔法のイメージ"だ。
つまり、そんなのどっちも知らない子供は、どうあがいても使えるはずがないというわけだ。それなのに使えるのは、異様に見えるだろう。
そこで喜ぶのも、それはそれでどうかとは思うが。
「でも、どうして魔法が使えたのかしらね?」
まっ、まずいっ!
「本で、読んだから、だよ...」
苦しい、言い訳が苦しすぎるっ!
「・・・・・・...そうか、そうだったのか! いやぁ、カインはすごいな!」
よかったぁ、お気楽両親で。
ちなみに、当たり前だが、普通は本を読んだだけじゃ魔法は使えないぞ!!
「でも、あんなに大きくなるんなら、魔法は控えるか、もっと小さいのにしなさいっ。まだ上位の魔法は使えないでしょうけど、使おうと思っちゃダメよ!」
「...はっ、はぁい」
いや使えるけどね、俺。全部使えますよ。
でも、これからは、初級魔法で前の感覚を戻すのに励むとしよう。
こうして、そんな魔法の訓練は、それからもずっと続くこととなった。




